Wiz Cloudとは?クラウドセキュリティを最適化する機能と導入メリット

Wiz Cloudとは?クラウドセキュリティを最適化する機能と導入メリット

こんにちは。クラウドエースの井上です。

クラウド環境の利用拡大に伴い、設定ミス、脆弱性、過剰権限、データ露出といったリスクを横断的に把握することの重要性が高まっています。さらに近年は、生成AIやAIサービスの導入が加速する中で、AI関連資産の可視化や学習データの保護など、従来のクラウドセキュリティだけでは対応しにくい領域も広がっています。

こうした複合的な課題に対応するプラットフォームの一つが「Wiz Cloud」です。

Wiz CloudはエージェントレスのAPIベースでクラウド環境を可視化するCNAPP(Cloud Native Application Protection Platform)で、2020年に創業したクラウドセキュリティ企業「Wiz」が開発しました。なお、2026年3月にはGoogleによる買収完了が発表され、注目されています。

今後Google Cloudとの連携強化の方針が示されている一方で、引き続きマルチクラウド環境を支援する方針も示されています。本記事では、Wiz Cloudの基本機能、AIセキュリティ機能、運用面での特徴を整理し、導入時に期待できるポイントを解説します。

Wiz Cloudとは?

Wiz Cloudとは、クラウド環境全体のリスクを一元的に把握しやすくするためのCNAPPです。主な特徴として、エージェントレスでの情報収集、クラウド資産間の関係性を可視化する仕組み、複数のリスク要因を関連付けて優先度を判断する機能などが挙げられます。

ここでは、Wiz Cloudの主要な特徴を4つのポイントで解説します。

1. エージェントレスでクラウド環境を可視化

Wiz Cloudは、監視対象のサーバーやコンテナにエージェントをインストールする方式ではなく、クラウドプロバイダーのAPIを通じて情報を収集するエージェントレス型のアーキテクチャを採用しています。これにより、既存環境への影響を最小限に抑え、短時間でクラウド全体の可視化を実現します。

AWS、Azure、Google Cloud、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)といった主要クラウドに対応しており、VM、コンテナ、サーバーレス、PaaS、データストアなど幅広いリソースを網羅します。なお、基本はエージェントレスですが、リアルタイムな脅威検知と保護を強化するために、必要に応じて「Wiz Runtime Sensor」を配置し、ランタイム環境の防御を固めることも可能です。

参考:It’s Official: Wiz Joins Google | Wiz Blog

2. コンプライアンス対応の自動監査

企業のガバナンス維持に欠かせない、各種フレームワークへの準拠状況を自動で監査できる点も大きな特徴です。SOC2、GDPR、PCI DSS、HIPAAなど、業界標準のコンプライアンス基準に基づいたスキャンを継続的に実行します。

手動での棚卸しや監査対応の工数を大幅に削減できるため、常に「現在の準拠状況」をダッシュボードで確認できる運用が実現します。

3. リスクを関連付けて「真の優先順位」を判断

Wiz Cloudは「Security Graph」という仕組みにより、資産・設定・脆弱性・権限・ネットワーク露出などの情報をグラフデータベースで関連付けて管理します。たとえば「インターネットに公開されたリソース」「当該リソースに付与された高権限」「未修正の脆弱性」がそれぞれ個別のアラートとして検出されるだけでなく、それらの関係性を踏まえて「一つのイシュー」として関連付けて表示されるため、優先的に確認すべきリスクを即座に把握できます。

このアプローチにより、運用担当者は膨大な「アラートノイズ」から解放されます。リスクの低いアラートに埋もれることなく、組織が本当に対処すべき「真のリスク」のみを抽出できるため、効率的なセキュリティ運用が可能になります。

4. 攻撃経路(Attack Path)の可視化

Wiz Cloudの「Attack Path Analysis」は、攻撃者がどのような経路で環境内を移動し、重要資産(機密データなど)に到達しうるかを視覚的に分析する機能です。

この機能は、個別の問題を単発の検出結果として見るのではなく、「攻撃者がたどりうる一連の経路」として捉えられるため、重大資産に影響するリスクを理解しやすくなります。どの経路を塞ぐのが最も効果的かを直感的に把握できるため、迅速かつ的確な修復対応を支援します。

Wiz CloudのAIセキュリティ機能

生成AIやAIサービスの利用が広がる中で、AI関連の資産やデータ、設定不備を把握する必要性も高まっています。Wiz Cloudは、クラウドセキュリティの枠組みの中でAI関連リスクを扱う機能群も提供しています。

AI資産や利用状況を把握

Wiz CloudはAI-SPM(AI Security Posture Management)機能を通じて、組織内で利用されているAI関連サービスや構成要素の可視化を支援します。AIモデル、AIサービス、SDK、AIパイプラインを把握する仕組みとして「AI-BOM(AI Bill of Materials)」が案内されています。

これにより、管理部門が把握していないAI利用、いわゆるシャドーAIの発見や、AI関連資産の棚卸しに役立つ可能性があります。

AIに関連する攻撃経路や設定不備を確認

Wiz Cloudは、通常のクラウド資産に対するAttack Path Analysisの考え方を、AI関連の資産にも拡張しています。たとえば、学習データ、AIサービスやAIモデルへの攻撃経路の分析や、設定不備との組み合わせを分析対象に含めることができます。

また、OpenAI、Amazon Bedrock、Azure OpenAIなど一部の主要AIサービスについては、設定ミスやリスクを検出するためのビルトインルールが提供されています。

学習データなどの機密情報を検出

Wiz CloudはDSPM(Data Security Posture Management)機能やDSPM for AIを通じて、AI関連データに含まれる機密情報の発見を支援します。個人情報、決済関連情報、医療情報など、保護対象となるデータを識別し、どの資産に保存され、どのような経路で露出しうるかを確認しやすくします。

AI活用が進む環境では、学習データや推論データの取り扱いが法令対応やガバナンスの観点でも重要になるため、こうした可視化機能は実務上の意味があります。

Wiz Cloudでセキュリティ運用を効率化するポイント

Wiz Cloudは検出機能だけでなく、組織内の役割分担や既存ツールとの連携を通じて、運用に組み込みやすい構成を備えています。

チーム単位で管理しやすい

大規模なクラウド環境では、開発、インフラ、セキュリティなど複数チームが同じ基盤を扱います。Wiz Cloudの「Projects」機能は、こうした環境を論理的に分割し、チームや責任範囲ごとに対象を見やすくするために利用されます。

加えて、RBAC(ロールベースアクセス制御)やカスタムロール、SSO連携により、利用者ごとに必要な権限だけを付与しやすく、運用統制にもつなげやすい設計です。

修復対応を支援する機能がある

Wiz Cloudは、リスクの検出だけでなく、対応の優先順位付けや修復支援にも力を入れています。Google Cloud Next’26の基調講演では「Wiz Agents」やAI支援機能により、検出内容の調査、優先付け、対応支援を行う方向性が示されています。

また、WizOSのように、脆弱性リスクを抑えたセキュアなコンテナイメージを提供する仕組みもあり、開発の早い段階から安全性を意識した運用を取り入れやすくしています。

JiraやSlackなど既存ツールと連携できる

Wiz Cloudは、Jira、Slack、ServiceNow、PagerDuty、Torqなど、多数の外部ツールとの連携を提供しています。公開情報では、200を超える連携に対応していると案内されています。

たとえば、Jira連携では検出内容をチケット化して対応管理に載せやすくなり、Slack連携では通知や情報共有を迅速に行いやすくなります。これにより、セキュリティチームだけでなく、開発・運用チームを含めた横断的な対応フローを構築しやすくなります。

Wiz Cloud導入で期待できるメリット

Wiz Cloudの特徴を踏まえると、導入時の評価ポイントは、単にリスクを検出できるかどうかにとどまりません。エージェントレスで導入しやすい構成、複数のリスクを関連付けて把握しやすい点、マルチクラウド環境への対応、AI関連リスクの可視化機能、既存ツールとの連携性などが主な検討ポイントとして挙げられます。ここでは、公開情報から確認できる特徴をもとに整理します。

1.導入負荷を抑えやすい構成

Wiz Cloudはエージェントレス型のアーキテクチャを採用しているため、各サーバーやコンテナ、ワークロードごとにエージェントを配布・更新・保守する運用が不要です。これにより、新しい製品を導入する際に発生しがちな初期設定の手間や、運用開始後のメンテナンス負荷を比較的抑えやすくなります。

特に、クラウド環境がすでに大規模化している組織では、各チームが利用する環境に追加ソフトウェアを導入すること自体が調整コストになりやすい傾向があります。その点、APIベースで接続するWiz Cloudは、既存環境への影響を抑えながら可視化を始めやすく、導入検討から実運用への移行を進めやすい点がメリットです。

2.リスクの優先順位を判断しやすい

クラウド環境では、設定不備、脆弱性、過剰権限、公開設定、機密データの露出など、多数のアラートが日常的に発生します。課題は、検出件数そのものよりも、その中から「どれを先に対応すべきか」を判断することです。

Wiz Cloudは、Security GraphやAttack Path Analysisを通じて、個別の問題を孤立したアラートとして扱うのではなく、資産同士の関係性や攻撃到達性を踏まえて評価しやすくしています。これにより、数としては少なくても影響の大きいリスクや、複数条件が重なることで重大化するリスクを優先的に確認しやすくなります。結果として、セキュリティチームが限られた時間や人員を、より重要な対応に振り向けやすくなる点は大きな利点です。

3.マルチクラウド環境を横断的に把握しやすい

多くの企業では、単一クラウドではなく、AWS、Azure、Google Cloud、OCIなど複数のクラウドサービスを用途ごとに使い分けています。その場合、クラウドごとに別々の管理画面やツールでセキュリティ状況を確認していると、情報が分散し、全体像を把握しにくくなります。

Wiz Cloudは、こうしたマルチクラウド環境を一元的に可視化しやすい点がメリットです。環境ごとの差異はあるものの、共通した観点でリスクを見られるようになることで、運用の標準化や、組織全体でのセキュリティポリシーの適用状況の確認がしやすくなります。クラウドごとに担当部門や利用目的が異なる組織にとっては、横断的な統制をとるための土台として有効です。

4.AI関連リスクを可視化しやすい

近年は、生成AIやAI開発基盤の導入が急速に進む一方で、組織として十分に把握できていないAI関連サービスやSDKの利用、学習データへの機密情報混入、AIサービスの設定不備など、従来のクラウドセキュリティだけでは把握しにくいリスクも増えています。

Wiz Cloudは、AI-SPMやDSPM for AIといった機能を通じて、AI関連資産の可視化や、AIに関わるデータ保護を支援する構成をとっています。これにより、AI導入を進める組織でも、クラウド基盤のセキュリティとAI利用の管理を分断せずに見やすくなります。特に、AI活用が先行してガバナンスが追いついていない企業にとっては、現状把握の起点を作りやすい点が実務上のメリットといえます。

5.既存の運用フローと連携しやすい

セキュリティ製品は、単独で優れていても、現場の業務フローと分断されていると活用が進みにくくなります。検出結果を見ても、別途チケット起票し、担当者に連絡し、進捗を追いかける流れが煩雑であれば、対応は後回しになりがちです。

Wiz Cloudは、Jira、Slack、ServiceNowなどの既存ツールと連携することで、検出から通知、修復依頼、進捗管理までを既存の業務プロセスに載せやすくしています。これにより、セキュリティチームだけでなく、開発チームや運用チームも、普段使っているツール上で必要な情報を受け取りやすくなります。結果として、セキュリティ対応を一部門だけの仕事にせず、組織横断で継続的に回しやすくなる点が導入メリットの一つです。

6.セキュリティと開発のバランスを取りやすい

クラウド利用が進んだ組織では、セキュリティ対策が開発スピードを落とす要因として受け止められることがあります。一方で、開発優先で進めた結果、後からリスクが顕在化して大きな手戻りが発生するケースも少なくありません。

Wiz Cloudのように、リスクを可視化し、優先順位を整理し、既存ワークフローに乗せて修復までつなげやすい仕組みがあると、セキュリティ確認をより実務的な形で開発プロセスに組み込みやすくなります。すべての問題を一律に止めるのではなく、影響度の高いものから順に対処していく判断がしやすくなるため、開発スピードと統制のバランスを取りやすくなる点も、導入時に期待できる効果です。

まとめ

Wiz Cloudは、エージェントレスでクラウド環境を把握し、Security GraphやAttack Path Analysisを通じてリスクを関連付けて評価できるCNAPPです。さらに、AI-SPMやDSPM for AIといった機能により、AI利用が広がる環境にも対応範囲を広げています。

2026年3月にはGoogleによる買収完了が発表されましたが、買収後もマルチクラウド対応を維持する方針が示されています。今後はGoogle Cloudとの連携強化が進む可能性がある一方で、具体的な統合の範囲や時期については、今後の公式発表を確認していく必要があります。

クラウドとAIの利用が拡大する中で、Wiz Cloudはクラウド資産、権限、脆弱性、データ、AI関連資産を横断的に可視化したい組織にとって、検討対象になりうるプラットフォームの一つです。

また、クラウドエースでは「Wiz Cloud」の導入や活用をPoV、導入、運用までワンストップで支援しています。ご興味のある方はクラウドセキュリティ導入・運用支援(Wiz ウィズ)のページをご覧ください。

詳細情報:Wiz公式サイト (wiz.io)

※この記事は2026年4月時点の情報に基づいています。

「アラートノイズ」からの脱却。Wizで実現するセキュリティの民主化。

〈クラウドセキュリティ〉Wiz Cloud ご紹介資料

強力な可視化機能を持つWizですが、真の価値は「運用の定着」にあります。本資料では、大量のアラート対応から現場を解放し、開発チームが自走できる環境(セキュリティの民主化)をどう実現するのか、直感的なUI画面やクラウドエースの手厚い伴走支援メニューとともに詳しく解説します。

〈クラウドセキュリティ〉Wiz Cloud ご紹介資料のキャッチ画像

井上 聖奈

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クラウドセキュリティコンサルタント。Google Cloudのアプリ・インフラ開発の全工程を経験。現在はAI駆動のセキュア開発によりスピードと統制を両立する体制構築を牽引。リスク可視化やルール策定を通じた改善に加え、社内勉強会主催による組織のリテラシー向上にも貢献している。