みなさん、こんにちは!クラウドエースのラリオスです。 「Vertex AI の名前が変わったと聞いたけれど、何が変わったのか」 「Gemini Enterprise Agent Platform と Gemini プラットフォームは同じものなのか」 先に結論をお伝えします。Gemini Enterprise Agent Platform は、Vertex AI の機能を引き継いだうえで、AI(人工知能)エージェントの構築・実行・統制・改善までを扱えるようにした Google Cloud の開発基盤です。Vertex AI で使われてきた機械学習の機能も、名称を変えて提供が続いています。また、2026 年 10 月時点の製品ページと公式ブログでは「Gemini プラットフォーム(英語では Gemini platform)」という呼び方も使われています。 この記事では、2026 年 10 月 25 日時点で確認できた Google Cloud の公式情報をもとに、名称の変遷、Vertex AI からの変更点、主要機能、モデルと料金、Amazon SageMaker AI や Microsoft の AI 開発基盤との違い、企業の活用事例を紹介します。 なお、本記事では、Google Cloud のドキュメントと料金ページで使われている「Gemini Enterprise Agent Platform」(以下、Agent Platform)を主な表記とします。製品ページや公式ブログでの呼び方との関係は「名称の変遷と新旧対照」で整理しています。各機能は「名称変更マップ」で正式名称を示し、本文では公式ドキュメントと同様に Agent Studio、Model Garden、Agent Runtime などの略称を使います。 目次 Toggle Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)とはVertex AI から何が変わったのかGemini Enterprise Agent Platform の主要機能Agent Platform が適している企業・用途と開発の進め方Google Cloud の他サービスとの連携Gemini Enterprise Agent Platform の料金Amazon SageMaker AI・Microsoft の AI 基盤との比較Gemini Enterprise Agent Platform/旧 Vertex AI の企業活用事例Gemini Enterprise Agent Platform が選択肢となる理由まとめ Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)とは Gemini Enterprise Agent Platform は、Google Cloud が提供する統合 AI プラットフォームです。Vertex AI を発展させたプラットフォームとして、2026 年 4 月 22 日に発表されました。 Google Cloud は Agent Platform を「evolution of Vertex AI(Vertex AI の進化形)」と位置付けています。Vertex AI で提供されてきた ML(機械学習)や MLOps(Machine Learning Operations、機械学習モデルを継続的に開発・運用する仕組み)の機能を引き継ぎながら、AI エージェントの構築や実行、統制、評価といった領域まで機能を広げています。 参考:Google Cloud Blog「Introducing Gemini Enterprise Agent Platform」 Vertex AI の進化形としての位置付け Agent Platform には、Vertex AI で使われてきたモデル開発、トレーニング、デプロイ、MLOps の機能が引き継がれています。そこに AI エージェント向けの開発・運用機能が加わった、と捉えると全体像をつかみやすくなります。 公式ドキュメントでは、AI エージェントに関する主要機能を「Build(構築)」「Scale(スケール)」「Govern(統制)」「Optimize(最適化)」の 4 領域に整理しています。従来の機械学習ワークロードだけでなく、生成 AI や AI エージェントのライフサイクルまで同じプラットフォームで扱えます。 参考:Google Cloud「Agent Platform overview」 名称の変遷と新旧対照(2026 年 10 月時点) 2026 年 10 月時点では、同じサービスが掲載場所によって異なる名称で紹介されています。確認できる事実は次のとおりです。 2026 年 4 月 22 日、Google Cloud は Vertex AI を発展させた「Gemini Enterprise Agent Platform」を発表しました。 2026 年 10 月 13 日以降の公式ブログでは、開発者向け基盤を「Gemini platform」、従業員向けアプリを「Gemini for business」と呼んでいます。日本語の製品ページでは、それぞれ「Gemini プラットフォーム」「ビジネス向け Gemini」と表記されています。 一方、ドキュメント、料金ページ、FAQ、エディション名では「Gemini Enterprise Agent Platform」「Gemini Enterprise」「Gemini Enterprise app」の名称が引き続き使われています。 製品ページやブログでの呼び方が変わった理由や、正式な改称を告知する発表は、現時点で公式には確認できません。 対象 以前の名称・経緯 ドキュメント・料金ページでの名称 製品ページ・公式ブログでの名称 開発者向けの AI 開発基盤 Vertex AI Gemini Enterprise Agent Platform(略称:Agent Platform) Gemini platform(日本語ページ:Gemini プラットフォーム) 従業員向けの AI エージェント アプリ -(2025 年 10 月に Gemini Enterprise として発表) Gemini Enterprise、Gemini Enterprise app Gemini for business(日本語ページ:ビジネス向け Gemini) Google Cloud コンソールやドキュメントで情報を探すときは「Gemini Enterprise Agent Platform」または「Agent Platform」、製品紹介やニュースを追うときは「Gemini platform」「Gemini プラットフォーム」でも検索すると、目的の情報にたどり着きやすくなります。 参考:Google Cloud「Gemini プラットフォーム」、Google Cloud「ビジネス向け Gemini」、Google Cloud Blog「Gemini 4 Argon available on Google Cloud」、Google Cloud Blog「Introducing Gemini Enterprise」 Gemini Enterprise app(ビジネス向け Gemini)との違い Gemini Enterprise app と Agent Platform は名前が似ていますが、主な利用者と用途が異なります。Gemini Enterprise app は、業務ユーザーが社内の情報を検索したり、ノーコードで AI エージェントを作成・利用したりするためのアプリケーションです。一方、Agent Platform は、開発者が AI/ML モデルや AI エージェントをコードで構築・運用するための基盤です。 公式 FAQ によると、両者は別々に購入する製品です。Agent Platform で開発したエージェントは、Gemini Enterprise app などを通じて従業員に提供できます。 観点 Gemini Enterprise Agent Platform Gemini Enterprise app 位置付け AI/ML・AI エージェントの開発プラットフォーム 従業員向けの AI サービス 主な利用者 開発者、データ サイエンティスト、ML エンジニアなど ビジネス部門、ナレッジ ワーカーなど 提供形態 Google Cloud 上の API(Application Programming Interface)と開発・運用機能 企業内の情報検索や AI エージェントの作成・利用を支援するアプリケーション 主な課金形態 利用するモデルやサービスに応じた従量課金 ユーザー単位の月額サブスクリプション。加えて、Pay-as-you-go edition(2026 年 8 月 1 日に一般提供開始、対象顧客へ段階的に展開) 参考:Google Cloud「Gemini Enterprise app FAQs」、Google Cloud「Compare editions of Gemini Enterprise」、Google Cloud「Gemini Enterprise release notes」 Vertex AI から何が変わったのか Vertex AI からの主な変更点は、名称体系の再整理、AI エージェント関連機能の拡充、利用できるモデルの更新の 3 つです。これまでの ML/MLOps 機能がなくなったわけではなく、その多くは Agent Platform でも引き続き提供されています。 名称変更マップ Google Cloud 公式の名称変更ドキュメントでは、主要サービスの新旧名称が次のように整理されています。 旧名称 新名称 Vertex AI Platform Gemini Enterprise Agent Platform Vertex AI Studio Agent Studio on Gemini Enterprise Agent Platform Vertex AI API Gemini Enterprise Agent Platform API Vertex AI Model Garden Gemini Enterprise Agent Platform Model Garden Vertex AI Workbench Gemini Enterprise Agent Platform Workbench Vertex AI Agent Engine Agent Runtime on Gemini Enterprise Agent Platform Vertex AI Pipelines Gemini Enterprise Agent Platform Pipelines Vertex AI Search Agent Search on Gemini Enterprise Agent Platform 公式ドキュメントでは、Agent Studio、Model Garden、Agent Runtime などの略称も使われています。 Feature Store、Model Registry、Model Monitoring なども「Feature Store on Gemini Enterprise Agent Platform」のような名称で継続して提供されています。ただし、Google Cloud コンソール上の位置が変わっているものもあります。既存環境を利用している場合は、名称変更ドキュメントとリリースノートを確認しておくとよいでしょう。 参考:Google Cloud「Gemini Enterprise Agent Platform name changes」 AI エージェント関連機能の拡充 Agent Platform では、AI エージェントを作るだけでなく、登録やアクセス制御、評価、監視まで含めて扱える構成になっています。代表的な機能は次のとおりです。 Agent Garden:エージェント開発の参考となるサンプルやテンプレートを提供 Agent Registry:エージェント、ツール、MCP(Model Context Protocol)サーバーなどを一元的に登録・管理 Agent Gateway:エージェントからモデル、ツール、外部サービスなどへのアクセスを制御 Agent Studio:AI エージェントやプロンプトを設計・検証するための開発環境 モデル体系の刷新 現在、Agent Platform で利用できる Google の生成 AI モデルの中心は Gemini シリーズです。2026 年 10 月時点では、たとえば次のモデルを利用できます。 Gemini 4 Argon Gemini 3.1 Pro Preview Gemini 3.8 Flash Gemini 3.5 Flash/Gemini 3.5 Flash-Lite/Gemini 3.1 Flash-Lite Gemini Nano Banana 2.1(画像生成) Gemini 4 Argon は 2026 年 10 月 13 日に、Gemini Nano Banana 2.1 は 2026 年 10 月 6 日に一般提供(GA:General Availability)が始まりました。 一方、Gemini 2.5 Pro、Gemini 2.5 Flash、Gemini 2.5 Flash-Lite は、Agent Platform では 2026 年 10 月 20 日に提供を終了しました。公式の推奨移行先は次のとおりです。 Gemini 2.5 Pro から|Gemini 3.8 Flash または Gemini 3.5 Flash Gemini 2.5 Flash から|Gemini 3.8 Flash または Gemini 3.5 Flash-Lite Gemini 2.5 Flash-Lite から|Gemini 3.8 Flash、Gemini 3.5 Flash-Lite、Gemma 4 Model Garden には、Google のモデルだけでなく、Gemma などのオープンモデルや Anthropic の Claude などのサードパーティ モデルも含まれており、200 以上のモデルとツールにアクセスできます。 モデルの追加や更新は頻繁です。実際のプロジェクトで採用する際は、公式のモデル一覧やリリースノートで、その時点の提供状況を確認してください。 参考:Google Cloud「Gemini Enterprise Agent Platform release notes」、Google Cloud「Model versions and lifecycle」 2026 年に追加された企業向けの主な機能 2026 年には、企業環境で AI エージェントを動かすことを意識した機能も追加されています。2026 年 9 月に追加・更新された主な機能と提供条件は次のとおりです。 Computer Use/Shell Sandbox:隔離された環境でブラウザ操作やシェル コマンドの実行を行うエージェント向け機能です。2026 年 9 月 9 日に GA になりました。 Agent Gateway の VPC Service Controls 対応:2026 年 9 月 8 日より後に作成された Agent Gateway のデプロイで利用できます。agent connectivity template による接続を設定し、送信トラフィックの設定を ALL_TRAFFIC にする必要があります。 Reinforcement learning fine-tuning(Preview):対応する Gemini モデルを強化学習によって調整する機能です。Gemini 3.5 Flash と Gemini 3.1 Flash-Lite が対象で、チューニングや調整後のモデルを利用できるリージョンにも制限があります。 提供ステージや対応モデル、利用条件は機能ごとに異なります。導入前には、最新のリリースノートと各機能の公式ドキュメントを確認してください。 参考:Google Cloud「Gemini Enterprise Agent Platform release notes」、Google Cloud「About reinforcement learning fine-tuning for Gemini models」 2026 年 10 月の主な発表 2026 年 10 月には、モデルの選択肢とエージェントの統制に関わる発表が続きました。いずれもプレビューや今後の提供予定を含むため、利用時期と条件を確認したうえで検討してください。 10 月 13 日|Gemini 4 Argon が GA になり、Agent Platform の API からモデル ID「gemini-4-argon」で利用できるようになりました。 10 月 21 日|Model Garden で OpenAI のモデル(GPT-6 Astra、GPT-6.1 Sol、GPT-6 Luna)の提供が始まりました。2026 年 10 月時点では、一部の企業顧客向けのプライベート プレビューです。利用料は Google Cloud Marketplace を通じて Google Cloud の請求に含まれます。 10 月 22 日|AI エージェント専用の実行基盤「Agent Compute Engine」が発表されました。プレビューは今後数か月以内に提供予定です。あわせて、Agent Registry、Agent Gateway、Agent Identity などによる統制の対象を、Cloud Run や GKE(Google Kubernetes Engine)、マルチクラウド環境などへ広げる計画も示されています。 参考:Google Cloud Blog「Gemini 4 Argon available on Google Cloud」、Google Cloud Blog「Google Cloud expands model choice and flexibility, bringing OpenAI models to customers」、Google Cloud Blog「Introducing Agent Compute Engine and expanding agent governance」 Gemini Enterprise Agent Platform の主要機能 Agent Platform の AI エージェント関連機能は、Build/Scale/Govern/Optimize の 4 領域に分けられています。それぞれが開発から本番運用までの異なる役割を担っています。 Build(構築) Build は、エージェントを作るための機能が集まる領域です。モデルを選ぶ、企業データにつなぐ、コードでエージェントを開発するといった作業が含まれます。 Agent Development Kit(ADK):コードベースで AI エージェントを開発するためのフレームワーク Agent Studio:AI エージェントやプロンプトの設計・検証 Agent Garden:エージェント開発に利用できるサンプルやテンプレート Model Garden:Google、オープンモデル、サードパーティを含む多数の AI モデル RAG Engine:RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)の構築を支援するマネージド サービス Vector Search:大規模なベクトル検索基盤 Scale(スケール) 作ったエージェントを実際のサービスとして動かすには、実行環境に加えて、セッションやメモリの管理も必要です。Scale には、こうした本番運用を支える機能が用意されています。 Agent Runtime:AI エージェントを本番環境で実行するためのマネージド ランタイム Sessions:エージェントとユーザーのセッション状態を管理 Memory Bank:エージェントが利用する長期的な情報やコンテキストを管理 Code Execution:エージェントによるコード実行を支援 生成 AI モデルの推論では、オンデマンド利用のほか、Provisioned Throughput も用意されています。ワークロードの特性に応じて、性能とコストのバランスを設計できます。 Govern(統制) 企業で AI エージェントを運用するなら、「誰が何を使えるのか」「どのツールへのアクセスを許可するのか」といった統制も欠かせません。Govern は、こうした管理やセキュリティを担います。 Agent Registry:エージェント、ツール、MCP サーバーなどの一元管理 Agent Identity:エージェントごとのアイデンティティ管理 Agent Gateway:エージェントからモデルやツールへのアクセス制御 Governance Policies:IAM(Identity and Access Management)の Unified Access Policies や Semantic governance policies による統制ポリシーの適用 AI threat and vulnerability scanning:AI 向けの脅威・脆弱性の検出 構成によっては、VPC Service Controls、CMEK(Customer-Managed Encryption Keys、顧客管理の暗号鍵)、Private Service Connect、IAM など、Google Cloud 側のセキュリティ機能も組み合わせて利用します。 Optimize(最適化) エージェントは、構築して公開すれば終わりではありません。実際の応答や処理結果を見ながら評価し、動作を調整していく必要があります。Optimize は、そのための領域です。 Agent Evaluation:AI エージェントの品質評価 Agent Simulation:さまざまなシナリオを用いたエージェントの動作検証 Observability:実行状況、トレース、メトリクスなどの可観測性 プロンプトの最適化:エージェントのプロンプト改善を支援 従来の ML/MLOps 機能 Agent Platform という名称から AI エージェント専用のサービスに見えるかもしれませんが、そうではありません。Vertex AI で提供されてきた機械学習や MLOps の機能も残っています。 AutoML:データと目的に応じた機械学習モデルの構築支援 Managed Training:TensorFlow、PyTorch、scikit-learn などを利用したトレーニング(旧 Vertex AI Training) Gemini Enterprise Agent Platform Workbench:JupyterLab ベースの開発環境 Pipelines:ML ワークフローの自動化 Feature Store:機械学習で利用する特徴量の管理 Experiments:トレーニング実行や評価結果の追跡・比較 Model Registry:機械学習モデルの管理 Model Monitoring:デプロイした ML モデルの監視 Agent Platform が適している企業・用途と開発の進め方 Agent Platform は、社内データや既存システムと連携する AI エージェントを、自社の要件に合わせて開発・運用したい企業の選択肢になります。たとえば、社内資料を検索して回答するだけでなく、業務システムへの照会や更新までつなげたい場合です。BigQuery や Cloud Storage などをすでに利用している企業では、既存のデータ基盤を生かした構成を検討できます。 選定時には、実現したい処理に加えて、開発・保守を担う体制、接続先のシステム、扱うデータの範囲、応答速度や費用の要件を整理することが重要です。従業員による情報検索やノーコードでのエージェント作成が中心であれば、Gemini Enterprise app で要件を満たせるかを先に確認すると、独自開発が必要な範囲を判断しやすくなります。 エージェント開発の典型的な流れ Agent Platform を使った開発は、たとえば次のように進めます。 Agent Garden などを参考にエージェントの構成を検討する Agent Studio や Agent Development Kit でエージェントを構築する RAG Engine や Vector Search などを利用して企業データに接続する Agent Registry でエージェントやツールを管理する Agent Gateway などを利用してアクセスを統制する Agent Evaluation や Observability、Cloud Logging/Cloud Trace などを利用して継続的に評価・監視する Google Cloud の他サービスとの連携 Agent Platform は、Google Cloud のデータ分析、ストレージ、ストリーミング、BI(Business Intelligence)サービスと組み合わせて使えます。AI 部分だけを独立して考えるのではなく、データの収集や加工、分析、その後の可視化まで同じ Google Cloud 環境で構成できる点が特徴です。 連携サービス 組み合わせるメリット BigQuery 大規模なデータを分析し、BigQuery ML を利用して SQL ベースで機械学習を実行可能 Cloud Storage トレーニング データやモデル アーティファクトなどを保存 Pub/Sub イベントやストリーミング データを非同期に取り込む基盤として利用可能 Dataflow 大規模なストリーミング/バッチ データの処理や変換を実行 Looker 分析結果や AI による出力を BI に活用 Gemini Enterprise Agent Platform の料金 Agent Platform には一律の料金が設定されているわけではなく、利用するモデルやサービスによって課金方法が変わります。生成 AI モデルは主に入力・出力のトークン数に応じて料金が発生し、Agent Runtime や ML/MLOps の各サービスにもそれぞれ料金体系があります。 利用規模やワークロードによっては、Provisioned Throughput や Flexible Savings Plans といったオプションも選択できます。見積もり時には、Google Cloud 公式の料金ページで最新の料金を確認してください。 Gemini 主要モデルの料金(2026 年 10 月時点) Global エンドポイントを利用する場合の料金例は次のとおりです。入力はテキスト、出力はテキスト(推論トークンを含む)の料金で、金額は米ドル、100 万トークンあたりの単価です。 モデル 入力コンテキスト長 入力(100 万トークンあたり) 出力(100 万トークンあたり) Gemini 4 Argon 区分なし プロモーション価格:$2.00(2026 年 11 月 30 日まで) 2026 年 12 月 1 日以降:$4.00 プロモーション価格:$10.00(2026 年 11 月 30 日まで) 2026 年 12 月 1 日以降:$20.00 Gemini 3.1 Pro Preview 20 万トークン以下 $2.00 $12.00 Gemini 3.1 Pro Preview 20 万トークン超 $4.00 $18.00 Gemini 3.8 Flash 区分なし 導入価格:$0.75(2026 年 12 月 31 日まで) 標準価格:$1.50(2027 年 1 月 1 日以降) 導入価格:$3.75(2026 年 12 月 31 日まで) 標準価格:$7.50(2027 年 1 月 1 日以降) Gemini 3.5 Flash 区分なし $1.50 $9.00 Gemini 3.5 Flash-Lite 区分なし $0.30 $2.50 Gemini 3.1 Flash-Lite 区分なし $0.25 $1.50 Gemini 3.1 Pro Preview では、入力コンテキストが 20 万トークンを超えると、そのリクエストの入力・出力全体に長いコンテキスト向けの単価が適用されます。20 万トークンを超えた部分だけに適用されるわけではありません。 Gemini 4 Argon と Gemini 3.8 Flash の期間限定価格は、対象利用額の 50%をクレジットで還元する方式による価格です。Gemini 4 Argon は 2026 年 12 月 1 日から、Gemini 3.8 Flash は 2027 年 1 月 1 日から、表の後段の価格が適用されます。また、Gemini 4 Argon では 2026 年 11 月 13 日から、3 万 2,000 トークン(32K)を超える出力がタイムアウトなどで失敗した場合も、取得可能なトークン分が課金されます。 参考:Google Cloud「Agent Platform Pricing」 付随機能の料金 生成 AI を利用する場合、モデルのトークン料金以外にもコストが発生することがあります。特に Grounding(検索結果などを根拠に回答を生成する機能)は、利用するモデルによって無料枠や課金単位が異なるため、モデル料金と分けて確認しておきましょう。 Grounding with Google Search:Gemini 3 系・Gemini 4 系では、すべての Gemini 3 および Gemini 4 モデルの利用を合算して月 5,000 Grounding Queries まで無料です。超過分は 1,000 クエリあたり $14 です。利用者の 1 回のリクエストから複数の検索クエリが実行される場合があり、無料枠の判定や課金は個々の検索クエリ数に基づきます。 Grounding with Google Maps:Gemini 3 系・Gemini 4 系では、すべての Gemini 3 および Gemini 4 モデルの利用を合算して月 5,000 検索クエリまで無料です。超過分は 1,000 クエリあたり $14 です。 Grounding with your data:1,000 プロンプトあたり $2.50 です。 Deferred tier(Preview):即時応答を必要としない処理をオフピークに実行し、トークン料金を抑える選択肢です。2026 年 10 月時点で、料金ページに Deferred tier の価格が掲載されているのは Gemini Deep Research Agent です。 無料枠は、Gemini 3 系と Gemini 4 系にそれぞれ月 5,000 件ずつ付与されるものではありません。利用するモデルと機能を特定したうえで、公式の料金ページを確認してください。 参考:Google Cloud「Agent Platform Pricing」、Google Cloud「Gemini Enterprise Agent Platform release notes」 コスト最適化のポイント コストは、モデルの選び方や処理の実行方法でも変わります。すべての処理に同じモデルを使うのではなく、用途や応答速度の要件に応じて使い分けるのが基本です。 用途に応じてモデルを使い分ける 即時応答が不要な処理ではバッチ推論(Batch Inference)を検討し、Deep Research Agent など Deferred tier の対象ではその利用も検討する Context Caching を利用して、繰り返し使うコンテキストのコストを抑える 継続的な利用では Flexible Savings Plans などの割引オプションを検討する 安定した高スループットが必要な場合は Provisioned Throughput を検討する Amazon SageMaker AI・Microsoft の AI 基盤との比較 AI/ML プラットフォームを検討する際、AWS(Amazon Web Services)や Microsoft のサービスと比較するケースも多くあります。どれか 1 つが常に優れているわけではなく、すでに利用しているクラウドやデータ基盤、必要とする AI エージェント機能によって選択は変わります。 主要な比較軸 比較するときは、個別機能の有無だけを見るより、次のような軸に分けた方が整理しやすくなります。 機械学習機能(AutoML、カスタム トレーニングなど) 生成 AI/基盤モデルへのアクセス MLOps 機能 AI エージェントの開発・実行・ガバナンス 各クラウドのデータ基盤との統合 料金体系やコミット型割引 プラットフォームの主な違い 評価軸 Gemini Enterprise Agent Platform AWS Microsoft ML 開発基盤 Agent Platform の ML/MLOps 機能 Amazon SageMaker AI Azure Machine Learning 生成 AI/モデル Gemini シリーズ、Model Garden Amazon Bedrock など Microsoft Foundry、Foundry Models など AI エージェント基盤 Agent Development Kit、Agent Runtime、Agent Registry、Agent Gateway など Amazon Bedrock AgentCore など Foundry Agent Service など 主なデータ連携 BigQuery、Cloud Storage、Pub/Sub など Amazon S3、Amazon Redshift、AWS Glue など Azure Data Lake Storage、Microsoft Fabric など AWS と Microsoft でも、2024 年以降に名称の変更が続いています。比較資料を読むときは、どの時点の名称で書かれているかを確認してください。 Amazon SageMaker は、2024 年 12 月 3 日に Amazon SageMaker AI へ名称が変わりました。 2023 年 11 月に提供が始まった Amazon Bedrock Agents は、Amazon Bedrock Agents Classic に名称が変わりました。2026 年 7 月 30 日から新規顧客の受け入れを終了していますが、既存のエージェントは引き続き動作し、提供終了日は予定されていません。AWS は Amazon Bedrock AgentCore を推奨の移行先としています。これは Amazon Bedrock 全体の提供終了を意味するものではありません。 Microsoft の AI 開発基盤は、Azure AI Studio、Azure AI Foundry という名称を経て、現在は Microsoft Foundry として提供されています。従来の Foundry (classic) ポータルと新しいポータルでは機能や操作方法に違いがあるため、利用する機能と移行条件も確認する必要があります。 参考:AWS「What is Amazon SageMaker AI?」、AWS「Amazon Bedrock Agents Classic maintenance mode」、Microsoft「What is Microsoft Foundry?」、Microsoft「Migrate from the Foundry (classic) portal」 Agent Platform を検討する際の主な特徴 Agent Platform を評価するときは、Gemini を利用できることだけでなく、Google Cloud の既存サービスや Vertex AI 時代からの機能とのつながりも判断材料になります。 Gemini シリーズを Google Cloud 上で利用できる Model Garden を通じて Google 以外のモデルも含めて比較・利用できる BigQuery をはじめとする Google Cloud のデータ基盤と連携しやすい Vertex AI 時代から蓄積されてきた ML/MLOps 機能を利用できる Agent Registry、Agent Gateway、Agent Identity など、エージェント運用のためのガバナンス機能が提供されている Gemini Enterprise Agent Platform/旧 Vertex AI の企業活用事例 Google Cloud の公式サイトでは、Agent Platform や、その前身である Vertex AI を活用した企業事例が公開されています。ここでは、当社が支援した 7-Eleven Vietnam の事例と、業界別の活用イメージを紹介します。 7-Eleven Vietnam|IT 問題解決の自動化 7-Eleven Vietnam では、Vertex AI Agent Builder、Gemini 1.5 Pro、Dialogflow CX を使って、社内の IT サポートを支援する AI チャットボットを構築しました。当社(クラウドエース)は、PoC(Proof of Concept、概念実証)や本番導入前の機能検証を支援し、Gemini 1.5 Pro を活用するためのサポートとトレーニングを提供しました。 公式事例では、IT 関連の問題解決にかかる時間を 50%削減したと報告されています。この事例は、Gemini Enterprise Agent Platform へ名称が変わる前の Vertex AI を利用して構築されたものです。 参考:Google Cloud「7-Eleven Vietnam case study」 業界別の活用イメージ Agent Platform や Google Cloud の AI/ML サービスは、業界によって使い方が変わります。考えられる代表的な用途は次のとおりです。 小売|レコメンデーション、需要予測、価格最適化、顧客対応エージェント 製造|外観検査、予知保全、生産計画の最適化、保守支援エージェント 金融|不正検知、リスク分析、KYC(Know Your Customer、本人確認)の支援、社内ナレッジ検索 メディア|コンテンツ分析、レコメンデーション、生成 AI を活用した制作支援 Gemini Enterprise Agent Platform が選択肢となる理由 Agent Platform を評価するうえでのポイントは、Vertex AI で提供されてきた ML/MLOps 機能を残しながら、AI エージェント向けの開発・運用・ガバナンス機能が加わっていることです。 Vertex AI からの継続性 Vertex AI で提供されてきた ML/MLOps 機能の多くは、Agent Platform でも引き続き提供されています。そのため、既存のワークロードを前提にしながら新しいエージェント機能を検討できます。 ただし、サービス名称や Google Cloud コンソール上の配置、API、提供ステージまでまったく同じとは限りません。既存環境で利用を続ける場合は、対象機能ごとに公式ドキュメントやリリースノートを確認してください。 Gemini モデルへのアクセス Gemini 3 系や Gemini 4 系など、Google の生成 AI モデルを Google Cloud 上から利用できます。提供リージョンや GA/Preview といった提供ステージはモデルによって異なるため、検証時には個別の確認が必要です。 Model Garden の選択肢 Model Garden では、Google のモデルに加えて、オープンモデルやサードパーティ モデルを含む 200 以上のモデルとツールにアクセスできます。用途に応じて複数のモデルを比較しながら選べます。 BigQuery や Google Cloud インフラとの連携 BigQuery、Cloud Storage、Dataflow など、Google Cloud のデータ基盤と組み合わせられる点も Agent Platform の特徴です。データ処理と AI 活用を同じ Google Cloud 環境の中で設計できます。 トレーニング用途では、GPU(Graphics Processing Unit)に加えて TPU(Tensor Processing Unit)などの Google Cloud のコンピューティング リソースも選択できます。 エンタープライズ向けガバナンス AI エージェント向けには、Agent Registry、Agent Identity、Agent Gateway などの機能が提供されています。構成に応じて、IAM、VPC Service Controls、CMEK、Private Service Connect といった Google Cloud のセキュリティ機能も組み合わせられます。 まとめ Gemini Enterprise Agent Platform は、Vertex AI で提供されてきた ML/MLOps 機能を引き継ぎつつ、AI エージェントの構築から実行、統制、評価・最適化までを扱えるようにした Google Cloud の統合 AI プラットフォームです。製品ページや公式ブログでは「Gemini プラットフォーム(Gemini platform)」とも呼ばれていますが、ドキュメントや料金ページは引き続き「Gemini Enterprise Agent Platform」の名称で整理されています。 2026 年 10 月だけでも、Gemini 4 Argon の一般提供、Gemini 2.5 系の提供終了、OpenAI モデルのプレビュー提供、Agent Compute Engine の発表と、大きな発表が続きました。モデルの性能だけでなく、エージェントを企業システムとして安全に運用するための機能に力点が移っていると私は見ています。 だからこそ、これから検討する方には、モデル選びより先に「どの業務を、誰が、どのデータを使って動かすのか」を決めることをおすすめします。そのうえで、Agent Studio や Agent Development Kit による小さなプロトタイプ開発、Model Garden でのモデル比較、必要に応じた RAG やデータ基盤との接続へと進めると、検証の目的がぶれにくくなります。 すでに Vertex AI を利用している方は、まず次の 3 点を確認してください。 利用中のモデルが提供終了の対象になっていないか(Gemini 2.5 系は 2026 年 10 月 20 日に提供終了) 利用中の機能が名称変更マップでどの名称に変わったか 期間限定価格の終了日(Gemini 4 Argon は 2026 年 11 月 30 日、Gemini 3.8 Flash は 2026 年 12 月 31 日)を見積もりに反映しているか 名称も機能も短い期間で変わっています。最新の状況は、Google Cloud 公式ドキュメントとリリースノートで確認しながら進めてください。 ※本記事の内容は、2026 年 10 月 25 日時点で各社の公式ページを確認した情報にもとづいています。 ※Google、Google Cloud、Gemini、Vertex AI、BigQuery、Looker、Google マップ、Google 検索は Google LLC の商標です。 ※Amazon Web Services、AWS、Amazon SageMaker AI、Amazon Bedrock、Amazon S3、Amazon Redshift、AWS Glue は、Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です。 ※Microsoft、Azure、Microsoft Fabric、Microsoft Foundry は、Microsoft グループの商標です。 ※その他、記載されている会社名、製品名、サービス名は、各社の商標または登録商標です。 ラリオス 川口エモーショナルカタリスト兼 Google 認定トレーナー。Google Cloud認定トレーニング事業の立ち上げに従事し、国内トップクラスのトレーニングパートナーに成長させた。その後、自ら認定トレーナーとなり、さらにエバンジェリストの活動と合わせて、Google Cloudの普及と人材育成を牽引。講義の満足度にも定評があり、2025年に新設されたグローバルなGoogle Cloud Trainer Difference Maker賞を日本で初めて受賞。