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Cloud OnAir 第7回 ~ クラウド導入の勘所、陥りがちな事例 ~ 速報まとめ
目次
こんにちは。クラウドエース編集部のかめなしです。
2017年10月5日より、【隔週木曜 18:00~18:45】に、Google社のエンジニアが、Google Cloud Platformの製品、サービスや導入事例等について解説する番組が始まっています。
ユーザー参加型の生放送番組となっており、視聴者からのリアルタイムQ&Aも受け付けています!
この記事では、動画を見逃した方や、見る時間が無い方向けに、要点をかい摘まんで、クイックに紹介したいと思います。
第7回目のCloudOnAirは、新年第一回ということもあり、これからシステムのクラウド導入・移行を検討されている方々に向けての解説です。
Google Cloud Platform自体の紹介に留まらず、クラウド導入の勘所、陥りがちな事例等について。
平易で一般的なたとえも混じえつつ、解説されています!
第7回目の講師は、Google Cloud カスタマーエンジニアの安田 政弘さんです。
今回のテーマ: クラウド時代に待ったナシ!クラウドサービス、そして 「Google Cloud Platform」を選ぶワケ
本格的な普及に向けて、いよいよ盛り上がってきた感のあるクラウドサービス。
- これまでのシステム構築・運用と何が違うのか。
- 何が便利で、どれを選べばよいのか。
- 一度踏み出してしまったら、戻れないのではないか。
不安に感じておられる方も多いのではないでしょうか。
今回は、以下3つのセクションに分けて、それぞれ…
- クラウドサービスと、既存システムの違い、利点
- クラウドサービス導入を担当する、設計・構築の現場の視点
- 各社クラウドサービスから「Google Cloud Platformこそ選択すべき!」なポイント
3つの話題から、解説しています。
話題の概要:クラウド対応の、3段階の視点。
- マクロ視点 – ざっくり言って、「クラウド対応」って、どういうこと?
▼クラウドサービス入門レベルの解説。 - 現場の視点 – クラウド導入にあたって検討すべきポイント、用語の説明。
▼実際のシステム運用に携っている方に向けたレベルの解説。 - 他のクラウドサービスよりも、なぜGCPを使うべきなのか。GCPの強みをバッチリ解説。
▼料金体系、システム信頼性・柔軟性・導入の容易さについて。導入判断される方向けの解説。
さあ、2018年、年明けと共に張り切って参りましょう!
1. マクロ視点 – クラウドシステム全体を、ふんわり俯瞰するお話
クラウドへの移行(導入)は「システム全体の、イチからの作り直し」といった、「負のコスト」ではありません!
既存のシステムにプラスアルファ、「できることが増えた、新しい選択肢」が出てきたと捉えてください。
「攻めのシステム基盤」をもたらすクラウドサービス
- 既存システムを移植して終わり、じゃない!「企業の競争力」のプラスアルファとなる、「新しい力」。
- 現状から更に前へ。「攻め」の姿勢をシステム基盤に。
- 恩恵を受けるのはシステム部門に限りません。
- クラウド以前のシステム固有のしがらみを取り払うことで、「システムの都合」から強いられてきた我慢も柔軟に解決可能。
- 次項で、現在主流のデータセンター(DC)システムと、クラウドサービスとの連続性について説明しています。
IDC(インターネット データセンター)の企業システムへの導入と、「クラウド導入」は連続した考え方
- IDCの導入以前、各企業はシステムの配備をどう扱っていたか。
- 自社拠点のサーバルームにハードウェアを設置、各自で管理していた。
- アプリケーション、サーバOSに加えて、回線、ハードウェアの管理・更新コストが重い。
- IDCの導入目的は、運用に必要となる負荷を下げること。
- 運用負荷が下がることで、本業の中核分野に注力できるようになる。
- 運用は専門の事業者にアウトソースしたい、というのがこれまでの流れ。
- クラウド化は、IDC導入の流れに連続するもの。急激な変化・断絶ではない。
- IDCによる負荷軽減を更に推し進め、しがらみ(物理的・地理的な制約)から解放してくれるもの。
2. ミクロ視点 – 実際のクラウド導入の勘所: 現場担当者向けのお話
※システム構成要素を示す専門的な用語が多数登場します。
個々の要素については番組内では詳しく触れないため、スライド(本文最下部にリンクがあります)をご参考ください。
ケース別・クラウド移行パターンの例
説明 | |
---|---|
リホスト | シンプルにLift & shift(※次項で解説)するケース |
リプラットフォーム | クラウドが提供するサービスに(一部)置き換えたり、活用することでLift&shiftの最適化をはかる |
リファクタリング | スケールや、クラウドの長所を取り入れるために、アプリケーションを一部改修 |
リプレース | レガシーシステムをSaaSサービスへと切り替えていくケオース 保守コストの削減や、新機能が利用できるなどの効果を狙う |
リビルド | Kubernetesやサーバレスアーキテクチャを取り入れ、クラウドネイティブなアプリケーションを構築 |
保持 | オンプレミスやコロケーションの現状を維持するケース |
リタイヤ | クラウド移行を機に、リタイア可能なシステムやプロセスを整理 |
「クラウドの既存システムへの導入検討」は、喩えるなら、「家を増築していく際の検討」
- 「住宅」を構成する要素のうち、全てを変えるのか。あるいは部分的に、たとえば壁紙だけを貼り替えるのか。
- 「どこを変えていくか、何をしていけばいいのか」を個々に検討できる。
- 家自体をガバッと崩して、立て替えるようなものではない。
クラウドへの移行 モデルケース「Lift & Shift」
- 「Lift & Shift」とは、インフラのクラウド移行にあたり、「最低限の改修で、クラウドの可用性の強みを活かせる」アーキテクチャのこと。
- 「Lift」とは、「縦に上がる」イメージ。
- つまり、「今あるサーバー環境をクラウド上で同じようにコピーのように再現する」のが「Lift」。
- クラウドの強みを活かすためには、「Lift」だけでは片手落ち。
- 「shift」は、クラウドの良さを最大限活用すること。
- 「クラウドならでは」の方式に最適化していくという意味。
- 「どこまでLift、Shiftしていくか」を、現場の人がアセスメント、考えていく必要がある。
クラウド化を考える際のTips
Googleの自社サービスクラウド化における経験から、下の3つのような学びがあったとのことです。
クラウドへの移行ポリシーの判断基準として、留意いただきたいこと
1.クラウド至上主義 or その真逆はやめて
- 理にかなった移行をしましょう。
- クラウドは魔法の杖ではありません。
- 既存システムを扱いやすく、効率的に補う・柔軟性をもたらすものとご理解ください。
2. クラウドのメリットを得るために、何をどうするのがよいかに着目
- 現在のシステムの構成要素を把握した上で、クラウド導入対象・非対象の仕分けをしましょう。
- 部分的に少しずつ導入できるのがクラウドの新しさ、強みです。
3. シナリオをイメージしつつ、移行を進める
- ウォーターフォール式ではなく、アジャイル的な実地検証を小刻みに繰り返しながら、柔軟かつ段階的に!
- 仕分けを完璧にしてから一気に実行・・はリスクが高く、おすすめしません。
- アジャイル的導入が可能な点もクラウドの特性。
クラウド化 – Lift & Shift 実例イメージ
例として、データセンター内の既存システムを、GCPに移行する流れを説明します。
Step 1:GCP側でミラー環境作成 (既存システムは継続稼動)
- データ層、ロジック層、ウェブ層について、同じものをGCP側に準備する。
Step 2:データを本番環境からGCP側へコピー(既存システムは継続稼動)
Step 3:十分なテスト後、移行時期を決め、最終的にトラフィックの向きをGCP側に変更
- DNSレコード変更、データ差分対応など
→この流れに沿うことで、ユーザー視点では「これまでと変わらずに、既存サービスと平行して」クラウド移行が可能となる。
ただ、ここで止めては、クラウド化の最大の恩恵を享受できないため、「クラウド向け最適化」の必要がある。
クラウド向け最適化
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1.サーバ台数を自動で増減(auto scaling)
- クラウド最適化について、最も恩恵の大きい部分は「運用の自動化」。
- サーバーの台数を負荷に応じて自動的増減させることができる。
- システムの柔軟性を上げ、高可用性を実現。
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2.高可用性の手軽な実現
- 従来から高可用性(※)に対する取り組みはあったが、例えばサーバーを3台用意する必要がある際に、従来システムでは高いお金を投資し、物理的にサーバーを綿密に性能設計した上で購入する必要があった。
- リソースの機敏な追加・廃止が、既存の仕組みでは難しかった。
- クラウドなら、サーバー・ネットワークを「必要なときに、必要な数だけ、すぐに」準備、廃止することができる。
- (※)高可用性: 同じサービスを提供できるシステムを複数用意し、片方が使えなくなってもサービス提供を継続できるということ。
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3.別システムとの連携
- GCPサービス内の他のシステムと連携が設計段階で盛り込まれているため、ビジネスが加速する!
- WebAPIに対応した他社サービスとの連携もぐっと手軽に
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4.自動監視
- モニタリング機能もサービスとして用意、統合を前提とした設計となっており、自動化が可能。
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5.コード変更プロセスの自動化
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6.さらに自動化
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7.クラウド版災害対策
- 地域をまたいだ冗長構成を組むことにより、手軽に災害対策構成が実現できる。
このセクションのまとめ
- クラウド導入により、「従来システムに付き物だった、様々なしがらみ」が軽減される効果!
- システムの柔軟性導入により、新しい打ち手が出しやすくなる。
- ただ載せるだけでなく、クラウド向けに最適化することまで視野に入れることが、効果的なクラウド利用には重要!
- Google自身によるクラウド最適化のノウハウが詰まった、設計段階からクラウドネイティブな仕組み!
- サービス・考え方(Kubernetes、サーバレスアーキテクチャなど)を活用すると、より効率的に「攻めのシステム構築」が可能に!
3. 前2項を受けて、なぜ他クラウドサービスより、Google Cloud Platformを選択すべきなのか?
Google Cloud Platformを選択するべき理由として、次の6点が挙げられます。
”DataCenter as a Computer”!
- Google自身が保有し運営する、全てのデータセンターを、あたかも一台のコンピュータのように扱える。
- 世界中のデータセンターに配置可能なリソースを組み合わせた、コンピュートリソース/ネットワーク構成が「瞬時に」実現可能!
- 個人単位でも、グローバル展開可能な本格的システム基盤を用意できる時代に!
ライブマイグレーション!
Google側ホストの定期/臨時メンテナンスは、ライブマイグレーション対象のため、ホスト側機器のメンテナンスに伴うダウンタイムがなくなる!
プラネットスケール・インフラストラクチャ!
- 世界規模で築かれた、ネットワークの高パフォーマンスとセキュリティが、そのまま利用できる。
- 最適な場所から最適な速度で配信、といったことも実現可能。
Googleが培ったノウハウ!
Googleが10年以上にわたって培ってきた、クラウドサービスの運用ノウハウを「Google Cloud Platform」という形でサービス提供!
価格の優位性!
- Google Cloud Platforは斬新な価格設定でサービス提供される。
- カスタムマシンタイプ
- 秒単位課金(使った分だけ支払い)
- プリエンティブVM (用途が限定される代わりに大幅な値引き対象)
- 継続利用割引
- 確約利用割引
オープン戦略による将来性!
他環境への移植性があるため、GCPから他環境へ移行できない、ということはありません。
Q&A
(今回は、新年初回の放送ということもあり、Q&Aの枠はありませんでした。)
まとめ
- クラウドとは、「従来の不動産から始まる、様々な物理的な準備」から解放されたシステム。
- ただ、何も考えずにクラウド化をすればいいわけではなく、現在の環境をよく考え、徐々にクラウド化をしていくこと。
- クラウド化するからにはその利点を最大限使用することが重要。
- また、数あるクラウドサービスの中でも、特にGCPには、「他クラウドより優れた6つの特徴」がある。
他クラウドより優れた6つの特徴!
- DC as a Computer
- ライブマイグレーション
- プラネットスケールインフラストラクチャ
- Googleが培ったノウハウ
- 価格の優位性
- オープン戦略による将来性
最後にひとこと
以上が、「CloudOnAir 第7回 クラウド時代に待ったナシ!クラウドサービス、そして Google Cloud Platformを選ぶワケ」のご紹介となります。
クラウドとは何ぞや、の説明に始まり、従来のITインフラ環境との違い、連続性の解説。
また、クラウド導入にあたっての注意点や、GCPならではの魅力をお伝えいたしました。
次回は「クラウド移行後の最適化方法を伝授。でも最適化ってなんですか?」を予定しております。
今回も頻出した「クラウド最適化」についてのお話みたいですね。
リアルタイムに講師への質問投稿もできる、生放送視聴については、下記URLから、是非!お申し込みください。
https://cloudplatformonline.com/onair-japan.html
参考リンク
YouTube視聴
Cloud OnAirの放送は、今回分含め、バックナンバーも全てYouTubeで視聴できます。
スライドと合わせて進行する解説を、是非ご覧ください!
YouTube URL:https://www.youtube.com/watch?v=U0AaIaCpVVI
SlideShare
今回の動画で説明に使用されたスライドについても、SlideShareでいつでも閲覧可能です。
登場した用語について振り返りたい、用語同士の関係性を確認したい等、大変参考になります!
スライドURL:https://www.slideshare.net/GoogleCloudPlatformJP/cloud-onair-google-cloud-platform-2018125-86683346
Cloud OnAir 速報記事のバックナンバー
過去回はCloud OnAir カテゴリにまとめてありますので、ぜひこちらもチェックしてください!
それでは、次回も2/8 (木) 18:00にお会いしましょう。
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