【第 7 回】 Generative AI Leader 資格集中講座|AI モデルの限界・課題と運用管理

こんにちは! クラウドエースのエモーショナル エバンジェリスト、ラリオスです。

「Generative AI Leader 資格集中講座」シリーズ、前回(第 6 回)は AI モデルの出力を改善するための具体的なテクニック、とくにプロンプティングやグラウンディング、RAG について詳しく見てきました。

▼ 第 6 回目はこちら
【第 6 回】 Generative AI Leader 資格集中講座|プロンプト改善・モデル出力最適化テクニック

このシリーズでは、Google Cloud 公式のスタディガイドを使って解説していきます。スタディガイドは以下のリンクからご登録いただければダウンロードできます。スタディガイドを参照しながら読み進めていただくと、より効果的に学習できます。

スタディガイドはこちらからダウンロードできます。

なお、解説中の「★ここ重要!」は試験対策として特に押さえておくべきポイント、「★Tips」は知っておくと理解が深まる補足情報や関連情報として読み進めてください。ある程度知識があって、すぐに試験を受ける方は「★ここ重要!」を読んで、「実践演習クイズ」を解くだけでも高い効果があるはずです。

第 7 回目の今回は、スタディガイドの p. 9 に進み、「基盤モデルの限界(Foundation model limitations)」と「モデルの管理(Managing your model)」という、AI モデルを実際にビジネスで活用していくうえで避けては通れない重要な課題とその対処法について解説していきます。

AI モデルは非常に強力ですが、万能ではありません。その限界を正しく理解し、適切に管理していくことが、AI プロジェクトを成功に導く鍵です。

基盤モデルの限界(Foundation model limitations)

どんなに高性能な基盤モデルでも、いくつかの限界や注意すべき点があります。これらを理解しておくことは、AI の出力を鵜呑みにせず、賢く活用するために非常に重要です。

データ依存性(Data dependency)

基盤モデルの性能は、そのトレーニングに使われたデータに大きく依存します。もしトレーニングデータが偏っていたり(バイアスがかかっていたり)、不完全だったりすると、モデルの出力もその影響を強く受けます。

★Tips
たとえば、特定の話題に関するデータばかりで学習したモデルは、それ以外の話題については詳しくなかったり、偏った意見をもってしまったりする可能性があります。

知識のカットオフ(Knowledge cutoff)

AI モデルは、ある特定の時点までのデータでトレーニングされています。そのため、そのトレーニングデータに含まれていない、それ以降の新しい出来事や情報については基本的に知りません。

★ここ重要!
たとえば、「昨日の天気は?」と聞いても、モデルの知識が数ヶ月前で止まっていれば正確な答えは返ってきません。このような限界を補うために、前回の記事で学んだ「グラウンディング」や「RAG」といった技術が重要です。

試験対策としても、前回の記事と関連付けて覚えておきましょう!

バイアス(Bias)

大規模言語モデル(LLM)は、非常に大量のデータから学習しますが、その元データに社会的な偏見や固定観念が含まれている場合、モデルもそれを学習し、出力に反映してしまうことがあります。たとえわずかな偏見でも、モデルによって増幅されてしまう可能性もあります。

★Tips
これは非常に根深く、注意が必要な問題です。たとえば、特定の職業と性別を結びつけるような表現を AI が多用してしまう、といったケースが考えられます。このようなバイアスを軽減するための取り組みが、AI 開発においては重要視されています。

公平性(Fairness)

生成 AI モデルの公平性を評価することは、責任ある開発における重要な側面です。AI が特定のグループに対して不公平な判断や不利益な扱いをしないようにする必要があります。

★Tips
たとえば、ローンの審査 AI が、本来考慮すべきでない属性(人種や性別など)に基づいて判断を下してしまうようなことがあってはなりません。

ハルシネーション(Hallucinations)

AI モデルが、事実に基づいていない情報や、まったくのデタラメを、あたかも真実であるかのように生成してしまう現象のことです。

★ここ重要!
「幻覚」と訳されることもありますが、AI がもっともらしい嘘をついてしまう、と考えると分かりやすいかもしれません。たとえば、存在しない歴史上の出来事を詳細に語ったり、架空の製品のスペックを堂々と説明したりすることがあります。

これも「グラウンディング」や「RAG」で事実に基づいた情報を参照させることで、ある程度抑制することが期待できます。

こちらも前回の記事と合わせて覚えておきましょう。

エッジケース(Edge cases)

非常に稀な、あるいは通常想定されないような特殊な状況や入力に対して、モデルがうまく対応できず、予期しない結果を出してしまうことがあります。

★Tips
たとえば、自動運転 AI が、非常に珍しい天候条件や、通常ありえない道路状況に遭遇した場合などが考えられます。

ヒューマンインザループ(HITL – Humans in the Loop)

機械学習のワークフローに、人間の判断やフィードバックを直接組み込むプロセスです。これにより、AI の判断の精度を高めたり、AI だけでは難しい微妙な判断を補ったりします。スタディガイドでは、以下のようなケースで HITL が有効であると説明されています。

  • コンテンツ モデレーション(Content moderation)
    アルゴリズムだけでは判断が難しい、文脈に依存するような不適切なユーザー生成コンテンツを人間がチェックし、判断します。
  • 機密性の高いアプリケーション(Sensitive applications)
    医療や金融といった、判断の誤りが大きな影響を及ぼす可能性のある分野では、人間の専門家による監督やレビューが不可欠です。
  • リスクの高い意思決定(High risk decision-making)
    重大な結果を伴う意思決定において、AI の出力を人間がレビューすることで、正確性と説明責任を担保します。
  • 生成前レビュー(Pre-generation review)
    AI が最終的な出力を生成する前に、人間の専門家がその内容を検証し、エラーやバイアスがないかを確認します。
  • 生成後レビュー(Post-generation review)
    AI が生成した出力結果を、実際に展開した後に継続的に人間がレビューし、フィードバックを与えることで、モデルを改善し、変化する状況に適応させていきます。

★Tips
AI は万能ではないため、とくに重要な判断や、AI が苦手とする曖昧な領域においては、人間の知見や倫理観を組み合わせることが非常に重要です。

モデルの管理(Managing your model)

開発した AI モデルを実際にビジネスで活用し続けるためには、そのライフサイクル全体を通して適切に管理していく必要があります。Google Cloud は、そのためのツールを提供しています。

バージョニング(Versioning)

モデルのさまざまなバージョンを追跡・管理します。Vertex AI Model Registry を使うことで、どのモデルがいつトレーニングされ、どこにデプロイされているかなどを一元的に把握できます。

★Tips
新しいバージョンのモデルを試したり、問題が発生した際に以前のバージョンに戻したりする際に非常に重要です。

パフォーマンス追跡(Performance tracking)

モデルの精度や処理速度といったメトリクス(評価指標)を確認し、モデルの性能を監視します。

ドリフト モニタリング(Drift monitoring)

時間の経過とともにモデルの精度が低下していないか(これを「ドリフト」と呼びます)を監視します。Vertex AI Model Monitoring を使えば、データの統計的な変化や予測の偏りを検出し、アラートを受け取ることができます。

★Tips
現実世界のデータはつねに変化するため、一度作ったモデルが永遠に高性能を維持できるわけではありません。このドリフトを検知し、適切なタイミングでモデルを再学習させることが重要です。

データ管理(Data management)

モデルが使用するデータの特徴量(Feature)を管理します。Vertex AI Feature Store を使うと、機械学習で使われる特徴量を一元的に管理・共有し、再利用しやすくなります。

  • ストレージ(Storage)
    モデルを保存し、整理します。Vertex AI Model Garden は、Google 独自のモデルやオープンソースモデルなど、さまざまなモデルを発見・利用できる場所ですが、自身でトレーニングしたカスタムモデルなどを管理・保存する際には、Vertex AI Model Registry のようなリポジトリが活用されます。

★ここ重要!
スタディガイドの p. 6 で Model Garden は「既存モデルの選択」の文脈で、p. 9 では Model Registry が「バージョニング」の文脈で出てきていますね。

Model Garden はさまざまなモデルを発見・試用できる「庭園」のような場所、Model Registry は自身が管理するモデルを整理・登録しておく「戸棚」のようなイメージで捉えるとよいです。

シリーズの第 4 回目も合わせて確認しておきましょう!

自動化(Automate)

機械学習のタスクを自動化します。Vertex AI Pipelines を使うと、データの準備からモデルのトレーニング、評価、デプロイといった一連の機械学習ワークフローをパイプラインとして定義し、自動化・管理することができます。

★Tips
これは、MLOps を実現するための非常に重要な機能です。手作業を減らし、再現性の高い開発プロセスを構築することで、開発効率とモデルの品質向上につながります。

押さえておきたい重要なキーワード(Additional terms)

コンテキスト ウィンドウ(Context window)

モデルが一度に考慮できるテキストの量(トークン数など)です。

★Tips
このウィンドウが大きいほど、モデルはより長い文章や会話の文脈を理解しやすくなりますが、一般的に計算コストも増加します。

ファインチューニング(Fine-tuning)

事前トレーニング済みの基盤モデルを、特定のタスクやドメインに合わせて、より少量の追加データで再調整(追加学習)するテクニックです。

★Tips
これにより、汎用的な基盤モデルを、特定の業界の専門用語に対応させたり、企業の特定の業務に特化させたりすることができます。ゼロからモデルをトレーニングするよりも効率的に、高性能なカスタムモデルを得られる可能性があります。

基盤モデルを賢く使うための調整テクニックおさらい

ここまで、事前トレーニング済みの基盤モデルを、より私たちの目的や特定のタスクに合わせて調整するための、いくつかの重要なテクニックが登場しましたね。

ここで一度、それぞれの特徴と使い分けのポイントを簡単におさらいしておきましょう。これらのテクニックは、AI モデルの出力を改善し、ビジネスの価値を高めるうえで非常に重要です。

プロンプト エンジニアリング(Prompt Engineering)| AI への「指示」を工夫する

AI に与える指示(プロンプト)の書き方や構成を工夫することで、AI から望ましい回答を引き出すテクニックです。

Zero-shot、One-shot、Few-shot、Role prompting、CoT、ReAct など、さまざまな手法がありましたね。

  • 使いどころ
    比較的簡単に試せ、モデル自体を変更せずに幅広いタスクに応用できます。まずはこのテクニックで期待する出力が得られるか試してみるのが基本です。
  • ポイント
    AI とのコミュニケーション能力を高めるイメージです。

グラウンディング(Grounding)| 信頼できる情報源で「根拠づけ」する

AI の回答を、特定の信頼できる情報源(例:Google 検索、社内ドキュメント、データベースなど)に基づいて生成させることで、ハルシネーションを抑制し、回答の正確性や信頼性を高めるアプローチです。

  • 使いどころ
    最新情報への対応や、社内情報に基づいた回答など、事実に基づいた正確な情報提供が求められる場合にとくに有効です。
  • ポイント
    AI が「知ったかぶり」をするのを防ぎます。

RAG(Retrieval-Augmented Generation – 検索拡張生成)| 外部知識を「検索」して「拡張」する

グラウンディングを実現するための具体的なアーキテクチャの一つで、ユーザーの質問に関連する情報を外部ソースから検索・取得し、それをプロンプトに含めて LLM に渡すことで、より文脈に即した正確な回答を生成させる仕組みです。

  • 使いどころ
    企業独自のナレッジベースや、リアルタイムで更新される情報源を活用して、カスタマーサポートのチャットボットや社内向け Q&A システムなどを構築する場合に強力です。Vertex AI Search(第 3 回目参照)などがこの仕組みの実現を助けます。
  • ポイント:AI に「外部の教科書」を参照させながら回答させるイメージです。

ファインチューニング(Fine-tuning)| モデル自身を追加データで「再教育」する

事前トレーニング済みの基盤モデルに対して、特定のタスクやドメインに特化した追加のデータセットを使って、モデルの重み(パラメータ)自体を微調整(再学習)するテクニックです。

  • 使いどころ
    特定の業界用語や、企業独自の言い回し、特定の文体での応答など、モデルの「振る舞い」自体をより深く変化させたい場合や、プロンプト エンジニアリングや RAG だけでは対応が難しい高度な専門性が求められるタスクに適しています。Vertex AI で行うことができます。
  • ポイント
    AI に「専門学校」で追加の教育を受けさせるイメージです。一般的に、プロンプト エンジニアリングや RAG に比べてコストや手間がかかる場合がありますが、より根本的なモデルの適応が期待できます。

★ここ重要!
使い分けの考え方(試験対策のヒント)

Generative AI Leader としては、これらのテクニックの概要を理解するだけでなく、ビジネス上の課題や目的に応じて、どのテクニック(またはそれらの組み合わせ)が最も効果的か、コスト効率がよいかを判断できる視点が重要です。

一般的には、

  1. まずはプロンプト エンジニアリングで工夫してみる。
  2. それでも不十分な場合、外部知識の参照が必要であれば RAG(グラウンディング) を検討する。
  3. モデルの根本的な振る舞いや知識の調整が必要であれば、ファインチューニングを検討する。

といった優先順位で考えることが多いです。

試験でも、特定のシナリオが提示され、「この状況でモデルの出力を改善するために、まず試すべきアプローチは何か?」といった形で問われる可能性があります。

それぞれのテクニックのメリット・デメリット、そして必要なリソース(データ、時間、コスト、専門知識など)を考慮して、最適な選択肢を選べるようにしておきましょう。(第 6 回目の内容と合わせて覚えるようにしましょう!)

ラリオス的!とくに注目したいポイント

スタディガイド p. 9 は、AI モデルの実運用における現実的な課題と、それに対する Google Cloud のソリューションを理解するうえで非常に重要です。

  • 基盤モデルの限界を認識する
    データ依存性、知識のカットオフ、バイアス、ハルシネーションといった限界を具体的に理解し、それらがビジネスにどのような影響を与える可能性があるかを考察できるようにしましょう。とくにハルシネーションは、生成 AI 特有の課題として頻出する可能性があります。
  • HITL(ヒューマンインザループ)の重要性
    AI の判断を鵜呑みにせず、どのような場面で人間の介在が必要になるのか、その具体的なユースケース(コンテンツ モデレーション、機密性の高い分野など)と合わせて理解しておくことが大切です。
  • モデル管理の各要素と Vertex AI の関連性
    バージョニング(Model Registry)、パフォーマンス追跡、ドリフト モニタリング(Model Monitoring)、データ管理(Feature Store)、自動化(Pipelines)といったモデル管理の各特徴と、それを支援する Vertex AI の具体的な機能を結びつけて覚えておきましょう。これらは MLOps の中核をなすものです。
  • ファインチューニングの目的と効果
    なぜファインチューニングが必要で、それによって何が期待できるのか(特定タスクへの特化、性能向上など)を理解しておくことは、AI ソリューションの企画・導入において重要です。

学習のヒント|効率的な学習とクラウドエースのトレーニング

  • 「もし自分が AI プロジェクトの責任者だったら?」と考える
    基盤モデルの限界にどう対処するか、HITL をどのプロセスに組み込むか、モデルの品質をどう維持していくか、といった課題に対して、具体的な対策を考えてみると、知識が実践的なものになります。
  • Vertex AI の各機能の役割を整理する
    Model Registry、Model Monitoring、Feature Store、Pipelines といった Vertex AI のコンポーネントが、モデル管理のどの側面をサポートするのか、それぞれの役割分担を明確にしましょう。
  • AI の限界と対策をセットで理解する
    ハルシネーションやバイアスといったモデルの限界と、それに対するグラウンディング、RAG、データ品質の確保といった対策は、セットで理解することが重要です。なぜその対策が有効なのか、そのメカニズムまでイメージできるとよいです。

理解度チェック!ミニクイズ

さて、ここまでの内容をどれくらい理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう!

【クイズ 1】
AI モデルが、トレーニングデータには含まれていない、事実とは異なる情報を、もっともらしく生成してしまう現象を何と呼びますか?

(ア)バイアス
(イ)知識のカットオフ
(ウ)ハルシネーション
(エ)ドリフト

【クイズ 2】
機械学習のワークフローに人間の判断やフィードバックを直接組み込み、AI の判断精度を高めたり、微妙な判断を補ったりするアプローチは何ですか?

(ア)MLOps
(イ)ファインチューニング
(ウ)RAG(検索拡張生成)
(エ)HITL(ヒューマンインザループ)

【クイズ 3】
トレーニング済みの機械学習モデルを一元的に管理し、バージョン管理やデプロイメントの追跡を容易にする Vertex AI の機能は何ですか?

(ア)Vertex AI Pipelines
(イ)Vertex AI Model Registry
(ウ)Vertex AI Feature Store
(エ)Vertex AI Model Monitoring

クイズの答え

【クイズ 1】(ウ)ハルシネーション

【クイズ 2】(エ)HITL(ヒューマンインザループ)

【クイズ 3】(イ)Vertex AI Model Registry

ラリオスからの挑戦状!実践演習クイズ

ここからは、より深く、そして実践的な視点からのクイズです。Generative AI Leader Sample Questions のレベル感を意識して挑戦してみましょう!

【実践演習クイズ 1】
ある金融機関が、顧客からの住宅ローンの申し込みを審査するために AI モデルを導入しました。しかし、特定の地域や年収層の申込者に対して、不当に低い承認率を示している可能性が指摘されました。この AI モデルが抱えている可能性のある最も重大な問題と、それに対処するためにまず検討すべき「責任ある AI」の観点は何ですか。

(ア)問題:知識のカットオフ / 対処観点:モデルの継続的な再トレーニング
(イ)問題:ハルシネーション / 対処観点:グラウンディング技術の導入
(ウ)問題:データのバイアスと公平性の欠如 / 対処観点:トレーニングデータの見直しと公平性評価の実施
(エ)問題:コンテキスト ウィンドウの狭さ / 対処観点:より大きなコンテキスト ウィンドウをもつモデルへの変更

実践演習クイズの答えと解説

【実践演習クイズ 1】(ウ)問題:データのバイアスと公平性の欠如 / 対処観点:トレーニングデータの見直しと公平性評価の実施

特定のグループに対して不公平な結果を示す AI モデルは、「データのバイアス」を学習してしまっている可能性が高く、これは「公平性(Fairness)」の観点から重大な問題です。

対処法としては、まずトレーニングデータに偏りがないかを見直し、多様なデータで再学習することや、AI モデルの判断が特定の属性に対して不公平でないかを評価する仕組みを導入することが考えられます。

(ア)知識のカットオフは、新しい情報に対応できない問題であり、審査の公平性とは直接関係が薄いです。(イ)ハルシネーションは事実に基づかない情報を生成する問題であり、審査基準の偏りとは異なります。(エ)コンテキスト ウィンドウの狭さは、一度に処理できる情報量の限界であり、特定のグループへの不公平な判断とは直接結びつきにくいです。

この問題は、基盤モデルの限界(とくにバイアス)と、それが「責任ある AI」の原則(とくに公平性)にどう影響するかを理解しているかを問うています。

Generative AI Leader としては、AI の技術的な側面だけでなく、倫理的・社会的な影響も考慮できる視点が重要です。

まとめ|AI の限界を理解し、賢く付き合う(クラウドエースのトレーニング紹介)

今回の解説はここまでです!スタディガイド p. 9 では、AI モデルの限界と、それを管理・運用していくための重要な考え方やツールについて学びました。

AI は魔法の杖ではなく、その能力には限界があること、そしてその出力を鵜呑みにせず、つねに批判的な視点をもつことの重要性を理解いただけたかと思います。とくに、データの偏りが引き起こすバイアスや、事実に基づかない情報を生成するハルシネーションは、ビジネスに深刻な影響を与えかねないため、Generative AI Leader としては必ず押さえておくべき課題です。

しかし、これらの課題は、HITL や適切なモデル管理、そして RAG やファインチューニングといった技術を組み合わせることで、適切に対処していくことができます。重要なのは、AI の限界を正しく認識し、それを補うための戦略を立て、Vertex AI のようなプラットフォームを活用して実践していくことです。

クラウドエースでは、このような AI の実運用における課題解決能力を高めるためのトレーニングを提供しています。たとえば、「Introduction to AI and Machine Learning on Google Cloud」では、モデル管理や MLOps の基礎を学ぶことができますし、より高度なトピックについては、お客様の課題に合わせたカスタムトレーニングのご提案も可能です。AI を安全かつ効果的に活用するための知識とスキルを、私たちと一緒に身につけていきましょう。

次回は、いよいよ最後のセクション、スタディガイド p. 10 「生成 AI ソリューションのビジネス戦略(Business strategies for a successful gen AI solution)」に入ります。AI プロジェクトを成功させるための戦略的な視点や、責任ある AI の実践について、さらに深く掘り下げていきましょう。

お楽しみに!

【第 1 回】Generative AI Leader 資格集中講座!Google Cloud 認定講師による日本語解説
【第 2 回】Generative AI Leader 資格集中講座!データを制する者が AI を制す!
【第 3 回】Generative AI Leader 資格集中講座!Google Cloud の AI パワーを徹底解剖!
【第 4 回】Generative AI Leader 資格集中講座!Vertex AI・AI エージェントの活用法
【第 5 回】Generative AI Leader 資格集中講座 Google Cloud AI API を徹底解説
【第 6 回】 Generative AI Leader 資格集中講座!プロンプト改善・モデル出力最適化テクニック

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