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Cloud OnAir 第19回 〜「Google Cloud Next ’18 最新情報」〜 まとめ

こちらの記事は弊社技術ブログに掲載していた内容となります。一部を除き、投稿当時の情報となりますので、紹介内容の最新情報については別途公式情報等をご参照下さい。

こんにちは。クラウドエース編集部です。

2017年10月5日より、【隔週木曜 18:00~18:45】に、Google 社のエンジニアが、Google Cloud Platform の製品、サービスや導入事例等について解説する番組が始まっています。
ユーザー参加型の生放送番組 となっており、視聴者からのリアルタイム Q&A も受け付けています!

この記事では、動画を見逃した方や、見る時間が無い方向けに、要点をかい摘まんで、クイックに紹介したいと思います。

今回の内容は、7月24日から 26日にサンフランシスコで開催された、Google Cloud 最大のイベントである Google Cloud Next ’18 で発表された、新しい製品のアップデートや情報などをどこよりも早く紹介する内容になっています。

講師は、Google Cloud カスタマーエンジニアの 吉川 隼人 さんです。

今回のテーマ:Google Cloud Next ’18 最新情報

今回の内容は、7月24日から 26日にサンフランシスコで開催された Google Cloud Next ’18 で紹介された、新しい製品のアップデートや情報などをどこよりも早くお届けする内容になっています。今回発表された情報について、Google のカスタマーエンジニアから直接日本語で解説されるのは、この OnAir が初めてになります。

今回のアジェンダ

今回は以下の4つのカテゴリに分けて新製品についてのご紹介をいたします。

  • Cloud AI
  • IoT
  • Data Analytics
  • DevOps

Cloud AI

Google Cloud はこれまでもクラウドの AI に関していろいろな製品を出してきましたが、今回は「AI を簡単に、そして高速に」使っていくというところに注力した新製品の発表がありました。

AI をビジネスに繋げる

ユーザーである私たちは Google Cloud が提供する AI の製品を利用して、各々のビジネスに活用していきたい、という思いがあります。AI をビジネスにどうやって繋げていくか、という内容を3つのカテゴリに分けてご紹介いたします。

  • API と AutoML
  • プラットフォーム
  • ソリューション

機械学習&AI

下のスライドでは、今回 Next ’18 で発表された Cloud AI 関連の新製品が「API と AutoML」「プラットフォーム」、「ソリューション」の3つのカテゴリに対してどのような割当になるかを表しています。

Cloud AI の API と AutoML が機能を深める

はじめに「API と AutoML」について紹介いたします。これまでの Cloud AI の API と AutoML (Vision) については以下のスライドをご覧ください。

Cloud AutoML

ML を簡単にするソリューションとして、Cloud AutoML のご紹介をいたします。

Cloud AI の API は Google によって学習済みの一般的な学習モデルを使うため、ユーザー自身がモデルを作成するための学習をする必要なく簡単に使うことができますが、その一方で API を使うには適切ではない特殊なケースというのが出てきます。そのような場合、従来では自ら TensorFlow などのプログラミングをして学習モデルを作成する必要がありましたが、それはとても知識が必要なことでした。

Cloud AutoML は一言でお伝えすると「Cloud AI の API の簡単さ」と「プログラミングで学習モデルを作成する複雑さ」のギャップを埋める画期的な製品であると言えます。必要な学習データを AutoML に与えてあげるだけで、自動で最適な学習をしてモデルを作成してくれます。

これまでは Cloud AutoML の製品の1つである「Vision」だけが限定公開されていましたが、今回の Next ’18 で公開ベータとして発表がなされ、誰でも扱えるようになりました。

更に今回の Next ’18 では Vision 以外の新たな AutoML 製品が2つ発表されました。そちらについて、ご紹介いたします。

Cloud AutoML Natural Language BETA

新しく発表された Cloud AutoML の1つの AutoML Natural Language BETA は ラベルとなるテキストをアップロードさせて学習させることにより学習モデルを作成し、ジャンルのわからない文章を入力した時にカテゴリ分類をしてくれる製品になります。

使い方の一例:

  • 受け取ったメール本文の内容が「商品についての質問の問い合わせ」なのか、「クレームに関する問い合わせなのか」などというカテゴリ分け。
  • 紙媒体の社内文書を電子化する際に、各文書を学習させてあげることによって人の手を必要とせず分類をする、など。

※ 現在のところ英語のみがサポートされていますが、今後は対応言語が増えていく予定です。

Cloud AutoML Tanslation BETA

もう1つ新しく発表された AutoML の 新製品である AutoML Translation BETA は、専門用語や業界用語など、Cloud Translation API では対応しきれなかった、ユーザー独自の言い回しを学習することによって、より正確な言語翻訳が可能になりました。

※ AutoML Translation は複数の言語に対応していますが、日本語に関しては現在のところ「英語から日本語」のみ対応しています。(対応言語についての詳細

Cloud AI のプラットフォーム

続いて、「Cloud AI のプラットフォーム」についてご紹介をします。こちらでは、ユーザー独自に機械学習をしてモデルを作っていくための製品についてご紹介いたします。

データサイエンティストのための Cloud AI のプラットフォーム:Cloud ML Engine

 


Cloud ML Engine が新たに scikit-learn と XGBoost のサポートに対応しました。これによりTensorFlow を使った ディープラーニング以外のいろいろな機械学習モデルの作成も可能になりました。こちらの2つのライブラリに関しても学習とオンライン推論の両方に対応しています。

データサイエンティストのための Cloud AI のプラットフォーム:TPU

ディープラーニングの学習と推論を高速化させる、Google が独自開発した TPU (Tensor Processing Unit) についてのご紹介をいたします。

  • Cloud TPU v2
    • 全てのユーザーが利用可能。
  • Cloud TPU v2 Pod ALPHA
    • TPU v2 を複数組み合わせた Pod と呼ばれる構成での TPU の利用がアルファ版でサービス提供開始。
  • Cloud TPU v3 ALPHA
    • TPU v2 より約8倍早い。
    • 空気ではなく、水で冷却する仕組み。
    • アルファ版でサービス提供開始。

Cloud AI のソリューション

次に、「Cloud AI のソリューション」についてご紹介いたします。Google が持っている技術をユーザーに使っていただくために、複雑なスキルを身につけることを必要としない、AI のソリューションの導入を支援する、というテーマの新製品をご紹介いたします。

コンセプトはユーザーが管理する「ビジネスユースケース」や「データ」を使って、AI のソリューションに組み上げていく支援をする、という内容になっています。

続いて、具体的な Cloud AI のソリューションの製品について見てみましょう。

Contact Center AI ALPHA

「商品の問い合わせ窓口」や「新規顧客契約など」、企業にある既存のコンタクトセンターに AI を追加する Contact Center AI という製品をご紹介いたします。



キーテクノロジー:

  • Phone Gateway BETA
    • Dialogflow が電話応答してくれる機能。
    • テンキーの番号を使った電話応対だけでなく、言葉で応対できるようになっている。
  • Agent Assist ALPHA
    • ユーザーが持っているナレッジベースや言語の情報を状況によって推薦してオペレータを支援してくれる機能。
  • Knowledge Connectors BETA
    • 構造化されていない言語情報(商品情報や FAQ など)の内容を理解してオペレータを支援してくれる機能。
  • Topic Modeler ALPHA
    • 「Dialogflow の自動会話」や「オペレータの回答内容」といった今までのやり取りからキーワードを抽出する機能。

Cloud AI まとめ

赤枠で囲ってあるところが今回紹介したプロダクトになっています。

※ 今回紹介されませんでしたが、Kubeflow の v0.2 も ML のライブラリに追加されました。

IoT

Cloud IoT Core

今までも、Google Cloud には IoT を扱うための Cloud IoT Core という製品がありましたが、こちらはクラウド側で動作するものでした。

今回の新しい発表ではクラウド側ではなく、エッジ側(デバイス側)で動作する IoT のための製品が発表されました。これについて詳しく紹介いたします。

Cloud IoT Edge ALPHA

Cloud IoT Edge ALPHA を使用することにより、今までクラウド側でしかできなかったデータ処理や機械学習の推論などの処理をエッジ側(デバイス側)で行うことが可能になりました。

Edge TPU ALPHA

TensorFlow Lite モデルをエッジ側で実行することができる1セントコインより小さな TPU チップ、Edge TPU ALPHA が発表されました。

Edge TPU について 開発ボード

Edge TPU と IoT のデバイス側に必要な機能が乗った開発ボードについての紹介がありました。こちらのデバイスを IoT Edge や IoT Core と連携することで IoT といろいろなシステムを構築できるようになりました。

Cloud IoT Edge デプロイ&エッジ側てで ML 実行

クラウド側の Cloud ML Engine で学習したモデルをエッジ側にデプロイして ML を実行することが可能になりました。

Data Analytics

データサイクルに合わせた基盤を構築

BigQuery と Google Data Studio に関してのアップデートについて、こちらでご紹介いたします。

BigQuery ML BETA

Python, R などを使わずに SQLだけで機械学習ができるようになりました。

CREATE MODEL foo.model という一文をいれることによって学習をしてくれるようになり、ml.predict という一文をいれることによって推論をしてくれるようになりました。
この画期的な機能の発表によって、今まで Python や R などのプログラミングができなかった方々も SQL を書くだけで機械学習をすることが可能になりました。

BigQuery の 新たな機能:BigQuery GIS ALPHA

使い慣れた SQL を利用して、地理情報を BigQuery で分析ができるようになりました。

ST_GeogPoint(longitude, latitude) という一文が位置情報に関するクエリを書いてくれる関数になっています。
詳しくは番組中で紹介された デモ をご覧ください。

BigQuery の 新たな機能:Google スプレッドシート 連携 ALPHA

Google スプレッドシートの UI 上で SQL を書くことができるようになり、BigQuery からデータを取り出して表示がすることができるようになりました。

BigQuery の 新たな機能:Data Studio Explorer BETA

BigQuery のクエリ結果をワンクリックで Data Studio で可視化できるようになりました。

Data Studio BETA による さらなる BI 機能の拡張

Data Studio の中でもいろいろな機能の追加がされました。

  • ワンクリックでの可視化
    • BigQuery のデータをワンクリックで Data Studio で探索できるように。(上で紹介)
  • Data Studio データブレンディング
    • 複数のデータソースをシンプルな右クリックだけで結合することが可能に。
  • Data Studio カスタムビジュアライゼーション DEVELOPER PREVIEW
    • 人気の高い D3.js フレームワークを用いた カスタムビジュアライゼーションが可能に。

データ処理を更に加速

  • Cloud Composer (GA)
    • マネージド Airflow サービスである Cloud Composer が GA 。 東京リージョンでも利用可能に。
  • Hortonworks が GCP 上での動作をサポート
    • HDP や HDF を GCP 上で動作させ、 GCS を データレイクとして利用可能に。
  • Dataproc オートスケーリング、カスタム パッケージ ALPHA
    • Hadoop/Spark のマネージドサービス Dataproc がオートスケーリングとカスタム パッケージをサポート。

DevOps

Cloud Build:コードからデプロイまでを完全自動化

今まで Container Builder という名前で展開されていましたが、今回 Cloud Build として一新した CI/CD ツールが発表されました。GitHub などのコードホスティングサービスと連携することにより、ソースコードの変更をコミットするだけで、デプロイまでを自動化してくれるようになりました。

GKE On-Prem ALPHA:オンプレミスコンテナのサポート

Google Cloud 上ではなく、ユーザーのオンプレミスの環境でコンテナを実行できて、GKE のようにクラウド上でマネージドな管理ができるようになりました。

Stackdriver Service Monitoring

Istio というマイクロサービス相関関係を可視化してくれるツールを Stackdriver から利用できるようになりました。

まとめ

今回は Google Cloud Next ’18 で発表された、新しい製品のアップデートや情報について Cloud AI、IoT、Data Analytics、DevOps の4つのカテゴリに分けてご紹介いたしました。

今回ご紹介した製品以外にも、沢山の新しい製品のアップデートや情報について発表がありました。
詳しくは以下のページをご覧ください:

Google Cloud 公式ページ(日本語English
Google Cloud Japan 公式ブログ(日本語)
Google Cloud Platform Blog (English)
Google Cloud Next ’18 (English)

最後にひとこと

いかがでしたでしょうか。
以上が「Google Cloud Next ’18 最新情報」のまとめでした。

今回の Google Cloud Next ’18 では沢山の新製品の発表がありました。中でも AI に関する新製品の発表が目立った印象です。Cloud AutoML が公開ベータになったことにより、誰でも簡単に独自の機械学習モデルを作成できるようになりました。そして、BigQuery ML BETA の出現によって、Python や R などのプログラミング言語を必要とせずに機械学習ができるようになりました。他にもオンプレミス環境でコンテナを実行と管理をすることができる GKE On-Prem ALPHA や エッジ側で動作する Edge TPU ALPHA など、画期的な発表がありました。
今後、ますます使いやすくなっていく Google Cloud から目が離せません。

次回の放送は、「Dive to Google Kubernetes Engine」です。
Google Kubernetes Engine (GKE) を活用して、高速にデプロイ可能かつ No-Ops なアプリケーション実行基盤を構築の仕方を紹介する内容になっています。Continuous Delivery の実現方法、Container Registry を始めとするサービスとの連携方法や、特にこれから GKE を本番環境で動かすことを検討されている方、活用を促進していきたい方は必見です。

それでは、次回も 8/2(木)18:00 にお会いしましょう。

参考リンク

Youtube 視聴

Cloud OnAir の放送は、今回分含め、バックナンバーも全て Youtube で視聴できます。
スライドと合わせて進行する解説を、是非ご覧ください!
Youtube URL:https://www.youtube.com/watch?v=B7-C-WyCYsU

SlideShare

今回の動画で説明に使用されたスライドについても、SlideShare でいつでも閲覧可能です。
登場した用語について振り返りたい、用語同士の関係性を確認したい等、大変参考になります!
スライド URL:https://www.slideshare.net/GoogleCloudPlatformJP/cloud-onair-google-cloud-next-18-2018726

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