2026/04/30 交通・運輸 関西エアポート株式会社 データ分析基盤構築 データドリブン体制の構築・強化 関西エアポートが確立した、組織の壁を超える情報活用基盤と内製化のプロセス 関西国際空港、大阪国際空港、神戸空港の3空港を一体運営する関西エアポート株式会社(以下、「関西エアポート」)。関西エアポートは現在、社内に散在するデータを一元管理し、ビジネス価値の創出を目指すデータウェアハウス(DWH)「NAMI」の構築・活用プロジェクトを推進しています。開発の主導権を自律的にコントロールする内製化を掲げ、Google Cloudを活用した基盤構築を実現した同プロジェクト。その成功の舞台裏と、理想的な協力体制をどのように築き上げたのか、プロジェクトを牽引する3名の担当者にお話を伺いました。 ※NAMIとは、関西エアポート株式会社が独自に構築した、データウェアハウス(DWH)の名称です (左から) 関西エアポート株式会社 IT本部 ITイノベーション部 部長 兼 データ・AIグループリーダー / アントワングラセ氏 IT本部 ITイノベーション部 データ・AIグループ / 荻生 崚太郎氏 IT本部 ITイノベーション部 データ・AIグループ / 髙田 茉一帆氏 クラウドエース株式会社 事業推進本部 第三事業部 / 中西 理子 技術本部 第三開発部 / 丸山 弘夏 事業推進本部 第三事業部 / 石塚 健斗 経営の要となるデータを唯一の信頼できる情報へ 関西エアポートのIT本部 ITイノベーション部 データ・AIグループが手掛けるデータ基盤の構築は、単なるシステム導入にとどまらず、データドリブンな文化を社内に醸成するための重要な取り組みでした。 NAMIの構築が必要とされた背景について、同グループのアントワン氏は次のように説明します。 関西エアポート株式会社IT本部 ITイノベーション部 部長 兼 データ・AIグループリーダー / アントワングラセ氏 「空港運営において、『いつ、どの飛行機に、何人乗ったか』というトラフィックデータは、我々のビジネスの根幹に関わる極めて重要な指標です。しかし以前は、これらのデータが複数のシステムや各部署のエクセルに散在しており、会社として『唯一の信頼できるデータ(Single Source of Truth)』を定義することが困難でした。NAMIによって全社が同じ数字を見られる環境を作り、経営の透明性と説得力を高める必要があったのです」(アントワン氏) このビジョンを実現するため、関西エアポートはデータウェアハウスの構築に着手しましたが、同時に開発体制の見直しも進めていました。開発のスピードとコントロールを自社に取り戻し、より機動的なデータ活用を実現するため、内製化へと舵を切ることになりました。 技術スタックの適合性と自走力が支える開発体制 内製化を進める上で、自社の意思決定を技術的に支え、業界の標準的な手法や新しい技術トレンドを柔軟に取り入れられる協力体制が求められました。そこで、Google Cloudの専門知見を持つクラウドエース株式会社(以下、「クラウドエース」)が、技術的な支援を担う立場でプロジェクトに参画します。技術担当の荻生氏は、当時の体制づくりの意図についてこう語ります。 関西エアポート株式会社 IT本部 ITイノベーション部 データ・AIグループ / 荻生 崚太郎氏 「私たちが利用している Google Cloudのスタックに対し、最も守備範囲が広く、知見が深かったのがクラウドエースでした。また、内製化を進める上でも、外部の専門的な目線を入れることで、開発手法が独りよがりにならないようにしたいという意図もありました」(荻生氏) クラウドエースの営業担当の石塚は、当時の状況を次のように振り返ります。 クラウドエース株式会社 事業推進本部 第三事業部 / 石塚 健斗 「関西エアポート様からは、単なる外注先ではなく、内製化を技術面で補完し、共に成長できるパートナーとしての柔軟性を求められていました。弊社のエンジニアが持つ『自走力』を最大限に活かせるよう、お客様と一体感を持って動ける体制づくりを重視しました」(石塚) 指示待ちではないプロフェッショナルな姿勢が開発を加速 プロジェクトが始動すると、関西エアポートが理想とする「自ら考え、動く」体制が形になっていきました。荻生氏が特に高く評価するのは、曖昧な要件に対するエンジニアの自己解決力でした。 「以前は、データソースの仕様が不明な点があると、こちらが調査して回答するまで作業が止まってしまうことがありました。しかし、クラウドエースの皆さんは、要件が抽象的な段階でも『まずは中身を見てみます』と自ら調査を進め、問題を解決してくれました。この自走力のおかげで、コミュニケーションコストが大幅に下がり、開発スピードが格段に上がりました」(荻生氏) 実装を担当したクラウドエースの丸山は、エンジニアの立場から次のように振り返ります。 クラウドエース株式会社 技術本部 第三開発部 / 丸山 弘夏 「私たちは、降りてくる作業依頼をただこなすのではなく、一歩先回りして『この実装なら運用負荷を下げられるのではないか』といった技術的な対話を重視しました。指示を鵜呑みにせず、気になったことは正直に確認し、荻生様と髙田様とクイックに議論を重ねてフィードバックを即座に反映させる。このサイクルを回せたことが、スピード感のある開発につながったと感じています」(丸山) また、クラウドエースの営業担当の中西は、こうした現場の動きを支えるための関係性について次のように語ります。 クラウドエース株式会社 事業推進本部 第三事業部 / 中西 理子 「技術的な信頼関係ができているからこそ、私たちは事務的な調整だけでなく、より踏み込んだ提案ができました。お客様が本来の業務であるビジネス価値の創出に集中できるよう、バックアップ体制を常に最適化することを意識しています」(中西) 技術支援がもたらした「アイデンティティ・タスク」への集中 技術面での強力なバックアップが確立されたことは、関西エアポートのチーム全体の働き方に質的な変化をもたらしました。SharePoint上のデータをBigQueryへ格納するパイプライン構築などが完了し、各部署がNAMIに接続してダッシュボードを活用できる環境が整いつつあります。 アントワン氏は、自律的な支援体制が確立されたことで、本来注力すべき業務に向き合えるようになったと語ります。 「クラウドエースには、複雑で曖昧なタスクでも安心して任せられるという信頼があります。重要な開発タスクをお任せできるようになったことで、私たち3人のメンバーは、ビジネス価値の創出や社内文化の醸成といった、私たちにしかできないアイデンティティ・タスクに時間を割けるようになりました。これは本プロジェクトにおいての非常に大きな成果であると思います」(アントワン氏) 機械学習と柔軟な協力体制で目指す、さらなるデータ活用の未来 NAMIによる基盤構築は着実に進んでいますが、関西エアポートの視線はすでにその先を見据えています。今後は、機械学習を用いた数ヶ月先の旅客数予測(トラフィック予測)の実装など、よりAI駆動な空港運営への転換が計画されています。 こうした将来の展望に向け、関西エアポートのプロジェクトマネージャーの髙田氏は、次のように期待を寄せます。 関西エアポート株式会社 IT本部 ITイノベーション部 データ・AIグループ / 髙田 茉一帆氏 「今後のビジネス展開においては、突発的なタスクや優先度の変更も予想されます。そうした変化に対しても、従来の契約の枠組みにとらわれず、柔軟かつスピーディーにリソースを融通し合えるような、よりアジャイルな協力体制を期待しています。技術力はもちろん、現場のスピード感に並走してくれるパートナーとして、クラウドエースの皆さんと共にデータドリブンな未来を創っていきたいですね」(髙田氏) 関西エアポートがNAMIを通じて確立したデータ戦略の土台には、空港運営を知り尽くした同社のビジネスの知見と、クラウドエースが提供する技術の実装力が融合した、強固な信頼関係があります。クラウドエースは今後も、Google Cloudの専門知見を活かした技術支援をもたらすことはもちろん、自律的な内製化体制をより高い次元で補完し続ける伴走者として、変革を全力で支援してまいります。 利用したサービス データ分析基盤構築支援 / BigQuery ML(機械学習)活用支援 社内外の散在データをGoogle Cloudで一元管理。ビッグデータ活用をはじめ、データウェアハウスBigQueryを用いてデータ統合・分析基盤の設計と構築を実施いたします。経験豊富なエンジニアが大規模データの収集から処理・分析までの最適な仕組みをご提案。データ活用全体を支援し、ビジネスの変化に即応できる柔軟でスケーラブルな環境を実現します。 この記事を共有する