【第 4 回】 Generative AI Leader 資格集中講座!Vertex AI・AI エージェントの活用法

こんにちは!クラウドエースのエモーショナル エバンジェリスト、ラリオスです。

「Generative AI Leader 育成集中講座」シリーズ、前回( 第 3 回 )は Google Cloud が提供する個人の生産性向上ツールを中心に解説しました。 Gemini ファミリーや NotebookLM、そして Vertex AI のような強力なツール群が、私たちの業務をどのようにサポートしてくれるのか、具体的なイメージが掴めたのではないでしょうか。

▼ 第 3 回目はこちら
【第3回】 Generative AI Leader 資格集中講座!Google Cloud の AI パワーを徹底解剖!

このシリーズでは、Google Cloud 公式のスタディガイドを使って解説していきます。 スタディガイドは下記のリンクからご登録いただければダウンロードできます。 スタディガイドを参照しながら読み進めていただくと、より効果的に学習できます。

なお、解説中の「★ここ重要!」は試験対策として特に押さえておくべきポイント、「★Tips」は知っておくと理解が深まる補足情報や関連情報として読み進めてください。 ある程度知識があって、すぐに試験を受ける方は「★ここ重要!」を読んで、「実践演習クイズ」を解くだけでも高い効果があるはずです。

スタディガイドはこちらからダウンロードできます。

第 4 回目の今回は、スタディガイドの p.6 に進み、「AI エージェント(Agent)」という、より能動的で自律的な AI のあり方と、それを支える「プラットフォーム(Platform)」「モデル(Model)」「インフラストラクチャ(Infrastructure)」について詳しく見ていきましょう。 ここは、生成 AI を具体的なビジネス ソリューションとしてどう形作っていくかを理解するうえで、非常に重要なセクションです。

今回も、分かりやすい解説と、理解度をチェックするためのミニ クイズ、そして実践的な演習クイズをご用意しています。

AI エージェント(Agent)| 目標達成のために自律的に行動する AI

スタディガイドの p.6 では、まず「AI エージェント(Agent)」の定義とその構成要素、種類について説明されています。

AI エージェントとは?

生成 AI エージェント(Generative AI Agent)とは、与えられた目標を達成するために、周囲の状況を観測し、利用可能なツールを駆使して自律的に行動するアプリケーションです。

★Tips

単にユーザーの指示に受動的に応えるだけでなく、より積極的に情報を収集したり、複数のステップからなるタスクを実行したりする能力をもつのが特徴です。 スタディガイド p.4( 第 2 回集中講座 ) の「生成 AI ランドスケープ(Gen AI landscape)」でも登場しましたが、ここではその中身についてもう少し詳しく見ていきます。

AI エージェントの構成要素(Agent components)

AI エージェントは、一般的に以下の要素で構成されます。

AIエージェントの構成要素を示した図。左にエージェントのアイコンがあり、右側に推論ループ、ツール、モデルの3つの要素が示されている。

推論ループ(Reasoning Loop)

エージェントが状況を観測(Observation)し、次に何をすべきかを考え(Reasoning / ツール選択)、ツールを使って行動(Acting / ツール実行)し、その結果を確認するという反復的なプロセス(Iteration / 繰り返し)です。 このサイクルは「ReAct(Reasoning and Acting)サイクル」と呼ばれることもあり、多くの場合、プロンプト エンジニアリングのテクニックが活用されます。

★ここ重要!

この ReAct サイクルは、エージェントが目標を達成するために、計画を立て、行動し、結果を評価し、そして次の行動を修正していくという、まさに人間のような問題解決プロセスを模倣しています。

たとえば、ユーザーから「今日のランチにおすすめの、会社の近くにある評価の高いイタリアン レストランを 3 つ教えて。予算は一人 2,000 円以内で」と依頼された AI エージェントを想像してみましょう。

  • Reasoning(ツール選択)
    まず、レストラン情報を検索するツール(例:Google Maps API 連携)や、レビュー情報を取得するツール、予算フィルターをかけるツールなどを選択します。
  • Acting(ツール実行)
    選択したツールを実行し、関連情報を収集します。
  • Observation(結果確認)
    収集したレストラン情報(場所、ジャンル、評価、価格帯など)を確認します。
  • Reasoning(次の行動計画)
    収集した情報がユーザーの要求(イタリアン、会社近く、高評価、予算内)を満たしているか評価します。 もし情報が不足していたり、候補が多すぎたりすれば、さらに絞り込むための追加のツール実行や条件変更を計画します。
  • Iteration(繰り返し)
    要求を満たす3つの候補が見つかるまで、または適切な候補がないと判断するまで、上記のステップを繰り返します。

このように、ReAct サイクルを通じて、エージェントはより複雑なタスクや、状況に応じた柔軟な対応が可能になります。

ツール(Tools)

エージェントが外部環境と対話するための機能です。 データのアクセスや処理、ハードウェアとの連携などが含まれます。

★Tips

スタディガイド p.5( 第 3 回集中講座 ) の最後で触れた「エージェント向けツール(拡張機能、関数、データ ストア、プラグインなど)」がこれに該当します。 エージェントが実行できるアクションの幅を広げるための「道具箱」のようなイメージですね。 改めておさらいしておきましょう。

  • 拡張機能(Extensions)
    外部のサービスやアプリケーション プログラミング インターフェース(API)と連携するためのツールです。 たとえば、旅行予約サイトの API を呼び出してフライト情報を取得したり、カレンダー サービスの API を使って予定を登録したりします。
  • 関数(Functions)
    特定のロジックや計算処理を実行するためのツールです。 たとえば、複雑な料金計算を行ったり、特定の条件に基づいてデータをフィルタリングしたりする独自の関数を定義できます。
  • データ ストア(Data stores)
    リアルタイム データ、履歴データ、ナレッジベースなど、エージェントがタスク遂行に必要な情報にアクセスするためのツールです。 顧客データベースの参照や、製品マニュアルの検索などが該当します。
  • プラグイン(Plugins)
    外部システムと連携し、エージェントに新しいスキルや機能を追加するためのツールです。 たとえば、E コマース サイトの支払いシステムと連携して決済処理を行ったり、特定の業務システムと連携してレポートを自動生成したりします。

モデル(Model)

AI システムの「頭脳」であり、データからパターンを学習し、予測を行ったり新しいコンテンツを生成したりするさまざまなアルゴリズムで構成されます。

★Tips

Gemini のような大規模言語モデル(LLM)などが、この中核的な役割を担います。

これらの AI エージェントの構成要素や、ReAct サイクルのような複雑な処理の流れを深く理解し、実際に構築・活用していくためには、体系的な学習が不可欠です。 クラウドエースでは、「Vertex AI Agent Builder」のような、AI エージェント構築に特化したトレーニングや、より広範な AI の基礎から応用までをカバーする「Introduction to AI and Machine Learning on Google Cloud」といったコースを通じて、みなさんのスキルアップをサポートしています。

AI エージェントの種類(Types of agents)

エージェントは、その構築方法や振る舞いによっていくつかのタイプに分類できます。

  • 決定論的(従来型)エージェント(Deterministic / Traditional)
    あらかじめ定義された経路やアクションに基づいて動作するエージェントです。

    ★Tips

    たとえば、特定のキーワードに反応して決まった返答をするような、従来のルールベースのチャットボットがこれに近いイメージです。

  • 生成的エージェント(Generative)
    大規模言語モデル(LLM)を使って自然言語で定義され、より人間らしい自然な会話を実現するエージェントです。

    ★Tips

    ユーザーの意図をより深く理解し、柔軟な対話が可能です。

  • ハイブリッド エージェント(Hybrid Agents)
    決定論的な能力と生成的な能力の両方を組み合わせたエージェントです。 この組み合わせにより、非常に強力な機能を実現できます。

    ★Tips

    たとえば、特定の業務プロセスはルールベースで確実に実行しつつ、ユーザーとの対話部分は生成 AI で自然に行う、といった使い分けが考えられます。 実用的なエージェントの多くは、このハイブリッド型になることが多いでしょう。

  • マルチエージェント(Multi-agent)
    複数のエージェントが協調し、より複雑なタスクを分担・実行するシステムです。 個々のエージェントがもつ専門知識や能力を結集することで、単独のエージェントでは困難な問題解決を目指します。 Google もこのマルチエージェントの考え方を重視しています。
  • 会話型エージェント(Conversational agents)
    テキストや音声による人間との自然な会話を通じて、ユーザーの意図を理解し、情報提供やタスク実行を行うエージェントです。 チャットボットやバーチャル アシスタントなどが代表例です。
  • ワークフロー エージェント(Workflow agents)
    人間の定型的な業務プロセスを合理化・自動化することに特化したエージェントです。 たとえば、申請書の処理、複数システムへのデータ入力、情報収集とレポート作成などを人間の代わりに実行します。

AI エージェントの機能例(Agents can serve several different functions)

AI エージェントは、さまざまな業務で活用できます。

AIエージェントの機能例を示す図。6つの例が挙げられている。顧客サービスエージェント、従業員生産性向上エージェント、クリエイティブエージェント、コードエージェント、データエージェント、セキュリティエージェント。

  • 顧客サービス エージェント(Customer service agents)
    問い合わせ対応、製品サポートなど。
  • 従業員生産性向上エージェント(Employee productivity agents)
    情報検索、タスク自動化、スケジュール管理など。
  • クリエイティブ エージェント(Creative agents)
    デザイン案作成、コンテンツ生成支援など。
  • コード エージェント(Code agents)
    プログラミング支援、コード生成、デバッグなど。
  • データ エージェント(Data agents)
    データ分析、レポート作成、洞察の抽出など。
  • セキュリティ エージェント(Security agents)
    脅威検知、セキュリティ インシデント対応支援など。

★Tips

これらはあくまで一例です。 エージェントの応用範囲は非常に広く、さまざま業界や業務で新しい価値を生み出す可能性があります。

プラットフォーム(Platform)| AI イニシアチブの基盤

AI エージェント(Agent)を含む、あらゆる AI の取り組みを構築し、スケールさせるための基盤となるのが「プラットフォーム(Platform)」です。

Vertex AI | Google Cloud の統合機械学習(ML)プラットフォーム

Vertex AI は、機械学習のワークフロー全体を合理化するために設計されています。 AI ソリューションの構築、デプロイ、管理に必要なインフラストラクチャ、ツール、事前トレーニング済みモデルを提供します。

★ここ重要!

スタディガイド p.5( 第 3 回集中講座 )でも触れましたが、Vertex AI はまさに Google Cloud における AI 開発・運用のハブとなる存在です。 モデルの選択から、チューニング、デプロイ、そして継続的な改善まで、一元的に管理できるのが大きな強みです。

MLOps ツールによる連携強化

Vertex AI の MLOps ツールを利用することで、AI チームはより効果的に連携し、モデルの監視や改善を行うことができます。

★ここ重要!

MLOps は、機械学習(ML)と運用(Operations)を組み合わせた造語で、AI モデルの開発から運用までの一連のプロセスを効率化し、自動化するための考え方やプラクティスを指します。 これにより、AI モデルを迅速かつ確実に本番環境に届け、その品質を維持することが可能になります。

Vertex AI は、この MLOps を実現するための重要な機能を数多く提供しています。 たとえば、Vertex AI Model Registry は、トレーニング済みの機械学習モデルを一元的に管理し、バージョン管理やデプロイメントの追跡を容易にします。 これにより、再現性の確保や、必要に応じたモデルのロールバックなどが可能になります。 また、Vertex AI Pipelines を利用すると、データの準備、モデルのトレーニング、評価、デプロイといった一連の機械学習ワークフローをパイプラインとして定義し、自動化・管理することができます。 これにより、開発プロセスの標準化、エラーの削減、そして迅速なイテレーション(繰り返し改善)が実現できます。

Generative AI Leader としては、単にモデルを開発するだけでなく、それを安定的に運用し、継続的に改善していくための MLOps の考え方と、それを支援する Vertex AI の主要な機能(Model Registry や Pipelines など)についても、基本的な理解をもっておくことが重要です。 クラウドエースでは、「Introduction to AI and Machine Learning on Google Cloud」や、より専門的な MLOps の実践方法を学べるトレーニングを通じて、これらの知識習得をサポートしています。

モデル(Model)| AI プロジェクトの選択肢

Vertex AI は、AI プロジェクトで利用するモデルに関して、いくつかの選択肢を提供しています。

Model Garden(既存モデルの活用)

Google 独自のモデル、サードパーティ製のモデル、オープンソースのモデルなど、既存の多様なモデルがカタログのように用意されており、その中から自由に選択して利用できます。

★ここ重要!

すぐに使える高性能なモデルが多数用意されているため、ゼロからモデルを開発する手間を省き、迅速に AI 機能を試すことができます。 p.4 で紹介した Gemini や Imagen といったモデルも、この Model Garden を通じてアクセスできるとイメージするとよいでしょう。

Model Builder(独自モデルのトレーニングと利用)

独自のデータを使って、カスタムモデルをトレーニングし、利用することができます。

  • フルカスタム開発
    機械学習フレームワーク(TensorFlow や PyTorch など)を使用して、モデルを自由に設計し、大規模にトレーニングできます。
  • AutoML の活用
    最小限の技術的知識と労力で、高品質なカスタムモデルを作成・トレーニングできます。 データさえあれば、コーディングなしでモデルを構築することも可能です。

★ここ重要!

AutoML は、特に専門的な機械学習の知識がないユーザーでも、AI モデル開発の恩恵を受けられるようにする強力なツールです。 ビジネス課題に応じて、既存モデルの活用(Model Garden)と独自モデルの開発(Model Builder、特に AutoML)を使い分ける判断が重要になります。

Vertex AI の Model Garden や AutoML のような機能を最大限に活用するためには、それぞれの特性を理解し、適切な場面で使い分ける判断力が求められます。 クラウドエースの「Introduction to AI and Machine Learning on Google Cloud」トレーニングでは、これらのモデル選択戦略についても触れており、ビジネスニーズに応じた最適なアプローチを見つける手助けとなります。

インフラストラクチャ(Infrastructure)| 生成 AI を支える計算資源

生成 AI を実現するためには、強力な計算資源基盤(インフラストラクチャ)が不可欠です。

物理ハードウェアとソフトウェア

AI モデルのトレーニング、保存、実行に必要な物理的なハードウェア(サーバー、GPU(Graphics Processing Units)、TPU(Tensor Processing Units)など)と、それらを効率的に運用するためのソフトウェアが含まれます。

★ここ重要!

ここで登場する GPU と TPU は、AI、特にディープラーニングのような計算量の多い処理を高速に行うための重要な物理ハードウェアです。 GPU は、元々はグラフィック処理のために開発されましたが、その並列計算能力の高さから AI 分野でも広く活用されています。 TPU は、Google が機械学習のワークロードに特化して自社開発したプロセッサです。 特に大規模なモデルのトレーニングや推論処理において、高い電力効率と処理性能を発揮します。

Generative AI Leader 試験では、「AI モデルのトレーニングや実行に適した物理ハードウェアは何か?」といった形で、具体的なハードウェア コンポーネントの知識が問われる可能性があります。 Google Cloud が AI ワークロード向けに TPU という強力な選択肢を提供していることは、「なぜ AI 活用のために Google Cloud を選ぶのか」という問いに対する技術的な強みの一つとして理解しておくとよいでしょう。 単に「速い」というだけでなく、それがビジネスにおける AI 開発の迅速化やコスト効率の改善にどう繋がるのか、という視点も大切です。

エッジでの AI 実行(AI on the edge)

AI ソリューションを、データが生成される場所に近いインフラストラクチャ(デバイスやエッジサーバーなど)で実行することも可能です。

  • Lite Runtime(LiteRT)の提供
    Google は、開発者がエッジ デバイスに AI モデルをデプロイするのを支援する LiteRT のようなツールを提供しています。
  • Gemini Nano の活用
    Gemini Nano は、デバイス上で動作するように特別に設計された、Google で最も効率的でコンパクトな AI モデルです。

★ここ重要!

エッジで AI を実行することにより、ネットワーク遅延の削減(リアルタイム性が求められる処理に有効)、オフラインでの動作(ネットワーク接続が不安定な環境でも利用可能)、そしてプライバシー保護(データを外部に送信しないため)といった大きなメリットが期待できます。 スマートフォン アプリでのリアルタイム翻訳や、工場の製造ラインでのカメラ映像に基づく異常検知など、さまざまなユースケースが考えられます。

ここで思い出してほしいのが、p.4( 第 2 回集中講座 ) で解説した Google の基盤モデルの一つである「Gemma」です。 Gemma は「軽量」な「オープンモデル」であり、開発者が自身の環境やリソースに制約のあるデバイス(モバイル デバイスやエッジ デバイスなど)でカスタマイズして実行することを視野に入れています。 この Gemini Nano と Gemma は、どちらもデバイス上で効率的に AI を動作させるという「オンデバイス AI」や「エッジ AI」のトレンドにおける重要な選択肢となります。 それぞれの特性(たとえば、Gemini Nano の極限までの効率性や、Gemma のオープン性とカスタマイズの柔軟性など)を理解し、ユースケースに応じてどちらがより適しているかを判断できる視点をもっておくと、試験対策としても有効です。

ラリオス的!とくに注目したいポイント

スタディガイド p.6 では、AI エージェントという能動的な AI の概念と、それを実現するためのプラットフォーム(特に Vertex AI)、モデルの選択肢、そしてそれを支えるインフラが説明されています。 これらの要素が、具体的なビジネス ソリューションの中でどのように連携し、価値を生み出すのかを理解することが重要です。

  • AI エージェントは「考えて行動する」システム
    AI エージェントが単なる応答システムではなく、推論ループ、ツール、モデルという構成要素を通じて、目標達成のために自律的に「考えて行動する」という点をしっかり理解しましょう。 これにより、より複雑な業務の自動化や高度な意思決定支援が可能になります。
  • Vertex AI は「AI 開発・運用の司令塔」
    Vertex AI が、Model Garden(既存モデルの活用)や Model Builder(AutoML を含むカスタム モデル開発)といったモデル戦略の選択肢を提供し、さらに MLOps の考え方に基づいた効率的なモデル管理・運用を可能にする統合プラットフォームであることを再確認してください。 これは、AI プロジェクトを実験で終わらせず、持続的なビジネス価値に繋げるために不可欠です。
  • インフラ選択も戦略のうち。AI ワークロードに最適な環境を
    Google Cloud が提供する TPU のような AI 処理に特化した専用ハードウェアは、大規模モデルのトレーニングや推論を高速かつ効率的に行う上で大きなアドバンテージとなります。 また、Gemini Nano や軽量なオープンモデルである Gemma のようなエッジ デバイス向けモデルの選択肢があることは、ネットワーク遅延の削減やオフラインでの利用、プライバシー保護といったビジネスニーズに応じた AI on the edge 戦略を可能にします。 これらのインフラの選択肢が、「なぜ Google Cloud なのか」という問いに対する技術的な強みとなることを理解しておきましょう。
  • MLOps は AI プロジェクト成功の鍵
    AI モデルを開発して終わりではなく、継続的にその性能を監視し、改善し、安定的に運用していくための MLOps の重要性を認識しましょう。 Vertex AI が提供する MLOps ツール群は、このプロセスを支援し、AI 活用の成熟度を高める上で役立ちます。

これらの AI ソリューション構築の全体像を理解し、Vertex AI のようなプラットフォームを使いこなすスキルは、Generative AI Leader にとって不可欠です。 クラウドエースでは、AI エージェントの設計から MLOps の実践までを網羅するような、より高度なトレーニングの提供も検討しており、みなさんのステップアップを支援したいと考えています。 たとえば、「 Vertex AI Agent Builder 」のようなコースで AI エージェント構築の基礎を学び、さらに AI プロジェクト全体の管理や運用について理解を深めることができます。

学習のヒント:効率的な学習とクラウドエースのトレーニング

  • AI エージェントの活用例を具体的に考えてみる
    ご自身の業務や日常生活で、「こんなことを自動でやってくれる AI エージェントがいたら便利だな」と想像してみると、エージェントの概念がより身近になります。
  • Vertex AI の機能を俯瞰的に理解する
    Vertex AI のドキュメントやコンソールの概要を眺めて、どのような機能コンポーネント(例:データセット管理、トレーニング、エンドポイント、パイプラインなど)があるのか、全体像を掴んでおきましょう。
  • 「もし自分が AI プロジェクトのリーダーなら」という視点をもつ
    「既存モデルを使うか、カスタムモデルを作るか?」「クラウドで処理するか、エッジで処理するか?」といった技術選定の判断を、ビジネスの目的や制約条件と照らし合わせながら考える練習をすると、より実践的な理解が深まります。
  • 最新の AI トレンドを意識する
    AI エージェントや MLOps、エッジ AI といったトピックは、現在進行形で進化している分野です。 Google Cloud のブログや関連ニュースなどを通じて、最新の動向を追いかけてみるのもよいでしょう。

理解度チェック!ミニ クイズ

さて、ここまでの内容をどれくらい理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう!

【クイズ 1】
AI エージェントが目標達成に向けて状況を観測し、解釈、推論、行動を繰り返すプロセスのことを何と呼びますか?

(ア)ツールチェーン
(イ)推論ループ
(ウ)モデル トレーニング
(エ)データ インジェスチョン

【クイズ 2】
Google Cloud の統一された機械学習プラットフォームで、既存モデルの利用(Model Garden)やカスタムモデルの構築・トレーニング(Model Builder、AutoML)など、AI 開発のライフサイクル全体をサポートするものはどれですか?

(ア)Google AI Studio
(イ)Vertex AI
(ウ)BigQuery ML
(エ)TensorFlow Enterprise

【クイズ 3】
Google が AI 処理に特化して開発したプロセッサで、大規模な機械学習モデルの処理を高速かつ効率的に行うことができるものはどれですか?

(ア)CPU(Central Processing Unit)
(イ)GPU(Graphics Processing Unit)
(ウ)TPU(Tensor Processing Unit)
(エ)NPU(Neural Processing Unit)

クイズの答え

【クイズ 1】(イ)推論ループ
【クイズ 2】(イ)Vertex AI
【クイズ 3】(ウ)TPU(Tensor Processing Unit)

ラリオスからの挑戦状!実践演習クイズ

より深く、そして実践的な視点からのクイズです。 Generative AI Leader Sample Questions のレベル感を意識して挑戦してみましょう!

【実践演習クイズ 1】
ある小売企業が、顧客からの問い合わせ対応の効率化と顧客満足度の向上を目指し、AI チャットボットの導入を検討しています。 このチャットボットは、単純な FAQ 応答だけでなく、顧客の過去の購買履歴やウェブサイトの閲覧履歴といったパーソナルな情報を踏まえ、より自然で人間らしい会話を通じて、個々の顧客に最適化された商品推薦や問題解決のサポートを行う必要があります。 この要件を満たす AI エージェントのタイプとして、最も適切なものはどれですか。

(ア)決定論的(従来型)エージェント
(イ)生成的エージェント
(ウ)ハイブリッド エージェント
(エ)ルールベース エージェント

【実践演習クイズ 2】
ある開発チームが、特定の業界の専門用語や知識を豊富に含んだカスタム AI モデルを開発し、社内の複数のアプリケーションから利用できるようにしたいと考えています。 しかし、チームには機械学習モデルのインフラ管理やスケーリングに関する専門知識をもつメンバーが限られています。 このような状況で、開発チームがカスタム AI モデルを効率的にトレーニングし、デプロイ、そして管理・運用していくために、Google Cloud でまず検討すべきプラットフォームまたはサービスは何ですか。

(ア)Google Kubernetes Engine(GKE)を利用して、コンテナベースでモデルの実行環境を自前で構築・管理する。
(イ)Compute Engine の仮想マシン上に、必要な機械学習フレームワークをインストールし、手動でモデルのトレーニングとデプロイを行う。
(ウ)Vertex AI を活用し、Model Builder や AutoML を用いたカスタムモデルのトレーニングと、Model Garden を介したモデルのデプロイ・管理を行う。
(エ)BigQuery ML を利用して、SQL のみでモデルをトレーニングし、BigQuery 内で予測を行う。

【実践演習クイズ 3】
ある企業が、AI を活用して社内の業務プロセスを自動化し、従業員の生産性を向上させることを目指しています。 その一環として、複数の部門(営業、マーケティング、サポート)で利用されている異なる SaaS アプリケーション(例:CRM、MA ツール、ヘルプデスク システム)のデータを横断的に参照し、特定のトリガー(例:新規顧客の登録、大規模なクレームの発生)に応じて、関連情報を集約し、適切な担当者に通知し、さらには初期対応のドラフト(メール文面など)までを生成するような「AI アシスタント」を構築したいと考えています。 この「AI アシスタント」を実現する上で、中核となる AI の概念と、それを支える Google Cloud のプラットフォームの組み合わせとして、最も適切なものはどれですか。

(ア)概念:基盤モデルのファインチューニング / プラットフォーム:Google AI Studio
(イ)概念:AI エージェント(複数のツールと連携し、自律的にタスクを実行) / プラットフォーム:Vertex AI Agent Builder(Google Agentspace の一部として)
(ウ)概念:教師なし学習による異常検知 / プラットフォーム:BigQuery
(エ)概念:自然言語処理 API の直接利用 / プラットフォーム:Cloud Functions

実践演習クイズの答えと解説

【実践演習クイズ 1】
(ウ)ハイブリッド エージェント

単純な FAQ 応答(決定論的な処理も有効)と、パーソナルな情報を踏まえた自然な会話・推薦(生成的な処理が求められる)の両方が必要とされているため、両者の長所を組み合わせたハイブリッド エージェントが最も適しています。 生成的エージェントだけでも実現可能ですが、特定のルールに基づいた確実な応答が求められる部分もあるため、ハイブリッドがより現実的です。

【実践演習クイズ 2】
(ウ)Vertex AI を活用し、Model Builder や AutoML を用いたカスタムモデルのトレーニングと、Model Garden を介したモデルのデプロイ・管理を行う。

Vertex AI は、カスタムモデルのトレーニング(Model Builder や AutoML)、デプロイ、管理といった機械学習のライフサイクル全体をサポートする統合プラットフォームです。 インフラ管理の専門知識が限られているチームにとって、これらの作業を効率化できる Vertex AI は最適な選択肢です。 GKE や Compute Engine で自前で環境構築するのは専門知識と手間が必要です。 BigQuery ML は SQL ベースで便利ですが、より汎用的なカスタムモデル開発・運用には Vertex AI が適しています。

【実践演習クイズ 3】
(イ)概念:AI エージェント(複数のツールと連携し、自律的にタスクを実行) / プラットフォーム:Vertex AI Agent Builder(Google Agentspace の一部として)

問題文で求められているのは、複数の異なるシステム(SaaS アプリケーション)と連携し(ツールの活用)、特定のトリガーに応じて情報を集約・通知・初期対応ドラフト生成といった一連のタスクを自律的に実行する(推論ループとモデルによる判断)システムです。 これはまさに「AI エージェント」の機能そのものです。 そして、このようなビジネス プロセスに特化した AI エージェントを構築・展開するためのプラットフォームとして、Google Cloud では Vertex AI Agent Builder(Vertex AI AI Applications としても出題される可能性があります)が提供されています。

まとめ | AI ソリューション構築の全体像を掴む(クラウドエースのトレーニング紹介)

今回の解説はここまでです! スタディガイド p.6 では、AI エージェント(Agent)の概念から、それを支えるプラットフォーム(Platform)、モデル(Model)、インフラストラクチャ(Infrastructure)まで、生成 AI ソリューションを構築するための重要な要素を学びました。 AI エージェントが自律的にタスクを実行する仕組み、それを支える Vertex AI のような統合プラットフォームの役割、そしてモデル選択やインフラの重要性など、AI ソリューションをビジネスに活かすための具体的なイメージが湧いてきたのではないでしょうか。

これらの要素を理解し、実際にビジネス課題の解決に応用していくためには、知識だけでなく実践的なスキルも不可欠です。 クラウドエースでは、「Vertex AI Agent Builder」のような特定のツールに特化したトレーニングから、AI プロジェクト全体の進め方を学ぶコースまで、みなさんのニーズに合わせた多様な学習機会を提供しています。

たとえば、「 Application Development with LLMs on Google Cloud 」では、LLM を活用したアプリケーション開発のノウハウを、「 Introduction to Developer Efficiency with Gemini on Google Cloud 」では、Gemini を活用した開発効率向上のテクニックを学ぶことができます。 これらのトレーニングを通じて、Generative AI Leader としてのスキルをさらに高めていきましょう。

次回は、スタディガイド p.7 に進み、Google Cloud が提供するさまざまな「AI 関連 API」について詳しく見ていきます。 これらの API を活用することで、既存のアプリケーションに簡単に AI 機能を組み込むことができます。

お楽しみに!

▼これまでの連載はこちら

【第 1 回】Generative AI Leader 資格集中講座!Google Cloud 認定講師による日本語解説 
【第 2 回】Generative AI Leader 資格集中講座!データを制する者が AI を制す!
【第 3 回】Generative AI Leader 資格集中講座!Google Cloud の AI パワーを徹底解剖!

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