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スマートコントラクトとは. 概要や仕組みを5分で入門

こんにちは、クラウドエース編集部です。

ブロックチェーンを活用したさまざまなサービスが開発される中、「スマートコントラクト」という機能への注目度も高まっています。

今回は、スマートコントラクトとは何かということについてわかりやすく解説し、メリットやデメリット、具体的な実装例についてまで紹介していきます。

スマートコントラクトとは?定義と仕組みを解説

スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で動くシステムであり、簡単に言えば「事前に決めた条件に基づいて、それを満たした場合には自動的に契約が実行される」という仕組みのことです。

スマートコントラクトの仕組みを理解する上で例に挙げられることが多いのは、自動販売機です。
自動販売機は「利用者が欲しい商品を選択し、事前に決められた代金を投入すると、自動で商品を提供する」というルールがプログラムされています。
要求されるお金を入れてボタンを押した瞬間に、売買契約が自動で成立して処理されるということですね。
これをデジタルにプログラミングされたものが、スマートコントラクトと言えます。

スマートコントラクトと自動販売機の大きな違いは、スマートコントラクトがブロックチェーン上で動くものであることです。
ブロックチェーンとは「取引履歴を 1 本の鎖のように繋げて複数台のコンピュータに分散保存することで、改ざん不可能なデータ の保管を実現する技術」です。
このため、スマートコントラクトで処理された取引履歴は全て「改ざん不可能」といった形で保存されます。
自動販売機ではいつ、誰が、どの商品を購入したかというデータは記録されませんが、スマートコントラクトでは、それらの情報が極めて高い透明性を維持しながら記録されるということです。

スマートコントラクトのメリット

続いては、スマートコントラクトを利用することの具体的なメリットについて見てみましょう。

高速かつ正確な処理の実行が可能

1 つ目のメリットは、スピーディに正確な処理の実行が可能なことです。

従来は、あらゆる物事の取引の際には内容の確認から交渉、契約書案の作成、契約書の同意など、多くの手順が必要でした。
また、これらの作業は人の手で行われるため、ヒューマンエラーが起きてしまうこともあります。

しかし事前に決められたルールに基づいて自動的に契約が実行されるスマートコントラクトでは、このような人の手による作業を全て排除できます。
これにより、スピーディに処理手続きを進められます。
もちろん、ヒューマンエラーが起こることもありません。

高い透明性が維持される

2つ目のメリットは、透明性・正当性を維持できることです。

従来のアナログな取引や契約では、改ざんや不正が行われても、それを検知することは難しかったです。

しかし、ブロックチェーン上で動くスマートコントラクトでは、すべての取引履歴が記録・公開され、複数のネットワーク参加者のコンピュータに分散保存されます。
そのため、たとえデータの書き換えを行ったとしても、参加者のうちの誰かが気づくことができるため、不正が起こりにくいのです。

仲介者の排除によるコスト節約

3 つ目のメリットは、取引における仲介者を排除することでコストを節約できることです。

従来の契約や取引では、信頼を担保する役割として仲介者が置かれることが一般的でした。
例えば、家を売買する場合は不動産屋を、金銭の取引の際には銀行を仲介しますよね。
そして、これらのサービス利用時には仲介手数料も発生します。

しかし、自動で契約が施行されるスマートコントラクトでは、取引時に第三者を介する必要がありません。
さらに、仲介業者を利用することによる情報の不正利用などのリスクも防ぐことができ、セキュリティの面からもメリットがあると言えます。

スマートコントラクトのリスク

このように、透明性の高いスムーズな取引を可能にするスマートコントラクト。
しかし、これまでにはないリスクが存在することも事実です。

プライバシーの保護が難しい

1 つ目のリスクは、プライバシーの保護が難しくなることです。

スマートコントラクトによりブロックチェーン上に記録された情報は、本人の意思に関係なく誰でも閲覧可能な状態となります。
たとえ秘匿にしたい情報であっても、隠したり取り消したりできません。
また、万が一個人情報を書き込んでしまった場合も、それを修正することは不可能です。

取引履歴が全てブロックチェーン上に記載され、それが全員に対して公開されることは、契約の正当性を証明できる点においてメリットですが、プライバシー保護の観点からはデメリットともなるのです。

法的に未整備な部分がある

2 つ目のリスクは、法的に未整備であることです。

ブロックチェーンおよびスマートコントラクトは、まだ誕生してから日の浅い技術です。
そのため、例えば契約内容に不備があった場合などにおいて、法的にどのように処理・救済されるのかが不明確です。

しかし、2020 年 10 月には「スマートコントラクト推進協会」が発足し、審査や基準の作成、法整備の提言などの活動をしています。
このような取り組みから、今後法的枠組みについても決められていくと予想されます。

スマートコントラクトの将来性・展望

このようなリスクもあるスマートコントラクトですが、それでも今後はさらに普及していくと予想されています。

その理由は、スマートコントラクトが社会的に実装されることで、あらゆる業務やサービスの利便性が高まるためです。
例えば取引の電子化が一般化すれば、大きく業務を効率化することができたり、テレワーク推進に繋げることで多様な働き方の提供も実現できるでしょう。
契約・取引業務における時間と費用を大きく下げられるというメリットもあります。

現在スマートコントラクトは、イーサリアムを活用した NFT などを中心に利用されています。
しかし今後法整備などが進めば、より実生活に溶け込んで活用される可能性が高いでしょう。

スマートコントラクトの実装例

ここからは、現在のスマートコントラクトの実装例について見てみましょう。

DeFi・DAOの実現

1 つ目の実装例は、DeFi や DAO の実現です。

DeFi とは日本語にすると「分散型金融」であり、スマートコントラクトを利用して銀行という仲介者を排除して、ユーザー同士が金融取引を実現する仕組みのことです。
DeFi が実現されることにより、今まで必要だった信用履歴審査や本人確認が不要となり、さらに仲介手数料を支払う必要もなくなるというメリットがあります。

DAO とは日本語で「自律分散型組織」です。
これは中央に社長などの特定の権力者を置かずに、民主的な運営を実現する組織の形です。
これを実現する重要な要素がスマートコントラクトです。
DAO では、組織の参加者に対してブロックチェーンを利用して発行された「トークン」が配られます。
組織の意思決定の際にはトークンによる投票が行われ、スマートコントラクトによって自動的に運営が行われるのです。

国際貿易の効率化

2 つ目の実装例は、国際貿易の契約・取引です。

これまで国際貿易においては、あらゆる情報がサプライチェーン内の複数業者によって紙や異なるタイプのデジタルデータで保管されていました。
そのため、複雑かつ経費と時間のかかるやり取りが必要だったり、通関手続きに時間を要したり、税関などで不正が発生しやすかったりという課題がありました。

このような業界全体の課題をスマートコントラクトを活用して解決しようというプロジェクトが、世界で複数立ち上げられています。
例えば「 TradeLens 」という全世界の海運業界の主要企業によって構成されるプラットフォームでは、標準化されたルールと簡素な取引オプションを構築することで、取引プロセスを容易にし、業界が抱えるさまざまな課題の解消を実現しています。

まとめ

ここまで、スマートコントラクトの概念やメリット・デメリット、今後の展望について紹介してきました。この記事を参考に、今後さらに普及するであろうスマートコントラクトへの理解を深めてみてください。

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