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DXとは 概要や注目を集める背景を5分で解説
こんにちは、クラウドエース編集部です。
「この先企業が生き残るためには、DX 推進が必須となる」と耳にしたことがある人も多いでしょう。
しかし、DX とは具体的に何をすることを指すのか、「デジタル化」「IT 化」とは何が違うのかよくわからないという人もいるかもしれません。
今回は、DX という言葉の意味をわかりやすく解説し、なぜ今大きな注目を集めているのかについて考察します。
併せて、円滑に DX を進めるためのポイントについても紹介します。
自社の DX 推進についてお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
DX とは?言葉の意味と内容
DX(=デジタルトランスフォーメーション) とは、簡単に言えば「デジタル技術の活用によって、仕事のやり方を効率化したり、新たなサービスを生み出したりすること」です。
経済産業省が発行している「DX 推進ガイドライン」においては、以下のような概念であると定義付けられています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
具体的に言えば、社内システムや各種ツールのクラウド利用、ビッグデータ、AI、機械学習などの最新技術の活用により、業務効率化や競合他社との差別化を目指すことと言えるでしょう。
デジタル化との違い
DX と似た概念に「デジタル化」があります。
デジタル化とは、今まで人の手で行っていた作業を効率化することを目的に、デジタル技術を導入することです。
具体的には、電話や FAX で行われていた連絡をチャットツールに置き換えることでコミュニケーションを円滑にすることなどが挙げられます。
一方で DX は、個別の業務プロセスを効率化するだけでなく、全社的な生産性の向上や新たな製品やビジネスモデルの創出を目指します。
デジタル化が特定の業務を効率化するのに対して、DX は自社文化やビジネスモデルなど、より大局的な部分の変革を目的とする点で異なります。
IT化との違い
もうひとつ、DX と混同されやすい概念として「 IT 化」が挙げられます。
IT とは ”Infomation Technology” の略で、言葉通り情報を活用するための技術のことです。
具体的には、紙の資料をデジタル形式で保存することで検索しやすくしたり、顧客データを整理・分析してマーケティングに活用したりといった例が挙げられます。
デジタル化と同様に、IT 化は DX のようにビジネスの在り方そのものを変革するのではなく、個別の業務プロセスの効率化を目的にしています。
つまり、デジタル化も IT 化も、DX のための手段と言えるでしょう。
DX が注目を集める背景
なぜ現代において、DX がこれほど大きな注目を集めているのでしょうか。
その理由としては、新型コロナウイルスの影響により社会全体のデジタル化が急激に進んだことと、政府が発表した「2025 年の崖」問題が挙げられます。
新型コロナウイルスの影響により、デジタル化が急速に進みました。
テレワークの普及による Web 会議やチャットツールの活用がその好例です。
生産性という点から、これまでの業務の在り方の見直しが行われたと言えるでしょう。
「 2025 年の崖」とは、経済産業省が発表した「2025 年までに DX を実現できなければ、それ以降で最大年間 12 兆円の経済損失が生じる可能性がある」という予測です。
グローバルなデジタル競争での敗北や従来システムの維持管理費の増加などにより、巨額な損失が生まれるリスクがあるというのです。
このような、社会のデジタル化の需要の増加とそれが進まないことへの危機感により、DX は大きく注目を集めているのです。
円滑な DX 推進を実現するポイント
ここからは、実際にDX 推進を行うにあたって、円滑に実現するポイントについて紹介します。
システムのクラウド移行
1 つ目は、システムのクラウド化です。
クラウドとは、インターネットを経由してインフラやソフトウェアを提供する形態のことです。
これまで、自社システムを構築する際にはサーバーやネットワークを購入して、IT 部門により運用する必要がありました。
しかし、クラウドへ移行すれば、これらの機器を用意したり、人員を割いて保守運用する必要もなくなります。
クラウドではネットワーク上で提供される機器を使うことができる上、保守や管理も事業者に委任できるからです。
また、自社ビジネスに合わせてカスタマイズできたり、契約後すぐに利用開始でき、迅速に社内システム環境を整備できたりすることもポイントです。
これにより、業務効率化やビジネス環境の変化への柔軟な対応を叶えられます。
ビッグデータの活用
2 つ目は、ビッグデータの活用です。
ビッグデータとは、さまざまな種類・形の巨大なデータ群のことです。
IoT や高速処理が可能なデータウェアハウスの登場などにより、企業はこれまで活用が難しかった動画や音声、リアルタイム性のあるデータなど、あらゆるデータを取得・分析できるようになりました。
自社に蓄積されたこれらのデータを活用することで、消費者ニーズに合った新たなサービスを迅速に創出したり、将来の需給予測などを実現したりできます。
開発手法の刷新
3 つ目は、開発手法の刷新です。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応していくためには、スピーディな開発手法への移行が必要となります。
DX 実現に適した開発手法として知っておくべきは「アジャイル開発」と「 DevOps 」でしょう。
アジャイル開発とは、1〜4 週間という短い開発期間単位で、計画、設計、開発、テストまでのサイクルを繰り返しながら進めていく手法のことです。
優先度の高い機能から開発を行うことで、サービスの素早いリリースの実現や、ユーザーの声をすぐに製品に反映できるというメリットがあります。
DevOps とは、システムの開発・運用において、今までサイロ化されていた開発チームと運用チームが協働することを指します。
両者が協力することで、サービス開発のプロセスの省力化や、部門に縛られない協業を実現します。
どちらも、経済産業省の DX の定義である「ビジネス環境の激しい変化に対応するために、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革する」ことと言えますね。
DX 人材の確保
4 つ目は、DX 人材の確保です。
現在、多くの企業で DX が緊急の課題となっているため、IT 知識やスキルを持った人材の需要が増加しています。
一方で、国内では人口減少による労働力不足により、社会全体で人材が足りていない状況にあります。
ハイエンドな DX 人材を採用するためには、能力に見合った適切な報酬や魅力的な職場環境を用意することが重要です。
加えて、既存社員に知識やスキルを身につけてもらい DX 人材へと育成することも大切なポイントと言えるでしょう。
DX の実例
最後に、実際の国内企業における DX の実例について見てみましょう。
株式会社日立製作所
大手電機メーカーの株式会社日立製作所は、データから新たな価値を創出する取り組みとして「 Lumada 」というシステムを運営しています。
これは、同社が長年にわたり培ってきた OT(制御・運用技術)と ITの ノウハウと、先進デジタル技術を掛け合わせて実現する社会イノベーション事業です。
社会が生み出す膨大なデータを活用して、他社と協創することで、1 社では解決できないような社会課題や経営課題の解決を目指しています。
例えば、世界の先進工場「 Lighthouse 」にも選出されている同社の「大みか工場」では、 製品の設計・開発・運用・保守をデジタル技術によって最適化し、それを故障予兆検知や運用効率最適化のソリューションとして他社にパッケージ提供しています。
SRE ホールディングス株式会社
不動産事業を展開する SRE ホールディングス株式会社は、DX により業務効率化と新たなビジネスの創出を実現しています。
業務効率化については、不動産仲介事業において、過去の取引データを元に客観性と精度の高い不動産取引価格を自動査定するツールや、売買契約書や重要事項説明書の作成をスマート化するツールをアジャイル開発により作成しています。
そして、不動産事業の効率化の過程で作られた AI ソリューションツールを、他の不動産や金融業界各社に提供するという方法で、新たなビジネスの創出もしています。
セブンイレブン・ジャパン
全国各地にコンビニエンスストアを展開するセブンイレブン・ジャパンでは、中長期のIT 戦略と DX 推進を支えるデジタルデータ基盤「セブンセントラル」を Google Cloud 上に構築しています。
今回のプロジェクトは、システムの複雑化・レガシー化という課題を抱えていた同社が、そのソリューションとして各店舗や本部、社外の既存システム内に散在している各種データをクラウドに集約し、店舗の状況をリアルタイムに把握できるようにする。というものでした。
そのクラウド基盤に Google Cloud を選択した理由は、ビッグデータ関連サービスへの期待と、将来に向けた拡張性を見据えてとのこと。
具体的には、商品購入から数分でデータをクラウド上に集約する「ストリーミング分析ソリューション」、本部・加盟店・パートナーがデータを自在に活用できる環境の構築のために「 Apigee 」や「 BigQuery 」などの Google Cloud サービスを活用しています。
このような Google Cloud を基盤とした環境構築により、ユーザーが商品を購入後、セブンセントラルがそのデータを活用できるようになるまでの時間はわずか 1 分以内となっています。(これは当初の目標 60 分を大幅に上回る驚異的なパフォーマンスでした)
全国 2 万店超から寄せられる POS データをリアルタイムに得て、データをクラウドに集約・活用することを実現しているのです。
また、この「セブンセントラル」プロジェクトは、弊社クラウドエースにとってもシステムインテグレーションの新たな旗印「SI 2.0」を掲げ、社運をかけてサポートさせていただきました。これまでの SIer の下請け構造から脱却し、日本企業全体の技術力を底上げしていくために、ただ開発するだけではなく、お客様自身にクラウドネイティブな技術力や知見、アジャイル開発・DevOps など 真のDX に欠かせないチームビルドやマインドセットなどを身につけてもらえるよう伴走いたしました。
そして、 Google Cloud の グローバルな事例の中でも成果と先進性が評価され、2020年の小売部門のカスタマーアワードを受賞いたしました。
まとめ
ここまで、DX の概念やメリット、注目を集める理由について解説してきました。この記事を参考に、自社の DX 推進に役立ててみてください。
また、システム開発を伴う DX 推進の際にはぜひクラウドエースにお気軽にご相談いただければと思います。
弊社のインサイドセールス部門がお客様のビジネスのご状況や、導入・検討のきっかけなどをヒアリングし、最適なご提案をさせていただくことも可能です。
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