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CaaSとは. 意味や主要サービスを5分でわかりやすく解説
こんにちは、クラウドエース編集部です。
アプリ開発におけるトレンド技術の一つに「 CaaS 」があります。コンテナの運用・管理サービスをクラウド上で提供するもので、これを利用することで複数のコンテナを簡単に管理・運用できるようになります。
この記事では、CaaS の概要と他のサービスとの違い、CaaS を利用するメリット・デメリットについて解説していきます。
CaaS とは
CaaS とは「 Containers as a Service 」の略称で、「カース」と読みます。直訳すると「サービスとしてのコンテナ」で、コンテナオーケストレーションをクラウド上で提供するサービスを指します。
コンテナオーケストレーションとは、OS 上のアプリケーションの動作環境を仮想的に区切る技術「コンテナ」の運用・管理を行うことです。
コンテナとは、1 台のサーバー上に複数の開発環境を構築して、それぞれを独立したサーバーのように利用することで、手軽に開発・実行環境を構築できる技術です。しかし、複数のコンテナを組み合わせて大規模な環境を構築、運用・管理するとなると、非常に複雑で手間がかかるという課題がありました。
この問題を解消するのが、コンテナオーケストレーションです。コンテナオーケストレーションでは具体的に、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイや稼働、クラスタ管理、スケーリング、ロードバラシング、監視、ロギング、認証、セキュリティ、障害への対応などコンテナ管理に関するあらゆることを自動で行ってくれます。
コンテナオーケストレーションを提供する CaaS を利用することで、エンジニアはこれらの手間と時間のかかる作業から解放され、アプリケーションの開発に専念できるようになるのです。
代表的なコンテナオーケストレーションサービスとしては、Google による「 Kubernetes」、Docker による「 Docker Swarm 」、カリフォルニア大学バークレー校で開発された「 Apache Mesos 」などが挙げられますが、現在では多くのクラウド事業者が Kubernetes をサポートしており、事実上の標準となっていると言えるでしょう。
IaaS、PaaS、FaaS との違い
クラウドネイティブでアプリケーションを開発する際、プラットフォームの候補として「 CaaS 」のほか、「 IaaS 」や「 PaaS 」、「 FaaS 」を検討している人もいるかもしれません。これらのサービスにはどのような違いがあるのでしょうか。
「 IaaS 」「 PaaS 」「 FaaS 」について、簡単に振り返りながら、CaaS との違いを見てみましょう。
IaaS とは「 Infrastructure as a Service 」の略称で、情報システムの構築に必要な仮想サーバー、ネットワークなどのインフラをクラウド上で提供するサービスです。
続いて、PaaS とは「 Platform as a Service 」の略称で、IaaS で提供される仮想サーバー、ネットワークなどのインフラに加えて、OS やミドルウェアもクラウド上で提供するサービスです。
そして CaaS は、サービスの提供範囲という観点から考えると、IaaS と PaaS の間に位置すると言えます。仮想サーバー、ネットワークなどのインフラに加えて、OS やコンテナの管理機能も提供されます。OS の上にコンテナ実行基盤が動作している環境が提供されるため、OS を管理する必要はありません。
最後に FaaS とは「 Function as a Service 」の略称で、アプリケーション開発に必要な関数をクラウド上で提供し、サーバーレスでアプリ開発ができるサービスです。
まとめると、「 IaaS 」「 CaaS 」「 PaaS 」「 FaaS 」の順に、クラウド事業者が管理する項目が増えると言えます。言い換えれば、この順で自社で管理する項目が増える分、自由度・柔軟性も高くなり、一つのクラウドサービスに依存してしまう「ベンダーロックイン」などの問題を回避しやすくなるとも考えられるでしょう。
CaaS を導入すべきか、他のサービスを導入すべきか迷った場合は、自社で Kubernetes などの技術を扱える人材やリソースがあるかどうか、どこまで自社で運用・管理したいかなどの観点から考えてみましょう。
Kubernetes と Docker の違い
CaaS やコンテナ技術について調べていると、「 Kubernetes 」と「 Docker 」という言葉が必ず登場するでしょう。これらの言葉の意味について理解しておきましょう。
両者とも先述の通り、コンテナを用いてアプリケーションを実行するためのソフトウェアです。しかし、その目的は異なります。
まず、先述の通り Kubernetes とは Google が開発したコンテナを運用するためのプラットフォームです。一方で、Docker とはアプリケーションを各コンテナに分離するサービスです。
それぞれのサービスは、実行される場所も異なります。Kubernetes はクラスタで実行されるのに対して、Docker は単一ノードで実行されます。なお、「クラスタ」とは、コンテナの配置や削除を行うときに指示を出す部分で、「ノード」とは、クラスタを構成している各サーバーを指します。
このような違いを明確にすることで、CaaS についての理解も深まるでしょう。
CaaS のメリット・デメリット
ここまで、CaaS の概要について紹介してきました。続いては、CaaS を利用するメリットやデメリットについて見てみましょう。
CaaS のメリット
CaaS のメリットとしては、主に以下の 4 つが挙げられます。
- スケーラビリティに優れる
- コスト削減に繋がる
- 柔軟性が高い
- セキュリティと速度の向上
1 つ目は、スケーラビリティに優れることです。コンテナは水平方向にスケーリングできるという特徴を持ちます。そのため、ひとつコンテナを同じクラスタ内で複製して、ニーズの変化に応じてスケールアウト/スケールインすることも可能です。スケーラブルなアプリケーション構築に最適と言えるでしょう。
2 つ目は、コストを最適化できることです。クラウド上で提供される CaaS では、利用したリソース分のみ料金が請求される従量課金制が取られているため、コストを抑えやすいです。
また、コンテナは個別の OS を必要としません。複数のコンテナを 1つ のサーバー上で実行できるため必要なハードウェアも少なく、使用リソース自体も仮想マシンに比べて少なくなります。さらに、クラウド事業者にコンテナの運用・管理を委任できるため、サーバーの用意や、コンテナオーケストレーションシステムの構築などのコストも削減できます。
3 つ目は、柔軟性が高いことです。コンテナで開発されたアプリケーションの特徴は、プライベートクラウドやパブリッククラウド、別のクラウド事業者の環境など、複数の環境にデプロイできることです。これにより、環境や利用するクラウドサービスにとらわれずに、自由にアプリケーションを移行できるようになります。特定のクラウドサービスに依存してしまうベンダーロックインも回避でき、高い柔軟性を実現できるでしょう。
4 つ目は、セキュリティと速度の向上を実現できることです。それぞれ独立した環境として運用できるコンテナでは、例えあるコンテナが攻撃された場合も、他のコンテナに影響することはありません。このことから、セキュリティ性が高いと言えます。
また、コンテナは OS からも独立して動作するため、瞬時に開始・停止が実行されます。結果として、開発・運用速度の向上にも繋げられるでしょう。
CaaS のデメリット
CaaS のデメリットとしては、「使いこなすための学習コストが高い」ということが挙げられます。
先述の通り、CaaS は Kubernetes や Docker がベースとなるため、これらの技術の学習が必要となります。しかし、Kubernetes や Docker、それらに関連する技術はまだ新しいものであり変化が激しいです。また、頻繁にアップデートされ、サポート期間も比較的短く設定されることも多いため、環境を維持するためには継続的な学習が必要となるでしょう。
しかし、このようなデメリットに対処するために、Kubernetes をフルマネージドで使えるクラウドサービスも登場しています。効率的に安定したシステムを運用するためには、そのようなサービスを上手に利用すべきでしょう。
GKE では Kubernetes をフルマネージドで使える
Google Cloud が提供する GKE(= Google Kubernetes Engine )は、上で紹介した「効率的に安定したシステムを運用するためのフルマネージドで使えるクラウドサービス」のひとつです。
GKE を利用することで、クラスタの管理をしなくてよくなることに加え、セキュリティ性を高めたり、リソースを最小限に抑えたりすることができます。具体的な GKE のメリットとしては、以下の 6 つが挙げられます。
- 生産性の向上
- 開発にかかる時間を短縮できる
- 可用性の向上
- セキュリティの向上
- スケーラビリティの向上
- コストの削減
GKE はコンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、管理、スケーリングを自動で行ってくれるため、サービスが拡大した場合や、チームが大きくなった場合にも柔軟に対応でき、開発の生産性向上に繋げられます。
また、不具合を迅速に修正し、障害が発生した場合にも自動修復してくれるため、アプリ開発を迅速に行えるようになります。さらに、GKE ではニーズに合わせ最適なセキュリティ機能を構成でき、攻撃や脆弱性の迅速な検出と対処も簡単に行えます。
さらに、GKE では任意の仮想マシンを選択できたり、リソースに合わせて自動スケーリングしてくれたりすることから、コスト最適化しやすいでしょう。なお、課金は1秒単位であり、起動時間に合わせた自動割引も適用されます。
まとめ
ここまで、CaaS の概要や他のサービスとの違い、メリット・デメリットについて紹介してきました。この記事を参考に、CaaS の導入、またGoogle Kubernetes Engine の利用について検討してみてください。
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