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デベロッパーエクスペリエンスが今後の DX で重要になる理由とは
こんにちは、クラウドエース編集部です。
DX と聞くと、ほとんどの人が「デジタルトランスフォーメーション」と認識するでしょう。しかし最近では、デベロッパーエクスペリエンス(=Developer eXperience)の略語として DX が使われることもあります。これは、デジタルトランスフォーメーションを実現するために、今非常に重要な要素として注目を集めている概念です。
この記事では、デベロッパーエクスペリエンスとは何なのか、なぜ重要なのかについて解説していきます。
デベロッパーエクスペリエンスとは?
デベロッパーエクスペリエンスとは、一言で言えば「エンジニアが業務やチームの中で経験する体験」のことです。
デベロッパーエクスペリエンスが優れた環境とは、開発チームのメンバーが自分の能力を十分に発揮して、楽しみながら生き生きと働いている状態と言えます。その結果として、企業にとっては良質な製品ができたり、業務効率が上がったり、離職率が下がったりといったメリットがあります。
なお、チェコのソフトウェア企業 DX Heroes のCEO Prokop Simek 氏は、優れたデベロッパーエクスペリエンスの条件について、以下の4つの要素を掲げています。
- 適切なアーキテクチャ
- 優れたツール
- すべてをバックアップするプロセス
- 心地よいチーム文化
DX とは? 4 つの目的と定義
ここで一度、DX という言葉について、その定義と目的について見てみましょう。ここでは、 DX の定義を大きく以下の 4 つに分けて解説します。
- ビジネスのデジタル化
- 技術的負債の解消
- 社内業務の効率化
- デベロッパーエクスペリエンス
このうち、1〜3 はデジタルトランスフォーメーションについての内容となります。
①ビジネスのデジタル化
1 つ目の DX の定義は、「ビジネスをデジタル化すること」です。
ここでいう DX とは、新たなデジタル技術やツールを使って、従来の商品やサービスをデジタル化していくことです。新しい技術を活用して、より便利なサービスを提供したり、新たな事業を創出したり、ビッグデータを活用したマーケティングを行ったりすることで、利益の向上を目指します。
②技術的負債の解消
2 つ目の DX の定義は、「技術的負債を解消すること」です。
「2025 年の崖」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。これは、2018 年に経済産業省が発表した「日本企業が DX を推進しなければ、2025 年以降の 5 年間で、最大で年間 12 兆円の経済損失が生じる」という予測です。
「2025 年の崖」は具体的に、既存の IT システムが老朽化して効率的に機能しなくなったり、既存システムを運用保守できる人材がいなくなったり、メンテナンスのコストが膨大になり新しい技術への投資ができなくなったりすることで起こると考えられています。
このような状況を防ぐために、IT システムを刷新したり、新たなツールを導入したりすることも、DX のひとつです。
③社内業務の効率化
3 つ目の DX の定義は「社内業務を効率化すること」です。
これは、多くの人が「 DX 」と聞いて思い浮かべるものではないでしょうか。これまで紙ベースで行っていた業務を電子化したり、オンライン会議ツールを導入してテレワークを可能としたりなど、既存業務をデジタル技術を使って効率化していくことです。
④デベロッパーエクスペリエンス
そして 4 つ目の DX の定義は「デベロッパーエクスペリエンス」です。
上記 3 つの「 DX 」が「デジタルトランスフォーメーション」を指していたのに対し、これは「デベロッパーエクスペリエンス」という異なる概念です。エンジニアの働き方やキャリア、こだわりなどを理解して、気持ちの良い開発環境を提供することを目指します。
デベロッパーエクスペリエンスが今後の DX で重要になる理由
ここまで、DX の定義についての定義を紹介してきました。2 つの異なる意味を持つ 「DX」ですが、それぞれには深い関わりがあります。現在、デベロッパーエクスペリエンスはデジタルトランスフォーメーションの実現において非常に重要と考えられているのです。
その理由は、デベロッパーエクスペリエンスの向上によって、企業に長期的な利益をもたらす可能性が高いからです。
ここで一度、「企業が目指すべきものは何であるのか」について考えてみましょう。設立目的や事業内容、ビジョンは企業によって異なりますが、どの企業に関しても言えることは「長期利益の追求」です。これを達成することで、納税や雇用の産出、労働分配など、社会に対しても、従業員に対しても貢献できるためです。
DX の実現による長期利益に対するインパクトの大きさは、今や火を見るより明らかです。業務効率化によるコスト削減ができるのはもちろん、イノベーションを創出し、新規事業を生み出し成功することができれば、利益の大幅な増加も目指せます。上で紹介したような、ビジネスのデジタル化、技術的負債の解消、社内業務の効率化といった DX のメリットは広く知られているのです。ところが、デベロッパーエクスペリエンスや、その重要性についてはまだ理解が浅いというのが実情です。
しかし、実際に本格的に DX 推進に取り組むと、デベロッパーエクスペリエンスがいかに重要であるかがわかるはずです。なぜなら、既存システムを刷新したり、新しいツールを導入したりするには、人的なエンジニアリソースが絶対に必要だからです。
DX 推進に本気で取り組んでいくためには、エンジニア組織を企業に内製化することは有力な選択肢になるでしょう。自社にエンジニア組織を置く場合、DX を成功させるためには優秀なエンジニアに長く会社に定着してもらわなければなりません。そのためには、エンジニアの希望する働き方やキャリアを理解することが大切です。このことから、デベロッパーエクスペリエンスは重要と言えるのです。
IT 人材不足が叫ばれている日本において、エンジニアの需要は非常に高いです。そんな中でデベロッパーエクスペリエンスを軽視していては、優秀な人材を採用することはできませんし、既存の人材もより良いデベロッパーエクスペリエンスが提供される企業へと移ってしまうでしょう。
つまり、DX を成功させるには、それを現場で担うエンジニアに対して働きやすさや満足感を与える必要があります。このことから、DX にはデベロッパーエクスペリエンスへの理解や投資が大切と言えるのです。
まとめ
ここまで、デベロッパーエクスペリエンスとは何か、なぜ DX にデベロッパーエクスペリエンスが重要なのかについて解説してきました。
余談ですが、弊社クラウドエースでも CTO を中心にデベロッパーエクスペリエンスの向上に本気で取り組んでいます。待遇面だけではなく、企業文化や成長への投資、社会への貢献、働きがい、チームでのコミュニケーションに至るまで、エンジニアにとっての「仕事という枠を超えた体験価値」を作ることで、組織全体の生産性を向上させていけるようマネジメントしています。クラウドエースで働くことに興味があるエンジニアの方も積極募集中です!(こちらに弊社採用サイトを貼っておきます。)
この記事を参考に、デベロッパーエクスペリエンスに対する投資について検討してみてください。
ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。
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