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AppSheet とは?料金やApp Makerとの違いについて解説

こんにちは、クラウドエース編集部の、みかんです。

去年私は App Maker の自称エバンジェリストとして、イベント登壇や Qiita への投稿等 App Maker 普及のために様々な活動を行ってきました。それは App Maker がこれまでのアプケーション開発を変えることができる画期的、且つ魅力的なプラットフォームであると思ったからです。ドラッグ&ドロップによるUIの構築、G Suite (※1) や GCP 、サードパーティアプリとの連携等、専門的なエンジニアリングの知識がなくても利用できる App Maker には未来のアプリケーション開発を牽引していくであろう大きなポテンシャルを感じていました。

そして、2018年にサービスが開始してから2年目の今年、いよいよ App Maker が盛り上がってくる・・・と思いきや Google が App Maker のサービス停止を突然発表しました。現実なのか夢なのか・・・ショックのあまり一瞬感情を失いかけましたが、やっと現実を直視できるようになってきたので、 App Maker の振り返り、そして代替サービスである AppSheet の概要について説明をしようと思います。

※1 G Suite は2020年10月に Google Workspace に更新されました。

吉積情報株式会社が Google Workspace / AppSheet 専門メディアをリリース

弊社グループ会社の吉積情報株式会社が Google Workspace / AppSheet 専門メディア「 吉積コラボラボ 」をリリースしました。本サイトでは、 AppSheet の基本情報から使い方まで、「これから AppSheet を始めるビギナー」向けのコンテンツを幅広く提供していく予定です。

App Maker とはどのようなサービスだったのか(※2)

App Maker は2018年に Google からリリースされた G Suite ユーザ向けのアプリケーション開発プラットフォームです。大規模アプリケーションの開発には向いていませんが、社内のワークフローを改善させるような小規模なアプリケーション開発に向いたプラットフォームになっています。Calendar や Gmail 、ドライブ 等の G Suite アプリケーションとの連携だけでなく、CloudSQL のような GCP サービスやサードパーティとの連携も可能です。ただし、App Maker を利用するためには G Suite のBusiness・Enterprise・Educationのいずれかの契約が必要でした。ただし、前述した通り先日サービスの停止が Google から突如発表されました。

※2 サービス自体はまだ終了していません。App Maker は2020年4月15日からアプリケーションを新規作成できなくなり、サービス自体は2021年1月19日に終了になる予定です。

App Maker がサービス停止した敗因

App Maker が終了する理由は利用ユーザの少なさだったようですが、なぜ App Maker は世の中に普及しなかったのでしょうか。私が考える要因を考察してみようと思います。

  • 理由(1) 誰でもアプリケーションを構築できるわけではなかった
    最初に App Maker は「専門的なエンジニアリングの知識がなくても利用できる」と説明しましたが、実は全く知識がなくても利用できるサービスではありません。GAS(Google Apps Script)やHTML/CSS等、基礎的な知識は要求されます。誰でも利用できると聞いて使ってみたものの、意外にとっつきにくいサービスであると感じたユーザが多かったかもしれません。
  • 理由(2) G Suite Business に契約しないと利用できない
    App Maker は G Suite のBusiness以上を契約しないと利用することができません。利用したいユーザにとってはそれが大きな敷居になっていたかもしれません。Gmail や ドライブ のようなフリーサービスとして公開していれば、もしかすると結果は異なったのかもしれません。
  • 理由(3) 結局 GAS のスキルが要求される
    理由(1)でも書いた通り、App Maker にはある程度の技術的なスキルが要求されます。簡易なToDoアプリであればノーコードで開発できるかもしれませんが、実際の改善対象の業務フローは単純でないケースがほとんどです。サードパーティのサービスとの連携が必要かもしれませんし、オンプレのDBサーバとの接続も必要になるかもしれません。そういったケースの場合、結局は GAS による実装スキルが要求されます。

AppSheet とはどのようなサービスなのか

AppSheet とは、ノーコードでアプリケーションを構築できる開発プラットフォームです。今年の01/14に Google が買収し、Google Cloud のサービスの一つになりました。前述した通り、Google が推奨する App Maker の代替サービスになります。AppSheet にはどのような特徴があるのでしょうか。本章では AppSheet の特徴についてまとめてみました。

  • 利用可能なデータリソースが豊富
    AppSheet は Google ドライブ やOffice365 上のExcel、Dropbox、Salesforce等、様々なサードパーティサービスに標準で接続が可能です。ただし、これらのサービスに接続するためには、もちろん各サービスのアカウントを持っていることが条件になります(OAuth認証によってユーザー権限で各リソースへの接続許可を行うため)。

  • 充実したサンプルアプリケーション
    AppSheet はユーザ向けに様々なサンプルアプリを用意しています。ユーザはこれらのアプリケーションをコピーし、独自にカスタマイズを行うことができます。カテゴリ別に様々なサンプルアプリが存在するため、要件に沿ったアプリが見つかるかもしれません。App Maker も拡張可能なサンプルアプリを提供していますが、アプリの種類については AppSheet の方が豊富だと思います。
  • ノーコードによるアプリケーション開発
    前述した通り、AppSheet は様々なサードパーティサービスに標準で接続可能です。App Maker の場合、Google サービス以外の接続は GAS による実装が必要だったので、コードを書かずにこれらのサービスに接続できるのは非常にメリットです。しかしながら、アプリ開発を行うためには AppSheet のGUIを使いこなす必要があるため、GUIを理解するための学習コストは要求されます。
  • プレビューしながらアプリの構築が可能
    ユーザーはブラウザ上でアプリを構築しながらリアルタイムにUIのプレビューが可能です。

  • 機械学習のサポート
    AppSheet は機械学習のサポートも行なっています。学習モデルの定義を行い、コンテンツのカテゴライズやOCR(Beta版)を行うことも可能です。機械学習機能については、世の中のトレンド的に今後も発展が期待できると思います。

AppSheet の利用料金

今後 Google によって価格改定が行われる可能性がありますが、現状 AppSheet は3つの有料プランが存在し、アクティブユーザにしか課金が発生しないようになっています。
公式の料金表を見ればわかりますが、これらの価格差は利用できる機能の範囲によって決まります。

Starter Core Enterprise Standard Enterprise Plus
$5 /per named user/mo $10 /per named user/mo(※3) お問い合わせ下さい お問い合わせ下さい

※3 (2020年10月更新) 新しい Google Workspace では、Enterprise を契約することで自動的にProライセンスが付与されるようになりました。

既存アプリケーションの移行

Google は App Maker アプリケーションの移行について、ケースに応じてAppSheet 以外のサービスも推奨しています。しかし、App Maker のアプリケーションはソースコードのポータビリティが非常に低いため、どの移行パターンでも簡単な移行はないと考えた方が良いでしょう。

  • AppSheet への移行
    Google は複雑なビジネス要件の自動化に App Maker を使用している場合 AppSheet への移行を推奨しています。App Maker アプリで CloudSQL を利用している場合、AppSheet ではそのまま同じデータベースを利用することができます。ただし、前述した通り App Maker アプリはポータビリティの問題があるため、ソースコードをそのまま AppSheet で動作させることはできません。アプリケーションは AppSheet で作り直しが必要になると考えた方が良いでしょう。
  • App Engine への移行
    おそらく簡易なアプリケーションの移行の場合に Google は App Engine への移行を推奨しているのだと思いますが、AppSheet への移行と同様に AppMaker のソースコードをそのまま App Engine にデプロイしても動作はしません。SPA(シングルページアプリケーション)として動作させる場合、フロントとサーバーどちらも再実装が必要です。
  • Google フォームへの移行
    データ集計の自動化を App Maker で構築している場合、Google は Google フォームへの移行を推奨しています。入力データをスプレッドシートに集計するようなアプリであれば簡易に移行することはできるかもしれません。

まとめ

App Maker がサービス終了することは非常に残念ではありますが、今回説明した通り、AppSheet は App Maker に比べよりユーザライクなUIを提供するサービスであると言えます。AppSheet が Google Cloud のサービスに組み込まれ、今後どのような発展を遂げていくか非常に楽しみでもあります。私も今後は前向きに AppSheet の動向もチェックして行きたいと思います。

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また、AppMaker から App Engine にアプリケーションを移行したい場合は、お気軽に以下お問い合わせ先からご連絡ください。

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