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クラウドとは 概要や仕組みを5分で入門
こんにちは、クラウドエース編集部です。
近年、日常生活でもビジネスシーンにおいても、「クラウドを使う」というフレーズを耳にすることが増えています。普段何気なく使っているクラウドという言葉ですが、具体的にどのようなものを指すのでしょうか。
今回は、「クラウドとは何か」ということについて、シンプルに、わかりやすく解説していきます。
クラウドとは?
クラウドとは、簡単に言うと、インターネットを経由して、アプリケーションやデータベース、ストレージなどさまざまな IT リソースを提供するサービスのことです。
クラウドは直訳すると「雲(cloud)」です。なぜこの名称が付けられたかについては諸説ありますが、一説では「ソフトウェアやデータの物理的な保存場所を意識することなく、まるで雲に隠れた見えない場所からサービスを利用できる」というイメージからきていると言われています。
また、クラウドには、SaaS・PaaS・IaaS という3つの種類があります。これらは、サービスの提供範囲がそれぞれ異なります。詳しく見てみましょう。
SaaS
1つ目は、SaaS (サース= Software as a Service)です。これは、クラウド上でソフトウェアを提供するサービスのことです。
ここで言うソフトウェアとは、スマートフォンで遊ぶゲームや SNS、音楽配信サービス、G mailなどのアプリケーションが挙げられます。また、Dropbox など、契約後にすぐクラウド上のデータ置き場を貸し出してくれるようなサービスも、 SaaS に分類されます。
個人が日常生活で「クラウドを使う」という場合、多くは SaaS のことを指していると考えて良いでしょう。また、法人で利用される電子契約サービスやオンライン会計ソフトといった業務支援ソフトウェアも、インターネット上で提供されるものであれば SaaS に当てはまります。
このように、インターネット上で提供されるソフトウェアの必要な機能だけを選んで利用できるサービスが、SaaS です。
PaaS
2つ目は、PaaS(パース= Platform as a Service)です。これは、アプリケーションを構築して稼働させるプラットフォームをクラウド上で提供するサービスです。
SaaS が個人での利用の際に広く利用されるクラウドサービスであるのに対して、PaaS は企業におけるシステム開発などにおいて使用されることが多いです。
PaaS で提供されるサービスとしては、アプリケーションを稼動させるのに必要なネットワークやサーバシステム、OS やミドルウェアなどが挙げられます。PaaS を導入すると、これらを自社で管理する必要がなくなるため、アプリケーションのデプロイやその管理に集中できるようになるというメリットがあります。
このように、クラウド上で提供されているアプリケーションの開発基盤を利用できるのが、PaaS です。
IaaS
3つ目は、IaaS(イァース= Infrastructure as a Service)です。これは、サーバーやハードウェアなどのインフラ機能をクラウド上で提供するサービスです。
IaaS で提供されるインフラ機能には、サーバーのほか、ネットワーク、CPU、メモリ、ストレージなどが挙げられます。従来のオンプレミス環境では、新たなシステムを導入する際、これらを自社で購入する必要がありました。しかし、IaaS を導入すれば必要な時に必要な機能だけ利用することができます。
また、IaaS ではインフラのメンテナンスや障害対応といった運用もクラウド事業者に任せることができます。そのほか、ハードウェアを稼働させるための電気料金や、インフラを運用するための人件費などのコスト削減に繋げられるというメリットもあります。
このように、クラウド上で提供されているインフラ機能を利用できるサービスが、IaaS です。
なぜクラウドが普及しているのか?
ここまで、クラウドとはどういうものなのか具体的な内容について紹介してきました。続いては、なぜ現在、これほどまでにクラウドが普及しているのか見てみましょう。
クラウド利用が広がっている理由としては、以下のようなメリットが支持されているからであると言えます。
- 初期投資を抑えられる
- システム構築が簡単に行える
- メンテナンスや障害対応が不要
- 従量課金でコストを抑えやすい
1つ目のメリットは、初期投資を抑えて利用開始できることです。サーバーやソフトウェアなどがネットワーク経由で提供されるクラウドでは、機器の購入などの初期費用が必要ありません。クラウドがなかった頃は、新たなシステムを導入する場合、高額なハードウェアやサーバー、ソフトウェアの購入が必要でした。
2つ目に、システム構築の時間を短縮できることが挙げられます。従来のオンプレミス環境では、システムを自社で構築する場合、多くの工程・時間がかかっていました。しかし、クラウドでは既存のサービスを契約するだけで済むため、すぐに利用開始することが可能です。
3つ目のメリットは、サービス導入後の運用も楽に行えることです。例えば企業で IaaS のインフラを利用する場合、運用から管理・保守、障害対応までをクラウド事業者に任せられます。これにより、社員は基幹業務に集中でき、業務時間や人件費の削減にも繋げられます。
最後に、コスト面についてです。多くのクラウドサービスは、使用した分だけ料金が請求される従量課金制が取られています。時期や事業内容に合わせて、柔軟に利用するリソースを追加したり減少させたりすることができるため、コストを最適化できます。
このような利点が評価されていることが、現在、クラウドサービスが急激に普及している理由と考えられます。
クラウドのデメリットや注意点
上で紹介した通り、さまざまなメリットがあるクラウドサービスですが、いくつかのデメリットもあります。特に、導入の際には以下の点に注意しておくべきでしょう。
- カスタマイズ性に限界がある
- 安定性やセキュリティに関してクラウド固有のリスクが存在する
既存のサービスをそのまま利用できるクラウドですが、反対に言えば、オンプレミス環境のように、全てをコントロールしてカスタマイズするというのは限界があります。また、既存システムとの連携にも制限があるため、利用するサービスの仕様によっては、社内のシステムと連携できなかったり、システム間の連携にインターネットを利用することによる遅延が発生したりという点は気をつける必要があるでしょう。
また、サーバーの安定性やセキュリティ性が、利用するクラウドサービスに依存する点にも注意が必要です。セキュリティについては、どのクラウドサービスにおいても重要項目として認識されており、その安全性は年々高まっています。
しかし、やはりそれに任せきりにするのではなく、運用方法やセキュリティ管理に対するガイドラインを社内で策定し、機密事項や個人情報など重要な情報に関しては、クラウド以外の方法で管理するなどの工夫が必要です。
クラウドという言葉の意味は個人と法人で異なる
ここまで、クラウドサービスの具体的な内容について紹介してきました。「クラウド」と一口に言っても、提供される内容が大きく異なることがわかりますね。
ここからは、個人が「クラウドを使う」という場合と、法人が「クラウドを使う」という場合の意味の違いについて見てみましょう。意外とここで混乱を招いている人もいるのではないでしょうか。
個人の場合
個人が「クラウドを利用する」「クラウドで共有」という言葉を使うときは、多くの場合 iCloud や Google Photo などの「クラウドストレージサービスを利用する」ということを意味します。
また、「クラウド」という言葉が使用されることは少ないですが、スマートフォンのアプリケーションは全てクラウド上で提供されています。先述の通り、ゲームや SNS、サブスクリプション型の音楽配信サービス、G-mail、Google マップなども、クラウドサービスに含まれます。3つの分類で言うと、「SaaS」を指すことがほとんどです。
なお、不特定多数の人からお金を募る「クラウドファウンディング」や、不特定多数の人に業務を発注する「クラウドソーシング」といった言葉も登場していますが、ここで使われている「クラウド」とは「群衆(crowd)」という意味で、クラウドサービスの「クラウド(cloud)」とは異なります。
法人の場合
個人で「クラウドを使う」と言う場合は SaaS の利用を指すことが多いのに対して、各企業において「クラウドを使う」という場合は、SaaS 以外に PaaS や IaaS の利用を指すこともあります。
例えば「インターネット上で提供される業務支援ソフトウェアを利用する」場合は、SaaS の利用ですが、「ソフトウェア開発・運用のためのプラットフォームを利用する」場合は PaaS の利用、「インターネット上のインフラ環境を利用する」場合は IaaS の利用となります。
近年、「DX のためにクラウド導入する」という企業が増えています。この言葉だけでは、業務効率を高めるために SaaS を導入するのか、それとも PaaS でアプリ開発を行うのか、IaaS でシステム環境を構築するのかわかりません。しかし、クラウドの3種類のサービスを理解していれば、文脈に応じてどのサービスを導入して、どのようなことを実現しようとしているのかを理解できるようになるでしょう。
まとめ
ここまで、クラウドという言葉の意味や概念について紹介してきました。クラウドには大きく3つの種類があり、それぞれで提供されるサービスは異なります。そのため、「クラウド」という言葉は、使う人の立場や用途によってその内容が変わります。
クラウド利用の際は、3つの種類とその内容をしっかりと理解して、必要なサービスを検討しましょう。
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客観的なデータに基づいて、今世の中でクラウドが必要とされている理由や、クラウドの導入をどのように進めて行けば良いかなど、わかりやすく解説しておりますのでぜひご活用ください。
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