金融サービス業界向け Google Cloud ソリューション徹底解説

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こんにちは、クラウドエース編集部です。

あらゆるビジネスで DX 化が進んでいる現代、金融サービス業界においても、銀行窓口の必要性や、従来の紙ベースの業務プロセスの在り方について疑問が投げかけられています。

今回は、そんな金融サービス業界の DX に貢献する Google Cloud のさまざまなソリューションを紹介します。

新しいプロダクトとイノベーションで収益を拡大


ネットバンクの普及や、パーソナライズされた金融商品の提案が人気を集めるなど、金融業界ではデジタルを徹底活用した新たなサービスが注目されています。
ここでは、新たなプロダクトやイノベーションを実現する Google Cloud のソリューションを解説します。

オープンバンキングの実現

銀行が保有する金融データを他の事業者と共有する「オープンバンキング」は、顧客が商品やサービスの選択肢を広げられる新しい方法として注目されています。

Google Cloud が提供する「 Apigee API Management Platform 」を利用すれば、新しいデジタル配信チャネルを介して顧客と繋がり、革新的なプロダクトやサービスを提供できるようになります。

ハイパフォーマンスコンピューティングによる定量分析

規模とスピードに定評のある Google Cloud を導入することで、効率的に定量的な調査・分析を行えるようになります。
これにより、アイデアを収益性と実現性の高い戦略に変えることができるでしょう。

使用許可取得済みの市場データを活用できる「 Datashare 」

「 Datashare 」は、使用許可取得済みの市場データを検出、アクセス、分析できるサービスです。これを使えば、あらゆる使用許可取得済みデータセットを安全で迅速かつ簡単に交換できるようになります。

【事例】みんなの銀行

Google Cloud を活用して新たなサービスの提供を開始した「みんなの銀行」の事例を紹介します。
(画像は みんなの銀行 プレスリリース より転載)

「みんなの銀行」は、デジタルネイティブ世代をターゲットとしたスマートフォン専業の銀行です。国内初のデジタルバンク、そして国内で初めて勘定系システムにパブリッククラウドを採用したことで注目を集めました。

同社がパブリッククラウドを選択した理由は、金融サービスを開放して API を通じて異業種と繫がる BaaS( Banking as a Service )を目指していたからとのこと。これを実現するには、システムを小さく作り、スピーディにスケールアウトできるクラウドが適しています。中でも Google Cloud を選択したのは、安定性と Cloud Spanner、BigQuery といった、他社にはないサービスの存在だったそうです。

特にトランザクション処理の大規模分散処理を実現する「 Cloud Spanner 」については、全国で同じシステムを同時に動かすために欠かせなかったとのこと。これを利用することで、例えばどこかで大規模災害が発生した際などでも、銀行サービスを停止させない仕組みを実現できます。

なお、実際のシステムは Google Kubernetes Engine( GKE )上に構築されており、その拡張性の高さが役に立っているとのこと。また、銀行システムには安定性、可用性だけでなく、高いセキュリティも求められます。これを実現するためには、設計後の第三者評価やモニタリングなどで細かく修正していったほか、GKE にも監視のためのソリューションを導入したそうです。

こうして開業した「みんなの銀行」は、口座開設数を順調に伸ばし続けています。今後は、BigQuery や Vertex AI でユーザーの声を分析し、さらにサービスを充実させたいとのことです。

業務運用を見直してコストを削減する


金融関連業務の生産性の向上には、あらゆる最新技術を活用したコスト削減と業務効率化が欠かせません。
ここでは、金融サービス業務を効率化する、Google Cloud のプロダクトを紹介します。

コールセンターを AI 化する「 Contact Center AI 」

「 Contact Center AI 」を利用することで、カスタマー対応を自動化できます。
AI による仮想エージェントが顧客との自然な会話を実現してくれるため、人間のスタッフはより複雑な問い合わせに集中して対処できるようになります。

「 BigQuery 」 によるデータウェアハウスのモダナイゼーション

「 BigQuery 」 は、Google Cloud が提供するサーバーレスのデータウェアハウスです。高速分析が可能な BigQuery を利用することで、データから迅速かつコストをかけずに実用的な情報を得られます。

​​住宅ローンの書類処理を実現する「 Lending Doc AI 」

Lending Doc AI は、住宅ローンのドキュメント処理を自動化することで、それにまつわる借主と貸付機関の取引を効率化します。
規制要件やコンプライアンス要件の確認を効率化することで、手続きを合理化できます。

【事例】株式会社大和総研

(画像は Google Cloud 公式ブログ より転載)

サポートデスク業務の自動化・効率化に Google Cloud を採用した株式会社大和総研の事例について見てみましょう。

同社のサポートデスクには、電話、メール、FAX など、さまざまな媒体でユーザーからの問い合わせがあります。中でも圧倒的に件数の多い電話問い合わせについては、2019 年末頃から業務効率化のために Google Cloud が提供する自動音声認識の「 Speech-to-Text 」を利用した音声のテキスト化が実施されていました。

音声のテキスト化により業務効率が上がり、2020 年頃からは、 FAX での問い合わせ業務の効率化も進められました。それまでは、届いた FAX は当番社員が内容を確認して担当者に手渡しで振り分けるという業務フローになっていたとのこと。しかし、新型コロナウイルスの影響でテレワークが増えたことをきっかけに、この業務フローの見直しが進められました。

具体的には、 Vision API を導入して、FAX 内容を OCR(光学文字認識機能)でテキスト化し、自動的に担当者に振り分けるシステムを開発したとのこと。認識精度を高めるためには、単純なテキスト化ではなく、Auto ML Natural Language による PDF のカテゴライズ処理を追加したそうです。

つまり、受信した FAX から作成された PDF から Vision API で情報を抽出し、あらかじめ定められたルールに沿って各部署のフォルダに格納、担当者にメールで自動通知する仕組みです。このようなソリューションを、同社はわずか 1 か月で開発しています。

今回の取り組みを社内事例として共有したところ、他部署からも大きな引き合いがあったと言います。今後は、Google Cloud の電話音声のテキスト化の精度向上により注力していくとのことです。

リスクとコンプライアンスの管理


金融サービスにおいて、リスク管理は最優先事項です。
最後に、リスクとコンプライアンスを確実かつ一元的に管理する Google Cloud のサービスを紹介します。

大規模なリソースを活用したリスクシミュレーション

Google Cloud では、金融サービスにおけるリスクの計算とシミュレーションに必要な、大規模なリソースをリアルタイム、もしくはオンデマンドで取得できます。もちろん、独自のサーバーファームを構築する必要はありません。

オペレーショナル・レジリエンスの向上

オペレーショナル・レジリエンスとは、テロやサイバー攻撃、自然災害などによる業務中断に対して、いかに業務を回復・継続するかという能力のことです。Google Cloud を利用することで、金融サービスにおけるオペレーショナル・レジリエンスを強化できます。

【事例】野村證券

投資情報の配信アプリを構築した野村證券の事例について紹介します。

120 兆円を超える資産を預かり、530 万口座を超える個人顧客を抱える同社。そんな同社は2021 年、質の高い投資情報を手軽に入手できるアプリ「 FINTOS! 」をリリースしました。

これまで機関投資家向けに作成していたマーケットレポートを、個人投資家に届けたいという想いから生まれた同サービス。Google Cloud 上にこのアプリを構築した理由は、利用動向の分析に BigQuery を活用したり、さまざまなサービスと連携していくために Apigee を利用したりしたいと考えたからとのこと。

しかし、サービスリリースまでの道のりは容易ではありませんでした。実は開発を進めていく中で、社内法務担当から金融商品取引法に反する可能性があるという指摘を受けたのです。その結果、当初の計画から大幅な設計変更が必要になったとのこと。

結果として、設計変更前は App Engine を中心にほぼフルサーバーレスで運用する予定だったのが、野村證券の厳しい情報セキュリティガバナンスに準拠する形に再構築することになりました。具体的には、それまで App Engine で動かそうとしていた部分を GKE(Google Kubernetes Engine)に載せ替え、VPC Service Controls と VPC Firewall で境界防護を構築したとのこと。

こうした苦難を乗り越えてリリースされた「 FINTOS! 」。今後は Google アナリティクスを利用して利用状況をリアルに把握したり、BigQuery を駆使して多様なログを瞬時に解析したりしながら、迅速な経営判断やユーザー体験の向上に活用していく予定とのことです。

また、この「セブンセントラル」プロジェクトは、弊社クラウドエースにとってもシステムインテグレーションの新たな旗印「SI 2.0」を掲げ、社運をかけてサポートさせていただきました。これまでの SIer の下請け構造から脱却し、日本企業全体の技術力を底上げしていくために、ただ請け負って開発するだけではなく、お客様自身にクラウドネイティブな技術力や知見、アジャイル開発・DevOps などのチームビルドやマインドセットなどを身につけてもらえるよう伴走いたしました。

野村証券とクラウドエースが二人三脚となって進めた今回のプロジェクトは、 Google Cloud の グローバルな事例の中でも成果と先進性が評価され、2021年の金融部門のカスタマーアワードを受賞いたしました。
野村證券が金融サービス部門で Google Cloud カスタマーアワードを受賞 〜クラウドエースが構築支援を行った「FINTOS!」が評価〜

まとめ

ここまで、金融サービス業界向けの Google Cloud ソリューションについて解説してきました。この記事を参考に、新たな金融サービスの創出や業務効率化のサポートに Google Cloud の導入を検討してみてください。

クラウドエースは金融サービス業界のお客様とのお取引も多く、金融業界向けのセミナーやトレーニングを実施するなど、お客様の成功に注力しておりますので、Google Cloud 導入の際にはぜひクラウドエースにお気軽にご相談いただければと思います。
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