【速報まとめ】Google Cloud Next Tokyo ’25 基調講演 Day 2

こんにちは、クラウドエースDevSecOps事業部の羽田と安田です。2025年8月6日、Google Cloud Next Tokyo ’25の2日目が開催されました。本稿では、AIインフラストラクチャーからセキュリティまで、エージェント時代に向けたアプローチを速報レポートとしてお届けします。

Google Cloud Next Tokyo ’25 Day 2の概要

2日目はAI時代の核となるインフラに焦点を当て、エージェント時代に向けたアプリケーションのモダナイゼーションと開発手法の自動化について具体的なアプローチが紹介されました。

Google Cloud渕野氏の挨拶

Google Cloudの渕野氏より挨拶があり、1日目の発表をさらに発展させた内容を紹介しました。
また、DAY 2の主な焦点領域としては以下の3つが挙げられます。

  • AI時代の核となるインフラ
  • エージェント時代に向けたアプリケーションのモダナイゼーション
  • データアナリティクスやセキュリティへのエージェント機能の組み込み

 

AIインフラストラクチャーの最新動向

Ironwood TPUの発表

第7世代のAI専用フラッグシップTPU「Ironwood」が発表されました。
主な特徴としては以下のとおりです。

  • ポッドあたり9,000個以上のチップを搭載
  • 全世代のTPUと比較して10倍以上の性能向上
  • ポッドあたり42.5エクサフロップスの圧倒的なコンピューティング性能
  • 初期のTPUと比較して3,600倍の性能向上と29倍のエネルギー効率改善

 

NVIDIA最新GPUの先行提供

他のクラウドプロバイダに先駆けて、A4/A4XマシンタイプとしてNVIDIA B200、GB200 NVL72を投入しています。今回の基調講演では、NVIDIA Vera Rubin GPUをGoogle Cloudが最初に提供することが発表されました。

Cluster Directorの提供開始

Cluster Directorが一般提供されることにより、大規模コンピューティングクラスタを簡単にデプロイ・管理できるようになります。

AI特化ストレージの強化

Hyperdisk Exapools

AIクラスターに最高のパフォーマンスと大容量を提供するブロックストレージです。

Cloud Storage Anywhere Cache

一貫したゾーンキャッシュによるレイテンシの削減及び実行スループットの最大化を図るストレージです。

Rapid Storage

AIワークロード向けのゾーンバケットであり、読み取り書き込みのレイテンシーを大幅に低減できるストレージです。

AIインフラストラクチャの強化

Pathways

Geminiを動かす分散ランタイム、動的スケーリングによるディスアグリゲート型推論を提供します。
こちらはまだプレビューです。

vLLM on TPU

慣れ親しんだライブラリでTPU推論を容易にしてくれます。
こちらは一般公開されています。

GKE Inference Gateway

GKEに追加された新しい推論機能で、インテリジェントなルーティング及び負荷分散に最適化されたモデル対応ゲートウェイです。こちらはまだプレビューです。

アプリケーションのモダナイゼーション

GKE Autopilotの強化

GKE Autopilotの強化が発表されました。強化内容としては以下のとおりです。

  • GKE StandardモードにAutopilotイノベーションの導入
  • コンテナに最適化されたコンピューティング
  • AIワークロードのピークパフォーマンスを提供

 

Cloud RunのGPU対応

Cloud RunがGPUの一般提供をサポートする最初のサーバーレスプラットフォームで、リアルタイム推論、画像生成、メディア処理などをサポートします。

GKEとCloud Runを使用したイノベーションの実例紹介

NPBエンタープライズの取り組み

NPBエンタープライズの取り組みは以下のとおりです。

  • 日本のプロ野球の全試合データを一元管理
  • 打者の打球速度、ピッチャーの投球回転数、変化量をリアルタイムで可視化
  • 自動でCGコンテンツを生成するシステム

 

ソニーの技術提供

ソニーの技術提供は以下のとおりです。

  • 高い精度のトラッキング技術
  • HAWK-EYEシステムの全球場への導入完了
  • Cloud Run、Cloud SQL、Cloud Storage、Apigee、GKE Autopilot、Cloud GPUを活用し詳細データの可視化を実現
  • TAP(Tech Acceleration Program)を通じて、単なる技術提供だけでない強固な協力体制を構築したことを評価

 

三菱UFJフィナンシャル・グループの取り組み

銀行の中核である勘定システムのフルクラウド開発において、高いセキュリティ、圧倒的なスケーラビリティ、データの一貫性や高可用性を実現するCloud Spannerの活用を決めました。
今後はCloud Spannerで蓄えたデータを利用し、AI分析を行っていくとのこと。

Gemini CLIについて

Gemini CLIは競合他社のいずれのコンピューターからもGeminiにアクセスでき、開発者が毎日使用するコマンドシェルに直接Geminiの力を利用できるようになります。

エージェントモードの紹介

新しい推論機能でGemini Codesを拡張し、新しい機能の構築、テスト駆動開発の自動化、移行の加速、開発サイクルの短縮が可能になります。

自律エージェントの機能

入ってくる課題を分析し、優先順位をつけます。テストを記述し、変更やバグ修正を実装し、プルリクエストをレビューすることが可能となります。

データとAIの統合

データエージェントの活用

3つの主要分野

  • AIエージェント:データエンジニアリングとデータサイエンスを支援
  • 統合されたデータとAIクラウド:使いやすさとコスト効率を実現
  • オープンエコシステム:最大の柔軟性を実現

 

BigQueryのAI機能強化

新機能:BigQuery Notebooksでのデータサイエンスエージェント

機能

  • モデル開発のあらゆる段階を変革
  • データ探索からモデルトレーニングまでを支援
  • ノートブックをインテリジェントなワークスペースに変革

 

メリット

  • データサイエンティストの生産性向上
  • 実験とイノベーションの加速
  • 科学に集中できる環境の提供

 

新機能:BigQueryデータエンジニアリングエージェント

機能

  • 手間のかかるエンジニアリング作業を自動化
  • データパイプラインの構築、デバッグ、最適化を支援

 

メリット

  • データエンジニアの作業効率化
  • 複雑なデータパイプラインの簡素化
  • より高速で信頼性の高いデータ処理

 

オープンエコシステムの推進

オープン性の実現

  • Apache Icebergを完全に採用
  • BigLakeによる任意のエンジンの実行
  • Lightning Engine(オープンソースSparkより最大4倍高速)
  • Oracleデータベースの東京・大阪リージョン開設(大阪リージョンは2026年初頭に提供開始予定)

 

データクラウドのデモンストレーション

架空の企業「グローバルガジェット」を舞台に、カスタマー、マーケティングマネージャー、データサイエンティストの3つの視点でストーリーが展開されました。

デモの内容

  • AlloyDB AIによる自然言語での商品検索
  • 会話型アナリティクスエージェントによる売上分析
  • BigQueryのAIスコア関数による口コミ分析

 

日本企業の活用事例

セブン-イレブンの次世代店舗システム(西村氏)

セブン-イレブンの次世代店舗システムは以下の3つの要素で構成されています。

セブンCENTRAL(データ基盤)

  • 1日52億件のレコードを処理
  • 2万1000店舗のリアルタイムデータを1分台で提供

 
次世代店舗システム(全店舗クラウド化)

  • ストアコンピューターのデータとロジックを全てクラウドに移行
  • ハードとソフトの分離による疎結合なシステム

 
セブン-イレブンAIライブラリー(真のデータの民主化)

  • LLMの進化に対応したデータ活用基盤
  • 蓄積データをフル活用できるAI基盤を構築

 

Apigeeによるスピードとガバナンスの両立

セブン-イレブンでは、データの連携を行うためにApigeeを活用しています。Apigeeの役割としては以下のとおりです。

  • データベースとクラウドサービスを統合するAPI管理プラットフォーム
  • スピードとガバナンスを両立させる仕組みを実現

 
また、4つのステークホルダーへのAPI提供しており、以下のようなメリットがあります。

  • 統一されたAPI管理による開発効率の向上
  • セキュリティとガバナンスの一元化
  • システム間の連携強化

 

次世代店舗システムを支えるデータベース戦略

次世代店舗システムを支えるデータベース戦略

  • ストアコンピューターのデータとロジックを全てクラウドに移行
  • ハードとソフトの分離による疎結合なシステム
  • SpannerとAlloyDBを活用した超高性能なデータベース

 

セキュリティの新時代

「AIで守る」アラートトリアージエージェント

Google Security Operationsの「アラートトリアージエージェント」が発表されました。

機能

  • 発生したアラートのコンテキストを分析
  • 関連情報を収集して判断を下す
  • ユーザーに代わって動的な調査を実行

 

「AIを守る」AI Protectionの発表

AIライフサイクル全体のリスク管理を支援するAI Protectionが発表されました。主要な機能は以下の3つが挙げられていました。

  • AIアセットの発見:環境内のAIアセットの検出と潜在的な脆弱性の発見
  • AIアセットの保護:制御、ポリシー、ガードレールによる保護
  • 対応機能:検出調査対応機能によるAIシステムにおける脅威への対応

 

今後の展望とイベント情報

生成AIイノベーションアワード

今年も第4回生成AIイノベーションアワードを開催し、先進的な事例を共有し合う場を提供します。

AIエージェントハッカソン

新しい開発スタイルをいち早く体験いただくため、AIエージェントハッカソン with Google Cloudが開催されます。

来年のNext Tokyo開催予定

来年は7月30日(木)、31日(金)に東京ビッグサイトで開催予定です。

Google Cloud Next Tokyo ’25の基調講演Day 2を振り返る(まとめ)

Google Cloud Next Tokyo ’25の基調講演Day 2では、AIインフラストラクチャーからアプリケーションのモダナイゼーション、開発者生産性の革新、データとAIの統合、セキュリティまで、エージェント時代に向けた包括的なソリューションが紹介されました。

特に、Ironwood TPUの発表やAI Protectionの導入により、AIエージェントを活用した自律的なシステムへの移行が現実的になってきていることが示されました。日本企業の具体的な活用事例も多数紹介され、AIエージェントがビジネスに与えるインパクトの大きさが実感できる内容となりました。

※Google Cloud、Gemini、Cloud Run、Cloud SQL、Cloud Storage、Apigee、GKE、BigQuery、AlloyDB、Cloud Spanner、Oracle Database、Google Security OperationsはGoogle LLCの商標です。
※NVIDIA、B200、GB200 NVL72、Vera Rubin GPUはNVIDIA Corporationの商標です。
※TPU、IronwoodはGoogle LLCの商標です。
※vLLMはvLLMプロジェクトの商標です。
※Apache IcebergはApache Software Foundationの商標です。
※SparkはApache Software Foundationの商標です。
※OracleはOracle Corporationの商標です。
※HAWK-EYEはHawk-Eye Innovations Ltdの商標です。
※三菱UFJフィナンシャル・グループは三菱UFJフィナンシャル・グループ株式会社の商標です。
※セブン-イレブンはセブン-イレブン・ジャパン株式会社の商標です。
※NPBは日本野球機構の商標です。
※ソニーはソニーグループ株式会社の商標です。
※この記事は迅速な情報提供を重視し、速報として掲載しております。もし記事内に誤りがございましたら、後日訂正いたします。