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ゲーム業界向け Google Cloud ソリューション徹底解説

こんにちは、クラウドエース編集部です。

ユーザーがリモートサーバーでゲームを操作・プレイし、クラウドに接続されたデバイスでゲーム全体をストリーミングできる「クラウドゲーム」。その世界市場は年平均成長率 64.1 % で推移し、2027年には 140 億 1,000 万ドルにまでのぼると推測されています。

今回は、ゲーム業界で活用できる Google Cloud のさまざまなソリューションについて解説していきます。

優れたゲームの開発

ゲーム開発の負担を減らすためには、自動化ツールや機械学習・AI などが役に立ちます。
クラウドベースでのゲーム開発に活用できる Google Cloud のサービスを紹介します。

オープンソースのマッチメイキング

対戦型のオンラインゲームでユーザーの満足度を上げるには、同じレベルのプレイヤー同士をスムーズにマッチさせることが重要です。
Google Cloud とUnity が共同で設立した 「 Open Match 」を利用すれば、​​コードの記述によりフレキシブルかつスケーラブルなマッチメイキングを実現できます。

AI を活用した快適なゲーム体験の実現

Google Cloud で提供している各種機械学習ツールを統合したプラットフォーム「 Vertex AI 」。
これを利用することで、コンテンツの管理、チャットの翻訳、有害コンテンツの検出などを AI に任せ、プレーヤーにこれまで以上に快適なゲーム体験を提供できるようになります。

業務生産性の向上

大規模なタイトルの開発では、多岐にわたる部門、あるいは海外拠点との共同作業が必要な場合もあるでしょう。
グループウェアの「 Google Workspace 」 を使用すれば、各地に分散したチームでのリモートワークの生産性を向上できます。

【事例】株式会社ディー・エヌ・エー

プレイヤー体験の向上を目的に、Google Cloud 上に AI 基盤を構築した株式会社ディー・エヌ・エーの事例を紹介します。

同社は、オセロの要素を持った戦略対戦ゲームアプリ「逆転オセロニア」の「デッキ編成」に Google Cloud の AI 機能を導入しました。

同アプリは、オセロのルールをベースとすることで、戦略対戦ゲームの普遍的課題の 1 つ「ルール理解の難しさ」というハードルを下げています。一方で、さまざまな「スキル」を持ったキャラクターを組み合わせる「デッキ」の構築といったゲーム要素も盛り込まれており、効果的なデッキ編成が初心者にとっては難しいという課題がありました。

このような課題のソリューションとして選ばれたのが Google Cloud が提供する AI 機能です。数ある AI サービスの中でも Google Cloud を選んだ理由は、フルマネージドなサービスであったことだそう。ゲームサービスはイベント時にリクエスト数が一気に 10 倍になるなど、予想が難しい分野です。そのようなゲーム特有の急激なアクセス増にも耐えるスケーラビリティを備えていることが決め手になったそう。

同アプリの AI 基盤には、Google Cloud プロダクトが数多く活用されています。具体的には、データの収集・蓄積には 「 BigQuery 」、データの加工・モデリングには「 Google Compute Engine 」、モデルのデプロイには「 ML Engine 」、最適なデッキ編成を行うサーバーには 「 Google App Engine 」を利用しているとのこと。

これらの機能の活用により、デッキ構築を AI でサポートする「オススメ編成」機能が実装されました。これは、AI が上位プレイヤーのデッキのデータを参考に、手持ちのキャラクターから最適なデッキを自動的に作ってくれるという内容。この新機能の導入により、初心者の勝率が明らかに向上したそうです。

同アプリ開発では今後も AI を活用したプレイヤー体験向上を追求し、将棋の感想戦的な指導機能や、まったく新しいゲーム体験につながる機能も検討しているとのことです。

グローバルなゲームのスケーリング

(画像は Google Cloud 公式 「Game Servers より転載)

新規タイトルリリース時やイベント時におけるアクセス数の急増に自動スケールで対応できることは、クラウドサービスの大きなメリットです。
莫大なアクセス集中にも耐えうる、Google Cloud のサーバーやデータベースサービスを紹介します。

自動スケールするゲームサーバー

ゲームサーバーのグローバル展開や管理の簡易化には、Kubernetes 上でゲームサーバーの管理を行う「 Game Servers 」が便利です。
日々のアクセスやゲームイベント、コンテンツの発表に合わせてゲームサーバーを自動でスケールするため、インフラが複雑化したり、パフォーマンスが犠牲になったりすることがなくなります。

多様なデータベースサービス

Google Cloud では、目的に応じて使い分けられるさまざまなデータベースサービスを提供しています。
バックエンドの強化、リーダーボードやプレーヤー認証システムの管理などあらゆる分野に、Google Cloud の多彩なデータベースサービスは活用されています。

【事例】グリー株式会社

グローバルに展開するゲームの開発・運用基盤として Google Cloud を採用した、グリー株式会社の事例について紹介します。

同社は、人気ゲームシリーズの 1 つである「消滅都市」の最新作「 AFTERLOST – 消滅都市」に、Google Cloud を用いたコンテナ技術の本格活用を決めました。
(画像は 「AFTERLOST – 消滅都市」の公式Twitter より転載)

同社ではこれまで、インフラストラクチャ部が用意した仮想マシンを開発チームに使ってもらう形でゲームの開発を行っていたそう。しかし、仮想マシンの構成をカスタマイズしたい場合などに、都度インフラストラクチャ部に相談・申請の必要があり、手間と時間がかかっていたとのこと。

そこで Google Cloud を導入したところ、開発チームの自由度が上がり、開発も「極めて順調」に進んだそう。開発チームのほとんどのメンバーが Google Cloud  を初めて使うという中でも、チュートリアルやドキュメントが充実していたことでスムーズに進められたようです。

Google Cloud 導入のメリットは、サービスリリース後にも感じられたとのこと。スケールが高速であるため、イベントなどでユーザーが急増することがあっても、運営側で何かをする必要がなくなったのです。

また、グローバル展開される同アプリは、これまでアジア、アメリカ、ヨーロッパの 3 リージョンに環境を持つことが多かったそう。しかし Google Cloud  はネットワークが高速なため、東京リージョンだけで全世界をカバーできるようになりました。実際、ブラジルなどからも問題なく遊べるレスポンスを実現し、サーバー代が単純計算で 3 分の 1 に抑えられているとのことです。

データを基にプレーヤーへの理解を深める


日々新たなコンテンツがリリースされるゲーム業界では、ニーズに合ったサービスを提供するためのユーザー分析が欠かせません。
ここでは、Google Cloud のデータ分析ツールについて解説します。

高性能なデータウェアハウス

Google Cloud が提供する「 BigQuery 」は、機械学習が組み込まれたサーバーレスのスケーラブルなデータウェアハウスです。
より短時間で分析情報を取得できるようになることで、データを最大限に活用できます。

ストリーム分析

Google Cloud のストリーミング分析ソリューションを活用すれば、無制限に発生する大量のデータをリアルタイムに処理できます。
ストリームをリアルタイムで取り込み、処理・分析することで、プレーヤーのニーズにスピーディかつ的確に対応できるようになるでしょう。

プレーヤーの分析

BI ツール「 Looker 」を活用することで、ユーザーの行動、ゲームデータ、マーケティングデータなどあらゆる項目を分析できます。
これらのデータをマネタイズ戦略に活用することで、プレイヤーの獲得や広告の最適化、収益の向上に繋げられます。

【事例】株式会社バンダイナムコエンターテインメント

マーケティング分析に活用するデータウェアハウスを Google Cloud で構築している、株式会社バンダイナムコエンターテインメントの事例を紹介します。

同社は、人気スマホゲーム「テイルズ オブ ザ レイズ」において、ゲームを深く長く利用してくれるユーザーを効率的に獲得することを目的に、 Google Cloud の利用を決めました。
(画像は 『テイルズ オブ ザ レイズ』公式アカウントより転載)

具体的には、機械学習分析・需要予測を使って有料ユーザーデータを分析し、それを基に同ゲームをダウンロードしてから 7 日以内に有料利用する可能性の高いユーザーの属性を予測し、広告配信対象にしました。

広告の配信には、数行の広告文や入札単価の設定で、対象ユーザーにリーチできるようにキャンペーンを自動最適化する「Google 広告  アプリキャンペーン」を利用したとのこと。

その結果、獲得ユーザーの支払額が通常のアプリキャンペーンの 70% 増という大きな成功を納めました。同社では今後も、他のスマホゲームでも同様の施策を導入していきたいと考えているそうです。

まとめ

ここまで、ゲーム業界向けの Google Cloud ソリューションについて紹介してきました。この記事を参考に、ユーザー体験の向上を実現できる Google Cloud の導入を検討してみてください。

クラウドエースはゲーム業界のお客様とのお取引も多く、ゲーム業界向けのセミナーやトレーニングを実施するなど、ゲーム業界のお客様の成功に注力しておりますので、Google Cloud 導入の際にはぜひクラウドエースにお気軽にご相談いただければと思います。
弊社のインサイドセールス部門がお客様のビジネスのご状況や、導入・検討のきっかけなどをヒアリングし、最適なご提案をさせていただくことも可能です。

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参照元

Google Cloud “株式会社ディー・エヌ・エー:世界的大型タイトルを Compute Engine で運用。従来環境からのスムーズな移行と安定性を両立”

Google Cloud “グリー株式会社:最新ゲームタイトル『AFTERLOST – 消滅都市』に GKE を活用。開発の自由度とスピード感をアップ”

Google Cloud “株式会社 バンダイナムコエンターテインメント:マーケティングで活用する DWH GCP で構築

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