• IT・トレンド記事
7分で読める

ブロックチェーンとは 概要や仕組みを5分で入門

こんにちは。クラウドエース編集部です。

ICT でのトレンドのひとつ、ブロックチェーン。最近では「Web3.0」や「NFT」「ビットコイン」などの話題と一緒に言及されることも増えていますね。

しかし、ブロックチェーンという言葉自体はよく耳にするものの、イマイチどのようなものか具体的なイメージが湧かないという人も多いのではないでしょうか。

今回は、注目を集めるブロックチェーンという技術について、その概要やメリット・デメリット、活用事例などをわかりやすく解説していきます。

ブロックチェーンとは?技術と特徴


簡単にいうと、ブロックチェーンとは、取引データを「ブロック」という単位で記録して、それを「チェーン」のように繋いで保管する技術のことです。

ブロックチェーンの大きな特徴は、記録されたデータの改ざんが非常に困難であり、データの正当性・透明性を保てることにあります。

データ改ざんが困難な理由は、ブロックチェーンでは、過去から現在までの取引履歴が1本の鎖のように保存されていることにあります。そのため、あるブロック内の情報を改ざんしようとすると、一定時間内に、改ざんしたブロック以降のすべてのブロックを修正しなければならないのです。

また、ブロックチェーンでは、1つのデータが複数のコンピュータに分散されて保存されます。ブロックチェーンのネットワークに参加している全ての人が同じ取引情報を共有する仕組みであるため、どこかで不正なデータの改ざんが行われたとしても、誰かがすぐに気づくことができます。

このような仕組みから、ブロックチェーンでは悪意のあるデータの書き換えやハッキングが非常に困難と言われています。結果として、データの正当性・透明性を保持することが可能なのです。

ちなみに、従来の特定のサーバに情報が集められる中央集権的な仕組みに対して、情報が分散されて保存されるブロックチェーンは「分散型台帳」とも呼ばれます。

ブロックチェーンのメリット

ブロックチェーンの概要を簡単に理解していただいたところで、続いてはブロックチェーンの具体的なメリットについて見てみましょう。

データの正当性を証明できる

1つ目のメリットは、取引データの正当性を証明できることです。

冒頭でお話しした通り、ブロックチェーンでは、たとえサービスの提供者であっても不正なデータの書き換えや削除を行うことができません。このような仕組みから、取引履歴やデータの透明性を保持できます。

また、ブロックチェーンで保存された取引履歴は、全てがインターネット上に公開されています。暗号化された取引履歴が時系列で保存されており、いつでも、誰でも確認が可能です。

システムダウンが起こらない

2つ目のメリットは、システムダウンが起きにくいことです。

従来の中央集権的なネットワークの仕組みでは、中心となるサーバーがダウンしてしまうと、復旧するまでサービスを利用できませんでした。そのため、システムダウンへの備えとして、サーバーの管理・運用に高いコストがかけられていました。

一方で、ブロックチェーンでは、複数のコンピュータに情報が分散されて取引履歴などが処理されます。そのため、1つの機器がダウンしても、残りの機器で情報処理を続けることが可能です。結果として、システム全体がダウンして停止してしまうようなことが起こらないのです。

セキュリティ性が高い

3つ目のメリットは、セキュリティ性が高いことです。

ブロックチェーンでは取引内容を保存する際に、その内容が正当かどうかを、ブロックへ格納する前にネットワークの参加者に確認されます。もしも正当性が認められなかった場合には、取引内容は保存されません。

加えて、先述の通りブロックチェーン上のデータは分散されたコンピュータに保存されており、データが変更された場合には全てのコンピュータが更新されます。そのため、悪意のある書き換えが行われた場合にもすぐに気づくことができます。

また、データが分散されていることは、ハッキング防止においても有効です。従来の中央集権的な仕組みでは、1カ所に情報が集中しているため、ハッキングのリスクが高いと言えます。

一方で、ブロックチェーンのデータをハッキングする場合、分散された全てのコンピュータにアクセスする必要があります。それは極めて困難であるため、情報漏洩のリスクが非常に低いのです。

ブロックチェーンのデメリット

このように、さまざまなメリットがあるブロックチェーンですが、同時に懸念点やリスクもあります。ブロックチェーンのデメリットについて見てみましょう。

データを削除できない

1つ目のデメリットは、ブロックチェーンに保存されたデータは削除できないことです。データを変更できないことはブロックチェーンのメリットでもありますが、場合によってはデメリットにもなります。

例えば、住所や年齢などの個人情報がブロックに誤って保存された場合にも、それを後から削除することはできません。また、暗号化されているとはいえ、ネットワーク上の全ての参加者が個人情報を閲覧できることになります。

このようなリスクを避けるためには、個人情報を保存しないよう注意するほか、ブロックチェーン単体ではなく、外部のデータベースと組み合わせて使うなどの工夫が必要です。

処理速度が低くなる場合がある

2つ目は、処理速度が低くなる場合がある。複数のコンピュータで情報を共有するブロックチェーンでは、処理能力が使用されているコンピュータのスペックに依存します。そのため、スペックの低いコンピュータが繋がっている場合、処理能力が低くなってしまいます。

具体的には、現状ではビットコインの取引を1回行うのに約10分の時間が必要と言われています。そのため、決済システムなど即時性が求められる用途では、ブロックチェーンの運用は難しいとされています。

取引データが増え続ける

3つ目は、取引履歴のデータが増え続けることです。

ブロックチェーンでは取引履歴を蓄積保存するため、データが膨大な量になりやすいです。また、ブロックチェーンが普及すればするほど、通信量や処理しなければならないデータ量も増加します。

将来的に、あらゆる分野でブロックチェーンが利用されるようになったり、短時間に取引が集中したりした場合には、処理速度がさらに低下してしまうリスクがあると言われています。

ブロックチェーンが注目されている理由

ここまで、ブロックチェーンのメリットとデメリットを紹介してきました。このようなリスクを抱えながらも、なぜ現在、ブロックチェーンは非常に大きな注目を集めているのでしょうか。その理由について見ていきます。

ルーツはビットコインの実現


まずはブロックチェーンのルーツについて振り返ってみましょう。

ブロックチェーンは、元は仮想通貨のビットコインを実現するために開発された技術です。銀行などの第三者を介さずにユーザー同士で直接取引を行う仮想通貨において、その取引履歴の正当性を保証するために生まれた技術がブロックチェーンなのです。

しかし、現在ではブロックチェーンは仮想通貨に留まらず、あらゆる業界でその技術の応用が期待されています。具体的には、特に今後のインターネット領域における時代の変化に、ブロックチェーン技術が役に立つと考えられています。

Web 3.0 時代に欠かせない技術


例えば、これから到来すると言われている「Web3.0」の実現には、ブロックチェーンが欠かせないと言われています。Web3.0 とは、簡単に言えば「分散型インターネットの時代」のことです。

現在は、Google や Amazon などの巨大企業を中心として情報がやり取りされています。しかし、Web3.0 ではユーザ同士がネットワーク上で直接取引を行います。これを実現可能とするのが、ブロックチェーンです。ブロックチェーンを利用すれば、参加者がネットワーク上のデータを互いにチェックし合うことができるため、中枢となる企業を利用することなく、正確な情報のやりとりが可能となるのです。

Web3.0 時代の特徴的なサービスとしては、メタバースやNFTなどが挙げられます。メタバース・NFTの実現にも、ブロックチェーンは欠かせません。

インターネット上の仮想空間で自分の分身を動かすメタバースは、ブロックチェーンと組み合わせることで、より安全性や利便性を高めることができます。また、メタバースとブロックチェーンを組み合わせることで、資産を生み出すことも可能です。

例えばメタバースのゲーム内のアイテムなどに作者や所有者の情報がブロックチェーンで記入されれば、それは他と代替できない、唯一無二の資産となります。その価値が高まれば、外部での売買も可能です。このように、コピーや改ざんのできないデジタルコンテンツを作る技術が、NFT です。

このように、ブロックチェーンはインターネットの新時代の新たなサービスに活用されると期待されています。

決済・証明・契約に役立てられる

そのほか、ブロックチェーンは決済や証明、契約などにも役立てられます。

「スマートコントラクト」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。これは、ブロックチェーン上で取引のコントラクト(契約)を自動で行う仕組みのことです。これが実装されたサービスでは、事前に定義されたルールのもと、所定の条件が満たされれば自動的にプログラムが実行されます。

スマートコントラクトを実装するメリットは、信頼性が高いことです。取引履歴がネットワーク上でブロックチェーンに記述されるため、契約の透明性が確保されます。加えて、ブロックチェーンには高いデータ改ざん耐性があるため、セキュリティ面でも安心できます。

また、スマートコントラクトでは第三者を介さずに取引が成立するため、コスト削減にも繋がります。従来は仲介や信頼性の担保のために銀行などに手数料を支払っていましたが、スマートコントラクトではそれが不要になります。

このように、ブロックチェーンは、社会の利便性の向上のためにも幅広く活用されることが期待されています。

ブロックチェーンの活用例

このように、仮想通貨に留まらず、さまざまなシーンでの応用が期待されているブロックチェーン技術。ここからは、現在すでに活用されているブロックチェーンの事例を見てみましょう。

食品管理にブロックチェーンを活用

アメリカの大手スーパーマーケット「ウォルマート」では、ブロックチェーンの持つデータの透明性や正確性を活かした食品管理を行っています。

具体的には、「フードトラスト」というシステムで、商品が「どこの国で、誰がいつ生産し、どの経路で流通して店頭に並んでいるか」がブロックチェーン上に記録されています。これにより、不良品を効率的に取り除いたり、食品の痛みや汚れがいつどこで発生したのかを特定したりできるようにしているのです。

ブロックチェーンで行政手続きをIT化

ブロックチェーンを活用しているのは、民間企業だけではありません。例えばバルト三国のひとつ、エストニアでは「電子国家」を目標に掲げ、ブロックチェーンを利用してさまざま行政手続きを可能にしています。

具体的には、納税や婚姻手続き、医療記録、登記などの手続きをインターネットのみで完結できるようになっています。加えて、医療記録や銀行取引も電子化するなど、ブロックチェーンを利用して行政インフラの IT 化を強く推し進めています。

まとめ

ここまで、ブロックチェーンの概要や仕組み、メリット・デメリットについて紹介してきました。情報の正当性を担保できるブロックチェーン技術は、今後もさまざまなビジネスに応用され、社会の利便性をより高めてくれるでしょう。

この記事を共有する

合わせて読みたい