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【速報まとめ】Google Cloud Next ’25 Las Vegas 基調講演 Day 1

※この記事は迅速な情報提供を重視し、速報として掲載しております。もし記事内に誤りがございましたら、後日訂正いたします。

はじめに


現在ラスベガスで開催されているGoogle Cloudの旗艦イベント「Google Cloud NEXT’25(以下、Next’25)」に現地参加中のクラウドエース Shanks/kazz/小堀内/岸本です。

Google Cloud NEXT’25で発表された最新情報を、現地からお届けいたします。

Google Cloud Next ’25のキーノートセッションでは、Google Cloudが前回のNextからの1年間で達成したAI分野における進化と、今後の展望について語りました。1年前のNextで共有された「AIが組織を根本的に変革する」というビジョンは、今や現実となり、多くの顧客事例と共にその成果が示されました。本記事では、キーノートで発表された主要なアップデートを、速報記事としてまとめます。AIが単なるツールから、自律的にタスクを実行する「Agent」へと進化する時代の本格的な到来を感じさせる内容をお伝えします。

主要ポイント

  • AIに最適化されたインフラ(AI Hypercomputer)の大幅な進化:第6世代 TPU「Trillium」やNVIDIA Blackwell GPU搭載VMの発表、ストレージ、ネットワークに至るまで、AIワークロードの効率とパフォーマンスを最大化するためのインフラ強化が行われました。
  • Vertex AIを中心とした統合プラットフォームの強化:モデル開発からAgent構築まで、AIライフサイクル全体をサポートするVertex AIが、新機能追加やモデル拡充により、さらに使いやすく強力なプラットフォームへと進化しました。
  • Gemini 2.5をはじめとする最新基盤モデルと生成メディアモデル:より高度な推論能力と長いコンテキストウィンドウを持つGemini 2.5や、画像、音声、音楽、動画生成のための最新モデル(Imagen 3, Chirp 2, Lyria, Veo)が発表され、利用可能になりました。
  • AI Agentエコシステムの本格化:複数のAgentが連携して複雑なタスクを実行するマルチエージェントシステムの構築を支援するADK(Agent Development Kit)やA2A(Agent2Agent)プロトコル、従業員向けのAgentspaceなど、Agent開発・利用環境が整備され、その重要性が強調されました。

技術詳細

AI Hypercomputer:AIワークロードのためのインフラ革新


AIモデルのトレーニングと推論を効率化・高速化するためのスーパーコンピューティングシステム「AI Hypercomputer」に関して、以下の発表がありました。これは、大規模AIの要求に応えるための重要な基盤となります。

  • Ironwood:今までの数十倍の性能と速度を持つ新しいTPUです。9000個のチップで42.5エクサFLOPSの性能を持ち、世界最高のスーパーコンピュータの24倍の計算能力を提供します。
  • Trillium TPU:第6世代となる最新 TPU。前世代(TPU v5e)比でチップあたりの計算性能が4.7倍向上し、エネルギー効率も改善。大規模モデルのトレーニングと推論を加速します。
  • NVIDIA GPUサポート強化:NVIDIA Blackwell(B200, GB200) 搭載の A3 強力版 VM (A3 Mega)や、新しい N4 VMをいち早く提供。次世代Vera Rubin GPUの早期提供も予定されています。
  • Cluster Director:大規模なアクセラレータ群を単一ユニットとして管理し、パフォーマンスと効率を最大化します。
  • ストレージイノベーション
    • Hyperdisk Storage Pools:容量とパフォーマンスを事前にプロビジョニングし、コスト効率よく利用できるブロックストレージプール。
    • Anywhere Cache:アクセラレータ近くにデータをキャッシュし、ストレージレイテンシを削減、トレーニング時間が短縮されます。
    • Cloud Storage FUSEの改善:大規模なファイルアクセス性能が向上します。
  • 推論効率化ソフトウェア
    • GKE Inference:新機能により、サービスコストを最大30%削減、テールレイテンシを最大60%短縮、スループットを最大40%向上(内部ベンチマーク)。効率的なモデルサービングを実現します。
    • JetStream:Geminiモデルのような大規模モデル向けに最適化された、高性能な推論エンジンです。
    • vLLM on TPU:PyTorch向けにvLLMを利用している顧客が、TPU上でもワークロードを実行可能にします。
  • Google Distributed Cloud (GDC):Geminiモデルをオンプレミス環境で利用可能に。Dellとの提携、NVIDIA Blackwellシステムへの統合が発表されました。

Foundation Models:Gemini 2.5と生成メディアモデルの進化


Google DeepMindの研究成果を基盤とした、多様なモデルのアップデートが発表されました。

  • Gemini 2.5:長いコンテキストウィンドウ(最大100万トークン)と高度な推論能力を持つ最新モデル。
    • Gemini 2.5 Pro:高度な推論、マルチモーダル理解、長文脈処理能力を提供。複雑なタスクや分析に最適化されています(Vertex AIでパブリックプレビュー中)。
    • Gemini 2.5 Flash:低レイテンシ・コスト効率を重視しつつ、2.5 Proの主要機能を多く継承。リアルタイム処理や大規模アプリケーションに最適化されています(Vertex AIで利用可能)。
  • Generative AI Media Studio(Vertex AIで利用可能)
    • Imagen 3:最高品質のテキスト画像変換モデル。プロンプトへの忠実性、テキストレンダリング、写実性が向上。インペインティング(欠損補完)やアウトペインティング(画像拡張)機能も強化されています。
    • Chirp 2:音声生成モデル。短い音声サンプルからカスタム音声を作成可能です。多言語対応や文字起こし機能も向上します。
    • Lyria:テキストやスタイルから高品質な音楽を生成するモデルです。インストゥルメンタル生成やボーカル生成に対応しています。
    • Veo 2:高品質な1080p動画を1分以上生成可能な動画生成モデルです。プロンプト理解度が高く、インペインティング、アウトペインティング、視覚効果の追加など、高度な編集機能も提供します。
  • 科学研究向けモデル
    • AlphaFold 3:生命分子(タンパク質、DNA, RNA 等)の構造と相互作用を高精度で予測。創薬研究などを加速。Google Cloud Cluster Toolkit経由で利用可能です。
    • 高解像度気象モデル:Google Researchによる高精度な天気予報AIモデル。Vertex AI Model Gardenで利用可能です。

Vertex AI:AI 開発・運用プラットフォームの強化


AIアプリケーションとAgentの構築・管理プラットフォームであるVertex AIは、AI開発ライフサイクル全体をサポートするハブとして、以下のアップデートが行われました。

  • Model Garden:Google、サードパーティ、オープンソースモデルを含む200以上のモデルを提供。最適なモデル選択を支援します。
  • Grounding(根拠付け):Google検索、企業データに加え、信頼できるサードパーティデータ(Dun & Bradstreet, S&P Global等)やGoogleマップによる根拠付けが可能に。これにより、モデルの回答の信頼性を高め、ハルシネーションを抑制します。
  • Vertex AI ダッシュボード:使用状況、スループット、レイテンシ監視、エラー対応を支援。運用管理を効率化します。
  • トレーニング・チューニング機能:ファーストパーティモデル(Gemini, Imagen, Veo等)やオープンモデル(Gemma, Llama等)でカスタムトレーニング・チューニングを安全に管理できます。
  • Vertex AI モデルオプティマイザー:品質、速度、コスト設定に基づき、最適なモデルとツールへクエリを自動ルーティング。コストパフォーマンスを最適化します。
  • Live API:ストリーミング音声・ビデオをGeminiに直接提供し、リアルタイムなマルチモーダルインタラクションを実現できます。

Agent Ecosystem:マルチエージェント時代の到来


複数のAI Agentが連携して複雑なタスクを実行する「マルチエージェントエコシステム」の構築支援機能が発表されました。これは、単一のAIでは解決困難な問題を、協調動作によって解決することを目指します。

  • Agent Development Kit (ADK):マルチエージェントシステム構築を簡素化するオープンソースのフレームワーク。少ないコード量でAgentを構築可能にし、開発を加速します。
  • Agent2Agent (A2A) プロトコル:異なる技術基盤のAgent同士が通信するためのオープンプロトコル。相互運用性を確保し、エコシステムの発展を促進します。
  • Agent Garden:ADKからアクセス可能な、すぐに使えるサンプルとツールのコレクション。各種コネクタやAPIとの連携を容易にします。
  • 相互運用性:LangGraphやCrew AIなどの複数Agentフレームワークに対応します。NetAppデータ上でのAgent構築も可能になります。
  • Google Agentspace:従業員がAI Agentを発見し、活用するためのプラットフォーム。
    • Chrome Enterprise との統合:Chromeから企業リソースを検索・アクセス可能に。
    • Agent Gallery:Deep Research AgentやIdea Agentなど、利用可能なAgentを一元表示。
    • Agent Designer:ノーコードでカスタムAgentを作成。
    • Idea Generation Agent / Deep Research Agent:アイデア創出や調査を支援する専用Agent。

Google WorkspaceとSpecific Agent Categories

  • Google Workspace:スプレッドシートでの自動分析、ドキュメントの音声要約、反復タスク自動化(Workspace Flows)など、GeminiによるAI機能強化を発表。日常業務の効率化を支援します。
  • Impactful Agents:ビジネス成果を出す5つのAgentカテゴリを紹介。
    • Customer Agents:Lowe’s, Globo, DBS の事例。次世代エンゲージメントスイート(感情理解、ストリーミングビデオ対応等)を発表。Wendy’s, MercedesBenz, Home Depotの業界特化Agent事例が紹介されました。
    • Creative Agents:WPP, Monks.Flow, Brandtech Group, Mondelezの事例が紹介されました。Adobeとの提携(Imagen 3, VeoをAdobe Express等へ導入)。
    • Data Agents:BigQueryを中心に、データエンジニア、データサイエンティスト、ビジネスユーザー向けの専門Agentを発表。Mattel, Spotify, Unilever, Bayer, Nevada州の事例が紹介されました。
    • Coding Agents:Gemini Code Assistの機能強化(コードベース理解、モダナイズ支援、カンバンボード連携、パートナー統合)。Google内で新規コードの25%以上がAIにより生成されていることが発表されました。
    • Security Agents:Google Integrated Securityソリューションを発表。Alert Triage Agent, Malware Analysis Agentなど、アナリストを支援するAgentが紹介されました。

まとめ

今回のNext’25では、AIがコンセプトから、ビジネスプロセスに深く組み込まれる実用的な「Agent」へと進化したことを示す多くの事例が紹介されました。開発プロセスの効率化(Coding Agents)から、データ分析(Data Agents)、顧客体験(Customer Agents)、クリエイティブ(Creative Agents)、セキュリティ(Security Agents)に至るまで、AIの活用が多岐にわたる分野で現実のものとなっていることを実感します。今後は、Vertex AIを統合ハブとし、目的に応じて最適なモデルやAgentを組み合わせることで、各企業が自社のビジネス課題解決を加速させていくことが期待されます。

参考リンク

Google Cloud Next ’25 超速報セミナーのお知らせ


Next’25 へ現地参加ができなかったという方へ、弊社 PTE のシャンクスとラリオスが現地ラスベガスから日本の皆様へ超速報(ReCAP)を生配信でお届けいたします!
この機会にぜひご参加ください。

  • 開催日:2025年4月11日(金) 11:00-12:00
  • 会場:オンライン配信
  • 定員:500名
  • 参加費:無料

お申し込みはこちらから
https://cloud-ace.jp/event/250411/

※Google CloudおよびGoogle Cloud製品・サービス名称はGoogle LLC の商標です。
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※PyTorch は the Linux Foundation の商標です。
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※Llama は Meta Platforms, Inc. の商標です。
※LangGraph は LangChain, Inc. の商標です。
※NetApp は NetApp, Inc. の商標です。
※Lowe’s は Lowe’s Companies, Inc. の商標です。
※Globo は Grupo Globo の商標です。
※DBS は DBS Bank Ltd. の商標です。
※Wendy’s は The Wendy’s Company の商標です。
※Mercedes-Benz は Mercedes-Benz Group AG の商標です。
※Home Depot は The Home Depot, Inc. の商標です。
※WPP は WPP plc の商標です。
※Monks.Flow は MediaMonks の商標です。
※Brandtech Group は The Brandtech Group の商標です。
※Mondelez は Mondelez International, Inc. の商標です。
※Adobe Express は Adobe Inc. の商標です。
※Mattel は Mattel, Inc. の商標です。
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※Bayer は Bayer AG の商標です。
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