DX 成功はツール導入だけではダメ!鍵を握るのは戦略的な企業文化

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こんにちは、クラウドエース編集部です。

日本企業は他国に比べて DX が進んでいないと言われています。そんな中、Google Cloud Japan の代表である平手氏は「日本企業における DX の最大の障壁は企業文化にある」との考えを述べています。

この記事では、日本企業の DX が遅れている原因について考察し、DX を実現するためにはなぜ「戦略的な企業文化」が大切なのか、そもそも「戦略的な企業文化」とはどのようなものなのかについて解説していきます。

日本企業の DX が遅れている原因

デジタル技術の活用によって、業務効率化や新規ビジネスの創出を目指す DX。次々と新しい技術が登場し、トレンド変化の激しい現代において、企業が生き残るためには非常に重要な取り組みです。しかしなぜ、日本企業は世界的に見ても DX が遅れていると言われるのでしょうか。まずはその理由について考えてみましょう。

DX 自体が目的化している

1 つ目の原因は、DX 自体が目的化しているケースがあることです。

DX とは本来、企業が自社で実現したいことや、経営計画を叶えるための手段です。「今まで人の手でやっていたこの作業を自動化して業務効率化したい」「この技術を使って、こんな事業を立ち上げたい」といったように、企業それぞれの目的を達成するためにデジタル技術を活用するのが、本来の DX と言えます。

ところが、世の中で DX がトレンドとなることで、「とにかくデジタル化しなければ」と、明確な目的なしに DX を進めていこうとする企業も少なくありません。「DX 推進部」を設立して、その部署に社内の DX を一任してしまうといったこともそれを助長していると言えるでしょう。本来は手段であるはずの DX が目的化することで、自社に合わないツールを導入してしまったり、技術をうまく活用できなかったりといったことが起こり得ます。これでは、自社の成長や利益に繋がるような DX は絶対に実現できません。

DX「だけ」を進めようとしている

2 つ目の原因は、DX「だけ」を進めようとしていることです。

先述の通り DX は、デジタル技術を導入することが目的ではなく、デジタル技術を活用して業務効率化や新たな事業の創出など、イノベーションを起こすことが目的です。そのため、イノベーションと相反するような企業文化や組織体制がある環境では、いくら最新のデジタル技術を導入しても DX は進みません。

つまり、DX を真に実現してイノベーションを起こすためには、技術やツールを導入するだけでなく、前提となる企業文化や組織体制までを変える必要があるのです。具体的にイノベーションと相性の悪いシステムとしては、9 時から 17 時までオフィスに勤務するという一律な働き方や、一律的な評価制度、新卒一括採用、年功序列、終身雇用などが挙げられるでしょう。

イノベーションを起こすためには、多種多様な考え方、価値観、バックグラウンドを持ったさまざまな人の意見を元にサービスや商品を提供することが必要です。しかし、このようなシステムでは、多様性が生まれず、結果として新しいアイデアも生まれにくくなります。

そのため、従来の体制のまま DX に取り組んでも、デジタル技術を使った新規事業の創出などの結果には繋がりにくいのです。

企業の意志や長期展望が不明確

3 つ目の原因は、日本は他国に比べて、企業の意志や長期展望が不明確なことです。

日本の企業は、海外に比べて、10、20、30 年後に「こうありたい」「これを実現したい」という意志が弱いと言われています。その大きな要因は、社長の任期が 2 年や 3 年と短いことと考えられています。

先述の通り、DX を実現するには、ただデジタル技術を導入するのではなく、組織体質から変えていく必要があります。そしてそのためには、まずはトップに立つ社長が明確なビジョンを持って経営方針を定め、企業の変革に向けた行動をしていかなければいけません。

しかし実際には、短い任期の中で、組織を根底から変革するのは簡単なことではありません。また、DX の取り組みが成果として目に見えるのには長い時間がかかります。自分が一線を退いた後のビジョンについて明確かつ現実的に考えたりすることは難しいというのが実情でしょう。

日本の社会構造の問題

4 つ目の原因は、終身雇用制度や新卒一括採用制度などの日本の文化や社会構造の問題です。

DX を実現するためには、経営者が明確な展望を持つことに加え、従業員一人ひとりが「この会社でこれを実現したい」「こんなサービスを作りたい」といった思いを持つことも重要です。しかし、日本の終身雇用制度の雇用システムでは、このような志を持ちにくいと言えます。一度入社してしまえば原則として解雇されない仕組みの中では、従業員個人が企業の将来のビジョンなどを考える必要がなくなるためです。

また、「大企業に入って、そこで定年まで勤め上げることが望ましい人生」と考える人がまだまだ多いということも原因のひとつと考えられます。「企業で実現したいこと」よりも「企業の規模」「安定性」を重視して入社した場合、自社のビジネスの成長や課題や、DX 推進についてあまり興味を持てないでしょう。

また、新卒一括採用制度は、イノベーションの実現を妨げる要因となります。先述の通り、イノベーションは多様性から生まれるものです。多様な人材の確保が難しい新卒一括採用は、イノベーションの実現に反するものと言えるでしょう。

「戦略的」企業文化を形成することが大切

ここまで、日本企業で DX が進まない原因について解説してきました。このような課題を抜本的に解決する方法として、「戦略的な」企業文化の形成が注目されています。実際のところ、次々とイノベーションを起こしている Google や Amazon でも、企業文化は非常に重視されています。

ここからは、「戦略的」企業文化とはなんなのか、なぜそれが DX に重要なのかについて見てみましょう。

「戦略的」企業文化とは

「戦略的」企業文化とは、文字通り「戦略的に作られた企業文化」です。

これを聞くと、「企業文化は自然に形作られるものではないのか?」と感じる人もいるかもしれません。確かに、「文化」とは各集団において自然発生的に作られるものというイメージがあります。しかし、企業文化に関しては、自然に発生するものではなく戦略的に作られるべきものなのです。

例えば GAFA は、「イノベーションが求められる時代」に合った企業文化を戦略的に作ったことで大きな成功を納めました。つまり、「イノベーションが求められる時代が到来する」と考えた経営陣が、「イノベーションに合う企業文化とはどんなものか」を考え抜き、その文化を組織に植え付け、その文化に合う人材のみを採用していったのです。その結果として、これらの企業はイノベーションを起こすことができたのです。

このことから、企業文化とは「企業のありたい姿、実現したいこと」から逆算して形作るべきものと言えます。

DX に「戦略的」企業文化が大切な理由

それでは、DX の実現になぜ戦略的な企業文化の形成が重要となるのでしょうか。その理由は、企業ビジョンに基づく企業文化を明確にすれば、それに共感する人材を獲得できるからです。

企業文化は経営陣の戦略によって作られるものですが、実際にその文化に基づいて行動して企業のビジョンを具現化するのは、そこで働く人材です。つまり、戦略として形成した企業文化を実現するためには、文化に共感してくれるような人材を採用することが非常に大切なのです。

例えば「DX を進める」「イノベーションを起こす」というビジョンを持った場合、それに基づく文化を形成し根付かせることで、その文化に共感する人材のみを集めることができます。結果として、文化の根底にある「DX を進める」「イノベーションを起こす」というビジョンが実現しやすくなるのです。

DX に取り組む際に、これまで使ったことのないツールを導入したり、仕事のやり方を変えたりすることもあるでしょう。そんな中、「このやり方は企業文化に合わない」という反発が出てくることがあるかもしれません。しかし、「DX を実現したい」というビジョンがあるなら、企業文化に合わせてその方法を変えたり断念したりするのではなく、DX に合うように文化を変えることが必要なのです。

どんな企業文化を作るべきか?

「戦略的に企業文化を作るべき」と言われ、「どんな企業文化を作るべきか?」と疑問に思う人もいるでしょう。しかし、これに明確な答えはありません。なぜなら、企業文化は、各企業のビジョンや信念、戦略によって異なるべきものであるからです。

例えば、マクドナルドとスターバックスは両者とも世界に多くの店舗を構えるファストフード店ですが、その企業文化は大きく異なります。マクドナルドは効率化を重視しており、全世界の店舗でオペレーションを標準化しています。

一方、スターバックスは「スターバックスエクスペリエンス」という言葉があるように、「スターバックスでコーヒーを楽しむ空間を提供すること」を戦略としています。地域によって好まれる空間は異なるため、各店舗に雰囲気作りの権限を与えています。

このように、同じ業種であっても企業によって戦略は大きく異なります。そしてもちろん、両社は採用する人材も異なってきます。

まずは「どんな企業を作りたいか」「どんなことを実現したいか」を明確にして、それに基づいて企業文化を形成していくことが大切です。そして、戦略的に文化を作ったら、次はその文化に基づく行動規範を決め、社員全員でそれを忠実に守りましょう。ここまで実現することで初めて、企業文化が社員に根付いていきます。

まとめ

ここまで、日本で DX が進まない理由や、戦略的な企業文化の形成がどのようにその課題を解決するのかについてお話ししてきました。
余談ですが、弊社クラウドエースでも「DX 推進をサポートしてほしい」という依頼をいただくことが近年増えています。そんな時に弊社では、ただお客様の要望にしたがってモノを作って納品するという役務ではお客様の事業貢献を果たせない、であるならば「我々に何が出来て、どんな価値を提供することでお客様に貢献できるのか」という視点を常に大事にしています。我々がメッセージとして掲げる 「SI 2.0」では、従来型の開発プロセスから脱却し、お客様自身にもプロジェクトに深く関わってもらうことができる環境の整備やサポートを通し、プロジェクトが終わった後もお客様自身の成長や組織改革、そして本当の意味での「DXの成功」 にまでつながっていけるような新しいSIの在り方を日々考え提案しています。

DX推進に課題を感じている方がいらっしゃいましたらぜひこの記事を参考にしていただき、もし興味があれば弊社クラウドエースにもご相談いただけましたら大変幸いに思います。
また、本記事の元ネタでもあります、弊社主催のオンラインイベント『OPEN DX 2022』にて 入山 章栄 氏との対談動画をこちらより配信しておりますので、ぜひご覧いただけますと幸いです。(※ フルverの視聴にはご登録が必要です)


<企業文化は領域展開!?イノベーションを起こす企業文化を再考しよう!入山 章栄>

ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。

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