※この記事は、最新情報をもとに内容を見直し、2025/10/29に更新いたしました。 ターミナルから離れることなく、コード生成、エラー解決、情報検索までを完結させる。 そんなエンジニアの理想を現実にするのが、Googleが発表した「Gemini CLI」。ターミナル上で対話するだけで、AIがコード生成、定型作業のスクリプト化、複雑なコマンド提案など、多様な開発タスクを支援してくれる、オープンソースのコマンドラインツールです。 本記事では、Gemini CLIでできることや具体的な機能、導入方法から料金体系までを網羅的に解説します。本稿が、皆様の日々の開発業務をさらに加速させる一助となれば幸いです。 目次 Toggle Gemini CLIとはGemini CLIでできること:主要な機能一覧Gemini CLIのインストール方法と使い方Gemini CLIの料金とデータプライバシーGemini CLIは、エンジニアの「セカンドブレイン」になる Gemini CLIとは Gemini CLIとは、2025年6月25日にGoogleによって発表された、ターミナルから直接Geminiの機能を使用できるオープンソースのAIエージェントです。2025年8月5日には「Gemini CLI GitHub Actions」も登場し、その注目度はますます高まっています。 なぜ今このようなCLIが求められるのでしょうか。その背景には、AIによる支援を受けようとすると「コンテキストスイッチ」という課題に直面するためです。 これまでエンジニアがターミナルでの作業中にAIの支援を求めようとすると、一度作業を中断しWebブラウザでAIチャットを開く必要がありました。この一手間(コンテキストスイッチ)が、開発の生産性を損なうひとつの要因となっていたのです。 Gemini CLIは、Webブラウザに切り替えることなく、ターミナル上で直接AIの支援を受けられるため、開発スピードのさらなる向上が期待できます。 さらに2025年10月には、vim等の対話型操作を可能にする「擬似ターミナル」サポート(v0.9.0)や、外部ツールと連携する「Gemini CLI Extensions機能」が相次いで発表され、コンテキストスイッチの排除がより徹底されました。 Gemini CLIでできること:主要な機能一覧 Gemini CLIの能力は、単にターミナルからGeminiに質問できる、というレベルに留まりません。エンジニアの生産性を飛躍的に向上させる、多彩な機能が実装されています。 具体的には、以下のようなことが可能です。 ローカルファイルをAIに「読み込ませる」ことが可能 「こう動いて」と話すだけで、プログラムが完成 プログラミング以外の「面倒な作業」も丸投げ可能 ターミナル上で、AIがGoogle検索を代行 「繰り返し作業」は、AIに任せて自動化 PCへの複雑な「命令文」、AIが代わりに作成 ターミナル上のエラー、AIが原因を解説 オープンソースなので拡張性が高い 【最新】対話型操作がCLI内で完結 【最新】「Gemini CLI Extensions」の追加 以下、それぞれの機能についてくわしく見ていきましょう。 機能1.ローカルファイルをAIに「読み込ませる」ことが可能 Gemini CLIの特に強力な機能が、あなたのPC上にあるファイル(ローカルファイル)を直接読み込み、その内容を作業の前提知識としてAIに理解させることができます。 WebチャットのAIに長い文章を読ませたい時、全文をコピー&ペーストするのは大変ですが、Gemini CLIならその必要はありません。 特に便利なのが@記号を使う方法です。@の後に、例えばWordファイルの名前(例:@議事録.docx)を入力するだけで、AIはその中身をすべて理解した上で指示に応えてくれます。これは、AIに「この資料を参考にして」と前置きしてから、作業をお願いするようなものです。 この機能を使えば、既存の資料の要約や改善、翻訳といったさまざまなタスクを、よりスムーズに進めることができます。 機能2.「こう動いて」と話すだけで、プログラムが完成 プログラミングとは、本来自分が実現したい動きを、コンピュータが理解できる専用の言語(プログラム言語)に翻訳する作業です。 しかし、Gemini CLIを使えば、その最も難しい部分をAIに任せることができます。 例えば「基本的なWebサーバーを立てるコードを書いて」のように、私たちが普段使う言葉(自然言語)で指示を出すだけで、AIがその意図を汲み取り、すぐに実行可能なプログラムを自動で作成してくれます。 これにより、専門家でなくてもアイデアを素早く形にしたり、面倒な初期設定をAIに「丸投げ」したりすることが可能になります。 機能3.プログラミング以外の「面倒な作業」も丸投げ可能 Gemini CLIがサポートするのは、プログラミングだけではありません。資料作成や情報収集など、エンジニアの日常業務に付随する、さまざまな「面倒な作業」も得意としています。 例えば、英語で書かれた長い技術マニュアルを「この記事の重要な点を3つにまとめて」と要約させたり、新しいサービスのネーミングについて「キャッチーな名前を10個提案して」とアイデアを求めたりすることが可能です。 このように、Gemini CLIはコーディング以外の周辺タスクも幅広く代行してくれるため、より創造的で、人間にしかできない本質的な作業に集中することができます。 機能4.ターミナル上で、AIがGoogle検索を代行 ターミナルを離れずにGoogle検索を行うことが可能です。調べたいことをGemini CLIにお願いするだけで、あなたの代わりに検索をしてくれます。 例えば、新しいライブラリの仕様や遭遇したことのないエラーなど、ターミナルでGemini CLIに「〇〇について教えて」と質問するだけです。 すると、AIがあなたの代わりにWeb上の最新情報を探し出し、信頼できる答えを要約して的確に報告してくれます。 もう、作業の手を止めてブラウザとターミナルの間を行き来する必要はありません。 機能5.「繰り返し作業」は、AIに任せて自動化 日々の業務では、「大量のファイル名を一度に変更する」「特定のルールで画像を圧縮する」といった、創造的ではないものの、避けては通れない「繰り返し作業」が数多く発生します。 Gemini CLIは、こうした定型作業を自動化する役割もこなします。 例えば、「このフォルダ内にある全ての画像ファイルをWebP形式に変換して」のように、あなたがやりたい作業を普段の言葉で指示するだけ。すると、AIがその処理を代行してくれる短いプログラム(スクリプト)を自動で作成してくれます。 一度作られたプログラムは何度でも再利用できるため、これまで手作業で行っていた面倒な繰り返し作業から、解放されます。 機能6.PCへの複雑な「命令文」、AIが代わりに作成 パソコンに少し複雑な作業をお願いしたい時、専門的な「コマンド」という命令文を知らないと操作できないことがあります。 Gemini CLIは、この専門的な命令文の作成を代行してくれます。 例えば、「3日前の状態にファイルを戻したい」といった、やりたいことを普段の言葉で尋ねるだけで、AIがその操作に必要な専門的な命令文(例:gitコマンド)を正確に作成します。 これは、Web上の一般的な情報を調べる「Web検索」機能とは異なり、あなたのPCを直接操作するための、より専門的で具体的な命令文を作成する機能です。これにより、専門知識がなくてもPCに高度な指示を出せるようになります。 機能7.ターミナル上のエラー、AIが原因を解説 ターミナルでの作業中、予期せぬ専門的なエラーメッセージが表示されて、作業が止まってしまうことがあります。 そんな時、そのエラーメッセージをGemini CLIにそのまま入力するだけで、AIが原因を分析し、具体的な修正案を提示してくれます。 これは、あなたのPCのターミナル上で起きている、その場限りの固有の問題を解決するための機能です。 機能8.オープンソースなので拡張性が高い Gemini CLIの大きな特徴は、その「設計図」(ソースコード)が全世界に公開されている点です。 これにより、誰でも中身を見て安全性を確認したり、世界中のエンジニアが協力して新しい機能を追加したりと、みんなでツールを改良していくことができます。 さらに、Gemini CLIは非常に柔軟に作られており、ユーザーが自分好みに機能をカスタマイズすることも可能です。 まるでペットや植物を育てるように、あなたの仕事のスタイルに合わせて新しい能力を「教え込み」、あなただけの最強のアシスタントに育て上げていくことができるのです。 【最新】機能9.対話型操作がCLI内で完結 2025年10月のアップデート(v0.9.0)により、Gemini CLIの能力は飛躍的に向上しました。 従来、vimでのコード編集や、git rebase -iのような対話型のコマンド実行は、一度Gemini CLIを終了する必要がありましたが、最新版ではその必要がありません。 Gemini CLIが擬似ターミナル(PTY)をサポートしたことで、AIとの会話のコンテキストを維持したまま、vimやtop(リソース監視)といった対話型コマンドをGemini CLIの画面内で直接実行し、シームレスにAIとの対話に戻ることが可能になりました。 開発作業における「コンテキストスイッチ」は、これでほぼゼロになります。 【最新】機能10. 「Gemini CLI Extensions」の追加 Gemini CLIの能力を外部ツールに拡張する「Gemini CLI Extensions」機能が追加されました。 これは、ターミナルから離れることなく、様々な外部ツールやサービスを直接操作可能にする「オープンエコシステム」です。Google製のものだけでなく、パートナー企業やコミュニティ(オープンソース)によって多様な拡張機能が開発・公開されています。例えば、以下のような主要な開発ツールがすでに利用可能です。 デザインツール:「Figma」 API開発:「Postman」 セキュリティ:「Snyk」 決済:「Stripe」 CI/CD:「Harness」 クラウド:「Google Cloud」 (その他、Dynatrace, Elastic, Shopifyなど多数) これらの拡張機能は、Gemini CLI公式の「Extensionページ」にてカタログ化されており、GitHubのスター順などで探すことができます。 MCPプロトコルという技術を基盤にしているため、AIが新しいツールの使い方を即座に学習し、ユーザーは複雑な設定なしに利用を開始できます。 コーディング、対話型シェル操作、外部サービス連携のすべてがターミナル内で完結する環境が整い、開発ワークフローはより一層シームレスになります。 Gemini CLIのインストール方法と使い方 Gemini CLIの導入手順を解説します。導入にあたり、まずはお使いの環境が以下の前提条件を満たしているかご確認ください。 Node.js (バージョン20以上): Gemini CLIの実行に必要です。 Googleアカウント: 認証および無料利用枠の適用に必要です。 これらの前提条件さえクリアしていれば、セットアップ自体は数分で完了します。それでは、具体的な手順を見ていきましょう。 インストール方法 ターミナル(Mac)またはPowerShell / コマンドプロンプト(Windows)を開き、以下のコマンドを一度実行します。 npm install -g @google/gemini-cli このコマンドにより、Gemini CLIがグローバル環境にインストールされ、PC上のどのディレクトリからでも gemini コマンドが利用可能になります。 なお、インストールせずに一時的に実行したい場合は、以下のnpxコマンドを使用します。 npx https://github.com/google-gemini/gemini-cli インストールが成功したか確認するには、gemini –version と入力します。バージョン番号が表示されればセットアップ完了です。 初期設定 インストールが完了したら、次に初回のみ必要となる簡単な初期設定と、Googleアカウントでの認証を行います。 1. Gemini CLIの起動 まずは、ターミナルまたはPowerShellで以下のコマンドを実行し、Gemini CLIを起動します。 gemini 2. テーマの選択(初回のみ) 初回起動時には、CLIの表示テーマを選択する画面が表示されます。矢印キーで好みのテーマを選び、Enterキーで決定してください。 3. Googleアカウントでの認証 次に認証方法を選択します。API認証も可能ですが、本記事では「Login with Google」での手順を解説します。 「Login with Google」が選択されていることを確認し、Enterキーを押してください。自動的にWebブラウザが起動し、Googleアカウントへのログインと権限の許可を求める画面が表示されますので、画面の指示に従って操作を進め、「許可」をクリックします。 4. 完了 認証が完了するとターミナル画面にプロンプト(>>)が表示され、Geminiとの対話を開始できる状態になります。 基本的な使い方 Gemini CLIには、AIと連続して会話できる「対話モード」と、一度だけ命令を実行する「非対話モード」の2つの使い方があります。 1. 対話モード(AIとチャットする) AIとチャットするように、連続して質問やお願いをしたい場合に使うモードです。ターミナルで以下のコマンドを実行します。 gemini プロンプト(>>)が表示されたら、対話モードの開始です。あとは普段話すような言葉で、自由に対話を楽しめます。対話を終了したい場合は、/quitまたは/exitと入力します。 ※最新版(v0.9.0以降)の強力な機能: この対話モードでは、AIへの質問だけでなく、vimやgit rebase -iといった対話型のシェルコマンドも直接実行できます。AIとの会話の流れを止めずにコード編集やバージョン管理が行えるため、作業が非常にスムーズになります。 2. 非対話モード(一度だけ命令する) 「この命令だけ実行してほしい」といった単発のタスクで利用します。主に自動化スクリプトなどに組み込む際に便利です。 やり方は2通りあります。 –promptフラグを使う方法: gemini --prompt "1から10までの素数をリストアップして" パイプ(|)で命令を渡す方法: echo "日本の首都はどこですか?" | gemini Gemini CLIの料金とデータプライバシー 出展:Gemini CLI : オープンソース AI エージェント | Google Cloud 公式ブログ Gemini CLIの料金体系は、認証方法によって大きく2つに分かれます。個人が手軽に試せる無料プランと、チームや法人が安全に利用するための有料プランです。 両者の最も大きな違いは、入力したデータがAIのモデル改善に利用されるかどうかというプライバシーポリシーにあります。本セクションでは、それぞれのプランの特徴と注意点を詳しく解説します。 無料プラン(Googleアカウント認証) 個人のGoogleアカウントでログインすることで、Gemini CLIを無料で利用開始できます。この場合、無償版のGemini Code Assistライセンスが適用され、1日1,000回のリクエスト上限など、個人利用には十分な機能が提供されます。 ただし、最も注意すべきはデータの取り扱いです。無料プランでは、入力したコードや会話データがGoogleのAIモデル改善のために利用される可能性があります。 参照:Gemini CLI : オープンソース AI エージェント | Google Cloud 公式ブログ 有料プラン(法人・チーム利用向け) チームでの業務利用や機密情報を扱う場合は、有料プランの利用が強く推奨されます。 使用量ベース課金のGoogle AI StudioやVertex AI、あるいは月額制のGemini Code Assist Standard/Enterprise版といった有料プランを選択すれば、入力データがモデル改善に利用されることは基本的にありません。 Google AI Studio(有料枠)においては、不正利用検知などの目的でプロンプトと応答が一定期間記録されることがあります。Vertex AIを利用する場合は厳格なプライバシー保護の下で、安全に利用することが可能です。 用途に応じた使い分けが不可欠 無料プランの魅力は、何と言ってもその手軽さです。しかし、入力データがAIの学習に利用される可能性は、ビジネスユースにおいて無視できないリスクと言えるでしょう。 個人の学習や、機密情報を含まない範囲での機能検証であれば無料プラン。一方、チームでの開発や少しでも業務データを扱う可能性がある場合は、情報セキュリティの観点からエンタープライズレベルの保護を提供する有料プランを選択することが賢明です。 Gemini CLIは、エンジニアの「セカンドブレイン」になる 本記事では、Gemini CLIの概要から具体的な機能、導入方法、そして他の主要なAIエージェントCLIとの比較までを網羅的に解説してきました。 結論として、Gemini CLIは単なるコマンドラインツールではありません。開発のあらゆる場面で思考を拡張し、作業を肩代わりしてくれる、まさに「エンジニアのセカンドブレイン」と言える存在です。 その最大の価値は、ターミナルから離れることなく、コーディング、デバッグ、情報検索、定型作業の自動化、さらにはvimを使った対話的な編集や、Extensionsによる外部サービス連携までをシームレスに行える点にあります。この「コンテキストスイッチ」の排除が日々の生産性を劇的に向上させるのはもちろん、他の強力なツールと比較しても、Gemini CLIのオープンな設計思想やGoogleエコシステムとの連携といった汎用性の高さは際立っています。 これからの時代、AIをいかに使いこなし、パートナーとして共に開発を進めていくかが、エンジニア自身の価値を左右します。Gemini CLIを「セカンドブレイン」として開発ワークフローに迎え入れることで、新たなレベルの生産性と創造性を体験できるでしょう。 開発者の「生産性革命」を、ビジネスの「全部門」へ。 Google Cloud 生成 AI 活用事例集 Gemini CLIが開発者の生産性を飛躍させるように、生成AIは今、ビジネスの全部門で革命を起こしています。本資料では、マーケティングや営業、企画など、開発以外の職種でAIがどう活用され、成果を上げているか、その具体的な成功事例をご紹介します。 資料ダウンロードはこちらから