
- 医療・介護・福祉
イマジン・グローバル・ケア株式会社
分析業務の負荷を大幅削減。イマジン・グローバル・ケアが挑んだ、データドリブンな広告運用を実現する分析基盤構築の裏側
東京大学との共同研究に基づく画期的な健康食品の開発・製造から販売までを一貫して手掛け、ヘルスケア事業や調剤薬局事業を国内外に展開するイマジン・グローバル・ケア株式会社(以下、「同社」)。同社はECサイトのリプレースに際し、以前から課題であった社内に散在する各種データの統合と、それに基づく正確なLTV(顧客生涯価値)の分析を可能にするため、Google CloudのBigQueryを活用したデータ分析基盤の構築を決定しました。 膨大なデータを高速かつ正確に処理し、ユニットエコノミクスに基づいた事業運営の土台を築くという挑戦に対し、クラウドエース(以下、「弊社」)がどのようにサポートを行ったのかご紹介します。

ユニットエコノミクス実現の障壁となっていた、データの散在と分析の限界
同社で研究開発とデータマーケティングを兼任する江木 雄一氏は、大学での統計解析の知識や前職での経験を活かし、データドリブンな事業運営を推進しています。しかし、同氏が着任した当初、ECサイトや広告のデータがさまざまな場所に散在しており、分析が困難な状況だったと振り返ります。
「データがいろんなところにバラバラに散らばっていて、分析しづらかったんですよね。分析しないと自分たちが何をすべきかという課題も見えてきません。当社のビジネスモデルはCPA、つまり顧客獲得コストとLTVというユニットエコノミクスに基づき、LTVがCPAを上回るモデルを追求しています。そのためには正確なLTVの分析が不可欠でした」(江木氏)
しかし、正確なLTVを算出するには、顧客の購買履歴やクロスセルの状況など、詳細なデータを処理する必要があります。江木氏は、従来の表計算ソフトによる処理では大規模データの扱いに限界があったと指摘します。
「(従来の)表計算ソフトだと、例えば数万行のデータを分割したり、ピボットテーブルで集計したりするような重たい処理をすると、もう数十万行でエラーになってしまうんです。そうなると、出てきた値では精度が失われてしまいますし…。やはり、正確なことをやらないと意味がないんです」(江木氏)
ECサイトリプレースを機にBigQuery導入を決断。過去の経験と拡張性が決め手に
こうした課題を抱えるなか、同社はECサイトのリプレースプロジェクトを始動させます。当時、利用していた国内ベンダー提供のECプラットフォームがBigQueryに対応していなかったこともあり、このリプレースを機に本格的なデータ分析基盤の構築へと舵を切りました。
プラットフォームとしてGoogle CloudおよびBigQueryを選定した理由について、江木氏は過去の経験が大きかったと語ります。
「BigQueryの高い精度と短時間での処理能力は経験上知っていて、ものすごく強みだと感じていたんです。データ分析にはBigQueryが一番いいと確信していましたし、以前の移行でうまくいった経験もあります。それに、Looker Studioのようなダッシュボードを作るのがすごく簡単にできる拡張性も魅力でしたね」(江木氏)
パートナーとして弊社を選定いただいた理由については、Google Cloudのプレミアパートナーであるという信頼性にくわえ、弊社の公開する顧客事例集も決め手の一つになったと江木氏は明かします。
「やはり安かろう悪かろうでやられたら困るので、安心して任せられるという信頼性が大きかったですね。あと、クラウドエースさんの事例集も結構見まして、大規模な企業だけでなく、うちみたいな規模でも応用できる具体的な活用方法が参考になりました。『あ、これに近いことをすればいいんだな』というのが直感でわかったのも決め手です」(江木氏)
分析時間を大幅に短縮。LTVの正確な可視化が広告予算の判断基準を明確に
プロジェクトは、要件定義・設計・開発を弊社が請け負う形でECサイトのリプレースと同時にデータ分析が滞ることのないよう、タイトなスケジュールで進められました。この点について、クラウドエース 技術本部 西宮 光夫は次のように振り返ります。

「プロジェクト期間が短かったため、とにかく認識の齟齬がないよう、週次の定例会議とSlackで密にコミュニケーションを取るように意識しました。途中でデータ連携の開始時期に関する予期せぬ課題が発生し、当初の計画から1ヶ月程度の遅れも想定されましたが、江木様とも密にやり取りをさせていただいたおかげで、その遅延想定よりも2週間早く対応を完了できましたね」(西宮)
こうした弊社の体制に対し、江木氏からも高い評価をいただきました。
「相談して一番良かったのは、提案の段階から、エンジニアの方と直接ディスカッションできたことです。僕はエンジニアではないので、『こういう問題があって、こうしたい』というのを伝えると、『こうしたらいいんじゃないですか』とすぐに具体的な回答が得られ、その場で疑問を解消できたので、非常に信頼でき、安心してプロジェクトを進められました」(江木氏)
さらに、プロジェクト進行中に問題が発生しそうな箇所を事前に予測し、先回りして対策を提示する、きめ細やかなサポート体制も高く評価しています。
今回のプロジェクトの第一目的であったLTVの正確な算出は達成され、大きな成果に繋がっていると江木氏は語ります。
「LTVが正確に出せるようになって、予算を算出する際の判断基準が見えるようになったことは、大きな成果だと思います。これまで見えなかった情報が見えるようになり、課題を見つけやすくなっていますね」(江木氏)
さらに、この基盤構築により、分析業務の負荷は劇的に軽減されました。
「LTV分析などにかかる時間が、大げさではなく本当に劇的に短縮されました。以前は(表計算ソフトで)データを分割するところから始めていましたが、そうした煩雑な処理が不要になり、クエリを保存しておけば数十秒で終わるので、ものすごく助かっています」(江木氏)
全社的なデータ活用文化の醸成へ。生成AI活用と「教育」サポートにも期待
データ分析基盤という土台が整った今、江木氏は今後のさらなるデータ活用に意欲を見せています。今後の展望について、江木氏はまず、LTVとCPAのバランスに基づく広告の最適化を繰り返していくために、この基盤の必要性について述べます。
「最近はGeminiなどの生成AIのおかげでSQLも誰でも書けるようになってきているので、正直、僕だけじゃなくて、マーケティング担当者以外も、CRMチームや経営層まで、みんながデータ分析をしてデータに基づいて行動できる、そういう仕組みを作りたいと思っています」(江木氏)
一方で江木氏は、AIが生成したデータの正確性や、ロジックを知らない担当者には検証が難しいという新たな課題と弊社への期待を語ります。
「生成AIは便利ですが、ロジックを知らない人が使うと、出てきたデータが正しいか検証しようがないですよね。ですから、AIの利便性と共に、データの正確性を担保するための教育やロジックの共有といった面でも、クラウドエースさんに貢献してほしいですね」(江木氏)
これらの期待を受け、クラウドエース 事業推進本部 池永 貴裕は、今後も最新の技術情報を提供し、サポートしていくと語ります。

「Google Cloudの技術は日々進化しています。『Gemini Enterprise』のような最新ソリューションを、貴社のビジネスにどう実装すれば最大の成果が出るのか、その具体的な活用策をご提案し続けてまいります。引き続き、良きパートナーとして伴走させていただきます」(池永)
最後に江木氏は、Google Cloudの活用について、規模の大小を問わず有効であると締めくくりました。
「BigQueryは、大企業だけじゃなくて、うちのようなベンチャー企業でも十分に効果を発揮すると思うんですよね。めちゃくちゃ簡単にデータ分析できるので、リソースが限られていても、課題が見つかって打ち手が考えられる。ここはものすごく良い点なので、難しく考えずに導入してみたらいいんじゃないかと思います」(江木氏)
利用したサービス
データ分析基盤構築支援 / BigQuery ML(機械学習)活用支援
本事例のように、散在するECサイトや広告のデータをBigQueryに統合し、LTV分析を可能にするソリューションです。
社内外の散在データをGoogle Cloudで一元管理。ビッグデータ活用をはじめ、データウェアハウスBigQueryを用いてデータ統合・分析基盤の設計と構築を実施いたします。経験豊富なエンジニアが大規模データの収集から処理・分析までの最適な仕組みをご提案。データ活用全体を支援し、ビジネスの変化に即応できる柔軟でスケーラブルな環境を実現します。
この記事を共有する




