AlphaFold
Google の DeepMindによって開発されたタンパク質の構造予測を実行する人工知能プログラム
しかし、すべてのMLの進歩の根底には、共通の課題があります。それは、MLモデルの構築と実運用への展開を迅速に行い、技術的に複雑なプロセスを、統一されたプラットフォームに抽象化し、より多くのユーザーに ML を開放するというものです。
Google のミッションは、有用かつ予測可能な ML を大規模に展開するための障壁をなくすことです。そのため、2021年5月には ML モデルの展開と保守を加速するために特別に設計されたマネージド ML プラットフォームである Vertex AI の一般提供開始を発表しました。
Vertex AI を活用することで、データサイエンティストは ML の開発と実験を 5 倍高速化し、必要なコード行数を 80% 削減することができるようになります。
発表から1年、さまざまな業界のお客様が、Vertex AI を利用して機械学習モデルを実運用するためのサポートに成功しています。
本記事では Vertex AI がどのように活用されているかを詳しく見てみましょう。
目次
小売業における事例
100人以上のグローバル小売企業の役員を対象とした Google の調査によると、AI と ML を搭載したアプリケーションは、企業価値として2,300~5,150億ドルにグロースする可能性があることが確認されました。小売業は、在庫の最適化や顧客体験の向上といったユースケースに関わらず、MLの導入が最も進んでいる業界の1つです。Google は、以下の4社を代表的な事例として記事に取り上げています。
Wayfair(家具や家庭用品のオンライン販売を行う企業)
Vertex AI を活用することで、大規模なモデルのトレーニングジョブを5~10倍速く実行可能にすることを Forbes の記事で発表
Etsy
Vertex AI や Dataflow などの Google Cloud サービスに大きな信頼を寄せており、アイデア出しから実際の ML 実験にかかる時間を約50%短縮したことをブログで発表
Lowe’s
Vertex AI Forecast を使用することで、SKU と店舗レベルの予測のバランスをとる正確な階層型モデルを作成し、1700を超える店舗でさまざまなモデルとして活用されている旨を当該企業の社員が発表
Magalu(ブラジルの小売企業)
Vertex AI を導入したことで、在庫予測の誤差(WAPE)が大幅に改善されたことで、在庫配分・補充、棚割り、コスト管理の最適化されたと同企業のディレクターが発表
製造業と金融業界における事例
小売業界だけでAIとMLが活用されているわけではありません。Google の調査によると、日常業務でAIを使用している製造業の66%が、AIへの依存度が高まっていると報告しています。ここでは Google 社が記事に取り上げた企業の事例を2つ紹介します。
コカ・コーラ ボトラーズジャパン(CCBJ)
ML への取り組みを強化しており、Vertex AI と BigQuery を利用して70万台の自動販売機の数十億件のデータレコードを処理し、いつ、どこに商品を配置するかという戦略的意思決定を支援しています。
SUBARUは、自社の車が引き起こす死亡事故をなくすためにMLを活用しています。SUBARUラボでは、同社のステレオカメラ「EyeSight」の画像解析などに Google Cloud を利用しています。NVIDIA A100 GPUと Compute Engine を組み合わせて筋肉を処理し、データサイエンティストとデータエンジニアはVertex AIを使ってモデルを構築しています。
「数あるプラットフォームの中から Google Cloud を選んだのは、Verex AIやマネージドノートブックオプション、Vertex AI Trainingなど、AI開発に有用なマネージドサービスが複数用意されていたからです。また、大規模な機械学習処理に対応できる高性能なハードウェアがあることも魅力的でした」(SUBARU AI R&Dシニアエンジニアの大久保トシミ氏)