クラウドエースの事業推進本部は、営業活動の質と速度を同時に引き上げるため、プロジェクト「Lightning」を推進しました。本取り組みの主眼は、単なるSFA移行ではありません。AIによる半自動入力、営業現場に最適化したUI/UX、そして提案前後の思考や判断を支援するAI群を組み合わせることで、パイプライン創出から提案改善、ナレッジ蓄積までを一気通貫で支えるセールスイネーブルメント基盤へと進化させた点にあります。過去データを活かしながら、営業が「入力作業」ではなく「顧客との対話」に集中できる環境づくりを進めています。

課題

  • 生成AIの市場拡大を背景に、受け身の営業活動だけではなく、SI開発提案を能動的に行う必要性が高まっていた。また、提案から受注まで数か月を要する商談では、初期のパイプライン創出と継続的な案件育成が十分に仕組み化されていなかった。
  • 多くの営業が提案内容の完成度を高めることに時間をかけがちだったが、実際には顧客の約8割が2〜4回の再提案を求めており、意思決定には提案の一発勝負より「テンポの良い対話」が重要だった。
  • 営業現場では、事前準備、商談後の評価、提案修正、Q&A整理といった周辺業務が分散し、再現性ある営業活動が難しく、過去の重要データを継続的に活かせる土台が整っていなかった。

対応と結果

  • 自社開発したセールスイネーブルメント基盤「Lightning」を中核に、パイプライン作成を重視した運用へ切り替え。新規のお客様との接点づくりや既存顧客への1to1アプローチ、停滞商談の活性化を進め、商談を前倒しできる体制を整えた。
  • 完成度の高い一度の提案から、仮説提案と検証を素早く繰り返す営業スタイルへ転換。顧客ニーズを早い段階で具体化し、認識齟齬を抑えながら、パイプライン形成の高速化と受注確度向上を目指せるようになった。
  • 過去データを活かせる基盤を整え、仮説提案、商談評価、提案書生成、Q&A資産化を支援する4つのAIを実装。属人的だった営業活動を、AIで支える再現性の高いプロセスへと進化させた。

営業が入力に追われないための、Lightningという新しい営業活動基盤

Lightningの構想で重視したのは、「営業が営業活動そのものに集中できるか」という一点でした。目指したのは、AIで半自動入力を行いながら、自社で育てていけるSFAです。直感的なUI/UXによって入力負荷を抑え、パイプライン状況や次の打ち手、自社ボールか顧客ボールかがひと目で分かる設計にすることで、案件の進め方そのものを前向きに変えていく狙いがありました。単なるシステム刷新ではなく、営業現場の判断と行動を加速させる基盤として位置づけています。さらに、過去の営業データや案件履歴を無理なく引き継げることを重視し、Lightningへ移行直後から現場が迷わず使える状態を目指しました。新しい仕組みを覚える負担よりも、「使うことで営業が前に進む」と感じられることを優先した点が、このプロジェクトの大きな特徴です。加えて、案件の状況確認や次アクション整理にかかる認知負荷を下げることで、現場が入力のために立ち止まるのではなく、その情報を使って次の商談を前に進められる状態を目指しました。日々の営業判断が自然と積み上がる設計にしたことが、基盤としての価値を高めています。

一撃必勝の提案スタイルから、高速ラリー重視へとシフト

Lightning移行の本質は、営業活動のスピードと対話密度を上げることにあります。顧客のニーズがまだ曖昧な段階であっても、素早く仮説を提示し、対話を通じて精度を高めていく。このサイクルを支えるために、初回商談前の仮説づくり、商談後の振り返り、提案修正の高速化、Q&Aの資産化までをAIで支援する体制を整えました。営業担当者個人の経験や勘に依存するのではなく、AIが下支えすることで、誰でもテンポ良く顧客に向き合える状態を作っています。加えて、提案内容そのものの完成度だけでなく、顧客理解を深めながら次の一手を素早く出せることを重視したことで、営業活動は「資料を仕上げる仕事」から「対話を前に進める仕事」へと変わり始めています。さらに、商談ごとに仮説、反応、修正のサイクルを短く回せるようになったことで、担当者の準備負荷を抑えながら、顧客ごとの論点や意思決定のポイントも蓄積しやすくなりました。提案の質だけでなく、対話の再現性そのものを高めている点が、この仕組みの大きな価値です。

営業活動の状況が見え、次の一手がそろう。Lightningが営業現場の共通基盤に

Lightningの価値は、営業マネージャーや各事業部長が、パイプライン状況、フェーズ滞留、提案数推移、受注見込みといった営業活動の全体像を同じ土台で把握し、次の打ち手をそろえられることです。実際に、Lightningデータをもとにパイプラインやフェーズ動態を集計・分析する仕組みや、SIパイプラインを日次で確認するKPI運用も整い始めており、現場の感覚だけに頼らず営業判断を前に進められる状態が作られています。加えて、誰がどの案件をどの温度感で進めているのか、どこで停滞しているのかを共通の視点で見られるようになったことで、マネジメントと現場の会話も具体化しやすくなりました。商談作成から進捗確認、次アクションの判断までをひとつの流れで支えることで、Lightningは営業活動そのものを支える共通基盤として機能し始めています。案件の状況把握に時間を使うのではなく、その情報をもとに次の打ち手を早く決められることが、営業基盤としての価値をさらに高めています。

プロジェクトリーダーの声

最初から「SFAを移行すれば営業が変わる」とは思っていませんでした。大事なのは、入力先を変えることではなく、営業の動き方そのものを変えられるかどうかだと考えていたからです。今回の「Lightning」実装では、AIに任せられる準備や整理をできるだけ前倒しし、営業が顧客との対話や仮説検証に集中できる形を目指しました。実際に取り組んでみて感じるのは、営業に必要なのは完璧な一回の提案よりも、お客様とテンポ良く対話を重ねる力だということです。AIが事前準備や振り返りを支えてくれることで、現場は次の一手を考える時間を持てるようになりました。Lightningは単なる移行プロジェクトではなく、営業の再現性と前進速度を高めるための基盤づくりだったと感じています。

中野 直樹


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