こんにちは、クラウドエース システム開発部 バックエンドディビジョンの水口と水野です。2023 年 8 月 29 日(太平洋時間)、Google Cloud のカンファレンスイベント「Google Cloud Next’23」が開かれ、生成 AI 関連の機能を中心に新サービスや既存サービスのアップグレードが発表されました。今回は、Google Cloud Next’23 の基調講演の内容をご紹介します。目次 Toggle① Google CEO Sundar Pichai 氏の挨拶② 顧客を支援する新しいインフラストラクチャとツール③ Vertex AI プラットフォームのさらなる強化④ Workspace と Google Cloud の Duet AI⑤ 統合されたデータと AI 基盤による大規模な分析の簡素化⑥ セキュリティにおける最大の課題への対処⑦ エコシステムの拡大⑧まとめ① Google CEO Sundar Pichai 氏の挨拶まずは Google CEO より挨拶がありました。2019 年以来初となる対面式の Google Cloud Next イベントを開催できたことに対しての喜びと、年間収益や第二四半期の利益率達成などのマイルストーン達成について、またその成功の元となった多くのお客様との新規の関係・拡大した関係について述べています。 また、あらゆる企業、政府、ユーザーが生成 AI と最先端のクラウド テクノロジーから利益を得るための支援について、以下の内容が発表されました。詳細は次項以降でご紹介します。AI に最適化されたインフラストラクチャカスタム モデルを作成し、エンタープライズ データを使用してカスタム検索および会話アプリを構築するための、Vertex AI の大幅な進歩Duet AI:Google Workspace と Google Cloud に深く統合された常時稼働の AI コラボレーターその他:開発者ツール、データ、セキュリティ、サステナビリティ、および急成長するクラウド エコシステムに関する重要な多数の発表 ② 顧客を支援する新しいインフラストラクチャとツール続いて、生成 AI を十分に活用するために不可欠なインフラについて、発表がありました。 1.Cloud TPU v5e(プレビュー版): Cloud TPU v4 と比較して、1 ドルあたりのトレーニング パフォーマンスが最大 2 倍、1 ドルあたりの推論パフォーマンスが最大 2.5 倍向上する、Cloud TPU v5e が発表されました。 2.NVIDIA h200 GPU を搭載した A3 VM: NVIDIA の h200 GPU を搭載した A3 VM は、来月一般提供される予定と発表されました。前世代の A2 と比べて 3 倍優れたトレーニング パフォーマンスを達成できるようになります。 3.GKE Enterprise(プレビュー版): 極めて要求の厳しいミッションクリティカルな AI/ML ワークロードに必要な、マルチクラスタの水平スケーリングが可能になる、GKE Enterprise が発表されました。実際導入により顧客に驚くべき成果をもたらしており、生産性の 45% 向上、ソフトウェアのデプロイ時間の 70% 以上の短縮に成功しています。 4.Cross-Cloud Network(プレビュー版): クラウド間でアプリケーションを接続し、保護するのに役立つグローバル ネットワーキング プラットフォームとして、Cross-Cloud Network が発表されました。オープンでワークロードに最適化されており、ML を活用したセキュリティを提供してゼロトラストを実現します。顧客がどのクラウドからでも Google サービスに簡単にアクセスできるように設計されたクロスクラウド ネットワークは、ネットワーク遅延を最大 35% 削減しています。 5.Google Distributed Cloud(一般提供済み): 従来の Google Cloud データセンターとは別に、Google が提供および保守する専用のハードウェア上で Google Kubernetes Engine (GKE) クラスタを実行できる Google Distributed Cloud が一般提供されました。③ Vertex AI プラットフォームのさらなる強化続いて、Vertex AI プラットフォームの強化に関する発表がありました。。Vertex AI Search and Conversation の一般提供が開始されました。これにより、最小限のコーディングでエンタープライズ相当の管理とセキュリティが組み込まれ、データを使用した検索アプリケーションやチャットアプリケーションを、わずか数分で作成できるようになります。 また、その他にも Vertex AI プラットフォームに関する新たなモデルとツールが発表されました。 1.PaLM 2、Imagen、Codey のアップグレード: PaLM 2 の 32k コンテキスト ウィンドウへの更新を行い、長文の文書を簡単に処理できるようにしました。Imagen は視覚的な魅力の改善、Codey は新しい言語のサポートを拡張しました。 2.チューニング用ツール: PaLM 2 と Codey については、アダプターチューニングをそれぞれ一般提供およびプレビュー版として提供しています。これによりわずか 100 個のサンプルで LLM パフォーマンスの向上に役立てることができるようになります。また、Imagen に対しても新しいチューニング方法を導入し、少量の参照画像を使用して、特定のニーズに合わせた画像を作成できます。 3.新しいモデル: Meta の Llama 2 と Code Llama、人気のオープンソース モデルである Technology Innovative Institute の Falcon LLM が利用可能になりました。 4.Vertex AI 拡張機能: 開発者は、リアルタイム情報を提供し、企業データを組み込み、ユーザーに代わってアクションを実行する拡張機能にアクセス、構築、管理できます。これにより、企業の拡張機能として動作できる 生成 AI アプリケーションが、CRM システムや電子メールなどのサードパーティ プラットフォーム上で独自の情報にアクセスしてアクションを実行できるようになります。 5.Grounding: Vertex AI 基盤モデル、検索、会話全体で応答を自社のエンタープライズ データにグラウンディングして、より正確な応答を提供できるようになります。 6.Vertex AI の電子透かし(デジタルウォーターマーク): Google DeepMind SynthID を利用して、透かしをピクセル画像に直接埋め込み、人間の目には見えず、改ざんを困難にする最先端のテクノロジーを提供します。 7.Colab Enterprise: Google の Colab ノートブックをエンタープライズ レベルのセキュリティおよび、コンプライアンス機能で利用できるようになります。 Keynote では、実際に Vertex AI を利用したデモも行われました。よろしければ下記よりご覧ください。 Google Cloud Next ’23—Opening Keynote④ Workspace と Google Cloud の Duet AI次に、Duet AI に関する発表がありました。Workspace に導入され、数千の企業と 100 万人を超える信頼できるテスターによって使用されてきた Duet AI は、Gmail やドキュメントでの文章の作成や、スライド上に挿入するオリジナル画像の生成などで活用されてきました。今回新たに Google Meet とGoogle Chat における Duet AI の機能強化が導入されました。 また、本日より Google Workspace の Duet AI が一般提供となったこと、更に Google Cloud の Duet AI のプレビュー機能の拡張と、年度末までを目標とした一般提供予定が発表されました。 以下は、本 Keynote で紹介された Google Workspace、Google Cloud における Duet AI のデモです。 Google Workspace 上デモ Google Cloud Next ’23—Opening KeynoteGoogle Cloud 上デモ Google Cloud Next ’23—Opening Keynote⑤ 統合されたデータと AI 基盤による大規模な分析の簡素化BigQuery、Looker、Spanner、Dataplex、などで全体でデータ エンジニアとデータ アナリストを支援する Duet AI のリリースに加えて、データと分析に関して他にもいくつかの重要な発表がありました。 1.BigQuery Studio: データ エンジニアリング、分析、予測分析用の単一インターフェースである BigQuery Studio は、データチームの効率の向上に役立ちます。さらに、Vertex AI 基盤モデルへの新たな統合により、組織がデータレイクハウスを AI 対応できるよう支援します。 2.AlloyDB AI: AlloyDB AI は、標準 PostgreSQL より最大 10 倍高速な高性能ベクトル クエリなど、GenAI アプリを簡単に構築するための統合された機能セットを提供します。さらに、AlloyDB Omni を使用することで、オンプレミス、Google Cloud、AWS、Azure、または Google Distributed Cloud 経由など、事実上どこでも AlloyDB を利用できるようになります。⑥ セキュリティにおける最大の課題への対処Security AI Workbench、Chronicle CyberShield といったこれまでに発表されたセキュリティ機能に加え、以下の内容が発表されました。 1.Mandiant Hunt for Chronicle: このサービスは、Mandiant の専門家による攻撃者の行動に関する洞察と、セキュリティ データを迅速に分析および検索する Chronicle Security Operations の機能を統合し、顧客が雇用、ツール、トレーニングの負担なく高度なサポートを受けられるように支援します。 2.エージェントレスの脆弱性スキャン: Security Command Center の機能によって、 Compute Engine 仮想マシン上のオペレーティング システム、ソフトウェア、ネットワークの脆弱性を検出します。 3.ネットワーク セキュリティの進歩: Cloud Firewall Plus は、分散ファイアウォール サービスに高度な脅威保護と次世代ファイアウォール (NGFW) 機能を追加します。また、Network Service Integration Manager を使用すると、ネットワーク管理者はトラフィック検査のために信頼できるサードパーティの NGFW 仮想製品を簡単に統合できます。 4.Assured Workloads 日本リージョン: 日本リージョンでデータ常駐、暗号化キーのローカル制御のオプション、および管理アクセスの透明性を強制する制御された環境を利用できるようになりました。⑦ エコシステムの拡大Box、Canva、Salesforce、UKG などの Vertex AI を使用して顧客向けに独自の機能を構築しているパートナーに加え、以下のパートナーについての発表がありました。 1.DocuSign: Google と協力して、複雑な契約書やその他の文書の内容を要約、説明、回答できるスマート コントラクト アシスタントの生成に Vertex AI を使用する方法を試験的に進めています。 2.SAP: Google と協力して、SAP データと Vertex AI を活用した新しいソリューションの構築に取り組んでいます。これにより自動車製造の合理化や持続可能性の向上などの重要なビジネス ユースケースに生成 AI を適用できるようになります。 3.Workday: 財務および人事向けアプリケーションが現在 Google Cloud 上で稼働しており、 Workday のフロー内で新世代 AI 機能の開発に協力しています。 さらに、Accenture、Capgemini、Deloitte、Wipro などの世界最大手のコンサルティング会社の多くで、顧客による 生成 AI の実装を支援するための共同トレーニング計画を立てていることも発表されました。⑧まとめここまで、Google Cloud Next’23 の基調講演の内容を紹介してきました。基調講演だけでなく、Next’23 の各種セッションはこちら(Google Cloud Next’23)からご視聴が可能となっておりますので、Google Cloud の最新情報のキャッチアップにご活用いただき、アップデートされた Google Cloud の各種サービスをぜひお試しください。 ※この記事は迅速な情報提供を重視し、速報として掲載しております。もし記事内に誤りがございましたら、後日訂正いたします。