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リスキリングから始まる本質的な社内 DX 推進

こんにちは、クラウドエース編集部です。

現在、多くの企業で急務となっている DX の推進。社内で本質的な DX を実現するにあたって重要な要素の一つに「リスキリング」が挙げられます。

この記事では、リスキリングという概念について簡単に解説した上で、「本質的な DX 推進」とは何か、どのようにリスキリングを進めていくべきかについて紹介していきます。

リスキリングとは?

リスキリングとは、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」です。これは経済産業省による定義です。

DX 推進が叫ばれている現在においては、リスキリングは特に「クラウド、データサイエンス、AI・機械学習、プログラミングなどのデジタルスキルの再習得」という意味で使われることが多くなっています。

「本質的な」社内 DX 推進とは?

「本質的な」DX とは、ただ新たなツールや技術を導入して、業務効率化を実現するだけでなく、デジタル技術を活用して組織構造やビジネスモデル、風土や文化など企業の在り方そのものに変革をもたらすことです。

これは、技術の進歩や市場ニーズの変化が激しい現代において、企業が継続的に成長するために必須のことと言えます。本質的な DX とは、「社内システムをクラウド化する」「このツールを使って、今まで手作業だったこの仕事を自動化する」といった、何かひとつのゴールを達成して終わりというものではありません。時代の変化に合わせて柔軟に変革し続けられる組織を作ることなのです。

リスキリングが本質的な社内 DX 推進に必要な理由

それでは、なぜリスキリングは本質的な社内 DX 推進に必要なのでしょうか。ここからは、その理由について解説していきます。

自社の DX に必要なスキルを的確に学べるため

1 つ目の理由は、自社の DX に必要なスキルを的確に学べるためです。

「 DX 」と一口に言っても、具体的に何をすべきかは企業によって異なります。どのようなビジネスモデルなのか、市場の変化にどう対応したいのか、どのような課題を抱えているのかといったことは、企業によって違いますよね。

このような自社のビジネスモデルや課題、展望、市場の動きなどに精通している既存社員をリスキリングすることで、学んだスキルを的確に DX 推進に活用してもらえるというメリットがあります。

「リスキリングをしなくても、既に必要なスキルを持ったエンジニアを外部から雇えば良い」と考える人もいるかもしれません。しかし、企業のビジネスモデルや課題、展望などを把握していない外部の人材による DX は、業務効率化やシステム刷新など、表面的なものに留まってしまう可能性があるのです。

時代に合わせて変化できる企業体質を作れるため

2 つ目の理由は、時代に合わせて変化できる企業の体質・文化を作れるためです。

先述の通り、本質的な DX とは「特定の何かをデジタル化して終わり」というのではなく、時代や市場に合わせて最新技術を活用し、働き方や事業内容などを変革するようなものです。

これを実現するためには、従業員は常に新たな知識・スキルを習得し続ける必要があります。加えて、新たな技術や環境の変化を柔軟に受け入れていく企業風土の形成も大切です。従来のやり方を好むなど、変化を嫌う従業員が多いと、新たな技術の導入は進まないためです。

時代に合わせて必要なスキルを習得していくリスキリングの文化が社内に根付けば、今後の新たな技術の登場や、市場ニーズの変化にも対応しやすくなります。さらに、従業員が常に新たなスキルを学び続けることで、新しいアイデアも生まれやすくなるでしょう。

デベロッパーエクスペリエンスを高めるため

3 つ目の理由は、デベロッパーエクスペリエンスを高めるためです。

デベロッパーエクスペリエンスとは、簡単に言えば「エンジニアが開発中に経験する体験」のことです。エンジニアが働きやすさを感じたり、自身の能力を十分に発揮できたり、スキルを身につけたりできる状態は、デベロッパーエクスペリエンスが優れた環境と言えます。

DX 推進には、自社について深く理解のあるエンジニアに企業に定着してもらうことが非常に重要となります。そして、そのためにはデベロッパーエクスペリエンスを向上させることが必須です。

社内エンジニアに対するリスキリングは、デベロッパーエクスペリエンス向上の一環となります。なぜなら、スキルを身につけることでエンジニア自身のキャリアに繋がったり、業務効率が上がったり、業務に対するモチベーションが向上したりするからです。結果として、自社の働き方への満足度や帰属意識の向上、それによる離職率の低下が期待できるでしょう。

このように、デベロッパーエクスペリエンスを改善し、優秀なエンジニアの流出を抑えることで、企業のビジネスの在り方の変革を目指す「本質的な DX」という取り組みを実現しやすくなるのです。

社内でのリスキリングの進め方

ここまで見てきた通り、自社について理解の深い従業員にスキルを身につけてもらうことは、DX に欠かせないものと言えます。それでは具体的に、どのようにリスキリングを実施すれば良いのでしょうか。ここからは、リスキリングの進め方について見てみましょう。

必要なスキルを可視化する

最初のステップは、自社の DX 推進に必要なスキルを可視化することです。

先述の通り、DX 推進のために必要なスキルは、企業によって異なります。自社の目指すDX実現には、どのようなスキルが必要になるのかを検討しましょう。「他社がやっているから」「これからの時代、必要と言われているから」などの理由で対象とするスキルを決めるのではなく、自社で実現したいことは何か、そのために必要なことは何かという順序で考えていくことが重要です。

自社の DX に必要なスキルを割り出したら、どの部門の、どんなポジションの人に、どのスキルを身につけてもらうかも決めましょう。

学習プログラムを選定する

リスキリングの対象を決めたら、次は具体的にどんな方法でスキルを習得してもらうかを考えます。

リスキリングの方法としては、大きく分けて社内リソースを活用する方法と、外部リソースを利用する方法があります。社内に既にスキルを持った人がいる場合は、その人に講師を務めてもらい、研修や勉強会を開くことができます。また、社内で学習プログラムを開発する方法もあるでしょう。

社内にスキルを持った人がいない場合や、学んでほしいスキルが細分化している場合は、外部リソースの活用が良い方法です。外部リソースを利用する場合は、「日本リスキリングコンソーシアム」への登録がおすすめです。これは、デジタルスキルを中心とした、初級から上級までのレベルに合わせた 200 以上の学びのプログラムを検索・受講できるサービスです。

会員登録を行うことで、無料/有料、受講形式、レベル、目的別などの条件から、自社に合ったプログラムを探すことができます。

リスキリングを実施する

リスキリングの具体的な方法を決めたら、あとはそれを実施するだけです。研修の日程や受講期限、学習時間を就業時間とするのかなどのルールを明確にしておきましょう。

なお、クラウドエースでは Google Cloud の認定トレーニングを提供しています。日本に僅かしかいない Google Cloud の認定トレーナーから、クラウドについて基礎から専門的な内容までレベルに合わせて教わることができます。

株式会社みずほフィナンシャルグループは、非エンジニア社員がクラウドについて理解を深めるために、このトレーニングを活用しています。Google Cloud の基礎を学ぶコースでは、クラウドなどのデジタル技術に馴染みの薄い社員でも抵抗なく継続してもらえるよう、ハンズオンでわかりやすく指導を行っています。

実際の受講者からは、「今まで関わる機会が少なかった領域についての学習により刺激を受け、自分の成長に繋がっていることを実感する」 「難しいと思っていたデータ分析の領域をより身近に感じることができた」「業務の中で新しい視点から様々な提案をすることができるようになった」といった声が上がっています。

クラウドを勉強したい場合には、ぜひクラウドエースの認定トレーニングの導入を検討してみてください。

リスキリングしたことを業務で実践する

研修やプログラムの実施を終えたら、そこで身につけた知識を活かせる場を用意しましょう。

リスキリングで習得したことは、実践して初めて意味のあるものとなります。今まで学習した内容を業務で使わなければ、せっかく習得したスキルも無駄になってしまいます。

プログラムを最適化していく

リスキリングを文化として社内に定着させるためには、学びの仕組みを最適化していく必要があります。

リスキリングを行った従業員に対して、意見や改善点を聞き出し、それを今後の取り組みに反映させましょう。従業員にとって継続しやすいリスキリングの仕組みを作ることで、企業文化を形成でき、結果として本質的な DX に繋がります。

まとめ

ここまで、なぜ社内 DX を進めるにはリスキリングが必要なのか、どのようにリスキリングを行うべきかについて解説してきました。この記事を参考に、本質的な DX を進めてビジネスの成長に繋げてください。

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