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共有ドライブの運用設計ベストプラクティス

 

 

 

 

こんにちは。クラウドエース編集部です。

共有ドライブは Google Workspace の Business Standard 以上の契約で利用することができる Google ドライブの機能の一つで、この機能を利用すれば、個人ではなくチームでファイルを共有できるようになります。これまでのマイドライブでの運用では、プロジェクトや目的毎にフォルダの作成や権限設定を行う必要があり、運用管理が煩雑になりがちでした。しかし、共有ドライブを利用することでファイルの共有範囲が明確になり、管理者はよりシンプルな運用を行うことができます。弊社でも、プロジェクトや部署毎のファイル管理に共有ドライブを活用しており、弊社のファイル管理の運用になくてはならない機能になっています。

ただ、共有ドライブはプロジェクト毎のファイル管理において大きなメリットがある一方、運用設計は Google Workspace の管理者・ユーザー自身に委ねられているため、設計を間違えると、後々運用に大きな問題が発生する可能性があります。

今回は、共有ドライブの運用設計を行う上で知っておくべきベストプラクティスを解説します。ここで説明する知見が皆様の共有ドライブ運用設計のヒントになれば幸いです。

Google ドライブ ベストプラクティス

知っておくべき共有ドライブの制限値

共有ドライブのベストプラクティスを学ぶ前に、共有ドライブについて事前に知っておくべきことがあります。それは共有ドライブの制限です。これらの制限は共有ドライブの運用に大きな影響を与える制限値になるため、事前に理解しておく必要があります。

項目 制限値
アイテムに対する
制限
保存アイテム数 40万
1日のアップロード上限 750GB/日/ユーザー
個々のファイルの最大サイズ 5TB
共有ドライブ内のフォルダ 最大 20 レベルネスト
権限に対する
制限
1つの共有ドライブに対するグループ数 100
1つの共有ドライブに対するユーザー数と
グループ数の合計
600
個人の合計数(ユーザーとグループ メンバー) 50000

これらの制限のうち、特にファイル数には注意が必要です。適切な単位で共有ドライブを運用しない場合、この制限は後々大きな問題になる可能性があります。

どのような単位で共有ドライブを作成すべきか

テーマ(目的)と共有範囲を明確にした上で共有ドライブを作成する

Google の公式ページを見ると、以下2つの条件が当てはまる場合に、共有ドライブの作成が望ましいと記載されてあります。

  1. 特定のプロジェクト チームの大多数もしくはすべてのメンバーがファイルを必要としている。
  2. ファイルのテーマが一貫している。

逆にこの2つの条件が当てはまらない上で共有ドライブの運用を行う場合、後々大きな問題が発生する可能性があります。具体的にはどのような問題が発生するのでしょうか。

目的が曖昧な共有ドライブは後々大きな問題になる可能性

利用目的が曖昧な共有ドライブを作成すると、時間が経つにつれ、漠然と関連性のないファイルが蓄積されてしまいます(図1参照)。その結果、共有ドライブ整理のための議論が発生し、管理者に大きな負担になります。このような問題が発生しないように、共有ドライブの利用目的は明確にする必要があります。
また、エンドユーザーに共有ドライブの作成権限を解放する場合、管理者の知らないところで、目的が不明確な共有ドライブが乱立する可能性があります。そうならないためにも、利用者の教育も同時に行う必要があります。

図1. 曖昧な目的で共有ドライブを作成した場合に発生する問題

共有ドライブ内に複数のプロジェクトを保持するべきでない

利用目的と共有範囲によって、共有ドライブを作成することは非常に重要です。共有ドライブ内に目的の異なる複数のプロジェクトを保持する場合、ユーザーは管理者に対してフォルダ毎にアクセス権を分離することを要求する可能性があり、権限設定含めて運用が煩雑になる可能性があるからです(図2参照)。個々のフォルダを共有ドライブに切り出す必要性についての議論も後々発生する可能性もあり、非常に面倒です。
また、共有ドライブにはアイテム数40万という制限があるため、ファイル共有が頻繁に発生するプロジェクトがネストされている場合、共有ドライブ全体のアイテム数の制限を圧迫する危険性があります。長期的な運用で発生する可能性のあるこれらの条件を考慮した上で、共有ドライブの運用設計することをオススメします。

図2. 共有ドライブ内に複数のプロジェクトを配置する場合の問題

共有ドライブのワークフローの設計

ここまでは共有ドライブ単位での設計について説明を行いました。ここからは共有ドライブのワークフロー設計について説明を行います。共有ドライブの運用には明確な答えはなく、企業の要件に合わせて適切なワークフローを構築する必要があります。本章では、共有ドライブの運用パターンをいくつか提示し、そのメリットとデメリットについて解説します。

ケース①ユーザーに共有ドライブの作成権限を解放する

Google Workspace の管理者にとって、最も楽な運用はユーザーに共有ドライブの作成権限を解放してしまうことです(図3参照)。エンドユーザーの利便性を考えると非常にメリットはありますが、一方で多くのデメリットが存在します。

図3. エンドユーザーに共有ドライブの作成権限を解放する場合の運用

共有ドライブの共有範囲は、共有ドライブを作成するユーザーが所属する Google Workspace 組織のセキュリティポリシーに依存するため、セキュリティポリシーにおいて「社外共有NG」が設定されている場合、その共有ドライブは社外のユーザーを招待することができません。日本ではほとんどの企業が Google Workspace のエンドユーザーに対して「社外共有NG」を適用しているため、本ケースを適用する場合、「社外との共有」が課題に上がる可能性があります。

メリット
  • ユーザー自身が共有ドライブの作成・運用を行うため、管理者の手間がかからない
  • 社外共有等の制約はあるものの、エンドユーザーの利便性が向上する
デメリット
  • 用途不明な共有ドライブが乱立する可能性がある
  • 用途不明の共有ドライブが乱立する可能性があり、後々の整理が面倒
  • 共有範囲は共有ドライブを作成するユーザーが所属する組織のセキュリティポリシーに依存するため、ユーザーが社外共有を禁止にされている場合、社外のユーザーと共有ができない

ケース②管理者が共有ドライブの作成を行う

共有ドライブをより安全に運用したい場合は、管理者が共有ドライブの作成を行うことをオススメします。このケースでは、共有ドライブ作成のための申請フローを構築し、申請内容に応じて、管理者が共有ドライブの作成を行います(図4参照)。ケース①に比べれば、日々の対応コストは発生しますが、定期的な棚卸し等のメンテナンスのコストは下がる可能性があります。

図4. 管理者が共有ドライブの作成を行う場合の運用
共有ドライブを作成する管理者については、組織のセキュリティポリシーを別途用意することで、社外共有を行うための共有ドライブを作成することができます。これにより、エンドユーザーにとって利便性の高い共有ドライブの運用が実現できますが、管理者にとっては社外共有された共有ドライブの追跡が難しくなるため、セキュリティ上のリスクが発生することになります。

メリット
  • 共有ドライブの乱立を抑制することができる
  • 定期的なメンテナンス(不必要な共有ドライブの削除等)コストを下げることができる
  • 工夫すれば、社外共有の課題を解決することができる
デメリット
  • 管理者には申請フローの運用、申請承認等の手間が発生する
  • 社外共有を許可した共有ドライブをトレースする方法がない

共有ドライブマネージャーを活用した共有ドライブ運用

弊社グループ会社の吉積情報株式会社は、共有ドライブの運用を効率化するためのツール「共有ドライブマネージャー」を提供しています。共有ドライブマネージャーを利用することで、企業の共有ドライブ運用はどう改善されるのでしょうか。実際のユースケースとメリット・デメリットをご紹介します。

ケース①共有ドライブマネージャーの作成・削除申請機能を活用する

共有ドライブマネージャーの作成・削除申請機能を利用すれば、共有ドライブの作成・削除フローをシステム化することができます(図5参照)。管理者はユーザーの申請内容を確認した上で、共有ドライブの作成を許可することができるため、無用な共有ドライブの乱立を抑制することができます。管理者は Google フォームを活用した独自の申請フローを構築する必要はありませんが、申請を承認するための作業は発生します。

図5. 共有ドライブマネージャーの作成・削除申請機能を活用する

メリット
  • 申請機能により、共有ドライブの無用な乱立を抑制することができる
  • 共有ドライブの運用を共有ドライブマネージャーに集約することができる
  • 社外共有用の共有ドライブを作成することができる
デメリット
  • 管理者には作成・削除申請承認の手間が発生する

ケース②共有ドライブマネージャーのログ監視機能により利便性の高い運用を実現する

ユーザーには共有ドライブマネージャー経由での共有ドライブ作成を許可します(図6参照)。管理者は共有ドライブの申請フローから解放され、ユーザーの不審なログをトレースすることで、セキュリティ上のリスクを回避します。

図6. ユーザーの利便性を重視した運用を実現する

メリット
  • ユーザー自身で共有ドライブを作成・管理できるため利便性が高い
  • 管理者は不審なログの定期的なチェックに専念することができる。
  • 社外共有のログを管理コンソールから確認することができる
  • 社外共有用の共有ドライブを作成することができる
デメリット
  • 用途不明な共有ドライブが乱立する可能性がある

共有ドライブの可視化機能により定期的な棚卸しが可能

管理者は共有ドライブの利用状況についても、管理用のコンソールからいつでも確認することができます。「社外共有されている」もしくは「利用されていない」共有ドライブを可視化することができるため、定期的な棚卸し作業に役立ちます。また、共有ドライブの所有者から直接、削除承認を得るための機能が備わっており、管理者が扱いに困る共有ドライブについても、所有者の同意を得た上で安全に処理することができます。

企業の要件に合った最適な運用を見つけよう

今回説明した内容は、共有ドライブの運用設計において一つのヒントに過ぎません。エンドユーザー、管理者それぞれが考える「ベストの運用」は一致しないからです。今回説明した内容を踏まえて、会社の要件に合った最適な運用設計を行うことをオススメします。

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Google ドライブ ベストプラクティス

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