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Google Cloud(GCP)で データベースのモダナイゼーションを実現
こんにちは、クラウドエース編集部です。
あらゆるビジネスにおいてビッグデータの活用が進められている現在、クラウド化をはじめとするデータベースのモダナイゼーションは必須のものとなってきています。
今回は、データベースのモダナイゼーションとは具体的に何を意味するのか、それを実現することでどのような成果を得られるのか、また、データベースのモダナイゼーションに Google Cloud を活用すべき理由について解説していきます。
目次
「データベースのモダナイゼーション」とは?
まずは、「データベースのモダナイゼーション」とはどんなことを意味するのかについて考えてみましょう。
データベースとは、決まった形で整理されたデータのリストのことです。ビッグデータの活用が叫ばれる中、あらゆる業界のあらゆる職種において使いやすいデータベースの必要性は高まっています。
「データベースのモダナイゼーション」とは、現代のニーズに合った使いやすい形のデータベースを実現・活用することと言えるでしょう。
具体的には、セキュリティ性やスケーラビリティに優れたクラウドサービスに移行してデータ管理の手間を削減したり、フルマネージドで従量課金制のサービスを利用することでデータベース運用にかかるメンテナンスコストを抑えたり、優れた分析機能を活用することでビジネスにおける新たな洞察を得たりします。
Google Cloud を活用したデータベースのモダナイゼーションのメリット
Google Cloud では、データベースのモダナイゼーションを円滑に実現するさまざまなプロダクトを提供しています。ここからは、Google Cloud を活用してデータベースをモダナイゼーションすることで、どのようなメリットを得られるのかについて解説します。
迅速でシームレスなスケーリングでアクセスの増減に対応
Google Cloud のデータベースの特徴のひとつは、シームレスにスケールできることです。これにより、季節的なトラフィック急増や予測不可能なアクセスの増減に柔軟に対応できるアプリケーションを構築できます。
例えば、e コマースであればセール時期のトラフィック急増に、ゲームアプリであればイベント時のアクセスの集中などに備えることができるでしょう。
フルマネージドサービスによるデータ管理業務の効率化
フルマネージドの Google Cloud のデータベースサービスでは、アップデートや障害対応などのメンテナンスは全て Google が行います。
エンジニアは、これまで必要だったデータベースの管理やメンテナンスなどの作業を軽減でき、開発に集中できるようになります。これにより、サービスのリリースを迅速化できるでしょう。
Google Cloud サービス全体との統合で効率的なアプリケーションの開発
Google Cloud のプロダクト同士はシームレスな統合が可能です。例えば、リレーショナル データベースサービスの「Cloud SQL」で構築したデータベースを、高度な分析機能が備わるデータウェアハウス「BigQuery」 に抽出することで、簡単に高速データ分析を行えます。
データベースのモダナイゼーションに Google Cloud プロダクト
続いては、データベースのモダナイゼーションに繋がる Google Cloud プロダクトには、具体的にどのようなものがあるのかについて見てみましょう。
プロダクト | 内容 |
---|---|
BigQuery | ペタバイト単位のデータを高速解析するフルマネージド・サーバーレスのデータウェアハウス。ログ情報のデータ解析など、膨大なデータやリアルタイムなデータ解析に最適。 |
Cloud Spanner | 無制限にスケールできる最大 99.999% の可用性を備えたフルマネージドのリレーショナルデータベースサービス。アクセス数の予測が難しいアプリケーションの運用などに最適。 |
Cloud SQL | MySQL、PostgreSQL、SQL Server 用のフルマネージドリレーショナルデータベースサービス。保守費用の削減、ストレージ容量の管理、バックアップの自動化などを実現。 |
Cloud Bigtable | フルマネージドでスケーラブルな NoSQL データベースサービス。低レイテンシでペタバイト規模までスケールするため、金融取引や株価、 IoT デバイスから出力されるデータなどの処理に最適。 |
Firestore | メンテナンスなしで必要に応じて容易にスケールできるサーバーレスのドキュメント データベース。データベースに直接接続することで、高機能なアプリケーションを簡単かつ迅速に開発可能。 |
Database Migration Service | 従来のデータベースを、オンプレミス、Google Compute Engine などのクラウドから Cloud SQL に簡単に移行するサービス。サーバーレスかつ短時間でセットアップが可能。 |
データストリーム | 異なるデータベース、ストレージシステム、アプリケーション間でデータを同期するサービス。パフォーマンスへの影響を最小限に抑えながら、低レンテンシで読み込み可能。 |
フルマネージドでスケーラブルなデータベースサービスが利用できることはもちろん、オンプレミス環境からの移行も簡単に行えるサービスも用意されているのです。
Google Cloud を活用したデータベースのモダナイゼーション実例
最後に、Google Cloud を活用してデータベースのモダナイゼーションを実現している企業の実際の例について紹介します。
Dow Jones
「ウォールストリート・ジャーナル」の発行元である Dow Jones は、Google Cloud を活用して、13 億ものニュースアーカイブをもとに「ナレッジグラフ」を提供するサービスを開発しています。「ナレッジグラフ」とは、ある事象についてさまざまな知識を体系的に連結し、グラフで表したものです。
これまで、企業が何かを分析する際には、何ヶ月もかけてニュース記事を読み解く必要がありました。例えば、金融企業が「ハリケーンの発生が保険に与える影響を知りたい」と考えた場合、これまでのハリケーンの発生と、その後の保険加入率、また関連性などあらゆることを膨大なニュース記事から調べる必要があります。
Dow Jones が開発したナレッジグラフ生成サービスでは、同社が保有する大量のコンテンツから、特定の事象に対して構造化してネットワーク図のように瞬時に表示させます。これにより、関連事象の複雑なネットワークを定義し、隠れた関係や洞察を明らかにすることができます。
このナレッジグラフサービスには、いくつもの Google Cloud プロダクトが活用されています。具体的には、仮想マシンの「Google Compute Engine 」、コンテナ実行サービス「Google Kubernetes Engine」でサービスを構築し、「BigQuery」「Cloud Bigtable」「Cloud Storage」などのデータベースサービスから必要なデータを抽出し、データ解析を行う「Cloud Dataproc」「Cloud Dataflow」でグラフを作成しています。特にBigQuery は瞬時にデータ操作を行うことができるため、データのキュレーションを簡単に作成するのに役立っているとのこと。
このサービスのリリースにより、同社はあらゆる業界に新たな収益機会を与えています。例えば、あるヘルスケア企業は、医学的研究結果や医療企業の業績を分析することで、新しい医薬品やライフサイエンス製品の研究開発の優先順位を付けました。別のコンサルティング会社では、特定の製品や産業に関連する公開情報を分析することで、短時間で競合他社や市場の情報を得ています。
セブン-イレブン・ジャパン
全国各地にコンビニエンスストアを展開するセブンイレブン・ジャパンでは、IT 戦略を支えるデジタルデータ基盤「セブンセントラル」を Google Cloud 上に構築しています。
今回のプロジェクトは、システムの複雑化・レガシー化という課題を抱えていた同社が、そのソリューションとして各店舗や本部、社外の既存システム内に散在している各種データをクラウドに集約し、店舗の状況をリアルタイムに把握できるようにする。というものでした。
そのクラウド基盤に Google Cloud を選択した理由は、ビッグデータ関連サービスへの期待と、将来に向けた拡張性を見据えてとのこと。
具体的には、商品購入から数分でデータをクラウド上に集約する「ストリーミング分析ソリューション」、本部・加盟店・パートナーがデータを自在に活用できる環境の構築のために「 Apigee 」や「 BigQuery 」などの Google Cloud サービスを活用しています。
このような Google Cloud を基盤とした環境構築により、ユーザーが商品を購入後、セブンセントラルがそのデータを活用できるようになるまでの時間はわずか 1 分以内となっています。(これは当初の目標 60 分を大幅に上回る驚異的なパフォーマンスでした)
全国 2 万店超から寄せられる POS データをリアルタイムに得て、データをクラウドに集約・活用することを実現しているのです。
また、この「セブンセントラル」プロジェクトは、弊社クラウドエースにとってもシステムインテグレーションの新たな旗印「SI 2.0」を掲げ、社運をかけてサポートさせていただきました。これまでの SIer の下請け構造から脱却し、日本企業全体の技術力を底上げしていくために、ただ開発するだけではなく、お客様自身にクラウドネイティブな技術力や知見、アジャイル開発・DevOps などのチームビルドやマインドセットなどを身につけてもらえるよう伴走いたしました。
そして、 Google Cloud の グローバルな事例の中でも成果と先進性が評価され、2020年の小売部門のカスタマーアワードを受賞いたしました。
L.L.Bean
アメリカでアパレル・アウトドア用品を販売するL.L.Beanは、インフラを Google Cloud に移行することで近代化を成功させ、複数の複数の販売チャネルで顧客満足度と IT 効率を向上させました。
Google Cloud を活用して、Web サイトの刷新や新機能リリースの短縮など、さまざまな事業革新を行った同社。中でも「データベースのモダナイゼーション」という点については、Cloud Spanne を活用してe コマースにおける在庫状況の適切な表示を実現しています。
e コマースにおいて、顧客に対して販売可能な在庫のみを表示することは必須です。アメリカ各地に店舗を抱える同社においては、これを実現するために複数のバックエンドデータシステムから流れてくる在庫位置のストリーミング更新を常に取り込む必要がありました。これを実現するために、水平方向に拡張可能で大量の同時書き込み・同時読み出しに対応できる Cloud Spanner が利用されているのです。
また、同社では Google Cloud を利用して、長期顧客の長い購入履歴の表示も実現しています。従来のシステムでは、購入履歴のデータ量が増えるとクエリがタイムアウトしてしまうという課題があったとのこと。しかし、Google Cloud に移行した現在では、複数のソースから購入履歴データを自動的に事前集計し、顧客からのリクエストに瞬時に応えられるようになったそうです。
今後も同社は Google Cloud のさまざまなプロダクトを活用して、e コマースを中心とした購買体験を最適化していく予定とのことです。
まとめ
ここまで、Google Cloud を活用したデータベースのモダナイゼーションについて解説してきました。この記事を参考に、データベースを刷新し、ビジネスの成長に繋げてみてください。
もし本記事をきっかけに、Google Cloud と クラウドエースにご興味を持っていただけましたら、こちらよりご紹介資料をダウンロードいただけますと幸いです。
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