青梅商工会議所

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Google App EngineのバージョンアップとJavaの近代化により、地域に根ざした防災DXを支援

全国でも珍しい情報事業部を持ち、自治体向けシステム開発を手掛ける青梅商工会議所。同所が開発し、消防団の活動や従業員の安否確認を支える災害情報支援アプリ「め組」シリーズは、基盤であるGoogle App Engineの世代交代という技術的課題に直面していました。ソースコードの深い調査からコスト最適化に至るまでの弊社の総合的な支援は、いかにしてこのシステムの近代化を実現したのでしょうか。

(左から)
青梅商工会議所
事業部(情報センター)オープンシステム課 主幹 / 梶山 雅由氏
専務理事 / 池田 政教氏
事業部(情報センター)オープンシステム課 係長 / 荻谷 厚史氏

クラウドエース
事業推進本部 / 池田 元
技術本部 / 滝澤 純一

半世紀の経験が生んだ防災アプリ

日本の商工会議所は全国に515か所ありますが、その中でソフトウェア開発までを手掛ける情報事業部を持つ組織はごくわずかです。東京・青梅市に拠点を置く青梅商工会議所は、その数少ない存在の一つです。専務理事の池田氏は、その成り立ちを次のように語ります。

青梅商工会議所 専務理事 / 池田 政教氏

「情報部門の開設からまもなく50年になります。もともと青梅には情報技術の知見が集まる“地の利”があったこともあり、当時の通産省から『情報事業をやってみないか』と声がかかったのがきっかけでした。商工会議所としての公益性を前提に、事業としての収益もあげつつ、地域に貢献してきた歴史があります」(池田氏)

このように半世紀にわたり地域貢献を続けてきた青梅商工会議所。その理念を象徴するのが「現場の声を直接聴く」という姿勢であり、そこから生まれたのがスマートフォン向け災害情報支援アプリ「め組」シリーズです。

青梅商工会議所がシリーズ第一弾として2014年に開発したのが、消防団向けの「FIRE CORPS め組」です。これは火災発生場所や消火栓などの水利情報を地図上で即座に確認できる、シンプルで使いやすいアプリです。さらに同所は、この成功を元に地図の可視化技術を応用し、従業員の安否確認が可能な「BCP め組」も開発しました。「め組」シリーズの営業を担当する梶山氏は、その広がりを次のように語ります。

青梅商工会議所 事業部(情報センター)オープンシステム課 主幹 / 梶山 雅由氏

「め組シリーズは現在、関東圏を中心に、関西から九州まで、さまざまな自治体や消防署で導入いただいています。FIRE CORPS め組は元来、消防団向けに開発したアプリでしたが、最近では、災害情報の通知機能などを重要視する地域の利用も増えていると感じます」(梶山氏)

サービス継続を脅かすプラットフォームの世代交代

「め組」シリーズは、開発当初からプラットフォームとしてGoogle Cloudを選択していました。技術担当の荻谷氏は、スマートフォンとの高い親和性や、Googleマップを始めとする開発機能の豊富さが選定理由だったと明かします。

青梅商工会議所 事業部(情報センター)オープンシステム課 係長 / 荻谷 厚史氏

「当時のパブリッククラウドの中では、Google Cloudが最もスマートフォンとの連携に優れていたのです。アプリ開発の機能が揃っていたこと、そして、Googleマップが使いやすいことが、選定の理由でした」(荻谷氏)

ユーザー数を順調に拡大してきた「め組」シリーズですが、長年の安定運用の裏側で、避けては通れない技術的課題が浮上していました。

「最大の問題は、Google App Engineのバージョンアップ作業でした。我々のシステムはずっと第一世代で運用してきたのですが、セキュリティや安全性の観点から、第二世代に移行する必要が生じました。しかし、対応するための技術力、そして工数の捻出が難しい状況だったのです」(荻谷氏)

お客様がこの課題をGoogle Cloudのカスタマーサポートに相談されたところ、Google Cloudのプレミアパートナーである弊社をご紹介いただきました。

Java近代化とApp Engine移行の全面支援

ご相談を受け、弊社の技術チームがソースコードをレビューした結果、問題は想定以上に根深いことが判明しました。PMを務めた弊社の滝澤は、プロジェクトが直面した技術的な問題点について、次のように語ります。

クラウドエース 技術本部 / 滝澤 純一

「め組シリーズはJava8で構築されていましたが、このサポートは近々終了する状況であり、最新のJava21への改修が必要でした。ところがソースコードを調査したところ、Java8に強く依存したフレームワークが多く使われていたのです。既存機能を同様に稼働させるには、単にバージョンアップするだけではなく、フレームワークから見直し、ライブラリを移行する必要がありました」(滝澤)

多くのユーザーが長期契約を結んでいるため、サービスを止めることはできませんでした。この複雑な課題を乗り越えるため、弊社はプロジェクト進行においてお客様との丁寧なコミュニケーションを何よりも大切にしました。

費用対効果を踏まえて弊社にご依頼いただいた青梅商工会議所。プロジェクトは常に協力しながら進められ、その過程で得られた安心感について、技術担当の荻谷氏はこう振り返ります。

「不具合が起きる可能性や、起きた際の切り戻しの方法など、非常に念入りにスケジュールを管理し、細かく計画を立てながら進めることができました。立場は違えど、『同じチームの一員だ』という一体感や強い信頼感を持てています」(荻谷氏)

また、今回のプロジェクトは青梅商工会議所にとって、新たな技術的知見を得る機会にもなったと荻谷氏は続けます。

「Google Cloudの管理方法や、Artifact Registryを使った他のアプリの移行の仕方など、多くのことを教えていただきました。これはクラウドエースさんの専門的な知見があればこそだと思います」(荻谷氏)

未来へ繋ぐ防災DX

弊社の池田は、公共セクターにおけるGoogle Cloud活用支援の今後の展望を語ります。

クラウドエース 事業推進本部 / 池田 元

「デジタル庁をはじめとする官公庁がGoogle Cloudの利用を推進する中で、公共セクターの活用は年々増えています。生成AIやGoogleマップの進化など、最新の情報をいち早く提供することによっても、青梅商工会議所様の情報事業を支援して参ります」(池田)

無事にバージョンアップを終え、新たなスタートラインに立った「め組シリーズ」。梶山氏はその未来を次のように見据えています。

「め組シリーズは、あえて必要なものだけに機能を絞った低価格なアプリです。まずはミニマムな機能で、一人でも多くの人に活用してもらうことが大切だと考えています。今後も引き続き現場の皆さんの声を聞きながら、機能改修を検討していきます」(梶山氏)

地域社会に根ざした組織から生まれた、この防災DXの先進的な取り組み。安心・安全な社会を実現するため、私たちクラウドエースはこれからも頼れるパートナーとして伴走してまいります。

引用元:マイナビニュースTECH+

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