【速報まとめ】Google Cloud Next ’26 Las Vegas 基調講演 Day 2

【速報まとめ】Google Cloud Next ’26 Las Vegas 基調講演 Day 2

※この記事は迅速な情報提供を重視し、速報として掲載しております。もし記事内に誤りがございましたら、後日訂正いたします。

はじめに


現在ラスベガスで開催されている Google Cloud の旗艦イベント「Google Cloud NEXT’26(以下、Next’26)」に現地参加中の茜、井上です。Google Cloud NEXT’26 の最新情報を現地からお届けします!

本稿では、 2026 年 4 月 23 日(木)10:30–11:45(PT)の Developer Keynote(ホスト: Brad Calder 氏、Richard Seroter 氏ほか)の内容を速報で紹介します。

今回の基調講演のテーマ

Developer Keynote では、Gemini Enterprise Agent Platformを活用し、単なるチャットボットを超えた、自律的に動作する「プロダクション・レディ」なエージェントの構築手法が7つのデモを通じて紹介されました。

Google Cloud Next ’26 キーノート概要

これまでのAIは、質問に答える存在でした。しかし今回のGoogle Cloud Nextで示されたのは、まったく異なる未来です。

AIが自分で考え、判断し、行動する。
そんな「エージェント」と呼ばれる存在が、すでに現実のものになりつつあります。
キーノートの冒頭では、印象的な事例が紹介されました。

  • 医療現場でAIが意思決定を支援し、ICUの死亡率を47%削減
  • 個人に合わせて学習内容を変える教育アプリ
  • 現実世界を再現して学習する自動運転AI

これらはすべて、「単なるAI」ではなく
実際に意思決定に関わるエージェント型のシステムです。

デモで描かれた未来:AIが都市イベントを設計する

今回のキーノートは、1つのストーリーを軸に進みました。
それが、

ラスベガスで開催される1万人規模のマラソン大会を、AIが設計・運営する
というシナリオです。
一見するとエンタメのようですが、実際には非常にリアルな問題です。

  • 交通規制はどうするか
  • 医療体制は十分か
  • 地域への影響はないか
  • 安全性は確保されているか

こうした複雑な課題を、AIがどのように解決するのかがデモされました。

3つのエージェントがチームとして働く

このシステムの中心には、3つのエージェントが存在します。

■ Planner(プランナー)

マラソンのルートを設計する役割です。地図やランドマーク、交通状況などを考慮しながら、最適なコースを提案します。

■ Evaluator(評価者)

そのルートが適切かどうかを評価します。
例えば:

  • 距離は正しいか
  • 安全性に問題はないか
  • 地域への影響はどうか

といった観点から、スコアリングを行います。

■ Simulator(シミュレーター)

実際にそのルートでマラソンを開催した場合を再現します。

  • ランナーの動き
  • 交通への影響
  • 混雑状況

などを仮想空間で再現し、現実に近い形で検証します。
この3つが連携することで、

「考える → 評価する → 試す」
というプロセスが自動化されます。

デモの自律性を支える、エージェント構築の主要コンポーネント

ここからが今回のキーノートの本題です。
Googleは、こうしたエージェントを実現するための仕組みをいくつかの重要な技術として提示しました。

1. Agent Development Kit (ADK) と MCP による基礎構築

使用技術: Agent Development Kit (ADK), Model Context Protocol (MCP)
エージェントに特定の「スキル」や「ツール」を付与し、現実に即したタスクを実行させることができます。
このデモでは、MCPサーバーを通じてGoogle MapsのAPIと連携させることで、エージェントが現実の地図データやランドマーク情報を直接取得し、最適なマラソンルートを自動で計画できるようになりました。

複雑なAPI連携をGoogle Cloudが安全に管理してくれるため、開発者はエージェントの構築に専念できます

紹介された機能の解説

  • Agent Development Kit (ADK): モジュール型エージェントを構築するためのフレームワーク 。
  • Model Context Protocol (MCP): エージェントが外部ツールやデータと通信するための標準プロトコル 。
  • Skills: YAMLメタデータとMarkdownで定義され、エージェントに専門知識(地図、GIS、レース運営等)を付与するコンポーネント 。
  • Google Cloud MCP Servers: Google Cloudの全サービスがMCPに対応し、地図データ等への安全なアクセスを提供 。

2. A2AプロトコルとA2UIによるエージェント間の協調

1つのエージェントだけでなく、複数のエージェントをチームとして連携させます。
使用技術: Agent-to-Agent (A2A) プロトコル, Agent Registry, A2UI (Agent User Interface)
デモでは、「ルートを計画するエージェント」「ルートを評価するエージェント」「実際にシミュレーションを動かすエージェント」が、脆弱なAPIコードを書くことなく自動的に連携していました。

さらに驚くべきはA2UIの導入です。エージェント自身が、評価結果や地図を表示するための最適なユーザーインターフェース(UI)を動的に生成し、人間に分かりやすく提示することが可能になりました。

紹介された機能の解説

  • A2UI (Agent-to-User Interface): エージェントがユーザーの意図を汲み取り、最適な UI(ルートマップやスコアボード等)を動的に生成・表示するオープンスタンダード。もはやダッシュボードを事前に作り込む必要はありません。
  • A2A (Agent-to-Agent) プロトコル: エージェント同士が API を介さず対話するための通信規格。
  • Agent Registry: いわば 「エージェント界の DNS」 です。中央ディレクトリが各エージェントのアイデンティティとスキルセットを解決し、未知のエージェント同士が自律的に発見・協力することを可能にします。

3. メモリ管理と高度なデータ連携 (RAG)

AI との対話における「ステートレス(忘却)」の壁を、Google は Context Engineering で突破しました。
使用技術: Memory Bank, AlloyDB, Apache SparkによるRAG(検索拡張生成)
デモでは、エージェントが地域の規制を検索した際、「Nevada Revised Statutes – Historical Act of 1875(1875年制定のネバダ州改正法)」 を発見し、「公道でラクダを走らせることは禁止されている」というニッチな規則に基づいて即座にルートを修正。会場に驚きを与えました。
この高度なRAGを実現する裏側として、データエンジニアリングエージェントが自然言語のプロンプトからデータパイプラインを生成する様子もデモされました。
「Lightning Engine for Apache Spark」の高速な処理能力と「Document AI」を組み合わせることで、PDFなどのドキュメントを読み込み、意味的なまとまりごとに分割(セマンティックチャンキング)してAlloyDBに保存するプロセスが自動化されています。

紹介された機能の解説

  • Memory Bank: エージェントに長期記憶を付与。過去のシミュレーション結果やユーザーの嗜好を保持し、一貫性のある対話を実現します。
  • AlloyDB の Auto Embeddings: AlloyDB と Spark を活用した RAG(検索拡張生成)において、開発者が手動でベクトル化する手間を排除。データベース側で自動的に埋め込みベクトルを生成し、高度な専門知識(グラウンディング)をエージェントに提供します。

4. エージェントの可観測性 (Observability) と自動デバッグ

AIの思考プロセスが複雑化する中、エラーの特定と修正もAIがサポートします。
使用技術: Agent Observability, Gemini Cloud Assist, MCP対応の統合開発環境(IDE)
膨大なログの中から、トークン数超過によるクラッシュの原因を素早く特定できます。さらに素晴らしいのは、Gemini Cloud Assistがエラーの原因を説明するだけでなく、コードの修正案(イベントコンパクションの頻度調整など)を提案し、IDE上で直接適用から再デプロイまでを自然言語のやり取りだけで完結できる点です。
デモでは、シミュレーターが膨大なツール呼び出しにより Gemini API の制限を超えてクラッシュした際、Gemini Cloud Assist がログを分析。原因がトークン制限超過であることを特定しました。Cloud Assist は単なるエラー報告に留まらず、ADK の機能である「イベント・コンパクション(文脈の要約圧縮)」の閾値を調整する修正案を提示。開発者は自然言語でこれを承認するだけで、パッチを適用できました。

紹介された機能の解説

  • Agent Observability: 推論フローやツール呼び出し、オペレーショナルメトリクスを可視化する指標群 。
  • Gemini Cloud Assist Investigations: ログやインフラの状態を自律的に調査し、根本原因を特定するAIアシスタント 。
  • Event Compaction: トークン制限を超えないよう、文脈を動的に要約・圧縮するADKの最適化機能 。

5. インフラの自動変換と Gemma 4 によるカスタマイズ

コードの修正だけでなく、インフラ環境の変更もAIとの対話で実現します。
使用技術: Gemini Cloud Assist, Google Kubernetes Engine (GKE), Gemma 4モデル
デモでは、「Cloud Runで動いているアプリをGKEに移行し、同じクラスターにGemma 4をデプロイして」とプロンプトで指示するだけで、AIが複雑なインフラストラクチャの変更を自動で構成・デプロイしました。これにより、急激なスケールアップやカスタマイズモデルの導入といったインフラ作業のハードルが劇的に下がります。

紹介された機能の解説

  • Vibe Clouding: 意図(インテント)を伝えるだけで、既存のインフラ構成(IaC)を自動変換し、デプロイまで完結させる手法 。
  • GKE (Google Kubernetes Engine): AIワークロードの提供とスケーリングに最適化されたマネージド基盤 。
  • Gemma 4 on vLLM: クラスター内でセルフホストされる最新のオープンモデル 。

6. ノーコードとハイコードの融合

エンジニア以外のメンバーも、簡単にエージェントを作成してプロジェクトに参加できます。
使用技術: Gemini Enterprise (Agent Designer)
コーディングの知識がなくても、日常的に使っている業務マニュアルや備品リスト(Googleドキュメントなど)をAIに読み込ませるだけで、特定の業務に特化したエージェントを数分で作成できます。
デモでは、飲料水や仮設トイレの手配を行う物流エージェントを作成し、プロの開発者が作ったプランナーエージェントとシームレスに連携させることに成功しました。

また、Gemini Enterpriseでは独自にエージェントを作成するだけでなく、Googleが提供する事前構築済みのエージェントを活用して、データソースからインサイトを引き出すことも可能です。
基調講演の中では、データインサイトエージェントの個人的なお気に入りとして「NotebookLM」が挙げられ、開発者やチームが自身のデータから新たな価値を容易に見出せる環境が整っていることが強調されました 。

紹介された機能の解説

  • Gemini Enterprise Agent Designer: 自然言語のプロンプトとドキュメントだけでエージェントを生成するインターフェース 。
  • Shared Context: ノーコードで作られたエージェントと、開発者が書いたエージェントが共通のレジストリで文脈を共有する機能 。
  • Automatic Registration: 生成された全エージェントがレジストリに自動登録され、他のアプリからも発見可能になります 。

7. ゼロトラスト・ガバナンスと Wiz による防衛

強力な自律型エージェントには、厳格な制御とセキュリティ監視が不可欠です。
使用技術: Agent Identity, Agent Gateway, Wiz (AIセキュリティプラットフォーム)
エージェントごとに個別のID(Agent Identity)を割り当て、アクセス権限を厳格に管理できます。
デモでは、「ルート計画エージェントには財務データベースの書き込み権限を与えない」といったゼロトラストな制御を行う様子が紹介されました。
また、WizのAIエージェントと連携することで、コード内の脆弱性や過剰なアクセス権限を自動でスキャンし、開発者のツール上で直接修正案を提示して防ぐことができます。

紹介された機能の解説

  • Agent Identity: エージェントごとに発行される、偽装不可能な固有の資格情報 。
  • Agent Gateway: 通信を仲介し、読み取り専用ポリシーなどのIAM制限を厳格に強制するプロキシ 。
  • Wiz (Red & Green Agents): 攻撃者視点で脆弱性を探るRedエージェントと、修正コードを提案するGreenエージェント 。

まとめ

「Las Vegas Neon Night Run 2027」という壮大なデモが示したのは、エージェントがもはや単なる「チャットの相手」ではなく、実世界の課題を解決する「パートナー」になったということです 。
今回紹介された全てのコードはGitHubでオープンソースとして公開されています 。さあ、あなたも今日から、自律型クラウドの時代を築くエージェントの構築を始めてみませんか?

【参考リンク】
関連する公式情報はこちらです。併せてご確認ください。

Google Cloud Next Tokyo ’26
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日時:2026年7月30日(木)・31日(金)
会場:東京ビッグサイト 南展示棟・会議棟
参加費:無料(事前登録制)

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