GAS ✖️ Google AI Studioで考えるAI駆動開発。 非エンジニアが進めたSFAツールの実践。

GAS ✖️ Google AI Studioで考えるAI駆動開発。 非エンジニアが進めたSFAツールの実践。

こんにちは、クラウドエースのマーケティング部の石島です。

クラウドエースではエンジニア部門に限らず、各部門でAIを活用した業務改善や開発に取り組んでいます。今回ご紹介するのは、私が所属するマーケティング部で進めたSFAツールの開発です。

本記事ではその実践をもとに、非エンジニアである私がAI駆動開発をどのように進めたのかをご紹介します。

なぜアプリを作る必要があったのか

アプリづくりの出発点は、マーケティングの観点から見たい数字を、すぐに確認できないという課題でした。

社内にはSFAツールが導入されていますが、中心となっているのは営業視点の情報です。マーケティングとして把握したい数字とは切り口が異なるため、必要な情報を確認するには、複数の管理基盤を手動で見比べて拾い上げる必要がありました。

その作業には毎回30〜40分ほどかかり、確認できる人も限られていました。そのため、必要な数字をすぐに確認できないだけでなく、情報の把握が特定のメンバーに依存し、チームで状況を共有しづらい状態になっていたのです。

データそのものは存在していても、必要なときにすぐ確認できなければ、現場では十分に活用できません。そこで、まずは私たちが必要な数字をすぐ確認できるシンプルなSFAツールを自分たちで作ってみることに。

GAS ✖️ Google AI Studioで進めるAI駆動開発

今回使用したのは、Google AI StudioとGASです。

Google AI Studioは、Googleの生成AIモデルを使い、自然言語で画面や動きのたたき台を素早く形にできるツールです。今回は主にUIのプロトタイピングに活用しました。

一方、GASはGoogle Workspaceと連携した業務アプリを開発でき、Webアプリとしてそのまま公開できます。

この2つを選んだ理由は、非エンジニアでも開発から公開まで進めやすいという特徴があったからです。Google AI Studioは追加の環境構築なしで試すことができ、GASも普段使っているGoogle Workspaceの環境から利用できます。Google Cloudの権限管理の範囲で動くため、社内展開しやすい点も今回の用途に合っていました。

こうした環境によって、「まず形にして、触りながら考える」という進め方がしやすくなりました。

もちろん、AI駆動開発はAIにすべてを任せることではありません。では、実際にAIをどのように活用し、どこを人が判断したのか。ここから具体的な開発の流れを振り返ります。

▼合わせて読みたい
AI駆動開発とは?メリット・注意点・クラウドエース流の実践5ステップなど徹底解説

AI駆動開発の実際の流れ

実際にどのように開発を進めたのかをご紹介します。UIのたたき台づくり、実装時の構成、AIと人の役割分担の3つに分けて振り返ります。

自然言語でUIのたたき台を作成

上記画像は、Google AI Studioで作成したUIのたたき台です。

自然言語で「こういう画面が欲しい」「こういう動きにしたい」と伝え、生成された画面を実際に触りながら修正していく進め方です。ゼロからコードを書くのではなく、頭の中にある「欲しいもの」を言語化し、画面の構成や必要な要素を詰めていきました。

小規模チーム向けの構成で実装

データはBigQueryとスプレッドシートを組み合わせて扱い、GASでWebアプリとして展開しました。

以下の画像は実際に開発したSFAツールのサマリー画面です。まず全体像をつかめるようにし、必要な確認にすぐ入れる構成にしました。

最初から大規模なシステムを目指すのではなく、現在のチーム規模で運用でき、必要に応じて自分たちで直せる構成を選びました。

AIが進めたことと、人が判断したこと

実際に開発を進める中で、AIが得意なことと、人が判断すべきことが、あらためて見えてきました。

観点 AIの役割 人の役割
画面づくり たたき台を素早く出し、修正を繰り返す 何を見せると現場が使いやすいかを決める
機能の具体化 曖昧な要望を動く形へ寄せる 本当に必要な機能かを見極める
データの扱い 扱いやすい構成の検討を助ける どの数字を採用するか、定義を揃える
運用の現実性 改善案を出す チーム規模や運用負荷に合うかを判断する

AIによって「作って試す」までの距離は大きく縮まりました。一方で、その結果を見て何を採用するか、現場で使えるものになっているかを判断するのは人の役割であることを体感しました。

AI駆動開発で速くなったこと、速くならなかったこと

実際に取り組んでみると、AIによって大きく速くなった工程がある一方で、従来と同じように時間をかける必要がある工程もありました。

UIは速く形になった

AIによって、「どの情報をどう見せるか」という方向性を早い段階で判断できました。

従来であれば、要件をある程度固めてから開発に渡す流れが一般的だったと思います。しかし、画面は実際に触ってみないとわからないことも少なくありません。

今回は先に触れるものを作れたことで、「この情報はいらない」「ここはもっと目立たせたい」といった判断がしやすくなりました。

画面の完成度は後から上げられますが、方向性がずれたまま作り込むと手戻りは大きくなります。完成品を想像しながら議論するのではなく、たたき台を見ながら判断できたため、方向性がずれることなく、UI開発のスピード向上につながりました。

時間がかかったのはデータ整理と要件定義だった

一方、他の業務と並行しながら進めたこともあり、ツール全体が形になるまでには約1か月かかりました。

特に時間を使ったのは、既存の社内データの見方を揃え、必要な項目を洗い出し、どの数字をどう扱うかを確認する工程です。

たとえば「先月のご支援開始件数」のような一見単純な数字であっても、期間の切り方や参照元がそろっていなければ、現場で使える指標にはなりません。

AIは実装を助けてくれますが、「何を、どの粒度で、どのデータを見て測るのか」という業務上の定義まで自動的に決めてくれるわけではありません。

今回の開発では、むしろこの工程に時間を使いました。作るスピードが上がったからこそ、その前提となるデータや要件を整理する重要性がよりはっきり見えたとも感じています。

このAI駆動開発の事例から見えたこと

部内専用のSFAツールを開発したことで、これまで毎回30〜40分かかっていた確認作業は約5分程度まで短くなり、特定のメンバーに聞かなくても状況を把握できるようになりました。

また、今回の取り組みを通じてAI駆動開発の価値も強く体感しました。

個人的に大きかったのが、「自分でも作れる」という感覚が生まれたことです。

一度、自分の課題を自分で形にする経験ができると、次の改善や別のツールを作ることへのハードルも下がります。実際、今回作ったツールも完成して終わりではなく、いまも少しずつ機能を足しながら育てています。

今回の実践から見えたポイントは、次の3つです。

  • 現場の課題を素早く形にし、試行錯誤の速度を高められること
  • 要件定義やデータの意味づけ、最終的な判断は人が担う必要があること
  • 最初から大きく作り込まず、現場に合った規模から始めることで改善を続けやすくなること

今回ご紹介したのは、クラウドエースにおけるAI駆動開発の一例です。

こうした取り組みはエンジニア部門だけのものではありません。部門ごとに扱う業務や課題は異なっていても、現場の課題を起点にAIを使ってまず形にしてみるというアプローチは、さまざまな業務で応用できるはずです。

本記事が、現場でAI駆動開発に取り組もうとする方にとって、最初の一歩を考えるきっかけになれば幸いです。