みなさん、こんにちは!クラウドエースのラリオスです。 2025 年 10 月に Google Cloud が発表した「Gemini Enterprise」は、この 1 年で大きく姿を変えました。2026 年 4 月の Google Cloud Next ’26 では、Vertex AI の進化形となる開発者向け基盤「Gemini Enterprise Agent Platform」が発表されました。これにより Gemini Enterprise は、従業員向けの「Gemini Enterprise app」とあわせて、AI(人工知能)エージェントの利用から開発・運用までを支える製品群へと広がっています。 その後も、Workflow Builder や Projects の一般提供、Gemini 3.8 Flash への対応、Pay-as-you-go エディションの追加など、実運用に直結するアップデートが続いています。2026 年 10 月には、仕事向けのエージェント「Gemini agent」の発表、Gemini 4 Argon の一般提供、Anthropic の Claude Opus 5.5/Claude Sonnet 5.5 への対応もありました。 この記事では、2026 年 10 月 25 日時点で確認できた Google Cloud の公式情報をもとに、Gemini Enterprise app の主要機能、料金、セキュリティ、AI developer tools、導入時の確認事項を解説します。 なお、本記事では、Google Cloud のドキュメントやリリースノートで使われている「Gemini Enterprise app」「Gemini Enterprise Agent Platform」(以下、Agent Platform)を主な表記とします。製品ページや公式ブログでの呼び方との関係は「名称の変遷と新旧対照」で整理しています。 目次 Toggle Gemini Enterprise app(ビジネス向け Gemini)とはGemini Enterprise の主要マイルストーンGemini Enterprise app の主要機能Gemini Enterprise Agent Platform(開発者向け基盤)Antigravity による開発者体験の刷新ガバナンスとセキュリティGemini Enterprise app の料金プラン部門別の活用シナリオ導入検討時のチェックリストよくある質問まとめ Gemini Enterprise app(ビジネス向け Gemini)とは Gemini Enterprise app は、Google Cloud が提供する従業員向けの AI アプリケーションです。Google Workspace や Microsoft 365、Salesforce、Slack などの業務ツールや企業データと接続し、自然言語での検索や分析に加えて、複数のステップからなる業務をエージェントに実行させることができます。 以前提供されていた Google Agentspace は、2025 年 10 月 9 日から Gemini Enterprise の機能の一部となり、単独のサービスとしては提供されていません。現在は Gemini Enterprise app が、従業員が AI エージェントを使うときの入り口になっています。 参考:Google Cloud「Gemini Enterprise app FAQs」、Google Cloud「Google Cloud Platform Services Summary」 名称の変遷と新旧対照(2026 年 10 月時点) 2026 年 10 月時点では、同じ製品が掲載場所によって異なる名称で紹介されています。確認できる事実は次のとおりです。 2025 年 10 月 9 日、Google Cloud は「Gemini Enterprise」を発表しました。同日、Google Agentspace は Gemini Enterprise の機能に移行しています。 2026 年 4 月 22 日、Vertex AI を発展させた開発者向け基盤「Gemini Enterprise Agent Platform」が発表されました。 2026 年 10 月時点の製品ページと公式ブログでは、従業員向けアプリを「Gemini for business」、開発者向け基盤を「Gemini platform」と呼んでいます。日本語の製品ページでは、それぞれ「ビジネス向け Gemini」「Gemini プラットフォーム」と表記されています。 一方、ドキュメント、リリースノート、FAQ、エディション名では「Gemini Enterprise」「Gemini Enterprise app」「Gemini Enterprise Agent Platform」の名称が引き続き使われています。 製品ページやブログでの呼び方が変わった理由や、正式な改称を告知する発表は、現時点で公式には確認できません。 対象 以前の名称・経緯 ドキュメント・リリースノートでの名称 製品ページ・公式ブログでの名称 従業員向けの AI エージェント アプリ Google Agentspace(2025 年 10 月に Gemini Enterprise の機能へ移行) Gemini Enterprise、Gemini Enterprise app Gemini for business(日本語ページ:ビジネス向け Gemini) 開発者向けの AI 開発基盤 Vertex AI Gemini Enterprise Agent Platform(略称:Agent Platform) Gemini platform(日本語ページ:Gemini プラットフォーム) ノートブック型のリサーチ ツール NotebookLM Enterprise(2026 年 7 月 16 日に改称) Gemini Notebook Enterprise - 管理コンソールやドキュメントで情報を探すときは「Gemini Enterprise」、製品紹介やニュースを追うときは「ビジネス向け Gemini」「Gemini for business」でも検索すると、目的の情報にたどり着きやすくなります。 参考:Google Cloud「ビジネス向け Gemini」、Google Cloud「Gemini プラットフォーム」、Google Cloud Blog「Introducing Gemini Enterprise」、Google Cloud「Gemini Enterprise release notes」 従来の AI チャットボットとの違い Gemini Enterprise app では、質問への回答や要約、文章生成に加えて、企業データの検索や業務アプリケーションとの連携ができます。複数のステップからなる作業をワークフローとして組み立て、エージェントに実行させることも可能です。 たとえば、Google カレンダーや Gmail をワークフローに接続し、予定の確認、文面の作成、通知といった一連の処理を組み合わせられます。Workflow Builder では途中に人による承認を組み込めるため、すべてを AI に任せるのではなく、業務内容に応じて人と AI の役割を設計できます。 Gemini Enterprise app と Agent Platform の 2 層構造 Gemini Enterprise の製品群は、従業員が使う「Gemini Enterprise app」と、開発者や IT 部門が使う「Gemini Enterprise Agent Platform」の 2 つに分けると全体像をつかみやすくなります。公式 FAQ によると、両者は別々に購入する製品で、Agent Platform で開発したエージェントを Gemini Enterprise app などを通じて従業員に提供できます。 層 名称 主な利用者 フロント Gemini Enterprise app(ビジネス向け Gemini) 従業員 開発・運用基盤 Gemini Enterprise Agent Platform(Gemini プラットフォーム、旧 Vertex AI) 開発者・IT 管理者 Agent Platform は、Vertex AI の名称を単純に変更したものではありません。Google Cloud は「evolution of Vertex AI(Vertex AI の進化形)」と位置付けており、従来のモデル選択・モデル開発・エージェント開発の機能に、エージェントの統合、オーケストレーション、DevOps、セキュリティなどの機能を加えています。 参考:Google Cloud Blog「Introducing Gemini Enterprise Agent Platform」 Gemini Enterprise の主要マイルストーン Gemini Enterprise は 2025 年 10 月の発表以降、継続的に機能を追加しています。特に 2026 年 4 月の Agent Platform 発表と、8〜10 月の AI developer tools、Workflow Builder、Projects、料金体系に関するアップデートによって、企業での本格運用を想定した機能が大きく広がりました。 時期 主な出来事 2025 年 10 月 Gemini Enterprise を発表(10 月 9 日)。Google Agentspace は Gemini Enterprise の機能に移行 2026 年 4 月 Google Cloud Next ’26 で Gemini Enterprise Agent Platform と Long-running agents を発表(4 月 22 日) 2026 年 7 月 日本リージョンで Gemini Enterprise app が GA with allowlist に(7 月 6 日)。AlphaEvolve が GA(7 月 9 日)。NotebookLM Enterprise が Gemini Notebook Enterprise に改称(7 月 16 日)。Canvas が GA(7 月 24 日) 2026 年 8 月 Pay-as-you-go エディションが GA、対象顧客へ順次展開(8 月 1 日)。Custom MCP Server データストアが GA(8 月 7 日)。Skills の作成・アップロード・共有が GA(8 月 13 日)。Antigravity 2.0、Antigravity CLI、Android Studio を含む AI developer tools が GA(8 月 18 日)。Antigravity for IDEs を追加(8 月 20 日)。Gemini Enterprise for Financial Services を Preview で発表(8 月 25 日) 2026 年 9 月 Gemini 3.8 Flash が GA(9 月 2 日)。Workflow Builder が GA(9 月 3 日)。Projects が GA(9 月 4 日)。Standard/Plus のオンライン新規・更新契約への Gemini Code Assist の付帯を終了(9 月 17 日)。Gemini 3.8 Flash がデフォルトで有効に(9 月 23 日) 2026 年 10 月 クォータ超過分の従量利用を Frontline・EDU・Emerging Market 系エディションに拡大(10 月 7 日)。Gemini agent を発表、AI developer tools で Claude Opus 5.5/Sonnet 5.5 に対応(10 月 8 日)。単体の Gemini Code Assist Standard/Enterprise の新規販売を終了(10 月 9 日)。Gemini 4 Argon が GA、Workflow Builder が Microsoft Teams・Notion・Salesforce に対応(10 月 13 日)。Gemini Enterprise app で Claude Opus 5.5/Sonnet 5.5 が GA(10 月 15 日)。Workflow Builder が Confluence Data Center・Jira Data Center に対応(10 月 16 日)。日本・カナダの国内リージョンで Gemini 2.5 Pro の提供を終了、Antigravity Enterprise Gateway が GA(10 月 20 日) 参考:Google Cloud「Gemini Enterprise release notes」、Google Cloud「Gemini Code Assist sunset」、Google Cloud Blog「Introducing Gemini Enterprise for Financial Services」 2026 年 10 月の注目トピック「Gemini agent」 2026 年 10 月 8 日の「Gemini at Work 2026」で、Google Cloud は仕事向けのエージェント「Gemini agent」を発表しました。製品ページでは、メール、ドキュメント、コード、データ、業務アプリを横断し、Web、デスクトップ、モバイルで動くエージェントとして紹介されています。 ただし、バックグラウンドでの複数ステップのタスクの委任、モバイルとデスクトップでの利用、サードパーティ モデルの選択などの一部機能は、2026 年 10 月時点でアーリー アクセスの段階です。製品ページでは、近くすべての顧客に提供予定とされています。 参考:Google「Gemini at Work」、Google Cloud「Gemini for Business」 Gemini Enterprise app の主要機能 Gemini Enterprise app は、ユーザーがブラウザなどから利用するフロントエンドです。企業データの検索や分析、エージェントの利用、ノーコードでのワークフロー構築、チームで共有するナレッジ環境などを 1 つの画面から利用できます。 マルチモデル AI へのアクセス Gemini Enterprise app では、複数の Gemini モデルや画像生成モデルに加えて、Anthropic のモデルも利用できます。管理者は Google Cloud コンソールの機能管理から、利用できるモデルや生成 AI 機能を制御できます。2026 年 10 月時点の主なモデルは次のとおりです。 Gemini 4 Argon(2026 年 10 月 13 日 GA、global/us/eu。10 月 27 日からデフォルトで有効。管理者による無効化も可能) Gemini 3.8 Flash(2026 年 9 月 2 日 GA、global/us/eu。9 月 23 日からデフォルトで有効) Gemini 3.7 Flash、Gemini 3.6 Flash、Gemini 3.5 Flash Claude Opus 5.5/Claude Sonnet 5.5(2026 年 10 月 15 日 GA、global/us/eu。管理者が「Enable third-party models」で有効化。従量課金) Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image。global のみ、初期状態では無効) Nano Banana 2(Gemini 3.1 Flash Image) 日本リージョン(asia-northeast1)では、2026 年 7 月 6 日の発表時点で、Gemini 3.5 Flash が保存データの国内保管(DRZ:Data Residency)と機械学習処理の国内実行(MLP:Machine Learning Processing)に対応しています。Gemini 3.6/3.7/3.8 Flash は、管理者が警告を承認すれば global 経由で利用できますが、国内処理の対象外です。Gemini 4 Argon の DRZ と MLP は、2026 年 10 月時点で us と eu のみ対応しています。 Gemini 2.5 Pro は、2026 年 10 月 20 日に日本とカナダの国内リージョンで提供を終了しました。これらのリージョンで Gemini 2.5 Pro を使っていたエージェントとチャットは、国内処理の Gemini 3.5 Flash に自動で切り替わっています。global/us/eu では引き続き利用できます。 利用できるモデルや機能は、リージョン、エディション、管理者設定によって異なります。 Workflow Builder(ノーコード開発) 2026 年 9 月 3 日に GA になった Workflow Builder(旧 Agent Designer)は、プログラミングをせずに複数ステップのワークフローやチャット エージェントを構築できる機能です。手動実行だけでなく、スケジュール実行やチャットからの呼び出しにも対応しています。 チャット中に@ワークフロー名や@エージェント名と入力して呼び出せるほか、Gmail、Google カレンダー、Google Chat、Google ドライブ、Slack、Jira、ServiceNow、Confluence、Microsoft OneDrive、SharePoint、Outlook などのデータやアプリケーションと接続できます。2026 年 10 月 13 日からは Microsoft Teams、Notion、Salesforce、10 月 16 日からは Confluence Data Center と Jira Data Center にも接続できるようになりました。 ビルド済みエージェントと業界向けソリューション Gemini Enterprise app では、Google が提供するエージェントを利用できます。すべてのエージェントを一から開発しなくても、リサーチやデータ分析などの業務から活用を始められます。 Deep Research|Web や社内データをもとに多段階の調査を行い、引用付きのレポートを生成 Data Insights|BigQuery のデータから分析や洞察の取得を支援。2026 年 10 月時点の製品ページでは Preview と記載 Gemini Notebook Enterprise|指定した資料をもとに、情報の要約や調査、ナレッジ活用を支援 AlphaEvolve|アルゴリズム探索やコード最適化を支援するエージェント(2026 年 7 月 9 日 GA)。FedRAMP/DoD のコンプライアンス要件には対応しておらず、該当する環境ではデフォルトで利用が制限される(アカウント チーム経由で申請可能) また、2026 年 8 月 25 日には、資本市場とコーポレート バンキングを対象とした Gemini Enterprise for Financial Services が Preview として発表されました。同時に、法務向けのソリューションも発表されています。 参考:Google Cloud「AI Agents for Gemini Enterprise editions」、Google Cloud Blog「Introducing Gemini Enterprise for Financial Services」 Long-running agents Google Cloud Next ’26 では、数時間から数日にわたる業務を継続して処理する Long-running agents が発表されました。単発の質問に答えるだけでなく、調査や複数ステップの処理を続けながら、必要に応じて人からの入力や承認を受けて処理を進めることを想定しています。 長時間実行される処理は Inbox で確認でき、「Needs your input」「Errors」「Completed」などの状態ごとに管理できます。人による確認(Human-in-the-loop)を組み込めるため、重要な判断だけを人が行う運用にも対応できます。なお、発表時点では「今後数か月で順次展開」とされており、提供状況は利用前に確認してください。 参考:Google Cloud Blog「What’s new in Gemini Enterprise」 Projects と Canvas Projects は、特定の業務やテーマに必要な情報をまとめる共有ワークスペースで、2026 年 9 月 4 日に GA になりました。ファイルのアップロードや Google ドライブ、Microsoft SharePoint の情報をナレッジとして追加し、プロジェクト専用のコンテキストを作れます。ナレッジとして登録できるファイルとリンクは、1 プロジェクトあたり最大 50 件です。 プロジェクトのナレッジはメンバー間で共有されます。ローカルからアップロードしたファイルは、メンバー全員が閲覧・ダウンロード・削除できる点に注意してください。Google ドライブや Microsoft SharePoint からリンクしたファイルには、元のアクセス権限が適用されます。なお、アシスタントとのチャットはユーザーごとに非公開です。 Canvas は、Gemini Enterprise app の中で文書やプレゼンテーションを作成・編集できる機能で、2026 年 7 月 24 日に GA になりました。文書は Google ドキュメント、DOCX、PDF に、プレゼンテーションは Google スライド、Microsoft PowerPoint、PDF にエクスポートできます。 参考:Google Cloud「Projects」、Google Cloud「Canvas」 Agent Skills とコネクタ Skills は、特定のタスクに必要な指示やコンテキストを再利用できる形でまとめ、共有する機能です。ブランド ガイドライン、レポート作成の手順、社内独自の作業ルールなどを定義しておくことで、同じ指示を繰り返し入力する手間を減らせます。2026 年 6 月に許可リスト制(GA with allowlist)で提供が始まり、8 月 13 日に作成・アップロード・共有が GA になりました。利用には管理者による機能の有効化が必要で、エディションによって利用範囲が異なります。 Gemini Enterprise app は、Google Workspace、Microsoft 365、Salesforce、ServiceNow、Slack、Jira、Box など、多数の業務データソースやアプリケーションとの接続に対応しています。接続方式や検索・操作できる範囲は、コネクタによって異なります。また、自社独自のシステムやツールを MCP(Model Context Protocol)経由で連携できる Custom MCP Server のデータストア機能が、2026 年 8 月 7 日に GA になりました。この機能は初期状態では無効で、利用には組織ポリシー管理者による制約の解除が必要です。 Observability(利用状況の可視化) Gemini Enterprise app には、応答速度やエラーの状況を確認できる Observability 機能があります。2026 年 9 月 3 日には、Latency と Error rate のビューが GA になりました。 Latency では、TTFT(Time to First Token、思考を含む最初のトークンが返るまでの時間)、TTFA(Time to First Answer、回答本文の最初のトークンが返るまでの時間)、TTLT(Time to Last Token)の p50(中央値)と p95 を確認できます。Error rate では、クライアント エラーやサーバー エラーの状況を確認できます。 Gemini Enterprise Agent Platform(開発者向け基盤) Agent Platform は、Google Cloud が Vertex AI の進化形として提供する開発者向けプラットフォームです。「Build(構築)」「Scale(スケール)」「Govern(統制)」「Optimize(最適化)」の 4 つの柱で、エージェントの開発から本番運用、統制、評価、改善までを支援します。 参考:Google Cloud「Agent Platform overview」 Build(構築) Build は、エージェントを構築するための開発環境、フレームワーク、モデル、API(Application Programming Interface)などを提供する領域です。ノーコードで構築する Workflow Builder とは異なり、複雑なロジックや独自ツールを組み込んだエージェントの開発にも対応します。 Agent Studio|ローコードのビジュアル環境でエージェントを構築 Agent Development Kit(ADK)|コードベースで高度なカスタム エージェントを開発 Model Garden|Gemini をはじめとする各種モデルをエージェントから利用 Managed Agents API(Preview)|サンドボックス環境で自律型エージェントを構築・実行する API Managed Agents API には、利用規約上の区分である「Pre-GA Offerings Terms」が適用されます。商用・本番環境での利用や、独自の非公開データ・機密情報の使用は認められていません。 Scale(スケール) Scale は、開発したエージェントを本番環境で動かすための基盤です。長時間実行されるエージェントの実行環境に加え、会話の状態管理や長期記憶など、継続的な運用に必要な仕組みを提供します。 Agent Runtime|エージェントのデプロイ・実行・スケーリングを担うマネージド ランタイム Agent Platform Sessions|ユーザーとエージェントのやり取りや会話の状態を管理 Agent Platform Memory Bank|複数のセッションをまたいで使う長期記憶を生成・管理 エージェント間の通信には A2A(Agent2Agent)プロトコルを利用できます。また、A2UI(Agent to UI)を使うエージェントを Gemini Enterprise app に登録すると、カスタムの画面を表示できます。 従来の「Vertex AI Agent Engine」は、2026 年 4 月の Agent Platform 発表に合わせて「Agent Runtime」へ名称が変わっています。 Govern(統制) Govern では、企業内で増えていくエージェントやツールを一元的に把握し、ID、アクセス制御、セキュリティ ポリシーなどを管理します。エージェントを個別に導入するのではなく、組織として管理された環境で運用するための機能群です。 Agent Identity|エージェントに固有の ID を持たせ、認証・認可や監査に利用 Agent Registry|組織内のエージェント、ツール、MCP サーバー、Skills などを登録・管理する中央カタログ Agent Gateway|エージェントの通信やアクセス制御を一元管理。Model Armor との連携で、プロンプト インジェクションやツール ポイズニング、データ漏えいなどへの対策を支援 Optimize(最適化) Optimize は、エージェントの品質やパフォーマンスを継続的に評価・改善するための機能群です。開発段階のテストだけでなく、本番稼働後の挙動や失敗のパターンも確認しながら改善できます。 Agent Simulation|仮想のユーザーやツールを使って、エージェントの挙動を事前に検証 Agent Evaluation|実行結果や会話全体を評価 Agent Observability|実行トレースなどから、エージェントの挙動やパフォーマンスを可視化 Agent Optimizer|実際の失敗をパターンごとに分類し、システム指示の改善案を提示 前述の Gemini Enterprise app の Observability は、アプリの利用状況を確認する機能です。Agent Platform の Optimize とは分けて理解しておきましょう。 参考:Google Cloud Blog「Introducing Gemini Enterprise Agent Platform」、Google Cloud「Managed Agents」 Antigravity による開発者体験の刷新 Gemini Enterprise の「AI developer tools」では、2026 年 8 月 18 日に Antigravity 2.0、Antigravity CLI、Android Studio へのアクセスが GA になり、8 月 20 日には Antigravity for IDEs も追加されました。 10 月 8 日からは、Antigravity 2.0、Antigravity CLI、Antigravity for IDEs で Anthropic の Claude Opus 5.5/Claude Sonnet 5.5 も使えるようになりました。これらのモデルは初期状態では無効です。管理者がクォータ超過分の従量利用(overage)を有効にしたうえで、モデルを有効化する必要があります。なお、Gemini Enterprise app 本体での Claude 対応(10 月 15 日)とは別の機能です。 参考:Google Cloud「AI developer tools overview」 Antigravity 2.0 と CLI Antigravity 2.0 は、AI エージェントにコーディングのタスクを任せるための開発環境です。コード補完だけでなく、複数のファイルやツールを扱うタスクをエージェントに任せることを想定しています。 Antigravity CLI はターミナルから使える開発者向けツールで、コマンドライン中心の開発の流れにも AI エージェントを組み込みやすくします。 Antigravity for IDEs と Android Studio Antigravity for IDEs は、IDE(統合開発環境)の中から Antigravity の AI エージェントを利用するための機能です。コードを確認しながら AI エージェントと対話し、コードの生成や修正などを進められます。Android Studio でも、AI developer tools のエージェント機能を利用できます。 Gemini Enterprise の管理者は、AI developer tools の有効・無効、利用できるモデル、ファイル アクセスやターミナル コマンドの自動実行に関するポリシーを管理できます。ただし、Android Studio はサードパーティの ID プロバイダーに対応していません。Microsoft Entra ID や Okta などの外部 ID プロバイダーを設定したロケーションでライセンスを割り当てられたユーザーは、Android Studio の AI developer tools 機能を利用できません。 Antigravity Enterprise Gateway 2026 年 10 月 20 日には、Antigravity Enterprise Gateway が GA になりました。Antigravity の推論リクエストを企業のゲートウェイ経由にして、モデルとの通信の監査や、独自のセキュリティ ポリシー、外部への通信(エグレス)の制御を適用できます。料金は Gemini Enterprise Agent Platform の従量課金で、Gemini Enterprise のシートのクォータは消費しません。規制業種など、通信経路の管理が求められる企業では確認しておきたい機能です。 Gemini Code Assist の提供条件の変更 2026 年 9 月 17 日以降、Gemini Enterprise app の Standard/Plus をオンラインで新規契約・更新した場合、Gemini Code Assist の機能は含まれなくなりました。Google は代わりに、AI developer tools の Antigravity for IDEs を案内しています。 また、2026 年 10 月 9 日には、単体の Gemini Code Assist Standard/Enterprise の新規販売も終了しました。既存の単体契約は契約期間の終了までサポートされます。追加ライセンスの購入と年間契約の自動更新は 2027 年 1 月 31 日まで、月額契約の自動更新は 2027 年 12 月 31 日まで可能です。 9 月 17 日の時点では、Code Assist を含む契約を希望する場合は Google Cloud の営業に問い合わせるよう案内されていました。この経路が現在も有効かは、Google Cloud の営業窓口に確認してください。 参考:Google Cloud「Gemini Code Assist sunset」、Google Cloud「Gemini Enterprise release notes」 ガバナンスとセキュリティ Gemini Enterprise では、エディションや利用する機能に応じて、企業向けのセキュリティ、データ保護、ID 管理、コンプライアンスの機能が提供されています。ただし、すべての機能が同じ認証やセキュリティ管理の対象になるわけではありません。導入時には、利用する機能ごとに対応状況を確認することが重要です。 データ主権とコンプライアンス Gemini Enterprise app の Standard/Plus では、次のセキュリティ管理を利用できます。ただし、対応するリージョンや機能には制限があります。 VPC Service Controls によるサービス境界の設定 CMEK(Customer-Managed Encryption Keys、顧客管理の暗号鍵)|US/EU のマルチ リージョンのみ対応 Access Transparency|global リージョンでは非対応 データ レジデンシー なお、Google 検索によるグラウンディングを有効にしている場合、これらの一部は適用されないため、適用範囲を確認してください。 2026 年 7 月 6 日には、Gemini Enterprise app が日本リージョン(asia-northeast1)で GA with allowlist になり、保存データの国内保管(DRZ)と機械学習処理の国内実行(MLP)に対応しました。利用には Google への申請が必要で、機能ごとに制限があります。日本リージョンで利用できるモデルについては、前述の「マルチモデル AI へのアクセス」を参照してください。 また、Google Cloud は 2026 年 4 月 28 日、Gemini Enterprise と NotebookLM Enterprise(現 Gemini Notebook Enterprise)の ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)への本登録の完了を発表しました。日本の公共部門や、高いセキュリティ要件を持つ企業にとって、導入検討時の確認材料になります。 コンプライアンス対応は、Gemini Enterprise 全体に一律で適用されるものではありません。たとえば Antigravity は、Access Transparency、FedRAMP Moderate/High、IL4/IL5、ISO 認証(27001、42001 など)、SOC 1/2/3、ITAR に対応していません。規制業種では、機能ごとに対応範囲を確認してください。 参考:Google Cloud「Compliance and security controls」、Google Cloud 公式ブログ「Gemini Enterprise と NotebookLM Enterprise の ISMAP 本登録完了」、Google Cloud「AI developer tools overview」 Model Armor と Content Policies Model Armor は、AI とのやり取りを保護するセキュリティ機能です。Gemini Enterprise のアシスタントへの入力と出力をスクリーニングし、プロンプト インジェクションやジェイル ブレイクの試み、機密データ、悪意のある URL などへの対策に利用されます。すべてのエディションで追加料金なしで利用できます。 Sensitive Data Protection の Content Policies は、対応するデータ コネクタやアップロードされたファイルに、機密情報などの検出ルールを適用する機能です。テキスト、画像、PDF や Office 形式の文書、Microsoft の秘密度ラベルや Google Workspace のラベルなどを検査し、ポリシーに違反する情報の取り込みや表示、ファイルのアップロードを制限できます。 2026 年 10 月時点では Business エディションは対象外で、対応リージョンは global、US、EU のマルチ リージョンです。また、Cloud Storage、BigQuery、Web サイトなどの従来型のデータストアには適用されません。日本リージョンでの利用を検討する場合は、この対応範囲に注意してください。 参考:Google Cloud「Enable Model Armor」、Google Cloud「Protect sensitive data」 ID 管理とアクセス制御 Gemini Enterprise app では Google Identity による管理が推奨されています。Microsoft Entra ID や Okta など、OIDC/SAML 2.0 に対応した外部の ID プロバイダーと組み合わせる構成も利用できます。2026 年 8 月 20 日には、外部の ID プロバイダーを使っている環境でも、Google Identity を使ってサードパーティ データソースへのアクセスを管理できる機能が GA になりました。 ただし、Microsoft 365 のデータを取り込む方式(データ インジェスト)で接続する場合は、Microsoft Entra ID と Workforce Identity Federation が必要です。データを取り込まずに参照するフェデレーション方式で接続する場合は、この要件は適用されません。 企業データの検索では、接続先のデータソース側のアクセス権を考慮する仕組みが用意されています。ただし、権限の扱いや対応方式はコネクタによって異なるため、Microsoft 365 や各 SaaS(Software as a Service)との連携時には個別に仕様を確認してください。 参考:Google Cloud「Configure identity provider」 データの取り扱い 企業導入で重要になるのが、入力したデータが Google のモデルの学習に使われるかどうかです。Google Cloud は、Gemini Enterprise app の Business、Standard、Plus について次のように説明しています。 プロンプトや出力などの顧客データを、Google のモデルや他の顧客向けモデルの学習に利用しない 顧客データの所有権はユーザー側にある 顧客データを広告目的で利用しない Pay-as-you-go など他のエディションや個別のサービスを利用する場合は、適用される契約条件やサービス固有のデータ利用条件もあわせて確認してください。 参考:Google Cloud「Gemini Enterprise app FAQs」 Gemini Enterprise app の料金プラン Gemini Enterprise app には、Business、Standard、Plus、Pay-as-you-go、Frontline などのエディションがあります。このほか、対象の顧客向けに Standard Emerging Market も提供されています。エディションによって、利用できるコネクタ、ストレージ、クォータ、開発者向け機能、セキュリティ管理などが異なります。 エディション早見表 以下は、2026 年 10 月 25 日時点で確認できる Google Cloud の公式情報をもとにした目安です。製品ページの刷新により、多くのエディションで価格が公開されていません。実際の料金は Google Cloud または販売パートナーに確認してください。 エディション 対象 公開価格の目安 Business 小規模企業・チーム(エディション比較ドキュメントでは 1〜500 ユーザー) $21〜/ユーザー/月(Business 専用ページに掲載。契約価格は要確認) Standard 企業向けの管理・セキュリティ機能を必要とする組織 要問い合わせ Plus Standard より高いクォータを必要とする組織 要問い合わせ Pay-as-you-go 利用量に応じて支払いたい組織。請求書払いの Cloud Billing アカウントと、開始時に最低 1 シートが必要 利用量に応じた課金(単価は要問い合わせ) Frontline 現場で働く従業員(フロントライン ワーカー)向け。Standard または Plus を 150 ユーザー以上利用する組織が対象 要問い合わせ Standard Emerging Market 対象の地域・顧客向け 要問い合わせ Business は、Business 専用ページでは「最大 300 名までのチームに最適」と紹介されています。一方、エディション比較ドキュメントでは対象を「1〜500 ユーザー」としています。契約時には最新の販売条件を確認してください。 参考:Google Cloud「Gemini Enterprise Business」、Google Cloud「Compare editions of Gemini Enterprise」 各プランに含まれる機能差 Business は、小規模な企業やチームが企業データの検索、生成 AI、Workflow Builder などを利用するためのエディションです。一方、Standard/Plus では、より幅広いデータ コネクタ、高いクォータ、企業向けのセキュリティ・コンプライアンス機能などが提供されます。 AI developer tools は、Standard/Plus(有料契約または無料トライアル)と Pay-as-you-go/Standard Emerging Market(有料契約)で、請求書払いの Cloud Billing アカウントを通じて利用できます。Standard にはユーザーあたり月 $10、Plus には月 $15 のクレジットが含まれますが、Standard Emerging Market にはこうしたクォータは含まれません。Gemini Code Assist の提供条件については、前述の「Gemini Code Assist の提供条件の変更」を参照してください。 参考:Google Cloud「Quotas and overages」 クォータと超過課金 Standard/Plus などのシート単位のエディションには、ストレージ、検索・アシスタントの利用、エージェントの作成、画像・動画の生成などに、機能ごとのクォータが設定されています。クォータは購入したライセンス数などに応じてプールされます。2026 年 10 月 22 日には、ユーザー単位でクォータの上限を設定できる機能も GA になりました(Standard、Plus、Standard Emerging Market)。 クォータを超えた分の従量利用(overage)は、Standard/Plus、Standard Emerging Market に加え、2026 年 10 月 7 日から Frontline(Starter/Worker)、EDU(EDU/EDU Pro)、その他の Emerging Market 系エディションでも利用できるようになりました。利用には、請求書払いの Cloud Billing アカウントと、有効なサブスクリプションが必要です。 Pay-as-you-go は仕組みが異なり、ライセンスのクォータを超えた分だけを支払う方式ではなく、基本的に利用量に応じて課金されます。 部門別の活用シナリオ Gemini Enterprise は特定の業務に限らず、企業のさまざまな部門で活用できます。Long-running agents や Projects、Canvas、Antigravity などの機能が加わったことで、単発のタスクの自動化だけでなく、数日単位で進む業務プロセスへの AI 活用も視野に入るようになりました。ここでは、考えられる活用例を部門別に紹介します。 マーケティング・セールス マーケティングでは、市場調査、競合調査、キャンペーン企画、コンテンツ作成、レポート作成などへの活用が考えられます。Deep Research で Web と社内データを横断した調査を行ったり、Workflow Builder で複数の作業を 1 つのワークフローにまとめたりできます。 セールスでは、Salesforce や HubSpot などのデータソースと接続し、顧客情報の検索や商談の準備、アカウント情報の整理などを支援できます。どこまで自動で実行させるかは、利用するコネクタや権限、Workflow Builder の設計によって調整します。 エンジニアリング エンジニアリングでは、Antigravity や Antigravity for IDEs、Android Studio などを通じて、AI を開発プロセスに組み込めます。また、Agent Platform 上で ADK などを使ってカスタム エージェントを開発し、Gemini Enterprise app を通じて社内のユーザーに提供する構成も可能です。 コード生成だけでなく、既存コードの理解、テスト、リファクタリング、エージェント開発など、ソフトウェア開発のさまざまな工程で AI を活用できる環境が整いつつあります。新規導入では Antigravity を軸に検討するとよいでしょう。Gemini Code Assist の提供条件は「Gemini Code Assist の提供条件の変更」を参照してください。 人事・ファイナンス・カスタマー サービス 人事では、社内規定や人事制度に関する情報検索、オンボーディングの支援、よくある質問への対応などが活用候補です。社内データのアクセス権を考慮しながら、従業員が必要な情報を探す作業を支援できます。 ファイナンスでは、複数のデータソースを横断する調査や分析、レポート作成などへの活用が考えられます。金融機関向けのソリューションについては、前述の「ビルド済みエージェントと業界向けソリューション」を参照してください。 導入検討時のチェックリスト Gemini Enterprise の導入をスムーズに進めるには、使いたい機能だけでなく、データソース、アクセス権、エディション、リージョン、ガバナンスなどを事前に整理することが重要です。ここでは、導入検討で確認しておきたいポイントをまとめます。 データソースと権限設計 まず、AI に参照させたい情報がどこにあるのかを整理します。Google Workspace、Microsoft 365、各種 SaaS、データベースなど、対象となるデータソースと容量、更新頻度、アクセス権を確認しておくと、必要なコネクタやエディションを判断しやすくなります。 サードパーティのデータソースを接続する場合、ID 管理の方式によって必要な構成が変わります。Microsoft 365 との接続要件は、前述の「ID 管理とアクセス制御」を参照し、利用するコネクタと接続方式を確認したうえで、自社の認証・認可の構成を決めてください。 エディションとリージョン要件 Business、Standard、Plus では、利用できるコネクタ、クォータ、セキュリティ機能などが異なります。ユーザー数だけでプランを決めるのではなく、VPC Service Controls や CMEK、データ レジデンシー、AI developer tools など、自社に必要な要件から逆算することが重要です。 また、Gemini Enterprise app は 2026 年 7 月から日本リージョンにも対応していますが、GA with allowlist であり、すべての機能やモデルが同じ条件で国内処理に対応しているわけではありません。金融、公共、医療など、データの所在地が重要な業種では、利用するモデルや機能ごとに DRZ と MLP の対応状況を確認してください。 ROI 測定と役割分担 導入前に KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を決めておくことも重要です。削減時間、検索時間、エージェントの利用数、ワークフローの実行数、問い合わせ対応時間など、導入の目的に応じた指標を決めておくと、ROI(Return on Investment、投資対効果)を評価しやすくなります。 あわせて、Workflow Builder で業務部門が構築する範囲、ADK や Agent Platform で開発部門が内製する範囲、外部パートナーに依頼する範囲を整理しておくと、エージェントが増えた後の運用やガバナンスも設計しやすくなります。 よくある質問 Gemini Enterprise は短期間で機能や製品体系が大きく変わっているため、旧サービスとの関係や、Google の他の AI 製品との違いがわかりにくい部分があります。ここでは、導入検討時によく出る疑問を整理します。 Google Agentspace はどうなったのか Google Agentspace は、2025 年 10 月 9 日から Gemini Enterprise の機能の一部となり、単独のサービスとしては提供されていません。Agentspace で提供されてきた企業検索やエージェント関連の機能は、Gemini Enterprise に引き継がれています。既存の Agentspace の契約は、契約期間の終了まで利用できます。移行の条件については、Google Cloud または販売パートナーに確認してください。 Vertex AI は使えなくなったのか Vertex AI の機能は、Gemini Enterprise Agent Platform で引き続き提供されています。Google Cloud は Agent Platform を「Vertex AI の進化形」と位置付けており、公式の名称変更ドキュメントでは、Vertex AI の各サービスが Agent Platform の名称に置き換えられています。 そのため、Vertex AI がなくなったのではなく、Vertex AI の機能を土台に、Agent Identity、Agent Registry、Agent Gateway、Agent Runtime などを加えて、エージェントの開発・運用基盤へ広がったと考えるとわかりやすいでしょう。 参考:Google Cloud「Gemini Enterprise Agent Platform name changes」 Antigravity は別料金なのか Antigravity 2.0、Antigravity CLI、Android Studio、Antigravity for IDEs などは、Gemini Enterprise の AI developer tools として提供されています。Standard、Plus、Pay-as-you-go などの対象エディションと、条件を満たす Cloud Billing アカウントがあれば利用できます。 Antigravity 専用のシート ライセンスを別に購入するのではなく、利用する Gemini Enterprise のエディションに含まれるクレジットと、それを超えた利用量によって費用が決まります。Standard Emerging Market では AI developer tools を利用できますが、クレジットは含まれません。 Google Workspace の Gemini や個人向けの Gemini との違い Google Workspace で提供される Gemini は、Gmail、Google ドキュメント、Google スプレッドシート、Google Meet など、日常的に使う Workspace アプリの中での業務支援と相性がよいサービスです。法人で利用する場合でも、必ず Gemini Enterprise を選ばなければならないわけではありません。 Gemini Enterprise app は、Google Workspace の外も含めた企業データを横断して検索したい場合や、Workflow Builder で業務ワークフローを構築したい場合、社内のカスタム エージェントを一元的に管理・配布したい場合などに適しています。 個人向けの Gemini、Google Workspace の Gemini、Gemini Enterprise app では、対象ユーザー、契約条件、利用できるデータソース、管理・ガバナンス機能が異なります。自社が扱うデータと、必要なセキュリティ要件に応じて選んでください。 まとめ Gemini Enterprise は、2025 年 10 月の発表以降、企業向けの AI アシスタントから、企業データ、AI エージェント、開発環境、ガバナンスをまとめて扱う製品群へと広がっています。製品ページでは従業員向けアプリが「ビジネス向け Gemini」、開発者向け基盤が「Gemini プラットフォーム」と紹介されていますが、ドキュメントや管理コンソールでは引き続き Gemini Enterprise の名称が使われています。 2026 年 4 月には Vertex AI の進化形として Agent Platform が登場し、8〜9 月には Pay-as-you-go、AI developer tools、Gemini 3.8 Flash、Workflow Builder、Projects などが相次いで GA になりました。10 月も、Gemini agent の発表、Gemini 4 Argon の GA、Claude モデルへの対応、Gemini Code Assist の販売終了と、大きな変化が続いています。 この 1 年の動きを見ると、Gemini Enterprise は「AI に質問するツール」から「AI に仕事を任せ、その仕事を組織として管理する基盤」へ軸足を移しつつあると私は考えています。一方で、エディション、リージョン、機能によって利用条件やコンプライアンスの対応範囲が大きく異なります。データ レジデンシー、VPC Service Controls、CMEK、Antigravity などを使う場合は、機能単位で最新の仕様を確認することが欠かせません。 これから検討する方は、まず社内検索や日常業務の効率化など小さなユースケースから始めることをおすすめします。そのうえで、Workflow Builder による業務の自動化、Agent Platform による独自エージェントの開発へと段階的に広げていくと、Gemini Enterprise を組織の AI 活用基盤として生かしやすくなります。最初の一歩として、自社で AI に参照させたいデータソースと、日本リージョンでの国内処理が必要かどうかを整理してみてください。 ※本記事の内容は、2026 年 10 月 25 日時点で Google Cloud の公式ページを確認した情報にもとづいています。 ※Google、Google Cloud、Gemini、Google Workspace、Gmail、Google カレンダー、Google Chat、Google ドライブ、Google ドキュメント、Google スプレッドシート、Google スライド、Google Meet、BigQuery、Android Studio は Google LLC の商標です。 ※Microsoft、Microsoft 365、Microsoft Entra ID、Microsoft Teams、OneDrive、Outlook、PowerPoint、SharePoint は、Microsoft グループの商標です。 ※その他、記載されている会社名、製品名、サービス名は、各社の商標または登録商標です。 ラリオス 川口エモーショナルカタリスト兼 Google 認定トレーナー。Google Cloud 認定トレーニング事業の立ち上げに従事し、国内トップクラスのトレーニングパートナーに成長させた。その後、自ら認定トレーナーとなり、さらにカタリストの活動と合わせて、Google Cloud の普及と人材育成を牽引。講義の満足度にも定評があり、2025 年に新設されたグローバルな Google Cloud Trainer Difference Maker 賞を日本で初めて受賞。