ゼロトラストはブラウザから!「Chrome Enterprise Premium」で実現する、新しい働き方のセキュリティ

ゼロトラストはブラウザから!「Chrome Enterprise Premium」で実現する、新しい働き方のセキュリティ

こんにちは!クラウドエースのエモーショナルエバンジェリスト、ラリオスです。

働き方が大きく変わり、テレワークやクラウドサービス(SaaS)の利用は、もはや特別なことではなくなりました。私たちは場所を選ばずに、さまざまなデバイスから会社のデータやシステムにアクセスできる、とても便利な時代に生きています。

しかしその裏側で、情報システムの管理に携わる方々は、新たなセキュリティの課題に直面しているのではないでしょうか。

これまでのセキュリティ対策は、社内と社外を明確に分け、その境界線を「壁」で固める「境界型セキュリティ」が主流でした。しかし、従業員が自宅やカフェから、さらには個人のスマートフォンや PC(BYOD)からも業務を行うようになった今、守るべき「境界線」そのものが曖昧になっています。

  • 利用する SaaS が増えるたびに ID 管理が煩雑になり、誰がどのシステムにアクセスできるのか正確に把握しきれない。
  • 安全な業務環境を提供したいが、テレワークや BYOD を認めることで、情報漏洩やマルウェア感染のリスクが心配だ。
  • 多くの従業員が利用する Chrome ブラウザを、会社として安全に、そして統一されたポリシーで管理したいが、よい方法が見つからない。

このような課題は、従来の「壁」に頼った考え方だけでは解決が困難です。そこで重要になるのが、「何も信頼しない」ことを前提にあらゆるアクセスを検査する「ゼロトラスト」という考え方です。

今回のコラムでは、このゼロトラストを実現するための、非常に現実的で強力なソリューション、「Chrome Enterprise Premium」について、その核心とビジネスにもたらす価値を、経営層からエンジニアのみなさんまで分かりやすく解説していきます。

なぜ「ブラウザ」がセキュリティの要になるのか?

「ゼロトラスト」と聞くと、多くの人はネットワーク機器の入れ替えや、PC にインストールするセキュリティソフトといった、大掛かりなものを想像するかもしれません。もちろん、それらも重要な要素です。しかし、今日の働き方をよく見渡してみると、もっと私たちユーザーの身近に、そしてセキュリティ対策の「要」となるべき場所があることに気づきます。

それが「ブラウザ」です。

考えてみてください。私たちが日常業務で利用するツールの多くは、今やブラウザの中で動いています。メールの確認、チャットでのコミュニケーション、Web 会議、顧客情報の管理、プロジェクトの進捗確認、経費の申請まで、あらゆる業務がブラウザという「窓」を通じて行われています。

これは、ブラウザが企業の重要なデータと、さまざまなクラウドサービス、そしてユーザーを結ぶ「最大の接点」になっていることを意味します。つまり、この接点をしっかりと保護することが、情報漏洩やマルウェア感染といった脅威から企業を守るうえで、最も効率的で合理的なアプローチの一つなのです。

従来のデバイス単位やネットワーク単位の対策は、例えるなら「空港の保安検査場」のようなものです。一度中に入ってしまえば、ある程度の自由が許されます。しかし、ゼロトラストの時代では、たとえ空港の中に入った後でも、一人ひとりの搭乗者が「本当に信頼できる人物か」をつねに確認し続ける必要があります。

ブラウザをセキュリティの要とすることは、この「一人ひとりの搭乗者」、つまり「ユーザー」に最も近い場所で、その振る舞いやアクセス先をきめ細かく制御することに他なりません。これにより、たとえ社内の人間であっても、万が一マルウェアに感染したデバイスを使っていても、重要なデータへのアクセスを水際で食い止めることが可能になります。

次の章では、このブラウザを強力なセキュリティの要塞に変える「Chrome Enterprise Premium」が、具体的にどのような価値を提供してくれるのかを詳しく見ていきましょう。

Chrome Enterprise Premium が提供する 3 つの価値

Chrome Enterprise Premium は、単なる「高機能なブラウザ」ではありません。これは、Google Workspace とシームレスに連携し、ゼロトラスト セキュリティを実現するための「セキュリティ プラットフォーム」です。

ここでは、その具体的な価値を、大きく 3 つのポイントに絞ってご紹介します。

価値 1|脅威とデータ保護

一つ目の価値は、外部からの脅威と内部で発生する情報漏洩、その両方から企業を守る強力な保護機能です。

  • データ損失の防止(DLP)
    ユーザーがブラウザを通じて、コピー & ペーストやアップロード、印刷などによって機密情報を意図せず外部に持ち出そうとするのを検知し、ブロックします。保護対象は、定義済みのルールだけでなく、企業独自のカスタムルールで設定することも可能です。
  • マルウェア・フィッシング対策
    ユーザーが危険なサイトにアクセスしたり、悪意のあるファイルをダウンロードしようとしたりすると、それを検知して警告・ブロックします。とくに、ファイルは「サンドボックス」と呼ばれる安全な隔離環境で一度実行・検査されるため、万が一の際もデバイスへの感染を未然に防ぎます。
  • アラートとレポート
    これらの脅威やデータ保護に関するイベントは、つねに記録され、管理者はレポートで状況を確認できます。これにより、インシデントへの迅速な対応が可能になります。

価値 2|柔軟なアクセス制御

2 つ目の価値は、ゼロトラストの核心ともいえる、状況に応じた柔軟なアクセス制御です。「誰が、いつ、どこから、どのデバイスで」アクセスしているかに基づき、社内システムや SaaS へのアクセス可否をきめ細かくコントロールできます。ブラウザがエンドポイントとして健全性チェックとアクセス制御を行うので、エージェントの展開や複雑なネットワーク機器の構成及びメンテナンスをすることなく、シンプルに環境や場所に依存しない安全なアクセスを実現することができます。

たとえば、以下のような制御が可能です。

  • 会社の管理下にあるデバイスからでなければ、特定のアプリケーションへのアクセスを許可しない。
  • 業務時間外は、機密性の高いデータへのアクセスを制限する。
  • 海外など、通常業務を行わない場所からのアクセスをブロック、または追加認証を要求する。

これにより、利便性を大きく損なうことなく、必要なセキュリティレベルを確保する、というバランスの取れた運用が実現できます。また、Google Cloud 上で守られたクラウド プロキシをセキュア ゲートウェイとして活用することで、DDoS 攻撃やネットワーク機器の脆弱性を突いた攻撃から社内の Web アプリケーションを保護することもでき、社内システムの安全性を担保しながら従業員の安全なアクセスを実現することが可能です。

価値 3|ID とブラウザの一元管理

最後の価値は、IT 管理者の運用負荷を大幅に軽減する、効率的な管理機能です。ブラウザは端末の依存性も解消するので、OS に依存せずに運用を一元化することができ、さらには BYOD 環境も企業アカウントで保護されたエンタープライズ ブラウザ領域で安全に運用できるので、多様な働く環境に適応することが可能です。

  • ID の一元管理
    Google Workspace(Cloud Identity)を認証基盤として中心に据えることで、従業員は 1 つの ID とパスワードで、承認されたさまざまな社内システムや SaaS へ安全にログインできるようになります。これにより、従業員のパスワード管理の負担と、管理者のアカウント発行・棚卸しの手間を削減します。多要素認証も構成することができ、脆弱なパスワードのチェックアップ等により企業アカウントを保護することも可能です。
  • ブラウザのポリシー管理
    管理者は、組織内のすべての Chrome ブラウザに対し、セキュリティポリシーや利用できる拡張機能を一元的に適用できます。これにより、全従業員がつねに会社が定めた安全な設定のブラウザを利用することを徹底させることができ、BYOD 環境においてもセキュリティレベルを維持しやすくなります。会社のプロファイルで Chrome ブラウザにサインインするだけでポリシーが瞬時に適用され、個人と会社の領域を切り分けて運用することで統制と柔軟性を両立したアプローチを提供します。

このように、Chrome Enterprise Premium は、セキュリティ強化と運用効率の向上を同時に実現する、強力なソリューションなのです。

導入を成功させるために|クラウドエースの伴走支援

Chrome Enterprise Premium が非常に強力なツールであることは、お分かりいただけたかと思います。しかし、どんなに優れたツールでも、自社の環境に合わせて正しく設計・導入し、適切に運用できなければ、その価値を最大限に引き出すことはできません。

とくにゼロトラストのような新しいセキュリティモデルを導入する際は、専門的な知見に基づいた計画的なアプローチが不可欠です。

そこで私たちクラウドエースは、お客様が Chrome Enterprise Premium の導入を成功させ、その効果を確実に享受できるよう、セキュリティ アセスメントから設計・導入、そしてその後の運用サポートまで、一貫した伴走支援をご提供しています。

  • ステップ 1|セキュリティ アセスメント
    まずは、お客様の現在のセキュリティ状況を正確に把握することから始めます。お客様の環境に最適化されたチェックシートを用いて現状を分析し、ゼロトラスト実現に向けた課題やロードマップを明確にします。
  • ステップ 2|設計・導入支援
    アセスメントの結果に基づき、具体的なシステムの設計と導入を行います。Google Workspace を中心とした ID 管理・認証基盤の設計や、既存の社内システム・SaaS との連携、そして Chrome ブラウザのセキュリティポリシー設定まで、お客様のビジネス要件に合わせて丁寧に構築していきます。
  • ステップ 3|運用サポート
    導入して終わり、ではありません。お客様の IT 部門が自信をもってシステムを運用できるよう、管理者向けのトレーニングや、定期的なミーティングを通じた継続的なサポート、日々の疑問にお答えする Q&A やトラブルシューティングまで、責任をもってご支援します。

このように、クラウドエースは単にツールを提供するだけでなく、お客様が安心してゼロトラスト セキュリティの導入を進められるよう、経験豊富な専門家が、計画から運用まで一貫してサポートします。

まとめ|ゼロトラスト実現の現実的な第一歩

今回のコラムでは、働き方が変わった現代において、セキュリティの中心が「ブラウザ」に移っていること、そして「Chrome Enterprise Premium」がその要となることを解説しました。

「ゼロトラスト」と聞くと、多くの企業がその実現の難しさを感じています。しかし、その第一歩は、従業員が毎日使う「ブラウザ」から始めることができます。

Chrome Enterprise Premium は、まさにそのための現実的で強力なソリューションです。とくに Google Workspace を利用している企業であれば、既存の環境とシームレスに連携し、導入のハードルを大きく下げることが可能です。

使い慣れたブラウザの利便性を損なうことなく、データ保護やアクセス制御といった堅牢なセキュリティを実装できるため、生産性と安全性の両立が実現します。

働き方の境界線がなくなった今、セキュリティの中心をブラウザに置くことは、もはや特別な対策ではなく、ビジネスを守るための新しいスタンダードです。

もし、みなさんの組織で新しい働き方のセキュリティに課題を感じていたり、ゼロトラストへの第一歩を具体的に検討したいとお考えでしたら、ぜひ一度、私たちクラウドエースにご相談ください。

Chrome Enterprise Premium 導入支援の詳細はこちら
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