株式会社ZENKIGEN
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1,500万件のデータを次世代の原動力へ。インフラの制約を解き放ち、エンジニアが本来の開発に没頭できる環境をどう築いたか

「テクノロジーを通じて、人と企業が全機現(「人の持つ能力のすべてを発揮する」という意味の禅の言葉)できる社会の創出に貢献する」というビジョンを掲げ、採用DXサービス「harutaka(ハルタカ)」を展開する株式会社ZENKIGEN(以下、ZENKIGEN)。同社は、プロダクトの成長に伴って生じていたシステム構成上の課題を解消し、急速に進化する生成AI技術を迅速に取り込める基盤づくりを目指しました。

システムのリアーキテクチャ、1,500万件超のデータを扱う分析基盤の構築、そして運用保守体制の刷新という三位一体のプロジェクトを断行。クラウドエース(以下、弊社)との連携により、いかにして開発に専念できる環境を構築したのか。その変革の軌跡を紐解きます。

(左から)
クラウドエース株式会社
事業推進本部 第三事業部 / 越川 恭吾
事業推進本部 DevSecOps / 髙橋 和真
事業推進本部 DevSecOps General Manager / 牧川 真央

株式会社ZENKIGEN
harutaka事業本部 テックユニット 開発保守チーム ソフトウェアエンジニア / 桑田 惇平氏
harutaka事業本部 テックユニット 部長 / 村上 奨氏

7年間の運用を経たシステム刷新と、生成AI活用への切実な要件

採用DXの先駆けとして成長を続けてきた「harutaka」ですが、初期開発から7年が経過し、長年の運用による構成の複雑化が深刻な課題となっていました。株式会社ZENKIGEN harutaka事業本部 テックユニット 部長の村上 奨氏は、当時の状況を次のように語ります。株式会社ZENKIGEN harutaka事業本部 テックユニット 部長 / 村上 奨氏

「長年使い続けてきたため、システムが現状の規模に対して最適とは言えない状態になっていました。新しい機能を追加しようとしても、思わぬ不具合の対応に追われ、機動的な開発が難しい状態でした」(村上氏)

こうした現場の状況に加え、ビジネス上も大きな転換期を迎えていました。生成AI技術の急速な発展を受け、サービスへのAI実装が急務となっていましたが、既存のインフラ構成がさらなる進化への課題となっていたのです。

「生成AIを効果的に活用するためには、データの保持方法が重要になります。これまでは動画データがAWSのS3に保存されており、分析基盤へデータを繋ぐために多大な時間を要していました。データを単に保有する状態から、即座に活用できる状態へ変えるために、Google Cloudへの移行とインフラ刷新が不可避であると判断しました」(村上氏)

1,500万件の動画データを資産に変える、高信頼な分析基盤の構築

ZENKIGENは現在、神戸大学大学院経営学研究科のエントリー・マネジメント研究教育センター(EMREC)と共同研究を行い、採用における科学的エビデンスの獲得や、AI・データを活用した応募者の多面的な個性を可視化するための高度な採用指標の研究に取り組んでいます。こうした採用学の知見を社会に実装すべく、同社が保有する1,500万件超の面接動画データを即座に、かつ安全に分析できるデータ分析基盤(DWH)を構築し、応募者から預かった貴重なデータを、より公平で精度の高い採用支援に還元できる環境を整備していく必要がありました。

プロジェクト全体の進行管理と全体設計を担当したクラウドエース 技術本部の松本 直樹は、機密情報の管理と将来的な研究への拡張性を両立させるための設計指針について次のように語ります。クラウドエース株式会社 技術本部 第三開発部 / 松本 直樹

「データの蓄積という要件は明確でしたが、特に機密情報を管理するデータガバナンスの設計が大きなポイントでした。面接動画というセンシティブな個人情報を扱うため、権限管理を正確かつ厳密に行いつつ、一方で分析担当者の運用が複雑になりすぎないよう、Dataplex を活用して一元管理できる仕組みを構築しました。また、将来的にデータソースとなる他プロダクトの拡張性も考慮しつつ、データ分析やAI活用を通じてその結果をプロダクトへ還元していけるような構成を重視し、変化に強い盤石な土台を築くことに注力しました」(松本)

この技術的な土台に対し、実際のデータ利用を見据えた実装を担ったクラウドエース 事業推進本部 DevSecOps General Managerの牧川 真央は、実務上の観点から次のように付け加えます。クラウドエース株式会社 事業推進本部 DevSecOps General Manager / 牧川 真央

「運用フェーズにおいては、技術的な制約がビジネスのネックにならないよう細心の注意を払いました。セキュリティを担保しつつも、ZENKIGEN様が持つドメイン知識や専門性を最大限に発揮できるよう、データの暗号化やアクセス制御の構成を密に議論し、ガバナンスと使い勝手を両立した基盤を整えることができました」(牧川)

こうした設計思想に基づき、データサイエンティストが分析に即座に着手できる環境が整備されました。データの抽出や前処理といった非効率な作業が解消されたことで、採用学の知見を活かした新機能の開発や、生成AI活用へ注力できる体制が整いました。

運用保守支援(BRE)による開発リソースの最適化と信頼構築

データ基盤の整備と並行して進められたのが、システム刷新(リアーキテクチャ)を完遂させるための運用体制の構築です。当時、ZENKIGENの開発チームは、日々の運用業務に忙殺されるという深刻な課題に直面していました。株式会社ZENKIGEN harutaka事業本部 テックユニット 開発保守チーム ソフトウェアエンジニアの桑田 惇平氏は、当時の状況を次のように語ります。株式会社ZENKIGEN harutaka事業本部 テックユニット 開発保守チーム ソフトウェアエンジニア / 桑田 惇平氏

「実質的に私一人でインフラの運用から社内メンバーの問い合わせ対応までを全て抱え込んでいる状態でした。営業部門からは、1日に12件以上の技術的な調査依頼が寄せられ、その対応だけで一日が終わってしまうことも珍しくありません。本来取り組むべき新システムの開発に注力できず、プロジェクトの停滞に強い危機感がありました」(桑田氏)

この状況を打開するため、ZENKIGENは弊社の運用保守・改善支援サービス「BRE(Business Reliability Engineering)」を導入。単なる監視保守に留まらず、エンジニアリングの視点で運用を改善・自動化するBREにより、従来の運用体制を大きく進化させるきっかけとなりました。

BREを担当したクラウドエース 事業推進本部 DevSecOps 髙橋 和真は、次のように振り返ります。クラウドエース株式会社 事業推進本部 DevSecOps / 髙橋 和真

「我々の役割は、単に手順書通りに作業する『運用者』ではなく、自ら技術的な課題を解消し、システムの信頼性を向上させるエンジニアであるべきだと考えています。トラブル時も、ZENKIGEN様と同じ視点に立ち、何としてもプロジェクトを成功させるという思いで向き合いました。桑田様が本来取り組むべき開発に専念できる環境を守ることが、我々の重要なミッションでした」(髙橋)

このパートナーシップをより強固なものにしたのは、旧システムから新システムへのデータベース移行という重要局面での対応でした。数千万件規模のデータを移行する最終段階で、想定外のクエリ遅延とデータの不整合が発生。サービス再開のタイムリミットが迫る中、プロジェクトの成否を左右する極めて緊迫した事態に直面しました。当時の様子について、村上氏は次のように振り返ります。

「移行作業の佳境で予期せぬトラブルに見舞われ、『このままでは予定通りにサービスを再開できない』という、極めて深刻な状況に陥りました。しかし、クラウドエースの皆さんは焦ることなく冷静にデバッグを続け、次々と解決策の仮説を提示してくれました。トラブルが解消し、円滑に連携した瞬間の安堵感と、当事者として最後まで粘り強く併走してくれた姿勢への信頼は、今でも強く印象に残っています」(村上氏)

エンジニアの機動力向上と、AI共創の未来へ

インフラの刷新と運用体制の構築という両輪が揃ったことで、ZENKIGENの開発現場はシステムの複雑化と運用業務の肥大化というこれまでの制約を乗り越え、新たな価値創造へと舵を切り始めています。

本プロジェクトの意義は、既存システムの課題を解消し、1,500万件超のデータを「いつでも活用可能な資産」へと変えたことにあります。これにより、開発チームは運用の懸念から解放され、より本質的な機能開発やサービス改善に注力できる環境が整いました。

担当営業として伴走したクラウドエース 事業推進本部 の越川 恭吾は、次のように語ります。クラウドエース株式会社 事業推進本部 第三事業部 / 越川 恭吾

「今回のインフラ刷新と運用改善(BRE)によって、桑田様たちが本来取り組むべき開発業務に専念できる環境を整えられたことを、何より嬉しく思います。ZENKIGEN様が描く未来の実現に向けて、今後もGoogle Cloudの最新技術をいち早くビジネスに繋げ、近くで支え続ける存在でありたいと考えています」(越川)

こうした支援体制は、現場に大幅な変化をもたらしました。桑田氏は、現在の手応えを次のように語ります。

「以前はシステムの制約が怖くてデザイン変更などの要望に即座に答えられないこともありましたが、刷新後はフロントエンドエンジニアの要望に対しても『即座に対応可能です』と答えられるようになり、チーム全体の機動力が明らかに向上しました。今後は、整ったデータの土台とプロに任せられる運用体制を武器に、AIエージェントがチームを組んで働くような、新しいサービス開発を加速させていきたいです」(桑田氏)

クラウドエースは今後も、Google Cloudの技術と戦略的サポートを通じて、ZENKIGENのビジョン実現を支援し続けます。

撮影場所:WeWork 城山トラストタワー

利用したサービス

Google Cloudシステム監視 + 運用支援
24時間365日の監視と運用支援で、Google Cloud上に構築されたシステムの安定稼働はもちろん、クラウド利用料や開発プロセスの最適化といったビジネス価値を高める運用改善も推進します。技術トレンドの急速な変化によって複雑化するシステムも高度な知見を持つエンジニアがサポート。新規の運用保守立ち上げもご相談ください。

データ分析基盤構築支援 / BigQuery ML(機械学習)活用支援
社内外の散在データをGoogle Cloudで一元管理。ビッグデータ活用をはじめ、データウェアハウスBigQueryを用いてデータ統合・分析基盤の設計と構築を実施いたします。経験豊富なエンジニアが大規模データの収集から処理・分析までの最適な仕組みをご提案。データ活用全体を支援し、ビジネスの変化に即応できる柔軟でスケーラブルな環境を実現します。

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