- Google Cloudに関する記事
政府および行政機関向け Google Cloud ソリューション徹底解説
こんにちは、クラウドエース編集部です。
あらゆる業界で DX 化の推進が叫ばれている現代。ビジネスで勝ち抜くためだけではなく、行政サービスを充実させて住みよい社会を実現するためにも、デジタル化の必要性は高まっています。
今回は、政府および行政機関向けに提供されている Google Cloud ソリューションについて解説していきます。
業務効率と行政サービス提供の改善
まずは、政府・行政機関による住民向けサービスの充実のために Google Cloud が実現できることについて紹介します。
災害対策と対応
Google Cloud 上に地域の重要なデータソースを統合することで、災害発生時にスピーディに対応できるようになります。
例えば被災地の画像解析を即座に行うことで、現場の状況を的確に把握し必要な援助を必要な時に与えることが可能となります。
住民の地域への愛着心の向上
Google Cloud を活用することで、デジタル相談窓口の設立、スピーディな書類の処理、各種手続きを行える最新のアプリケーションの提供なども実現できます。
行政サービスの充実は、住みやすさや住民の地域への愛着心の向上にも繋がるでしょう。
インフラプロジェクトの管理
地図サービス「 Google Maps Platform 」を利用すれば、道路整備や建設など、あらゆるインフラプロジェクトを効率化してコスト削減できます。
あらゆる事業者との調整が必要な自治体のプロジェクトをクラウドで一括管理することで、税金の節約や不要な道路作業などの削減に繋げられるのです。
不適切な支払いや不正行為の防止
AI を使用して、補助金給付などに不正または問題のある申請を特定できます。
不正を排除することで、生活に困っている人たちへの支援を促進できるようになるでしょう。
【事例】ロサンゼルス市情報技術局
Google Cloud が提供する地図サービス「 Google Maps Platform 」を利用して、土砂崩れや山火事などに関する最新情報を市民に発信している、アメリカ・ロサンゼルス市情報技術局の事例を紹介します。
ロサンゼルス市情報技術局(ITA)ではそれまで、400 万人の市民に対して災害などの緊急情報を市の Web サイト上のテキストで伝えていました。地理的な情報は PDF の地図で提供され、住民はそれをダウンロードして参照する必要がありました。最新情報を更新しにくく、住民は地図上で自分の居場所を探す必要があるという不便さから、緊急時の市への Web ページへのトラフィックは少なかったそうです。
嵐などの自然災害が多い同市では、このような状況を改善するために Google Maps Platform の導入を決めました。これにより、住民が視覚的に必要な情報に簡単にアクセスできるようになったとのことです。
具体的には、住民向けの Web ページで Google Map を使い、公共警報、道路の浸水、地滑り、停電、交通、避難所など必要な場所への行き方などを地図上に表示させるようにしました。その結果、2020 年に発生した大規模な山火事発生時には、避難マップの公開から 36 時間以内に 350 万ビューを記録し、15 万人以上の人々を迅速に避難させることに成功しています。
AI と機械学習を使って、大規模なデータを活用する
安心して暮らせる便利な社会の実現には、セキュリティの強化や時代に合った行政サービスの提供が必須です。
住民が真に必要としているサービスを理解するためには、データ分析や AI・機械学習サービスが役に立つでしょう。
セキュリティの強化
復元力・安全性が高く、スケーラブルなデータパイプラインを Google Cloud Platform 上に構築することで、サイバー攻撃の脅威の発見、特定、予防の効率化に繋げられます。
高度なアナリティクスと自動化によって、サイバーセキュリティ業務の生産性と有効性の向上を実現できるのです。
データ分析による価値創出
フルマネージドのサーバーレスなクラウドデータウェアハウス「 Big Query 」を活用することで、適切な意思決定を行えるようになります。
データの分析結果から、新たな地域サービスを創出することも可能となるでしょう。
調査インサイトとコラボレーション
Google Cloud では、あらゆる種類のデータをリアルタイムで取得・分析できます。
データパターンを自動化して特定・処理することで、大量の情報から短時間でインサイトを得られるようになります。
【事例】アメリカ国立老化研究所
アメリカ国立老化研究所では、Google Cloud が提供する「 Cloud Life Sciences 」を利用して大規模な研究データを安全に保存、処理、探索、共有できるようにしています。
Cloud Life Sciences とは、大規模なゲノムデータや生物医学データの処理、分析、アノテーション付けを行えるサービスです。
同研究所ではある研究を行う際、数年にわたるさまざまな機関での研究データをもとに、数千の DNA 配列情報をまとめる必要がありました。このように多くのデータソースから科学的発見をするためには、データの一貫性を保つために再解析を行う必要があります。しかし、当時は膨大なデータを処理するのに十分なローカルな計算機がありませんでした。
そこで、同研究所はクラウドコンピューティングを利用できる Cloud Life Sciences の利用を決めました。その結果、わずか 3 週間半で 200 TB ものデータを処理できたそうです。この研究結果はその後、パーキンソン病の 6 つの新しいリスク遺伝子の特定に使用されているとのことです。
同研究は欧米の 50 以上の研究機関のデータをもとにしたものでした。データセットと解析結果へのアクセスを提供する上で、誰がどのデータを見ることができるかを制御できたのも Google Cloud のメリットだったそうです。プライバシーやセキュリティを維持しながらあらゆる組織と共同で仕事を進められることは、クラウドサービスならではと言えるでしょう。
生産性向上ツールによる政府機関の働き方改革
場所やデバイスを問わずに共同作業ができるグループウェアを導入することで、生産性の向上とコスト削減の両方を実現できます。
Google Cloud が提供する、生産性向上ツールを紹介します。
リモートワークの実現
グループウェア「 Google Workspace 」では、ビデオ会議に使える「 Google Meet 」 、チャットツール「 Google Chat 」、 ドキュメントの共同編集ができる「 Google Docs 」 「 Google Sheets 」などを利用できます。
働く場所や利用デバイスに関わらず、あらゆるところから業務を進められるため、生産性の大幅な向上に繋げられます。
Google Workspace for Government
Google Cloud では、政府・行政機関向けに開発した業務効率化ツールのセット「 Google Workspace for Government 」も用意しています。
これを活用することで、業務効率の向上だけでなく、住民サービスの改善、省庁間や部署間の繋がりの強化、住民と地域職員との円滑なコミュニケーション、公的サービスの案内ページの作成など、あらゆる行政業務の革新を実現できるようになります。
オンラインのキャリアセンターの実現
Google の規模、スピード感、AI を活用した分析によって、市の求職者へ仕事のマッチングも行えます。
そのほか、オンラインでの面接や求人説明会の開催、福利厚生システムとの統合も簡単に可能です。
【事例】アリゾナ州
アメリカ・アリゾナ州では Google Workspace を導入することで生産性とセキュリティの両方を向上させ、3 年間で数百万ドルのコスト削減に成功しています。
アリゾナ州行政局では、2018 年からサーバー、インフラ、ソフトウェアアプリケーションをクラウドファーストとすることを決めました。
クラウド移行を決めたのは、セキュリティ強化の必要性を感じたからとのこと。従来のオンプレミス環境で利用していた約 800 台のサーバーをディープスキャンしたところ、いくつかの脆弱性が見つかったのです。より強固なセキュリティ管理を期待して、Google Workspace の導入を決定したというわけです。
移行後の最初の 1 ヶ月は、新旧 2 つのシステムを並行して稼働させたそうです。その結果 Gmail は、旧システムでは検出できなかった 107,000 通の悪質なメールを自動で削除してくれることが明らかになりました。
また、Google Workspace の導入に伴い、部署ごとのファイルサーバーのほとんどを廃止し、代わりにドキュメントをドライブに集約したそう。その結果、ファイルサーバーの購入と管理の必要がなくなり、IT の設備投資と運用コストが大幅に削減され、その予算を他の分野に振り向けることができるようになったとのこと。
また同州の職員は、Google Meet を利用したビデオ会議の実施や、リアルタイムでの文書共同作成など、新しい働き方を実現しています。これにより、災害が発生して州のデータセンターが一時的にダウンしたときも自宅から仕事ができ、生産性が落ちることは全くなかったとのことです。
まとめ
ここまで、政府・行政機関向けの Google Cloud ソリューションについて解説してきました。Google Cloud が提供する各種機能を活用することで、業務効率の向上や住民にとっての便利なサービスの拡充に繋げられるでしょう。
また、Google Cloud 導入の際にはぜひクラウドエースにお気軽にご相談いただければと思います。
弊社のインサイドセールス部門がお客様のビジネスのご状況や、導入・検討のきっかけなどをヒアリングし、最適なご提案をさせていただくことも可能です。
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参照元
Google Cloud “City of Los Angeles: Using Google Maps to inform and empower citizens”
Google Cloud “National Institute on Aging: Accelerating the fight against Parkinson’s Disease”
Google Cloud “State of Arizona: Enhancing productivity and security with cloud collaboration”
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