
【速報】Next Tokyo ’25 Day1セッションレポート:生成AIを活用した、面接プロダクト開発の舞台裏
こんにちは、クラウドエースDevSecOps事業部のkazzです。
2025年8月5日、Google Cloudのカンファレンスイベント「Google Cloud Next Tokyo ’25」DAY 1が開催され、Google Cloudの生成AIの活用事例についての発表が行われました。
今回は、Google Cloud Next Tokyo 25 DAY 1の注目のブレイクアウトセッション「生成AI×1400万データ:エンジニアが語る、面接体験を変革するプロダクト開発のリアル」の内容をご紹介します。
このセッションでは、株式会社ZENKIGEN(以下「ZENKIGEN」)が提供する採用DXサービス「harutaka」の開発事例が紹介されました。Cloud RunやVertex AIをはじめとするGoogle Cloudサービスをどのように活用しているか、そして、コードエージェントを駆使した高速開発の手法について詳しく解説されました。
また、その裏側にある1400万件超の面接データをBigQueryやPAM(Privileged Access Manager)で安全に管理しながら、プロダクトへと活用した仕組みについて話をされました。
harutakaについて
まず、柳原氏から、harutakaのシステムについて紹介されました。
2030年に、日本は労働人口不足の問題に直面すると予想されています。その上企業は内定の辞退率が高く、採用のマッチングも難しくなり、人材採用の難化に拍車がかかるものだとされています。
この課題に対するソリューションがharutakaです。採用から選考振り返りまでを支援するAI採用DXサービスとして、採用支援サービスとしてNo1のシェアを誇り、日本の就活生の3分の2が利用しているとされています。
harutakでのAI活用
続いて勝田氏から、harutakaでのAI活用について紹介されました。harutakaで開発されている、言語・非言語解析のAIと、対話システムのAIについて解説されました。
エントリーシートのテキスト情報や、面接動画の音声などをマルチモーダルとして扱い、ZENKIGENが保持しているデータを入れることで、面接や採用に特化したモデルを開発しています。
自己PR動画の要約をし、その要約から質問のサジェスト、就活生の特性や分析を作成することで、面接を効率化できます。
対話システムでは、LLMを活用することで、AI面接シミュレーションを実現しています。ZENKIGENは面接をコミュニケーションの場として捉え、コミュニケーション全般のAIを開発しているとのことでした。
harutakaはモデルをどうやって使っているのか
採用現場には以下のような課題があります。
- エントリーが増えない
- お祈りメールによるレピュテーション
- 内定承諾率を上げるための改善案が思い浮かばない
対話システムを使うことで、上記の課題を解決できると述べられました。
対話システム
LLMを使った面接シミュレーションです。実際に対話システムを使った面接シミュレーションのデモが紹介されました。シミュレーションからフィードバックのレポートが作成されます。
対人間だと話しづらい部分が多くなると思いますが、相手がLLMであれば気軽に、何回でも練習できるのが良いですね。
LLMの評価ループ
harutakaにおいて、LLMの回答を評価・改善を実現した方法について紹介されました。以下を評価に組み込むことで、柔軟性を担保しながら、大量のデータ処理を可能にしています。
human in the Loop
人間による評価をループに組み込む
LLM as a Judge
LLMにLLMの回答を評価させる
このループを回すことで、高い信頼性と開発効率を実現しています。
1400万データを支えるセキュアなデータ基盤
続いて、村上氏からZENKIGENのデータ基盤について紹介されました。
harutakaには1400万を超える面接のデータが保存されています。これを管理するために、以下の特徴を持ったデータ基盤をGoogle Cloud上に構築しています。
ワンストップ
エントリーから入社までのデータを一元管理する
スピード
ETLを実施し、一箇所にデータを蓄積する
セキュア
採用情報という機密情報を厳格に管理する
中でもデータ基盤システムの中核はセキュリティであるとし、情報の統制をDataplex、権限の一元管理をPAMで実現していると紹介されました。
PAM
PAM(Privileged Access Manager)は、Google Cloud上の権限管理を、期限付きのロールベースと依頼・承認プロセスで実施するためのサービスです。PAMの使用により、権限が標準化され、また企業の規模に関係なく厳格な権限管理がGoogle cloudで簡単に実現できたと紹介されました。
AIネイティブなプロダクト開発
最後に、ZENKIGENのAIを活用したプロダクト開発について紹介されました。
harutakaは7年の期間開発され続けており、その結果システムのアーキテクチャが古くなってしまったという課題があったと紹介されました。また、顧客のサービス要求値の高度化に伴い、生成AIをharutakaに取り組まざるをえない状況でした。
そこで、Cloud RunとGeminiというマネージドのインフラ、LLMモデルを使用することで、顧客ごとのカスタマイズを可能にしながら、高速で開発することを可能にしたとのことでした。
コードエージェントを活用した開発
また、ZENKIGENにおいて開発プロセスにCursorやClaude Codeを始めとしたコードエージェントを活用している事例が紹介されました。プロセスの標準化、ドキュメンテーション、レビューなどのプロセスを自動化することで、高速で高品質な開発を実現しています。
さらに、コードエージェントだけでなく、運用管理のエージェントも開発することで、開発に留まらない効率化に取り組んでいるとのことです。
まとめ
柳原氏は、採用におけるAI活用は個人の評価に注目されてるが、面接という場そのものをAIで評価することで、採用活動全体を改善していくという展望を述べました。このように、エージェントが実用化され、できることが増えていく中で、効率化・自動化する範囲を拡大していくのは非常に重要であると感じました。