株式会社オプト

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「あの情報どこだっけ?」のゼロを目指して。オプトがクラウドエースの支援で実現した、Google Agentspaceによる社内ナレッジ活用基盤。

社内に散らばる膨大な情報の中から、必要な答えを瞬時に見つけ出す──。多くの企業が同様に抱えている課題であるこの「社内ナレッジ検索」の非効率性に、AIが新たな解決策をもたらそうとしています。この課題に対し、最新のAI技術を取り入れて業務効率化の可能性を模索している企業が株式会社オプト(以下、「オプト」)です。

オプトはデジタルマーケティング事業を中心に展開している企業で、「マーケティング領域において日本一AIを実用化している組織カルチャーを作る」という目標を掲げてAI活用に積極的に取り組んでいます。その一環として、社内に点在する膨大な情報の管理・検索の非効率性や属人的な情報共有の課題解決のため、Googleの最新AIサービスである「Google Agentspace」を導入しました。

Google Agentspaceは、国内においてはクラウドエース(以下、「弊社」)が先駆け的に導入支援の提供を開始したもので、最初の顧客となったのがオプトでした。前例がない中でAIエージェント活用の可能性を探るというオプトの挑戦を弊社がどのようにサポートしたのかご紹介します。
(左から)
株式会社オプト
IT・情報セキュリティ部 グループシステム企画チーム / 秋丸 善広氏
DX推進部 部長 / 伊藤 順重氏
取締役 / 千島 航太氏

クラウドエース株式会社
事業推進本部 / 森 菜摘
CTO室 / 相澤 翔一

社内ナレッジの属人化を解消するためGoogle Agentspaceに注目

デジタルマーケティング事業を手がけるオプトは、多岐にわたる業界・企業を支援する中で、社内に膨大な事例やノウハウを蓄積していました。しかし、その情報量の多さが故に、類似案件や過去の解決策を探す作業が大きな負担となり、業務の効率を下げていたと、 秋丸氏は指摘します。
株式会社オプト IT・情報セキュリティ部 グループシステム企画チーム / 秋丸 善広氏

「社内ではさまざまなSaaSシステムを使用しているので、情報がそれぞれのシステム内に点在している状態でした。ほしい情報を見つけるためには情報が入っている場所を知っている人を部内で探さなくてはならず、特定の担当者に依存することで業務効率が下がってしまう点に課題を感じていました」(秋丸氏)

さらに、今回の導入プロジェクトを主導した千島氏は、事例検索だけでなく社内のFAQシステムにも課題を感じていました。既存のツールでは回答精度が低く、多くの質問が未解決のまま終わるため、根本的な解決は難しい状態だったのです。社内のナレッジ活用全般に課題が山積する中、弊社の「Google Agentspace 導入支援パッケージ」を知った千島氏は、チャレンジとして新技術への導入を検討されました。

成功の鍵は「できないこと」の明確化。透明性の高い対話が生んだ最適なプロジェクト設計

「AIエージェント元年」と位置づけられる2025年。AIエージェント活用の新たな基盤となるサービス「Google Agentspace」の登場を受け、Google Cloudのパートナーである弊社は、いち早く国内市場での導入支援サービスを立ち上げました。
プロジェクトを牽引した相澤は、立ち上げにあたっての思いと、黎明期のプロダクトならではの難しさについて語ります。
クラウドエース株式会社 CTO室 / 相澤 翔一

「弊社はGoogleのパートナー企業としてGoogle Cloudの各種サービスを展開していますが、特にこのGoogle Agentspaceは、AIエージェント活用を次のステージに進める重要なサービスです。ぜひ弊社でも推進していきたいと思い、本サービスの立ち上げに至りました。 ただ、やはりリリース直後のプロダクトということもありノウハウや事例が少ないという点や、そもそもAIエージェントで叶えられる世界がどのようなものなのか、可能性を模索しながら進めなければいけないのは難しかったですね」(相澤)

当初、最先端のAIエージェントに対し千島氏は「あらゆる社内課題を解決するソリューション」という先進的なビジョンを描いていました。しかし、導入プロジェクトの成功は、そのビジョンと現実的な機能とをいかに接続させるかにかかっています。

弊社はGoogle Agentspaceの現状の仕様と日本市場で利用できる機能を正直に提示。その透明性の高いコミュニケーションが、プロジェクトの方向性を定める上で極めて重要だったと千島氏は語ります。
株式会社オプト 取締役 / 千島 航太氏

「『できること』と『できないこと』を明確に切り分けてくれたおかげで、私たちは迷うことなくまず現行機能で価値を出すという、地に足の着いた検証フェーズへと迅速に移行できました」(千島氏)

こうして両社でプロジェクトの全体像と現実的なゴールを共有し、オプトは「現行機能の有用性を徹底的に検証する」という明確な方針を固めました。検証は千島氏を筆頭に、広告運用、開発、バックヤードといった各部門のキーパーソン約10名から成る専門チームを結成して実施。それぞれの現場視点で「何ができるか、どう使えるか」を多角的に探るかたちで進められました。

前例がないサービスにおける導入初期の壁を乗り越えた、具体的で「解像度の高い」サポート

新しい技術やプロダクトの導入では、技術的な不明点が担当者の不安や課題に直結します。今回のプロジェクトでは特に、複雑な「権限・セキュリティ設計」と、AIの回答精度を左右する「横断検索のチューニング」という2つのハードルがありました。これらの課題に対し、弊社が提供した「解像度の高い」サポートについて、秋丸氏、千島氏は次のように語ります。

「アプリケーションごとに、誰にどこまでの利用を許可すべきか、その最適な設計が分からず、当初は権限まわりの設定に苦慮しました。そんな中、私たちが『誰にどう使ってほしいか』というゴールを深く理解した上で、権限の定義や具体的な設定方法まで丁寧に示してくれたので、進むべき道が明確になり、非常に助かりました」(秋丸氏)

「複数のSaaSを横断検索する際、ただ環境を構築しただけでは、期待通りの回答が得られないケースが多々ありました。そんな時、効果的なプロンプトの具体例や、ハルシネーション(AIが誤情報を生成する現象)を避けるためのコツまで教えていただけたのは、本当に助かりました。単なる環境設定の知識だけでなく、実際に『使っているからこそ分かる』独自の知見に基づいたサポートは、頼もしかったです」(千島氏)

見えてきた「可能性」と「進むべき道」。プロジェクトがもたらした確かな手応え

わずか1ヶ月という短期間で実施された今回の導入支援プロジェクト。スピーディーな検証は、Google Agentspaceの技術的な「可能性」を証明しただけでなく、オプトの全社的なAI戦略における「進むべき道」を照らし出す、大きな成果をもたらしました。

「実際にGoogle Agentspaceを触ってみて、それぞれの組織において、どこまで何ができるのかという明確な感触を得ることができました。全社的な生産性向上は次なるフェーズの課題ですが、様々な情報ソースから横断検索で必要な情報を的確に取り出せるというコア機能のポテンシャルは十分に確認できました」(千島氏)

さらに千島氏は、今回のプロジェクトが、オプトの大きな目標である「マーケティング領域において日本一AIを実用化している組織カルチャーを作る」ための、重要な気づきがあったと続けます。

「横断検索で情報ソースが広がるほど、出てくる情報も分散しやすいので、膨大な情報を削ぎ落として取り出す仕組みが必要であることに気付きました。インプットはもちろんのこと、アウトプットの仕方も人それぞれの好みで多様化するので、そこをつなぐ『中間処理』の仕組みが重要だということをこのプロジェクトを通して実感しましたね。それに伴って、やはりAI活用のルールを包括的に管理する部署の必要性も感じています。個々の部門ではなく、組織として一体感を持って動いていくことも検討していきたいです」(千島氏)

Google Agentspaceによる自律型AIエージェント構築への期待

今回のプロジェクトは、オプトにとってAIエージェントの第一歩となりましたが、その先に見据えるのは、Google Agentspaceを中核として、様々なタスクやビジネスプロセスをAIが自律的に実行する未来です。

AIエージェントへのニーズの拡大に伴って、Google Agentspaceもますます進化していくと予想されます。サービスのさらなる進化と、AIが拓く働き方の未来像について、伊藤氏、秋丸氏はそれぞれの視点から期待を語ります。
株式会社オプト DX推進部 部長 / 伊藤 順重氏

「Google Agentspaceについては、弊社でよく使うコミュニケーションツールやSaaSとの連携が強化されれば、その価値は飛躍的に高まると考えています。また、AI活用という文脈では、優れた技術を持つエンジニアが時代の流れから取り残されることのないよう、個々人でプロンプトの作成や検証ができるレベルまで、組織としてリテラシーの底上げを図っていきたいです」(伊藤氏)

「私は社内のヘルプデスクに近い立場で仕事をしており、ユーザー自身による自己解決の促進が最も重要だと考えています。Google AgentspaceによってFAQやインシデントが自動で最新情報に更新され、社員がいつでも参照できる状態になれば、コミュニケーションコストの削減に繋がるはずです。さらにAIエージェントが進化した先、カレンダーやチャットの情報からタスクを提案・管理してくれるような、『自分だけの秘書』が実現する未来には夢が広がりますね」(秋丸氏)

このような期待を受け、森は今回のプロジェクトについてこう締めくくります。
クラウドエース株式会社 事業推進本部 / 森 菜摘

「弊社としても、ご要望の多いSaaSツールとの連携強化をはじめ、プロダクトの進化については速やかに情報共有し、貴社の業務改善に貢献してまいります。引き続き、良きパートナーとして伴走させていただきオプト様の業務改善に貢献できればと思います。引き続きよろしくお願いいたします」(森)

利用したサービス

Google Agentspace導入支援パッケージ
Google Agentspaceは、Googleの検索技術とAIを組み合わせたクラウドプラットフォームで、SalesforceやSlackなど、さまざまなSaaSを含む社内外の情報をAIで統合的に活用し、業務効率化や生産性向上を支援します。社内システムやSaaSとの安全な接続や、利用者の権限管理などのセキュリティ機能も備えています。散在する情報を一元化することで、従業員のナレッジアクセスを向上させ、よりスマートな働き方を実現します。

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