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クラウド移行5 つのメリットと2 つのデメリット|具体的な移行の流れ

こんにちは、クラウドエース編集部です。

従来主流だったオンプレミスに対し、現在はクラウドの活用が大きな潮流となっています。
オンプレミスで活用していた情報システムをクラウド移行することによって、得られるメリットは数多くあります。合わせて考慮すべき点も踏まえながら、クラウド移行の特徴についてご紹介します。

クラウド移行で知っておくべきオンプレミスとの違い

オンプレミスとクラウドとのもっとも大きな違いは、情報システムに必要な IT 資産を「保有するか、利用するか」にあります。

オンプレミスでは、自社で「保有する」IT 資産を使って、情報システムを構築し運用します。IT 資産とは、サーバー・ネットワーク機器などのハードウェアやソフトウェア、サーバールーム・データセンターなど、情報システムに必要な資産のことです。

一方クラウドでは、自社で IT 資産を保有せず、クラウド事業者がインターネット上で提供する IT 資産を、サービスとして「利用」します。

クラウド移行 5 つのメリット

まずは、オンプレミスからクラウド移行すると期待できるメリットを明らかにしていきましょう。

導入ハードルが低い

クラウド移行すると導入ハードルが低くなり、スピーディーに情報システム構築を開始できるようになります。

オンプレミスで情報システムを構築する場合、データセンターやサーバールームに機器を設置するためのスペースを確保した上で、ハードウェアやソフトウェアを一式購入(またはリース)します。通常 1 ヶ月程度の調達期間を経てから、システム構築を開始することになります。

一方クラウドの場合は、あらかじめクラウド事業者によって用意されたシステム構成のパターンからニーズに合うものを選び、サービスとして購入します。システム構築もオンデマンドですぐに実行できます。初期費用ゼロでスタートできるサービスもあります。

維持コストが抑えられる

クラウドでは、利用分だけ支払う従量制課金を利用することで、情報システムの維持コストについても低減させることが可能です。

オンプレミスの場合は、最大アクセス数や最大データ量を踏まえたシステム規模を用意する必要があります。しかしクラウドに移行すれば、システムリソースの使用量に合わせて変動する料金体系を選択できます。

ただし、必ずしもすべてのケースでクラウド移行後の維持コストが小さくなるわけではありません。維持コストが適正なものになるかどうかは、クラウド移行計画の際に確認しておきたいポイントです。

運用管理を任せられる

オンプレミスでは自社ですべて担う必要のあったシステムインフラ運用管理について、クラウド移行後にはその多くをクラウド事業者に任せることが可能です。

クラウド移行によって、システム運用管理の負担から自社要員を解放し、より注力すべきエリアに貴重な自社の人材を集中させることも可能となるでしょう。

障害発生後の復旧を任せられる

システムインフラにおいて万一障害が発生した場合、その問題判別や対応においては、専門的なスキルが必要となります。
クラウド移行後は、障害発生後のシステムインフラの復旧作業について、クラウド事業者に任せることができます。

ただしクラウド移行後も、自社開発の情報システムやデータについては、自社の責任にて復旧する必要があります。
またクラウド事業者による障害対応の早さや、全面障害を回避するためにあらかじめ用意する冗長構成などについては、クラウドサービス契約におけるサービスレベル(SLA:サービスレベルアグリーメント)によって異なります。

クラウド移行計画の際には、万一の障害発生時、どこまでクラウド事業者が対応してくれるのかや、クラウドサービスのサービスレベルについて確認しておきましょう。

システム構成のスピーディーな変更ができる

一旦構築したシステムインフラについても、システムリソースを増強したり負荷分散したりといった、システム変更が必要になることがあります。

オンプレミスでは、アクセスやデータ増を予測して、その最大量に見合ったシステム増強をあらかじめ行っておくのが一般的です。

クラウド移行後は、必要に応じてダイナミックにシステム構成を変更することができます。オンデマンドでスピーディーな変更ができるため、システム使用量をみながら随時システム構成を調整することもできます。

クラウド移行2つのデメリット

クラウド移行には、多くのメリットが期待できます。とはいえ、すべての情報システムがクラウド移行に向いているわけではありません。クラウド移行のデメリットについても確認し、クラウド移行対象選定の判断材料として活かしましょう。

システム構成のカスタマイズには制限がある

クラウドでは、サーバースペックや OS を組み合わせたシステム構成の複数のパターンが提供されています。しかしパターンを外れた形で CPU やメモリー、ストレージなどを増強することはできません。クラウド事業者が提供するサービスパターンの中から選択する必要があるのは、自由にシステム構成を組めるオンプレミスと大きく異なる点です。

自社の既存システムと連携できない可能性がある

クラウドでは、インターネットを介してさまざまな接続形態が提供されています。オンプレミスや複数のクラウドをまたいで、ハイブリッドに連携する情報システムを構築することも可能です。

一方既存システムによっては、他のシステムとの特殊なインターフェースを持っているなど、そのままではクラウド移行できないケースもあります。
自社の既存システムをオンプレミスからクラウド移行する場合、連携している外部システムをすべて洗い出し、そのインターフェースをクラウド移行後どのように実現できるのか、確認する必要があります。

クラウド移行する前に考えておくべきポイント

クラウド移行によるメリットを享受するために、クラウド移行が始まる前の段階で、次のポイントを確認しておきましょう。

クラウド移行の目的を明確にしておく

クラウド移行の目的によっては、移行対象や選択すべきクラウドサービスが変わってくることがあります。オンプレミスを全廃するのか、あるいはオンプレミスとクラウドのハイブリッドな環境を目指すのかなど、目指す姿も変わってくる可能性があります。

クラウド移行を進めていく中で方向性がぶれないためにも、クラウド移行が始まる前の段階で、その目的を明確にして関係者で共有しておくことが重要です。

業務上のセキュリティ要件を確認しておく

自社の業務におけるセキュリティ要件は、事前に確認しておきましょう。

業務によっては、業界の規制や個人情報保護の観点から、厳しいセキュリティ要件が求められるものがあります。サーバーの設置国の指定が必要となったり、特殊なシステム構成が必要となる場合もあります。

現在は、セキュリティ面を強化したクラウドサービスが多数提供されています。しかしセキュリティ要件の内容によっては、クラウドサービスでは満たせない、あるいはオンプレミスの方が向いている場合もあります。

適正なコストに収まるか試算しておく

クラウドの初期コストゼロや変動できる維持コストは魅力です。クラウドサービスの料金だけに目をとらわれがちですが、クラウド移行後、その他にかかるコストにも目を向けておく必要があります。

たとえば、クラウド移行後のシステムとオンプレミスに残した社内システムとの間で大量のデータ通信が発生する場合、以前よりもネットワーク費用が嵩んでしまう恐れがあります。
また、オンプレミスで利用していたソフトウェアのライセンスが、クラウド移行後に高額になってしまうケースも稀にあります。

クラウドサービス契約分の料金だけでなく、ソフトウェアライセンスや運用管理コストも含めてクラウド移行後の維持コストがどれくらいになるのか、あらかじめ全体感を試算しておくことをお勧めします。

クラウド移行の流れ

ここでは、一般的なクラウド移行の流れをご紹介します。
計画・設計・評価など、移行作業そのものの前後にある重要なステップも押さえておきましょう。

1. 目標の設定

できるだけ数値による目標を設定します。
たとえば、クラウド移行の目的が IT コスト削減であれば、現状かかっているコストに対してクラウド移行後はいくらを目指すのか数値化します。
これはクラウド移行後の評価指標にもなります。

2. 現状調査

移行計画を作成にあたって、現状把握のための情報を収集します。
オンプレミスの情報システムのうちクラウド移行対象となりうるものについては、システム情報に加えて、利用者の規模や所在、サービス時間やセキュリティ要件などの情報も収集します。

3. 移行計画の作成

移行計画の作成は、クラウド移行全体の中でももっとも重要と考えられるフェーズです。移行計画に次のような事項を盛り込みます。

  • クラウド移行の対象範囲
  • クラウド移行後の全体システムイメージ
  • クラウド移行後の運用イメージ
  • 採用するクラウドサービス
  • 移行方法
  • 移行後の確認方法
  • 移行中と移行後の体制
  • 移行スケジュール

4. 移行体制の確立

クラウド移行チームを結成します。
移行計画の中で、移行体制として必要なスキルや要員数、期間を明確にして、ここでは具体的なメンバーを決定します。

5. 設計

クラウド移行後のアーキテクチャー設計を行います。クラウドサービスの組み合わせ、ソフトウェア構成、データの配置、システムの配置、システム間連携、などを明らかにして、クラウド移行後のシステム全体像を描きます。
合わせて、クラウド移行後のパフォーマンスや可用性を含む性能品質設計、セキュリティ設計、運用設計も行います。
従来オンプレミスにおいても行われてきた設計は、クラウドサービスを利用する場合にも必要となります。

6. 移行検証

本格的なクラウド移行の前に、移行手順の確認や、移行後のシステムが想定通り動作するかを確認するため、短期間の移行検証を行います。検証結果によって必要であれば、移行計画や設計の見直しも行います。

7. オンプレミスからクラウドへの移行

移行スケジュールに従って、移行対象システムについてオンプレミスからクラウドへ移行を行います。
クラウド移行後のテスト結果が、オンプレミスのときと同じになるかどうかを比較して、移行が成功裏に完了したことを確認します。

8. 評価

移行前に設定した目標が達成できたかどうかを評価します。目標によっては、クラウド移行後、しばらく運用してから評価を行うものもあります。

9. 運用

すべての移行対象システムについてクラウドで運用を開始したら、クラウド移行の完了となります。

まとめ

オンプレミス主体で情報システムの構築や運用を行ってきた企業においても、クラウド移行を行うことで、さまざまなメリットを享受できる可能性があります。ただし、クラウド移行計画を策定したり、クラウドに適した設計を行ったりするには、専門的なスキルが求められます。

クラウドエースでは、お客様それぞれのご要望や環境に合った Google Cloud へのクラウド移行をご支援します。
クラウド移行をご検討の際には、ぜひ一度ご相談ください。

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