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個人の活用から組織での実践へ。オーシャントランス株式会社におけるGemini Enterpriseワークショップがもたらした効果とは

フェリーやRORO船、一般貨物船、外航貨物船を運航し、日本の海上物流を支えるオーシャントランス株式会社。同社はこれまで、船による貨物輸送や一般旅客輸送に関する業務の電子システム化等を推進し、大きな業務効率化を実現してきています。しかし、近年の急速な生成AI(人工知能)技術の進展の一方で、会社単位での取り組みの遅れや個人の興味・スキルへの依存といった「活用の属人化」が新たな課題として浮き彫りになっていました。組織としてAI活用に慣れ、さらなる業務効率化を図るべく、同社はGemini Enterpriseの導入及びGemini Enterprise社内ワークショップの開催を決定。実践的な勉強会の開催を通じて全社的なAI活用の第一歩を踏み出しました。オーシャントランス株式会社の取り組みについて、同社の営業本部 営業企画部の米原 秀将氏にお話を伺いました。
(左から)
クラウドエース株式会社
事業推進本部 クラウドプラットフォーム事業部 / 塩瀬 悠樹
事業推進本部 クラウドプラットフォーム事業部 / 田中 悠路

オーシャントランス株式会社 営業本部 営業企画部 / 米原 秀将氏

クラウドエース株式会社 事業推進本部 第三事業部 / 古川 真穂

導入前の課題:電子システム化の先にあった「AI活用の属人化」と日常業務の非効率

海運業務における各種業務の電子システム化等を積極的に進め、効率化を図ってきたオーシャントランス株式会社。しかし、近年の生成AI技術の急速な発展に対して、組織としての対応や活用方針の確立には課題を抱えていました。その課題とは、社内におけるAIへの取り組みはごく一部のみで、興味を持つ一部の社員による利用にとどまるといった、活用の属人化です。環境変化に取り残されないためにも、会社として組織的にAI活用へ慣れていく仕組み作りが急務でした。

米原氏は、当時の状況と抱えていた危機感について次のように振り返ります。

オーシャントランス株式会社 営業本部 営業企画部 / 米原 秀将氏

「これまで、電子システム化によっても大きな効率化を図ってきましたが、近年のAIに関する技術の進歩をみると、活かさない手はないと思う一方で、AIに対する会社としての取り組みは皆無に近く、興味のある個人社員頼みになっていましたね。周りに取り残されないためにも、会社としてAI活用に徐々に慣れていく必要があると考えていました」(米原氏)

また現場の日常業務においても、議事録や書類作成補助、法律解釈の確認、情報検索補助、各種データ整理といった細かな作業の中で、生産性を阻害する「見えない非効率時間」が発生していました。

さらに、システム開発に関わる社内プロジェクトでは、何十回にも及ぶ会議の膨大な資料から必要な情報を抜き出す作業に、多大な時間と手間が費やされていたとのこと。こうした課題を背景に、誰にとっても馴染みやすく活用の幅が広い汎用性と、社内情報を安全に扱えるセキュリティを両立したツールの導入が求められていました。

選定理由:汎用性とセキュリティの両立、手厚い伴走サポートが決め手に

こうした課題を解決するため、同社はGoogle Cloudの提供する「Gemini Enterprise」の導入を決定しました。情報収集や書類作成、簡単なデータ整理といった幅広い日常業務に対応できる汎用性と、高度なセキュリティ環境を兼ね備えている点が評価されたのだそう。さらに、自社でノーコード(プログラミングを行わない手法)で専用のAI環境を構築できる「Agent Designer」機能や、大量のドキュメントから必要な情報をハルシネーションなく抜き出す「Gemini Notebook」機能に大きな魅力を感じていました。

米原氏は、Gemini Enterpriseの選定理由についてこう語ります。

「Gemini Enterpriseについては、汎用性がありながらもセキュリティ面で安心できるツールとして導入を決めました。情報収集、書類作成、議事録作成補助、簡単なデータ整理など活用の幅が広く、誰にとっても馴染みやすいツールになるはずです」(米原氏)

また、パートナーとしてクラウドエースを選定した背景について、米原氏は次のように語ります。

「AI初心者が多数を占める弊社にとって、契約して終わりではなく、代理店からのサポートを継続的に得られるという点が大きく、導入を決める前にトライアル環境も用意していただけました」(米原氏)

クラウドエースをパートナーに選定した背景には、継続的な伴走体制があったと語ります。AI初心者が多数を占める同社にとって、契約手続きのみで終わらず導入後もサポートが得られる点が判断要素に。事前の課題ヒアリングに基づいた提案や、導入決定前に実際の動作を確認できるトライアル環境が提供されたことも挙げられました。

導入プロセスと支援内容:体験価値を重視したカリキュラムと実務データ活用で理解を促進

当日のワークショップの風景

実際の活用展開に向け、2026年8月4日、役員から若手社員まで社内有志20名が参加する「Gemini Enterpriseワークショップ」を対面(オンサイト)とオンラインのハイブリッド形式で開催。まずはGemini Enterpriseの実践的な活用検証を開始しました。

講師を務めたクラウドエース クラウドプラットフォーム事業部の田中 悠路は、事前打ち合わせを通じてプログラムを精査しました。専門的な座学に偏らず、受講者が「自分たちの日常業務のどこで使えるか」を直感的にイメージできる体験価値を重視し、初歩的な画面操作(UI)の解説からスタートするカリキュラムを設計しました。

クラウドエース株式会社 事業推進本部 クラウドプラットフォーム事業部 / 田中 悠路

「AIツールの利用経験がまだ広がっていない方にも、Gemini Enterpriseで何ができるのかを直感的に理解いただけるよう、専門的な説明に偏らず、基本操作や具体的な活用デモを中心に構成しました」(田中)

ワークショップでは、受講者が自らの業務に置き換えて活用イメージを描けるよう、日頃扱っている業務データに近い「売上サンプルデータ」や「利用実績データ」を模したCSVファイルを活用。これらのデータは同社にご準備いただき、実務に近いデータを題材にしたことで、業務への適用イメージを膨らませるきっかけとなりました。

一方で、全社的な取り組みならではの苦労も。参加者が北海道、青森、徳島、九州など全国の各拠点に分散している上、当日は貨物の乗下船作業やブッキング(予約受付)業務といった通常業務と並行しながらオンラインで参加せざるを得ない社員も多く存在しました。まとまった時間の確保や手元操作の個別フォローには物理的な困難が伴いましたが、弊社ではワークショップ終了後も1週間の質疑応答サポート体制を設けるとともに、ワークショップ録画映像提供により、オンラインで参加された方のスムーズな理解促進を支援しました。

また今回の支援を通じて、受講された方々からは、日々の小さな業務に対しても効率化を意識してGeminiに落とし込んでみたり、その成果を共有して知見を広める意識作りのきっかけとなったほか、回答の正確性をチェックすることに対する重要性についても気づきがあったという感想をいただきました。

成果と今後の展望:業務効率化と適切なガバナンス意識の獲得、そして全社定着へ

Gemini Enterpriseの導入とワークショップの開催により、同社は全社的なAI活用に向けた大きな一歩を踏み出しました。特に成果があったのが、システム開発に関わる社内プロジェクトにおける情報管理です。何十回にも及ぶ過去の会議資料からの情報抽出は、従来手作業で膨大な時間を要していましたが、「Gemini Notebook」機能の活用により、作業の円滑化を実感する成果が得られました。

さらに今回の取り組みを通じて、単なるツールの操作方法にとどまらない重要な意識改革が得られました。ワークショップの中で弊社の田中は、利便性の訴求だけでなく実務運用におけるリスク管理として「生成AIの回答はそのまま鵜呑みにせず、人間が事実関係を確認しながら活用することが重要である」というガバナンス(統制)意識の伝達を徹底しました。

「今回のワークショップは、単に質疑応答を行うだけでなく、受講者の皆様がGemini Enterpriseの基本機能やエージェント作成の一連の流れを把握し、自らの日常業務にどう適用できるかを具体的に思い描いていただく絶好の機会になったと感じています。また、利便性を伝えるだけでなく、生成AIの回答はそのまま鵜呑みにせず人間が事実関係を確認しながら活用することが重要であるというリスク管理の視点もお伝えしました」(田中)

オーシャントランス株式会社では、今回のワークショップを一過性の取り組みで終わらせず、全社への定着と高度化に向けた次のステップを見据えています。まずは適宜ログ分析を行って活用状況を把握し、得られた効果を社内に共有することで、組織全体のAI活用意識を高めていく考えです。

「ある程度のタイミングで、ログ取得により活用状況を分析したり、活用による業務効率化実績を整理し社内展開するなど、効率化&社内意識向上に取り組みたいと考えています」(米原氏)

さらにその先には、SharePointやCloud Storageなどを活用した既存ナレッジと連携させた「自社専用AIエージェント」の構築構想も描かれており、電子システムで管理するデータと連携した分析業務・渉外報告・社員教育・コンプライアンス確認から、総務や経理における船員労務の複雑な法令チェックに至るまで、より専門性の高い実務領域への活用拡大を期待しています。

求められるサービスを提供し続けられるよう、自社の課題に正面から向き合い、さらなる効率化に向けて着実に歩みを進める同社。組織全体でのAI活用を真の定着へと導くため、クラウドエースは今後も継続的かつ実践的なサポートを行ってまいります。

利用したサービス

Gemini Enterprise導入・活用支援
Gemini Enterprise は企業の働き方を変革する AI エージェントプラットフォームです。ビジネスプロセス全体の自動化、あらゆるデータへの安全な接続を実現し、組織の生産性を向上させます。

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