【第 2 回】Generative AI Leader 資格集中講座!データを制する者が AI を制す!

こんにちは!クラウドエースのエモーショナル エバンジェリスト、ラリオスです。
「Generative AI Leader 資格集中講座!」シリーズ、前回は生成 AI の基本的な用語と考え方について学びましたね。AI、機械学習(ML)、生成 AI(Gen AI)、そして基盤モデル(Foundation models)や大規模言語モデル(LLMs)といった言葉の定義、プロンプト エンジニアリング(Prompt engineering)の重要性など、試験の基礎固めはバッチリでしょうか。

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【第 1 回】Generative AI Leader 資格集中講座! Google Cloud 認定講師による日本語解説

このシリーズでは、Google Cloud 公式のスタディガイドを使って解説していきます。スタディガイドを参照しながら読み進めていただくと、より効果的に学習できます。

なお、解説中の「★ここ重要!」は試験対策として特に押さえておくべきポイント、「★Tips」は知っておくと理解が深まる補足情報や関連情報として読み進めてください。ある程度知識があって、すぐに試験を受ける方は「★ここ重要!」を読んで、「実践演習クイズ」を解くだけでも高い効果があるはずです。
スタディガイドはこちらからダウンロードできます。(英語)

今回はその続きとして、「生成 AI の基礎」の中でも特に「データ(Data)」「機械学習のライフサイクル(ML lifecycle)」「生成 AI の全体像(Gen AI landscape)」、そして「Google の主要な基盤モデル(Foundation models)」に焦点を当てて、 スタディガイド の p.4 を一緒に見ていきましょう。これらの知識は、生成 AI ソリューションを構築し、ビジネス価値を創出する上で非常に重要です。

今回も最後には、理解度をチェックするためのミニ クイズと、一歩進んだ実践演習クイズを用意しています。それでは、早速始めましょう!

「生成 AI の基礎」これだけは押さえたい!(続き)

AI、特に機械学習モデルが「学習」するためには、その「燃料」となるデータ(Data)が不可欠です。そして、そのデータがどのような性質をもち、どのような品質であるかが、AI の性能を大きく左右します。

データ(Data)

データとは、数値、日付、テキスト記述、さらには画像や音声など、さまざま形で表現される情報のことです。

  • 構造化データ(Structured data)
    きれいに整理されていて検索しやすいデータのこと。Excel の表やリレーショナル データベースのように、行と列で情報が管理されているものをイメージしてください。たとえば、顧客リスト(名前、住所、電話番号が各列に対応)や売上データ(日付、商品 ID、数量、金額が各列に対応)などがこれにあたります。
  • 非構造化データ(Unstructured data)
    決まった形式をもたず、そのままでは分析が難しいデータのことです。メールの本文、SNS の投稿、会議の議事録、ウェブサイトのテキスト、画像、音声ファイル、動画ファイルなどが非構造化データに該当します。実は、私たちが日常的に触れるデータの多くはこちらの非構造化データであり、生成 AI はこの非構造化データを効果的に扱えるのが大きな特徴の一つです。
  • 高品質なデータ(Quality data)
    AI の性能を最大限に引き出すためには、学習に使うデータが「正確(Accurate)」であり、「完全(Complete)」で、「一貫性があり(Consistent)」、そして「目的に関連している(Relevant)」ことが非常に重要です。「ゴミ(質の悪いデータ)を入れれば、ゴミ(質の悪い結果)しか出てこない(Garbage in 、garbage out)」という言葉があるように、AI 開発においてデータの質は成功の鍵を握ります。

    • Accuracy(正確性):データが事実に基づいており、誤りがないこと。もしデータが不正確であれば、AI モデルは誤ったパターンを学習し、間違った予測をしてしまいます。たとえば、動物について教える本で、写真と名前のラベルが間違っていたら、子供は間違ったことを覚えてしまいますよね。AI も同じです。
    • Completeness(完全性):必要な情報が欠けることなくすべて揃っていること。データに欠損が多いと、モデルは全体像を把握できず、正確な分析や予測が難しくなります。
    • Representative(代表性・網羅性):データが、分析対象となる集団全体の特徴をよく表していること、または多様なケースやシナリオを網羅していること。もしデータが特定のグループや状況に偏っていると、AI モデルもその偏りを学習してしまい、一般的でない状況や異なるグループに対してはうまく機能しない可能性があります。たとえば、特定の製品のレビュー データが、ごく一部の熱狂的なファンからのものばかりだと、製品全体の評価を正しく反映できません。
    • Consistency(一貫性):データの形式や単位、意味などが統一されており、矛盾がないこと。たとえば、同じ顧客 ID なのに異なる名前が登録されていたり、日付の書式がバラバラだったりすると、AI はデータを正しく関連付けたり比較したりできません。
    • Relevance(関連性):データが、解決したい課題や AI モデルの目的に対して適切であること。どんなに高品質なデータ(Quality data)でも、分析の目的と無関係な情報ばかりでは意味がありません。課題解決に必要な情報が含まれていることが重要です。

★ここ重要!

この「高品質なデータ(Quality data)」という考え方は、 スタディガイド 全体を通して非常に重要です。たとえば、p.9 の「基盤モデルの限界(Foundation model limitations)」では、モデルの性能がトレーニング データに大きく依存すること(Data dependency)、そしてデータに含まれる偏り(Bias)がモデルの出力に影響を与える可能性が指摘されています。

良質なデータなくして、信頼できる AI の実現は難しいです。また、データの一貫性(Consistency)も非常に大切です。

たとえば、日付のフォーマットがバラバラだったり、同じ意味なのに異なる単語が使われていたりすると、AI は正しくデータを解釈できません。これは、機械学習ライフサイクル(ML lifecycle)(p.4)の「データ収集と準備(Data ingestion and preparation)」の段階で、しっかりと対応すべき重要な課題です。

さらに、p.10 の「責任ある AI(Responsible AI)」のセクションでは、「データ品質、バイアス、公平性の影響」が取り上げられており、良質で公平なデータを使うことが、倫理的で信頼される AI システムを構築するための大前提であることが強調されています。このように、「高品質なデータ(Quality data)」というキーワードは、AI の性能だけでなく、その信頼性や公平性にも直結する、非常に重要な概念であることを覚えておきましょう。

  • アクセスしやすいデータ(Accessible data)モデルをトレーニングするためには、データが単に存在するだけでなく、必要な時にすぐに利用可能で、使いやすい形式になっており、適切なフォーマットで提供されている必要があります。

これらのデータに関する知識は、AI プロジェクトの成否を左右するほど重要です。クラウドエースの「Introduction to AI and Machine Learning on Google Cloud」トレーニングでは、データの種類や品質、そしてデータ準備の重要性についても深く掘り下げて解説しており、実践的なデータ活用の基礎を学ぶことができます。

機械学習ライフサイクル(ML lifecycle)

機械学習モデルを開発し、実際に活用していくまでには、一連の決まったプロセスがあります。これを機械学習ライフサイクル(ML lifecycle)と呼び、一般的に以下のステップで構成されます。

データ収集と準備(Data ingestion and preparation)AI プロジェクトの最初のステップです。さまざまソースから生のデータを集め(収集)、それを分析やモデル トレーニングに適した形にするために、データのクリーニング(Cleaning)(不要な部分の除去や欠損値の補完など)や変換(Transformation)(フォーマットの統一など)を行います。

★ここ重要!

ここで「データを集める」という行為に関連して、「データ ギャザリング(Data Gathering)」と「データ コレクション(Data Collection)」という言葉が出てくることがあります。どちらもデータを集めることを指しますが、少しニュアンスが異なります。

「データ ギャザリング(Data Gathering)」は、どちらかというと散在している情報を探し出してきたり、さまざま場所から情報を寄せ集めたりするといった、ややアドホック(その場に応じた対応)的なニュアンスを含むことがあります。

一方、「データ コレクション(Data Collection)」は、より計画的に、組織的かつ体系的なアプローチで、特定の目的のためにデータを集め、蓄積していくというニュアンスが強いです。

Generative AI Leader 試験では、このような言葉の定義の微妙な違いを問うような選択肢が出てくる可能性もゼロではありません。 スタディガイド では「Data ingestion and preparation」と一括りにされていますが、もし試験問題にこれらの用語が出てきた場合は、その行動が「探し集める」段階なのか、「計画的に収集・蓄積する」段階なのかを意識すると、より適切な判断ができるかもしれません。重要なのは、どのような目的で、どのような質のデータを、どのように集めるかという本質を理解することです。

 

  • モデル トレーニング(Model training)
    準備されたデータを使って、機械学習モデルを作成(学習)するプロセスです。ここで、AI はデータからパターンやルールを学び取ります。
  • モデル デプロイ(Model deployment)
    トレーニングが完了したモデルを、実際にユーザーが利用したり、他のシステムと連携させたりできるような本番環境に展開するプロセスです。
  • モデル管理(Model management)
    展開したモデルの性能を継続的に監視し、必要に応じて再学習やバージョン更新を行い、長期的にモデルの価値を維持・向上させていくプロセスです。

★ここ重要!

この機械学習ライフサイクル(ML lifecycle)全体を効率的に管理し、自動化していく考え方を「MLOps(エムエルオプス)」と呼びます。 スタディガイド の p.6 では Vertex AI の MLOps ツールについても触れられています。個々のモデル開発だけでなく、それを安定的に運用し続けるための仕組みづくりも、ビジネスで AI を活用する上では非常に重要です。

クラウドエースでは、この MLOps の考え方や Vertex AI を活用した効率的なモデル運用について学べるトレーニングも提供しており、AI プロジェクトをスケールさせるためのノウハウを習得できます。

生成 AI ランドスケープ(Gen AI landscape)

生成 AI が実際に私たちの手元で動くアプリケーションとして提供されるまでには、いくつかの技術的な「層(レイヤー)」が積み重なって構成されています。 スタディガイド では、これを「生成 AI ランドスケープ(Gen AI landscape)」として説明しており、以下のような階層構造で捉えることができます。

  • 生成 AI 搭載アプリケーション(Gen-AI-powered application)
    ユーザーが直接触れる部分です。チャット インターフェース(Chat Interface)や画像生成ツールの操作画面など、AI の機能をユーザーが利用するための窓口となる層です。
  • エージェント(Agent)
    与えられた目標を達成するために、利用可能なツールや情報を駆使して、自律的に判断し行動するソフトウェアです。より複雑なタスクを自動化したり、ユーザーと高度な対話を行ったりする役割を担います。

★ここ重要!

スタディガイド の p.6 では、このエージェント(Agent)の構成要素(推論ループ(Reasoning Loop)、ツール(Tools)、モデル(Models))や種類(決定論的(Deterministic)、生成的(Generative)、ハイブリッド(Hybrid))について、より詳しく解説されています。

エージェント(Agent)は、生成 AI をより実用的な形でビジネスに応用していくためのキー テクノロジーと言えるでしょう。

プラットフォーム(Platform)

AI モデルを開発、トレーニング、デプロイ、管理するための一連のツールやサービスを提供する基盤です。API の提供、データ管理機能、モデルのバージョン管理など、開発者が効率的に AI ソリューションを構築・運用できるように支援します。Google Cloud では Vertex AI がこの層に該当します。

★ここ重要!

Vertex AI は、この試験範囲全体を通して非常に重要なキーワードです。単なるモデル置き場ではなく、データの準備からモデルのトレーニング、評価、デプロイ、そして運用まで、機械学習プロジェクトの全工程をサポートする統合プラットフォームであるという点をしっかり理解しておきましょう。 スタディガイド の p.5 以降でも頻繁に登場します。

また、「なぜ AI 活用のために Google Cloud を選ぶのか?」と問われたとき、Google が「AI First」を掲げていることに加え、この Vertex AI のような統合プラットフォームによって、AI 開発・運用に関わるさまざま作業を一元的に、かつ効率的に行える点が大きな理由の一つとして挙げられます。

これはビジネスの視点から見ると、開発コストや管理の手間を大幅に削減し、結果として新しいアイデアの創出やイノベーションを加速させると言えます。Vertex AI のような強力なプラットフォームを使いこなすスキルは、これからの AI リーダーにとって不可欠であり、クラウドエースの「Vertex AI」関連トレーニングでは、このプラットフォームを最大限に活用するための知識と技術を実践的に学ぶことができます。

  • モデル(Model)
    AI の「頭脳」にあたる部分で、大量のデータでトレーニングされた複雑なアルゴリズム(コンピュータに指示を出すためのロジック)です。データ内のパターンや関係性を学習し、新しいコンテンツの生成、言語の翻訳、質問への回答など、さまざま知的タスクを実行します。基盤モデル(Foundation models)や大規模言語モデル(LLMs)などがここに分類されます。
  • インフラストラクチャ(Infrastructure)
    AI モデルのトレーニングや実行、そして大量のデータを保存・処理するために必要な、物理的なハードウェア(サーバー、GPU、TPU など)や、それらを効率的に運用するためのソフトウェアを含む、中核となる計算資源(リソース)の基盤です。

Google の基盤モデル(Google’s foundation models)

Google Cloud は、ビジネスのさまざまニーズに応えるために、多様な特徴をもつ強力な基盤モデル(Foundation models)を提供しています。 スタディガイド の p.4 では、その代表例として以下のモデルが紹介されています。

  • Gemini
    テキスト、画像、音声、動画など、複数の異なる種類の情報(マルチモーダル)を統合的に理解し、処理できる Google の最新かつ高性能なモデル群です。高度な会話能力、コンテンツ作成能力、複雑な質問への応答能力などをもち、幅広い用途での活用が期待されています。

★ここ重要!

Gemini がマルチモーダル対応である点は非常に重要です。これにより、たとえば「この画像に写っている製品について説明して」といった、画像とテキストを組み合わせた指示を理解し、応答することができます。

実際の試験でも、「画像を含むコンテンツを理解し、それに基づいてテキストを生成する」といったタスクには Gemini が適しているのに対し、「テキストによる指示から画像を新たに生成する」タスクには、次に紹介する Imagen がより特化している、といったモデルの使い分けが問われる可能性があります。

また、 スタディガイド p.5 では、Gemini を活用した具体的なアプリケーション(Gemini app、Google Workspace with Gemin など)についても触れられていますので、そちらも合わせて確認しておくと、Gemini の活用イメージがより具体的になります。

  • Gemma
    Gemini と同じ研究と技術に基づいて構築された、軽量で最先端のオープン モデル(Open model)群です。開発者が自身の環境で手軽に利用し、特定の用途に合わせてカスタマイズしやすいように設計されています。

★ここ重要!

Gemma の大きな特徴は「オープン モデル(Open model)」(設計図や作り方が公開されていて、誰でも比較的自由に利用したり、改良したりできる AI モデル)であることと、「軽量」であることです。この「軽量」という点は、よりリソースに制約のある環境、たとえば開発者のローカル マシン(ラップトップ PC など)や、さらにはモバイル デバイスやエッジ デバイス上での動作を視野に入れていることを意味します。

そのため、ユースケースとしては、ネットワーク接続が不安定な場所でのオンデバイス AI 機能(たとえば、スマート リプライ、簡単な要約)や、プライバシーを重視してデータを外部に送信したくない場合のローカル処理などが考えられます。試験では、特定の状況下でどのモデルが適しているかを問われることがあります。

Gemma のこれらの特性を理解しておくことは、他のモデル(たとえば、より高性能だがリソースを多く必要とする大規模モデルや、特定のタスクに特化したモデル)との使い分けを判断する上で重要になります。

スタディガイド p.6 の「AI on the edge」で触れられている Gemini Nano と合わせて、デバイス上で効率的に動作するモデルの選択肢として Gemma を認識しておくとよいでしょう。

  • Imagen
    テキストによる指示(プロンプト)から、非常に高品質でリアルな画像を生成することに特化した拡散モデル(Diffusion model)の一つです。「夕焼け空を背景に、本を読んでいる猫」といった具体的な指示に基づいて、独創的な画像を生成できます。

★ここ重要!

先ほどの Gemini との比較でも触れましたが、Imagen は主にテキストから画像を生成する(Text-to-image)タスクに強みをもっています。この得意分野の違いを理解しておくことが重要です。

  • Veo
    テキストによる指示や一枚の画像から、高品質な動画コンテンツを生成することができるモデルです。短いプロモーション ビデオの作成や、アイデアの視覚化などに活用できます。
  • Chirp
    テキストから、非常に自然で高品質な音声コンテンツを生成することができるモデルです。オーディオ ブックの作成や、AI アシスタントの自然な音声応答などに活用できます。

これらの Google の主要な基盤モデル(Foundation models)の特徴や最適なユースケースを理解することは、Generative AI Leader として非常に重要です。クラウドエースでは、これらのモデルを実際に触りながら学べる「Application Development with LLMs on Google Cloud」や、特定のモデルに特化したワークショップ形式のトレーニングも企画しており、より実践的なスキルを習得したい方におすすめです。

ラリオス的!特に注目したいポイント

スタディガイド p.4 の内容は、生成 AI を支える技術要素と、Google Cloud が提供する具体的なモデルの理解を深める上で非常に重要です。

  • データの種類とその特性の理解:構造化データと非構造化データの違い、そして「高品質なデータ」の定義(正確性、完全性、一貫性、関連性)は必ず押さえましょう。特に、高品質なデータが基盤モデルの限界(p.9)や責任ある AI(p.10)とどう関わるのかを意識することが大切です。データの「一貫性」がいかに重要か、そしてそれが機械学習ライフサイクルの「データ収集と準備」フェーズでどう扱われるべきかを理解しておきましょう。
  • 機械学習ライフサイクルの全体像:各ステップ(データ収集と準備、モデル トレーニング、モデル デプロイ、モデル管理)の目的と主な活動を把握しましょう。特に「データ収集と準備」におけるデータ ギャザリングとデータ コレクションのニュアンスの違いや、ライフサイクル全体を支える MLOps の考え方(p.6 関連)も頭に入れておくと、より深い理解につながります。
  • 生成 AI ランドスケープの階層構造:アプリケーションからインフラストラクチャまで、各層がどのような役割を担い、どのように連携しているのかを理解しましょう。特にプラットフォーム層における Vertex AI の重要性(機械学習プロジェクトの全工程をサポートする統合プラットフォームであり、ビジネス価値にも貢献する点)は、この試験のキーポイントの一つです。
  • Google の主要な基盤モデル:Gemini、Gemma、Imagen、Veo、Chirp といった Google の主要な基盤モデルの名前と、それぞれの得意分野(テキスト、画像、動画、音声など)、そして簡単な特徴を覚えておくと、ビジネス課題に対してどのモデルが適しているかを考える際のヒントになります。特に Vertex AI との関連性は常に意識しておきましょう。

これらのポイントを効率的に、かつ実践的に学ぶためには、クラウドエースが提供する「Introduction to AI and Machine Learning on Google Cloud」や「Application Development with LLMs on Google Cloud」などのトレーニングが非常に役立ちます。専門のトレーナーから直接指導を受け、ハンズオンを通じて理解を深めることで、試験合格はもちろん、実務での AI 活用能力も格段に向上するはずです。

学習のヒント:効率的な学習とクラウドエースのトレーニング

  • ランドスケープの各層を具体的にイメージする
    ご自身が普段利用している AI サービス(たとえば、翻訳アプリや画像編集ソフトの AI 機能など)が、生成 AI ランドスケープのどの層に該当し、どのような技術要素で成り立っているのかを想像してみると、理解が深まります。
  • モデルの「カタログ」を眺めてみる
    Vertex AI Model Garden のようなページを実際に見て、どのような種類の基盤モデルが提供されており、それぞれのモデルがどのような情報(パラメータ数、得意なタスク、利用例など)と共に紹介されているのかを確認してみましょう。モデル選定の際の視点が養われます。
  • ライフサイクルの「もし自分なら」を考える
    もし自分が AI プロジェクトのリーダーだったら、機械学習ライフサイクルの各ステップでどのような判断をし、どのようなツール(たとえば Vertex AI の各機能)を活用するかをシミュレーションしてみるのも効果的です。
  • 「なぜこのモデルなのか?」を常に問う
    Gemini、Gemma、Imagen、Veo、Chirp といったモデル名だけでなく、「なぜこのビジネス課題にはこのモデルが適しているのか?」「他のモデルではダメなのか?」といった理由付けまで考えられるようになると、知識がより実践的なものになります。
  • 点と点をつなぐ学習
    今回学んだ「データ」「ライフサイクル」「ランドスケープ」「基盤モデル」といった知識は、今後学ぶ「プロンプト エンジニアリングの詳細なテクニック(p.8)」「モデルの限界への具体的な対処法(RAG やファイン チューニングなど、p.8-9)」「責任ある AI の実践(p.10)」といったトピックを理解するための重要な前提となります。常に全体像の中での位置づけを意識しながら学習を進めましょう。
  • 多角的な情報収集と体系的な学び
    このシリーズだけでなく、Google Cloud の公式ドキュメント、ブログ、解説動画など、さまざま情報源から知識を補完することが大切です。もし、より体系的かつ効率的に学習を進めたい、あるいは実践的な演習を通じて理解を深めたいと感じる場合は、信頼できる学習プログラムや専門家による指導を検討するのもよいでしょう。クラウドエースでは、まさにそのようなニーズに応えるための Generative AI 関連トレーニングを多数ご用意しています。ご自身のスタイルに合った学習方法を見つけることが、合格への近道です。

理解度チェック!ミニ クイズ

さて、ここまでの内容をどれくらい理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう!

【クイズ1】 メールの本文や SNS の投稿、画像ファイルのように、決まった形式をもたないデータのことを一般的に何と呼びますか?
(ア)構造化データ
(イ)リレーショナル データ
(ウ)非構造化データ
(エ)クリーン データ

【クイズ2】 機械学習モデルを開発し、実際に利用可能にするまでの一連のプロセス(データ収集・準備、モデル トレーニング、モデル デプロイ、モデル管理など)の総称として、最も適切なものはどれですか?
(ア)データ パイプライン
(イ)機械学習ライフサイクル
(ウ)アジャイル開発
(エ)ウォーターフォール モデル

【クイズ3】 テキストによる指示から高品質な画像を生成することを得意とする、Google の基盤モデルとして スタディガイド で紹介されているものはどれですか?
(ア)Gemini
(イ)PaLM 2
(ウ)Imagen
(エ)BERT

クイズの答え

【クイズ1】(ウ)非構造化データ
【クイズ2】(イ)機械学習ライフサイクル
【クイズ3】(ウ)Imagen

ラリオスからの挑戦状!実践演習クイズ

ここからは、より深く、そして実践的な視点からのクイズです。 スタディガイド 全体の知識が問われることもありますので、じっくり考えてみてください。
【実践演習クイズ1】 ある企業が、自社製品に関する膨大な量の顧客レビュー(テキスト データ)を分析し、製品改善に繋がる新たなインサイトを発見したいと考えています。このレビュー データは、特に事前にカテゴリ分けなどはされていません。この目的を達成するために、機械学習の専門家がまず試みる可能性が高いアプローチと、その際に利用するデータの種類の組み合わせとして、最も適切なものはどれですか。

(ア)教師あり学習とラベル付きデータ(事前に各レビューに「ポジティブ」「ネガティブ」などのラベルを付与する)
(イ)教師なし学習とラベルなしデータ(レビュー データから自動的にトピックや傾向を抽出する)
(ウ)強化学習とラベルなしデータ(レビューに基づいて最適な製品改善案を AI に提案させる)
(エ)ルールベース システムと構造化データ(特定のキーワードに基づいてレビューをフィルタリングする)

【実践演習クイズ2】 あなたは、新しい E コマース サイトの立ち上げを担当しており、ユーザーがアップロードした商品画像に基づいて、類似商品を推薦する機能を実装したいと考えています。この機能を実現するために、生成 AI ランドスケープのどの層の技術が最も重要となり、具体的にどのような種類の AI モデルの活用が考えられますか。最も適切な組み合わせを選んでください。

(ア)インフラストラクチャ層の TPU と、時系列予測モデル
(イ)プラットフォーム層の API 管理ツールと、ルールベースのチャットボット
(ウ)モデル層のマルチモーダル基盤モデル(画像とテキストを扱えるもの)と、プラットフォーム層の Vertex AI
(エ)アプリケーション層の UI デザイン ツールと、テキスト生成に特化した大規模言語モデル

【実践演習クイズ3】 あるマーケティング チームが、新製品のターゲット顧客層を特定するために、さまざま公開 Web サイト、業界レポート、SNS の投稿など、インターネット上に散らばっている情報を幅広く集め、初期的な分析を行おうとしています。この活動は、データの収集フェーズにおいて、より強くどちらのニュアンスに近いと考えられますか。

(ア)データ マイニング
(イ)データ コレクション
(ウ)データ クレンジング
(エ)データ ギャザリング

実践演習クイズの答え

【実践演習クイズ1】(イ)教師なし学習とラベルなしデータ(レビュー データから自動的にトピックや傾向を抽出する)
事前にカテゴリ分けされていない大量のテキスト データから、未知のパターンやトピック(たとえば、顧客がよく言及する製品の機能や不満点など)を発見するには、教師なし学習(特にトピック モデリングやクラスタリングといった手法)が有効です。データにラベルがないため、ラベルなしデータを用いることになります。

【実践演習クイズ2】(ウ)モデル層のマルチモーダル基盤モデル(画像とテキストを扱えるもの)と、プラットフォーム層の Vertex AI
商品画像(視覚情報)を理解し、それに基づいて類似商品を推薦するには、画像と言語の両方を扱えるマルチモーダルな AI モデルが中核となります(モデル層)。そして、そのようなモデルを効率的にトレーニング・デプロイ・管理するためには、Vertex AI のような機械学習プラットフォーム(プラットフォーム層)が不可欠です。たとえば、アップロードされた画像を理解し、その特徴を捉え、類似する特徴をもつ他の商品をデータベースから検索するといった処理が考えられます。

【実践演習クイズ3】(エ)データ ギャザリング
問題文では、「インターネット上に散らばっている情報を幅広く集め、初期的な分析を行う」とあり、特定の構造化されたデータベースから計画的に収集するというよりは、広範囲に存在する情報を探し集めるというニュアンスが強いです。これは、「データ ギャザリング」がもつ「散らばった情報を集める、または一箇所に集めることに焦点を当てる」という特徴により合致すると考えられます。「データ コレクション」は、より組織的・体系的な収集を指すことが多いです。

まとめ:AI 活用の全体像を掴み、実践力を高めるために(クラウドエースのトレーニング紹介)

今回のコラムでは、 スタディガイド の p.4 を中心に、「データ」「機械学習ライフサイクル」「生成 AI ランドスケープ」、そして「Google の主要な基盤モデル」といった、生成 AI を理解し活用する上で非常に重要な概念を解説しました。これらの知識は、個々の技術要素を理解するだけでなく、それらがどのように連携し、ビジネス価値を生み出すのかという全体像を掴むために不可欠です。

AI プロジェクトを成功に導くためには、高品質なデータを準備し、効率的な機械学習ライフサイクルを回し、適切なモデルを選択し、そしてそれらを支えるプラットフォームとインフラストラクチャを理解することが求められます。特に、Vertex AI のような統合プラットフォームは、これらのプロセスをスムーズに進める上で強力な武器となります。

これらの概念をしっかりと理解し、実践的なスキルを身につけることは、Generative AI Leader として活躍するための重要なステップです。もし、これらの知識をより深く、体系的に、そして実践的に習得したいとお考えであれば、ぜひクラウドエースの Google Cloud 認定トレーニングをご検討ください。

私たちは、Google Cloud のエキスパートとして、みなさんが Generative AI の力を最大限に引き出し、ビジネスに変革をもたらすためのお手伝いをします。「Introduction to AI and Machine Learning on Google Cloud」や「Application Development with LLMs on Google Cloud」といったコースを通じて、Google Cloud の最新技術を基礎から応用まで学ぶことができます。ご自身のキャリアアップと、組織の AI 活用推進のために、ぜひ私たちのトレーニングをご活用ください。

次回からは、いよいよ試験の約35%を占める最重要パート、 スタディガイド p.5 から始まる「Google Cloud の生成 AI 製品(Google Cloud’s generative AI offerings)」の解説に入っていきます。Google Cloud が提供する具体的なサービスやツールが満載ですので、お楽しみに!

クラウドエースの Google Cloud 認定トレーニングに関するお問い合わせはこちらから。
https://cloud-ace.jp/gcp-training/