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サプライチェーン・物流業界向け Google Cloud ソリューション徹底解説

こんにちは、クラウドエース編集部です。

労働力不足の顕在化や、新型コロナウイルスの影響による通信販売の需要増加などにより、サプライチェーン・物流業界では DX 推進の取り組みが急務となっています。

今回は Google Cloud が提供する、サプライチェーン・物流業界のイノベーションに役立つソリューションについて紹介していきます。

優れたカスタマーエクスペリエンスの実現

物流業界において顧客満足度の向上を目指すためには、荷物を確実に届けることだけでなく、問い合わせに対する迅速なレスポンスや、短期間での配送も求められます。
顧客対応の自動化と満足度の向上を実現できる、Google Cloud の AI・機械学習ツールについて紹介します。

顧客対応の自動化

Google Cloud が提供するマーケティング分析機能や AI を活用することで、顧客のニーズを素早く把握・対応し、顧客満足度を高められます。
例えば「 Contact Center AI 」を導入すれば、コールセンターでの対応を AI に置き換えられます。

ビジネスオペレーションの見直し

「 Vertex AI 」は Google Cloud の機械学習関連のサービスを統合したプラットフォームです。
これを活用することで、需要予測や在庫管理、最適な配送ルートの把握を素早く的確に行えるようになります。

物流業界のあらゆる課題を解決

スマート倉庫の実現、トラッキング管理や配送ルートの自動作成、ラストワンマイルにおける再配達など、物流業界におけるさまざまな課題を、 5G と Google Cloud のネットワーキングにより解決できます。

【事例】J.B. Hunt

Google Cloud を活用して、輸送とロジスティクスのイノベーションを成功させた J.B. Hunt の事例について見てみましょう。

北米最大級の物流企業である同社は「北米で最も効率的な輸送ネットワークを構築する」というミッションを達成するため、Google との戦略提携を締結しました。

物流業界では、より迅速な配達と透明性のあるトラッキングに対するニーズが高まっています。これに応えるためには、リアルタイムなデータ収集・分析が欠かせません。

同社は AI や機械学習ツールなどの Google Cloud ソリューションを導入することで、これまでバラバラだった受注、梱包、流通加工、商品管理、輸送・配送などの各種システムを統合し、リアルタイムなデータ活用を実現しています。

具体的には、ハイブリッドクラウドサービス「 Anthos 」を採用して、それまでバラバラだった環境間でも一貫した開発・運用ができるようにしています。そのほか、「 Cloud AI Platform 」「 AutoML 」「 Recommendations AI 」「 Data Cloud 」など、Google Cloud の主要な AI・機械学習ツールも導入し、データのサイロ化を解消しながらリアルタイムなデータに基づく予測分析を行い、荷主や輸送会社に提供しています。

今後同社は、リアルタイムなデータの可視化や予測モデリングの構築など、物流業界にイノベーションを生むような新たな機能・サービスの開発も進めていきたいとのことです。

持続可能なサプライチェーンの構築


人手不足が叫ばれているサプライチェーン・物流業界では、これまで人の手で行ってきた業務をデジタル化して生産性を高めることが急務となっています。
ここでは、Google Cloud が提供する生産性向上のための仕組みを解説します。

サプライチェーンのリスクを軽減

Google Cloud では、リアルタイムな情報をストリーミング処理することが可能です。
例えば道路状況や天気などの変わりやすい情報を瞬時に把握・分析することで、予期せぬトラブルに適切に対応したり、経済的なリスクを予測したりできます。

生産性の向上とコスト削減

あらゆる業務のプラットフォームを Google Cloud へ移行することで、生産性の向上とコスト削減の両方を同時に達成できます。
Google Cloud のプロダクトは、どれも高機能でありながらシンプルで使いやすいことが特徴です。
従来の手間取る業務を Google Cloud に任せることで、業務量とコストの削減に繋げられるでしょう。

サステナビリティの目標を達成

現在、環境負荷の低減やコスト削減などを実現する、サステナブルな物流が重視されています。
Google Cloud では利用するリージョンに関わらず、二酸化炭素排出量を最小化できます。
コストや環境への影響を最小限に抑えつつ、ビジネスの成長を果たしましょう。

【事例】株式会社アダストリア

Google Cloud を導入することで、大幅な業務効率化を実現した株式会社アダストリアの事例を紹介します。

アダストリアはアパレルや雑貨を中心として、企画から生産、物流、販売まで一貫して自社で行う SPA ブランドを展開する企業です。同社は成長戦略の 1 つである「データ分析の強化」を目的に、Google Cloud を導入しました。

業態が多岐にわたる同社では、データが複数のシステムに分散しており収集・分析に時間がかかっていたとのこと。また、データの抜け漏れがあったり、本番相当のデータを扱えるデータベース環境自体がなかったりといった課題もあったそう。

これらの課題を解決するために、同社は Google Cloud を活用したデータレイクの構築を決めました。これまでは多くのシステムに他社のクラウドサービスを利用していたという同社。しかし、ビッグデータの活用を踏まえると、Google Cloud の「 BigQuery 」が最適と判断したとのことです。

同社は「 BigQuery 」 のほか、「 Cloud Storage 」「 Cloud Composer 」などを活用してデータレイクを構築することで、分析用データの準備作業の大幅な効率化を実現しました。具体的には、以前はそれぞれのシステムからデータを抽出・集約する準備作業に1週間〜 1 ヶ月かかっていたところ、新規のデータ収集でも 1 週間、それ以外はゼロにまで短縮できたとのことです。

また、Google Cloud の強みであるフルマネージドサービスも業務負荷の軽減に繋がっているそう。今後は、AI や機械学習機能を活用してパーソナライズされた情報提供や、データレイクを活用した在庫の最適化や需要予測に取り組みたいとのことです。

効率的なサプライチェーンの実行


無駄のないサプライチェーンの実行のためには、的確な在庫の把握やリアルタイムな運輸情報の提供、顧客情報の分析などを行うシステムが必要です。
Google Cloud による、効率的なサプライチェーンを実行する仕組みを構築するサービスを紹介します。

デジタルツインの作成によるシミュレーション

「デジタルツイン」とは、現実の世界から収集した様々なデータを、まるで双子のようにコンピュータ上で再現することです。
Google Cloud でデジタルツインを作成することで、現実に近い物理的なシミュレーションが可能となります。
デジタル上で倉庫内を可視化して指示を出したり、ルート変更や人員配置の試行をすることで、作業効率の向上が期待できます。

ビジネスプロセスの自動化

非構造化ドキュメントを構造化データに変換する「 Procurement DocAI 」。
これを活用することで、請求書や領収書などの紙ベースのプロセスをデジタル化し、情報処理の効率化と正確性の向上を実現できます。

【具体例】Supply Chain Twin

ここでは、Google Cloud が 2021 年に発表した、デジタルツインを作成するソリューション「 Supply Chain Twin 」について詳しく紹介します。

現在、多くの企業がサプライチェーンを完全には把握できておらず、商品の在庫切れや、在庫の老朽化、天候による配達遅延などのトラブルが続いています。アメリカでは 2020  年、小売業界に推定 1.14 兆ドル分もの在庫処分が発生したと言われています。

Supply Chain Twin は、このような物流業界のソリューションです。これは、企業がデジタルツインを構築するための機能で、異なるソースからのデータを連携して、サプライヤーや在庫などの情報を包括的に把握できるようにします。

例えば ERP などの内部システムで商品情報、注文内容、在庫状況、届け先などの情報を統合することで、注文から配達までに必要な情報を一元化できます。また、サプライヤーの在庫状況と運輸会社の輸送状況などを統合すれば、ビジネス全体をより総合的に把握できるようにもなります。

Supply Chain Twin を導入した企業では、サプライヤーと運輸会社の情報統合にかかる時間は従来の API ベースの統合よりも短くなっています。具体的には、分析の処理にかかる時間が 2.5 時間から 8 分へと 95% も短縮されました。

在庫管理や予測精度の改善などに役立つ Google の各種ツールを組み合わせて使うことで、受注から配送までの一連の流れを最適化できるでしょう。

まとめ

ここまで、サプライチェーン・物流業界向けの Google Cloud ソリューションについて解説してきました。この記事を参考に、サプライチェーン・物流業界の DX 化推進に役立つ Google Cloud の利用を検討してください。

クラウドエースは物流業界のお客様とのお取引や実績も多く、物流・サプライチェーン業界のお客様の成功に注力しておりますので、Google Cloud 導入の際にはぜひクラウドエースにお気軽にご相談いただければと思います。
弊社のインサイドセールス部門がお客様のビジネスのご状況や、導入・検討のきっかけなどをヒアリングし、最適なご提案をさせていただくことも可能です。

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まずは資料から、という方はこちらからダウンロードしていただけると幸いです。

参照元

Google Cloud “J.B. Hunt executes speedy yet seamless cloud-to-cloud migration”

Google Cloud “株式会社アダストリア:BigQuery を活用したデータレイクの構築により、データ分析の準備作業を 1 ヶ月から 1 週間に短縮”

Google Cloud “Google Cloud が新しい Supply Chain Twin ソリューションによってサプライ チェーンにもたらすエンドツーエンドの可視性

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