
三菱自動車工業株式会社
三菱自動車工業のデジタルサービス展開を支える、基盤構築からその後の運用支援に迫る
モビリティの可能性を追求することで、社会に新しい価値を提供し続けている三菱自動車工業株式会社。自動車メーカーとしての伝統や実績は守りつつも、近年はデジタルサービスを積極的に展開することで新たな価値創造に寄与しています。
その取り組みの中で、デジタルサービスの基盤となる顧客管理システムの構築が必要だと考えた同社は、社内でも導入が進んでいたGoogle Cloudを採用しました。膨大な顧客情報を自社で安全に管理しつつ、あらゆるデジタルサービスに活用できるよう設計するという大きな挑戦に対して、クラウドエース(以下、「弊社」)がどのようなサポートをおこなったのかご紹介します。
クラウドエース株式会社 事業推進本部 / 吉田 彩音
クラウドエース株式会社 事業推進本部 DevSecOps事業部 / 間瀬 真
三菱自動車工業株式会社 グローバルIT本部 デジタルイノベーション推進部 主任 / 伴 俊広氏
三菱自動車工業株式会社 グローバルIT本部 デジタルイノベーション推進部 / 武藤 晟氏
三菱自動車工業株式会社 グローバルIT本部 デジタルイノベーション推進部 担当マネージャー / 安藤 裕子氏
デジタル新規事業の立ち上げに際して基盤構築から継続運用までの道のり
従来の自動車メーカーの枠組みを超えて、モビリティの可能性を追求していくことをミッションとしている三菱自動車工業。その中でもGoogle Cloudを活用した開発に深く関わったグローバルIT本部 デジタルイノベーション推進部は、デジタル起点の新規事業の立ち上げを担っている、今後のデジタルサービス展開の中核となるチームです。
そして今回、新サービスを展開していくにあたって、効果検証のために実際に顧客に触ってもらうアプリケーションの開発が複数計画・開始されましたが、一方で、それらアプリケーションのユーザー情報を一元的に管理するのに適したシステム基盤がなく、その新規開発が必要になりました。
依頼のきっかけについて、三菱自動車工業 グローバルIT本部 デジタルイノベーション推進部 主任の伴 俊広氏は次のように語りました。
「デジタル起点の新規事業に充てるアプリケーションをクイックに開発するとなると、利用したいデジタル技術に強みのあるクラウド製品や、協業先のサービスを活用し、マルチクラウドで構築していくことになります。当然、その中で基盤となるシステムはクラウドネイティブで作る必要があります。そして同時に、社内においても従来業務を支える社内システムも徐々にオンプレミスからGoogle Cloudを活用してクラウドへ移行しようという動きもあり、内向きと外向きの両面の流れから、Google Cloudを活用したクラウドネイティブのシステム構築をお任せできる企業様を探していました」(伴氏)
自動車メーカーである三菱自動車工業は、これまでBtoBや内部的なシステム開発が多く、BtoCに向けたシステムをあまり扱ってこなかったと言います。そのため、今回のようなデジタルサービスの利用者を管理するシステムの開発はゼロから立ち上げる必要がありました。
個人情報を扱うため、管理方法と品質保証は特に重要です。社内規定も厳しい中で理想を実現できる企業を探しており、弊社にご相談をいただきました。
顧客向けのデジタルサービス展開にあたり、最初の課題は顧客アカウント情報の安全な取り扱いと、それを支える仕組みの構築でした。加えて、構築したデジタルサービスを継続して利用していただける状態をいかに維持するかが、次なる課題として認識されました。
また、デジタルサービスの構築・展開の計画が具体化する過程で、アカウント管理基盤の構築および高いセキュリティ水準の確保や特定のシステムを構成するソリューションに関する知見不足が当時の主要な課題として挙げられました。
実現イメージが湧くような提案が決め手でクラウドエースを採択
今回の顧客情報管理システムの構築は、前例が少ないということに加えて、短期間での開発が求められていました。システムの堅牢性と開発のスピード感を両立させる必要がある中で、各社からの提案と見比べながらも、「限られた期間の中で何ができるか」という視点で具体的に提案を進めた点や、運用・保守の部分においても、システム構築を行った弊社だからこそ理解している部分もあるという点で、安心してシステムを守っていただけるのではないかと評価をいただき、今回弊社が選定されました。
当時のことをクラウドエース 事業推進本部 DevSecOps事業部 間瀬 真、そして三菱自動車工業の伴氏はこのように振り返ります。
「最初の提案段階だと1〜2カ月で開発を進めなければいけないうえにコストも限られていたので、希望に添えるようにはしつつ、現実的な開発計画を伝えるようにしていました。how の部分を明確にして見積もりを提案するように意識していたので、それが功を奏したのかなと思います」(間瀬)
「様々な企業様の提案を見た中で、やはり具体性は重要だなと感じていました。かなりスピード感を持って立ち上げる必要があったので、RFPを出して1カ月で回答をいただきたいくらいの勢いだったのですが、そんな中でも『こうやります』というストレートな答えをくれたので、御社なら構築から運用・保守まで安心して任せられるなと思いました」(伴氏)
仕様変更や追加要件にも迅速に対応することで、スピーディーかつ堅牢なシステム構築を実現
前提条件が変わるような変更も多々あり、その都度相談を重ねなければいけない場面も多くありました。その中でもお互いに素直に意見を言い合うことで、良い落とし所を見つけられたと間瀬は語ります。
「追加の要望によっては、元々提案していたものから大きく変わってしまうこともあるので、できることとできないことを正直ベースでお話しをしました。そのうえで、お互いにゴールに向かって本当に実現したいことをできるようにするというコミュニケーションが取れたので、たしかに大変な部分はありましたが、非常に良い雰囲気で進められたと思っています」(間瀬)
特にバックアップを含む顧客の個人情報の保管場所や保管方法といった要件に対しては、三菱自動車工業のセキュリティに係る厳しい社内規定もクリアできるよう密に連携し、安全性を確保した堅牢なシステムを構築しました。
また開発期間に関しても、最終的なシステム開発自体は約6カ月ほどで完了し、検証も含めて余裕を持ったスケジュールで完遂。この対応に関して、三菱自動車工業 グローバルIT本部 デジタルイノベーション推進部の安藤 裕子氏と武藤 晟氏はこのように振り返りました。
「様々な変更に対して、タイムリーかつ的確に返してくれた点は本当に助かりました。わかりやすい選択肢を提示してくれて、こちら側はサービスとして何をしたいか考えるだけで良い状態を作ってくれたのが良かったなと思います」(安藤氏)
「ベンダー様によっては、プロジェクトマネージャーの方は質問に対しての回答に時間がかかる場合もあるんですが、クラウドエースさんはとりあえず質問しておけば翌日までには回答が返ってくるという安心感があったので進めやすかったです」(武藤氏)
短期間で完遂しなければいけないプロジェクトだったからこそ、エンジニアとしても実績があるメンバーをプロジェクトマネージャーに配置するなど、最適な人員配置を行なった本事業。開発チームの技術力と、対応の可否を素直に伝えられるような関係性の構築により、三菱自動車工業のデジタルサービスを展開するうえでの土台づくりに大きく貢献しました。
BRE(Business Reliability Engineering)による安定運用と継続的な改善
エンドユーザーが利用するサービスのシステムである以上、高いセキュリティを維持した運用が求められる中、弊社のGoogle Cloudシステム監視 + 運用支援をご活用いただき、安定運用を実現しています。
Google Cloud上に構築されたシステムの24時間365日の安定稼働を監視・サポートし、セキュリティインシデント対策、クラウド利用料のコスト削減、エンドユーザーにとっての使いやすさ(UI/UX)の改善に取り組んでいます。
今回のシステムの運用保守における難しさや取り組みについて、間瀬はこのように語りました。
「我々は直接エンドユーザーからの声を聞ける立場にはないため、より使いやすくするためには三菱自動車工業様との密なコミュニケーションが重要です。また、クラウドサービスの課金要素になる確保すべきリソースの最適量は使われ始めないと分からない所があるため、運用保守フェーズでしっかりフィードバックさせていただいています」(間瀬)
また、伴氏からは弊社のシステム監視 + 運用支援に対して、このように評価をいただいております。
「まずは、期待通りの運用・保守・監視を遂行いただけています。保守の部分に関しては、チケットという形で一定の枠を確保していただいています。幸い、システムの完成度が高く、トラブルが少ないため、我々がサービスを有効活用してサービスがより良くなるような
ご提案を日々いただき、大変ありがたく感じています」(伴氏)
第二弾、第三弾のサービス展開に向けた基盤構築を超えたサポートにも期待
今回、顧客情報管理システムの基盤構築が完了したうえで、今後このシステムを活用しつつ、クラウドエースとどのように関わっていきたいのか、安藤氏に伺いました。
「チームのミッションとしても、今後も様々な新しい企画を立ち上げていきたいと思っているのですが、今後展開されるサービスもすべてこの顧客情報に紐付けていきたいと考えています。ログイン周りのシステムの不具合や不便さは顧客の離脱に直結するので、サービスごとの最適な仕様についても今後も知見を借りながら進めていきたいと思っています」(安藤氏)
また、武藤氏は今回のサポートを経て、今後のクラウドエースに対してこのような期待を寄せていました。
「クラウドエースさんには、デジタル新規事業に用いる各種デジタル新技術への対応や、質の高いサービスデリバリー体制の維持に今後も期待しています。我々は複数のベンダーにインターネット上で公開しているシステムの運用・監視・保守を依頼していますが、クラウドエースさんの対応はトップレベルだと感じています。クラウドエースさんにご支援いただくことが、今後の事業展開には不可欠だと思っています」(武藤氏)
これらの期待や展望を受けて、クラウドエース 事業推進本部 吉田 彩音は今後も三菱自動車工業のサポートを通じて、会社全体に良い影響を与えていけるようなサポートをしていきたいと力強く語りました。
「今回はシステムの構築部分とその後のシステム監視や運用支援を担当させていただきましたが、決してアプリケーションの対応ができないというわけではないので、今後デジタルサービスで会社全体を盛り上げていけるように我々もお手伝いできると嬉しいです。もちろんその他のご相談もできるような関係性を今後も築いていければと思いますので、引き続きよろしくお願いします」(吉田)
今回ご利用いただいたサービス
Google Cloudシステム監視 + 運用支援
24時間365日の監視と運用支援で、Google Cloud上に構築されたシステムの安定稼働はもちろん、クラウド利用料や開発プロセスの最適化といったビジネス価値を高める運用改善も推進します。技術トレンドの急速な変化によって複雑化するシステムも高度な知見を持つエンジニアがサポート。新規の運用保守立ち上げもご相談ください。
Google Cloudシステム監視 + 運用支援はこちら →
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