- クラウド導入お役立ち記事
SaaS 企業・サービスの特徴やビジネスモデルが5分でわかる
目次
こんにちは、クラウドエース編集部です。
インターネット上でアプリやサービスを利用する「 SaaS 」。
近年海外をはじめ日本でもその市場が急激に拡大していると聞くものの、どのようなビジネスモデルやマネタイズによって収益化をしているのか、いまいち把握しにくいと感じる人も多いのではないでしょうか。
今回は、 SaaS 企業の特徴や収益モデル、メリット・デメリットを解説した上で、実際に成功している日本と海外の SaaS 企業の例を紹介していきます。
SaaS の特徴・仕組みとは?
SaaS とは、 Software as a Service の略称です。
クラウドサービスの中でも、クラウド事業者が提供するソフトウェアをインターネット経由して利用することを指します。
インターネット接続さえできれば、どのデバイスからでも利用できること、複数人のユーザーで同時に利用できることが、 SaaS の大きな特徴です。
PaaS や IaaS との違い
SaaS と比較されるクラウド形態として、 PaaS と IaaS があります。
PaaS とは、 Platform as a Service の略称で、データベースや開発ツール、 OS といったアプリケーション開発のためのプラットフォームを利用することです。
IaaS とは、 Infrastructure as a Service の略称で、サーバーや CPU 、ストレージなどのシステム稼動に必要なインフラを利用することです。
このように、 SaaS 、 PaaS 、 IaaS はクラウド事業者がカバーする範囲が異なります。
SaaS のビジネスモデルの特徴
近年急激に普及している SaaS を使ったビジネス。
具体的に、どのような特徴があるのかを見てみましょう。
- サブスクリプションの料金体系
- ユーザーデータの分析が必須
- フリーミアムの活用
SaaS ビジネスの最大の特徴は、料金体系がサブスクリプション型のマネタイズであることです。
これまでのパッケージ型のソフトウェアやシステムの販売では、1つの製品に対して金額が定められていました。
しかし、 SaaS ビジネスでは、提供するサービスの利用権として、利用期間に応じた料金を請求するという収益モデルを採っています。
収益を伸ばすためには継続利用してもらうことが必要で、以前よりも顧客との関係が重視されるようになったと言えるでしょう。
また継続利用が前提となる SaaS ビジネスでは、利用中のユーザーからさまざまなデータを取得しやすいです。
長期利用してもらうためには、収集できるあらゆるデータを活用し、ユーザーにとって使いやすいサービスに常に改善していくことが重要です。
フリーミアム戦略を積極的に活用するマーケティングが採用されることも、 SaaS ビジネスの特徴です。
基本的なサービスや制限付きのサービスについては無料で提供し、追加機能の利用や、サービス速度の高速化などに対して課金する仕組みのことです。
フリーミアムを活用することで、サービスの利用・導入へのハードルを下げ、ユーザーを拡大しやすいというメリットがあります。
アメリカや中国などの企業と比較して DX の推進で遅れをとっている日本企業でもこのフリーミアム戦略を採用する企業は年々増えつつあります。
SaaS ビジネスのメリットとデメリット
続いては、 SaaS ビジネスにおけるメリットとデメリットについて見てみましょう。
SaaS ビジネスのメリット
SaaS のメリットは、大きく言って以下の4つが挙げられます。
- 継続的に利益を出せる
- 顧客と継続的に関われる
- 高速な事業拡大が可能
- 幅広い顧客に対応できる
先述の通り、 SaaS の収益モデルではサブスクリプション型の料金体系が取られていることが多いため、一度契約してもらえると、継続的に利益を出しやすくなります。
また、売上の予測がしやすいことも経営を行っていく上で大きなメリットと言えるでしょう。
サブスクリプションでの契約では、顧客と継続的な関係を築きやすいことも特徴です。
一度の購入で関係が終わる買い切り型とは異なり、長期にわたって関係が持てるため、獲得できる顧客データも幅広く、サービス改善に繋げやすいと言えます。
高速な事業拡大が可能なことも、 SaaS ビジネスの大きな魅力です。
短期間で売り上げを数倍、数十倍にしたという SaaS 企業は数多く、特に国内 SaaS スタートアップ企業は大型化が目立ちます。
事業拡大に伴い、物理的なオフィスや機器を大きく増やす必要はなく、保守コストも一定に保ちやすいため、すぐに事業拡大へと踏み出せるのです。
幅広い顧客に同時に対応できることも SaaS ビジネスの特徴でしょう。
多くの SaaS 企業は、単一のサービスを提供するのではなく、個人向け、企業向け、無料版、有料版、プレミアム版など、あらゆるニーズに応えるべく、さまざまな製品を販売しています。
1つのコンセプトの仕様を変更していくことで、幅広い層を同時に顧客対象にできることが、 SaaS ビジネスの大きなメリットです。
SaaS ビジネスのデメリット
SaaS ビジネスのデメリットとしては、以下の3つが想定されます。
- 資金回収までに時間がかかる
- 契約継続のための頻繁なアップデートが必要
- 継続的な顧客サポートが必要
SaaS ビジネスのデメリットは、サブスクリプション型の料金体系であるため、資金回収までに時間がかかることです。
従来の買い切り型では、購入されたタイミングで利益が発生します。
一方、サブスクリプション型では、一定以上の期間を継続利用してもらえて初めて利益が生じます。
よって SaaS 企業の多くはチャーンレート(=解約率)をいかに下げるかということに注力しなければなりません。
サービスを継続利用してもらいチャーンレートを下げるためには、頻繁なアップデートも必要です。
特にソフトウェア業界は競合も多く、各社が日々サービスの改善を行っています。
そんな中で自社サービスの利用を継続してもらうためには、顧客の声を聞き、常にサービスをアップデートしたり、機能を追加したりして他社と差別化する必要があるのです。
継続利用のためには、サービスの改善に加えて、顧客のフォローも欠かせません。
先述の通り、 SaaS ビジネスでは継続利用してもらえて、初めて利益が出ます。
そのため、顧客からの質問対応などのカスタマーサポート業務の負担が大きくなる傾向にあります。
SaaS 企業の成長率と市場規模
SaaS 企業は、国内、海外ともに成長率が非常に高い傾向です。
富士キメラ総研の調査によると、SaaS の日本国内の市場規模は 2020 年に 1 兆円を突破、年平均 13 % の成長を伴い 2024 年には 1.6 兆円規模にまで成長すると予想されています。
市場拡大に伴って、大手企業だけでなく、スタートアップの SaaS 企業も増加しています。
大手企業とのジョイントベンチャーや、VC からの大型な資金調達も続いており、今後もますます成長していく業界であると考えられるでしょう。
(参照元: 富士キメラ総研 “プレスリリース 『2021 クラウドコンピューティングの現状と将来展望 市場編/ベンダー編』まとまる(2021/7/7発表 第21065号)”)
国内の SaaS 企業一覧
ここからは、国内の SaaS 企業の代表的な成功例を見てみましょう。
サイボウズ株式会社
(引用元: サイボウズ株式会社)
サイボウズ株式会社 は、グループウェア「 サイボウズ Office 」「 Garoon 」、業務アプリプラットフォーム「 Kintone 」などを展開している SaaS 企業です。
5名〜数万名までの幅広い企業規模・業界に対応できる製品を持ち、導入事例も サイボウズ Office で69,000社、 Garoon で6,000社、 Kintone で20,000社と、非常に豊富です。1つのサービスで CRM やタスク管理までを行えることが特徴です。
freee 株式会社
(引用元: freee株式会社)
freee 株式会社 は、「 freee 会計 」というクラウド会計ソフトを展開する SaaS 企業です。
freee 会計 は、法人向けから個人事業主向けまであり、請求書や決算書の作成、給与計算など多様な会計機能が利用できます。
個人は月額980円、法人は1,980円の手頃な価格が特徴で、無料プランの用意もあります。
Sansan 株式会社
(引用元: Sansan 株式会社)
Sansan 株式会社 は、クラウド上での名刺管理サービスを展開する SaaS 企業です。
法人向けとしては「 SanSan 」というサービスを、個人向けとしては「 Eight 」というアプリを提供しており、前者の導入社数は7,000社以上、業界シェア率は80%を超えています。
名刺を社内で共有できたり、氏名や電話番号、役職などのキーワードで検索できたり、データを統合できたりと、ただ名刺をデジタル化するだけではなく、マーケティングに活かせることをアピールポイントとしています。
タイムリープ株式会社
タイムリープ株式会社 は、「 RURA 」という遠隔接客サービスを提供する SaaS 企業です。
RURA とはタブレットなどを使って遠隔での接客を実現するサービスで、店舗の無人化や少人数での多店舗の接客を可能とし、人材不足やコスト削減に繋げます。非対面や非接触が重視される時代にも合ったサービスとして、シェアを伸ばしています。
海外の SaaS 企業一覧
続いては、海外の SaaS 企業について見ていきましょう。
(引用元: Google LLC)
Google は、検索エンジンをはじめとするさまざまなサービスを提供する SaaS 企業です。
インターネット関連サービスを中心に、メール、ドキュメント作成、デジタルアナリティクスなど137もの製品を展開しており、普段から Google のサービスを利用している人も多いのではないでしょうか。
Google 広告 や YouTube などにおける広告が主な収益源となっています。
Salesforce
(引用元: セールスフォース・ドットコム)
Salesforce は CRM 、 SFA 、 MA などのソフトウェアを提供する SaaS 企業です。
機能の豊富さや自社に合わせて CRM のカスタマイズができたりすることで圧倒的な支持を集めています。
また、自社製品同士の連携がしやすいことも特徴で、連携強化のために CRM と MA どちらも Salesforce に乗り換えるというケースも増えています。
Square
(引用元: Square株式会社)
Square は、決済アプリやネットショップ作成サービスなどを提供する SaaS 企業です。
特にレジ不要でクレジットカード対応を可能にするサービスが有名です。
ネット接続された端末と専用機器を用意するだけで、高額なレジやカードリーダーを購入することなくクレジットカードを受け付られるため、個人や小規模でのビジネスを行う人から支持を集めています。
主な収益は決済時の手数料となっています。
Slack Technologies
(引用元: Slack Technologies, LLC)
Slack Technologies は、「 Slack 」というチャットツールを提供する SaaS 企業です。
Slack は優れた UI デザインと他のサービスとの連携のしやすさが特徴です。
フリーミアムも活用されており、無料版ではメッセージやストレージに上限が設定されています。
また、 Slack 活用ガイド などが用意されるなど、顧客サポートも充実させることで継続利用を実現させています。
まとめ
ここまで、 SaaS 企業の特徴やビジネスモデル、代表的な企業例について紹介してきました。
この記事を参考に、メリット・デメリットを踏まえた上で、 SaaS サービスへの参入を検討してみてください。
より視点からの理解を深めるために、SaaS、PaaS、IaaS の各サービスやクラウドサービスごとに比較するのもおすすめです。
まずはクラウドで出来ることや市場動向が気になる、という場合はこちらのクラウド活用お役立ちガイドをぜひご活用ください。無料ダウンロード可能ですので、情報収集用の資料としてお読みいただけますと幸いです。
この記事を共有する