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GCP データ分析関連プロダクト8個まとめ
GCP(Google Cloud)ではデータの分析に関する様々なプロダクトを提供しています。これらのサービスを利用することで、膨大な量のデータを収集、保存、処理、分析し、ビジネス上のインサイトを得ることができます。
本記事では GCP のデータ分析に関する 8 つのプロダクトについて概要やメリット、機能、ユースケースなどを解説いたします。
また、Amazon の AWS や Microsoft の Azure も同様にデータ分析関連プロダクトを提供しており、GCP の各プロダクトと類似する AWS や Azure のプロダクトについても紹介していきます。ぜひ、クラウドコンピューティング活用の際の参考にしていただけましたら幸いです。
目次
1.BigQuery(ビッグクエリ)
BigQuery は、GCP のクラウドベースのデータウェアハウスサービスです。大量のデータを分析するための高速でスケーラブルなプラットフォームであり、SQL を使用してデータを照会します。
BigQuery は、Google が開発した Colossus と呼ばれる分散ファイルシステムを使用しています。このシステムにより、非常に大量のデータを高速かつ安全に保存し、照会することができます。また、Google の機械学習アルゴリズムを使用することで、高度な分析や予測モデルの作成なども可能です。
BigQuery は、さまざまな業界で使用されています。例えば、マーケティング分野では、データを収集し、分析することで、ターゲット市場や消費者の行動を理解することができます。また、ビジネスインテリジェンス分野では、ビジネス上のインサイトを得るためにデータを分析し、優れた意思決定を支援することができます。BigQuery は、GCP の他のサービスと連携して、より高度な分析や機械学習アプリケーションの構築など、多くの用途に使用されています。
特徴とメリット
- スケーラビリティ: BigQuery は、ペタバイトのスケーラビリティを持ち、非常に大規模なデータセットでも高速にクエリを実行できます。また、自動的にスケールアップしてリソースを増やし、必要に応じてスケールダウンしてリソースを減らせます。
- 高速なクエリ:Google の内部技術である Dremel エンジンを使用しているため、非常に高速なクエリを実行できます。クエリは、列志向のストレージ構造とレコード志向のクエリエンジンを使用して実行されるため、リレーショナルデータベースよりも高速に動作します。
- 低コスト: 従量制課金モデルを採用しており、ストレージとクエリ実行にかかる料金のみが請求されます。従って、データセットがアクティブでない場合は、ストレージのみのコストしかかかりません。また、一定量までのクエリ実行は無料で、試用や開発にも利用しやすいです。
- 様々なデータソースとの統合:様々なデータソースとシームレスに統合できます。例えば、Google Cloud Storage、Google Cloud Bigtable、Google Cloud Datastore、Google Cloud Pub/Sub、Google Cloud IoT Core、Google Analytics、CSV、JSON、Avro、Parquet、ORC、MySQL、PostgreSQL などがサポートされています。
- ユーザーフレンドリーなインターフェース: BigQuery には、GUI ツールである BigQuery Web UI や、コマンドラインインターフェースである bq コマンド、クライアントライブラリなど、様々なユーザーフレンドリーなインターフェースがあります。これらのツールを使用することで、データのクエリ、可視化、エクスポートなどを簡単に行えます。
AWS、Azure、GCP 類似プロダクト
- BigQuery(GCP):サーバーレスのクラウドデータウェアハウスで、SQL クエリを実行することで大規模なデータセットを分析できます。GCP 内で完全にホストされており、データのストレージ、処理、クエリ実行の全てを担当します。非常にスケーラブルで、秒単位でのレスポンスタイムを提供します。また、機械学習モデルのトレーニングなどの処理にも適しています。
- Redshift(AWS):クラスタベースのアーキテクチャを採用しており、ノード数をスケールアップまたはスケールダウンすることができます。Redshift は、SQL クエリを実行し、複数のデータソースからデータを収集、結合、分析することができます。ビッグデータの処理や分析に適しています。
- Synapse Analytics(Azure):データレイク、データウェアハウス、ビッグデータの分析に対応しています。Azure Synapse Analytics は、SQL クエリを実行し、ETL(Extract, Transform, Load)タスク、ビッグデータ分析などを実行できます。
2.Cloud Dataproc(クラウドデータプロック)
Cloud Dataproc は、GCP 上で稼働するマネージド Hadoop/Spark サービスであり、大規模なデータ処理に適した高速なクラスターを簡単に作成・管理できます。Hadoop/Spark クラスターを自動的にデプロイして構成することで、ユーザーは煩雑なシステム管理に時間を費やすことなく、ビッグデータの分析、機械学習、ETL などのタスクを行えるようになります。
なお、AWS では「EMR」、Azure では「HDInsight」という、オープンソースのビッグデータツールを利用したマネージドサービスがそれぞれ提供されています。
特徴とメリット
- 柔軟性と拡張性:必要に応じて自動的にスケールアップ/ダウンし、ビッグデータの処理に対応できます。また、独自の Hadoop/Spark アプリケーションを簡単に追加できます。
- コスト効率:従量課金制であり、必要なときに必要なだけのリソースを利用できます。また、Dataproc は、サイズが大きくなるとともにクラスタのスケールアップを自動的に行い、アイドル状態のノードを自動的にシャットダウンするため、リソースを節約できます。
- 管理が容易:Cloud Dataproc はマネージドサービスであるため、自動アップグレード、監視、バックアップ、セキュリティパッチの適用などの面倒なタスクを省略できます。また、ユーザーは Hadoop/Spark クラスターを簡単に構成および管理でき、WebUI、API、CLI を使用して、クラスターにアクセスできます。
ユースケース
- ログ処理:大量のログデータを簡単かつ高速に処理できます。例えば、Web サイトのアクセスログを収集して、分析することができます。数テラバイト以上のログデータも数分で処理可能です。
- ETL処理:ビッグデータの ETL 処理を簡単かつ高速に実行できます。顧客データを別のシステムに移行する際に、Cloud Dataprocを使用してデータの変換、クレンジング、ロードするといった用途で活用されています。
- 機械学習:機械学習のトレーニングや推論にも使用できます。例えば、大量の画像データを使用して、画像分類モデルをトレーニングする場合に、Cloud Dataproc を使用して高速に処理できます。
- 分散処理:Apache Hadoop、Spark、Presto などの分散処理フレームワークをサポートしています。これにより、大量のデータを高速に処理することができるため、ビッグデータの探索や分析に使用されています。
- ストリーム処理:ストリーム処理を実行することもできます。例えば、IoT デバイスから収集されたデータをリアルタイムで処理できます。
3.Cloud Dataflow(クラウドデータフロー)
Cloud Dataflow は、GCP の大規模なデータ処理を簡単かつ効率的に行うことができるマネージドサービスです。Apache Beam のオープンソース SDK をベースにしており、データ処理のワークフローを設計、実行、監視するための機能を提供します。また、スケーラブルなバッチ処理とリアルタイムストリーミング処理の両方をサポートしており、データの多様性に応じた柔軟な処理が可能です。
Cloud Dataflow では、さまざまなデータソースに接続して、データのエクスポートや分析、機械学習などの目的で使用できます。また、Dataflow は、ビジネスロジックをプログラミングする必要がないので、ビジネスユーザーやエンジニアにとって非常に使いやすいサービスと言えます。
Cloud Dataflow には、フレキシブルなツールや API が用意されており、データの処理、変換、集計、フィルタリング、集約などを簡単かつ柔軟に行えます。また、処理中に問題が発生した場合でも、自動的にリトライする機能を備えており、信頼性が高いことも特徴です。
さらに、Dataflow は、Google Cloud Storage、BigQuery、Cloud Pub/Sub、Cloud Spanner などの Google Cloud Platform のデータストアにシームレスに接続できます。これにより、データの簡単な転送、処理、分析が可能になり、ビジネスの意思決定や改善に役立ちます。
Cloud Dataflow は、大量のデータを処理する必要がある企業や組織、特にビッグデータ分析を行うためのソリューションを探している企業や組織におすすめのサービスです。また、非常に高い信頼性が求められる環境でのデータ処理にも適しています。
ユースケース
- リアルタイムデータ処理:ストリーミングデータをリアルタイムで処理できます。例えば、IoT センサーデータを分析する、アプリケーションログを処理する、ウェブトラフィックを解析するなどの用途があります。
- バッチデータ処理:バッチデータ処理にも使用できます。例えば、膨大なデータセットを集計する、大量のログファイルを処理する、データウェアハウスにデータをロードすることができます。
- ETL パイプライン:データ抽出、変換、ロード(ETL)を簡単に行うことができます。データ抽出は、複数のデータソースからデータを収集することで行われます。変換は、収集したデータを前処理することで行われ、ロードは、前処理されたデータを目的のストレージシステムにロードすることで行われます。
- 機械学習パイプライン:Cloud Dataflow を使用して機械学習パイプラインを構築できます。例えば、データを収集して前処理し、モデルのトレーニングを行い、トレーニングされたモデルを展開するなどの用途があります。
- パターン認識と予測分析:パターン認識と予測分析を行うことも可能です。過去のデータを分析して将来の動向を予測したり、不正行為を検出したりすることもできます。
AWS、Azure、GCP 類似プロダクト
- Cloud Dataflow:Apache Beam に基づくフルマネージドのデータ処理サービスで、バッチ処理、ストリーミング処理、ETL 処理などのデータパイプラインを簡単に構築できます。
- Amazon Kinesis Data Analytics:ストリーミングデータを分析するためのフルマネージドのサービスで、SQL を使用してリアルタイムのデータ処理を実行できます。
- Azure Stream Analytics:ストリーミングデータを処理するためのフルマネージドのサービスで、SQL を使用してリアルタイムのデータ処理を実行できます。
Cloud Dataflow は、Apache Beam に基づく汎用的なデータ処理サービスで、ビッグデータのバッチ処理、ストリーミング処理、ETL 処理などに利用できます。一方、Kinesis Data Analytics と Azure Stream Analytics は、ストリーミングデータを処理するための専用のサービスです。
4.Cloud Datalab(クラウドデータラボ)
Cloud Datalab は、GCP 上でデータ解析を行うためのインタラクティブな環境です。主に Python を用いたデータ解析や機械学習のために利用されます。
Cloud Datalab は、Jupyter ノートブックをベースとしており、Python コードや Markdownテキスト、画像、グラフなどを含むドキュメントを作成できます。また、GCP のストレージや BigQuery などのデータソースに簡単にアクセスすることができ、データの取得や変換、可視化を容易に行えるようになります。
ユースケース
- データ解析:Python を用いたデータ解析に最適な環境です。データの取得、変換、クレンジング、前処理、集計などを簡単に行えるように設計されており、Google Cloud Storage や BigQuery をはじめ、さまざまなデータストレージに簡単にアクセスすることができます。
- 機械学習:TensorFlow などの機械学習ライブラリとの統合が簡単であり、機械学習モデルの開発やトレーニングにも適しています。また、データの前処理や特徴量の抽出なども行えます。
- ビジュアル化:Cloud Datalab は、データのビジュアル化に必要なツールを提供しているため、データの可視化や解析結果の共有に最適です。
- 複数人での共同開発:複数のユーザーが同じノートブックを編集し、コードやデータを共有することができるため、グループでのデータ解析や機械学習の開発にも適しています。
- データエンジニアリング:データの前処理や変換、集計などを簡単に行えるように設計されているため、データエンジニアリングの作業にも利用できます。
AWS、Azure、GCP 類似プロダクト
AWS と Azure には、Cloud Datalab と同様にデータ解析や機械学習に特化したプロダクトはありませんが、それぞれ以下のようなサービスが提供されています。
AWS:
- Amazon SageMaker: 機械学習のモデル開発、トレーニング、デプロイに特化したサービスです。Jupyter ノートブックを利用してデータの前処理、モデルの開発、評価を行うことができます。
- Amazon EMR: Apache Spark、Hadoop、Presto、Hive などのオープンソースの分散処理フレームワークを使用したビッグデータの処理に特化したサービスです。Python、R、Scala などの言語を利用してデータの前処理、分析、可視化を行うことができます。
Azure:
- Azure Machine Learning: 機械学習のモデル開発、トレーニング、デプロイに特化したサービスです。Jupyter ノートブックを利用してデータの前処理、モデルの開発、評価を行えます。
- Azure Databricks: Apache Spark をベースにした分散処理プラットフォームで、データの前処理、分析、可視化、機械学習のモデル開発、トレーニング、デプロイなどに利用できます。
5.Cloud Pub/Sub(クラウドパブサブ)
Cloud Pub/Sub は、GCP のデータの配信を行うためのマネージド型のメッセージングサービスです。このサービスは、アプリケーション間でデータを受け渡すための高速で堅牢な方法を提供します。
Pub/Sub は、複数のプロデューサー(メッセージを送信する側)と複数のコンシューマー(メッセージを受信する側)をサポートすることができ、高可用性・耐久性があります。Pub/Sub では、データの送信元と受信元を直接接続する必要はありません。そのため、アプリケーションが分散している場合でも、Pub/Sub を使用することでデータの受け渡しを簡単かつ安全に行うことができます。
Pub/Sub は、多数のデータソースからデータを収集します。たとえば、ある Web サイトでの注文やログイン情報、IoT デバイスからのセンサーデータなどからデータを集めることができます。収集されたデータは、Pub/Sub によって一度で多数のコンシューマーに配信され、バックエンドシステムで処理されます。Pub/Sub は、高可用性と耐久性を提供するため、データのコピーを複数のデータセンターに分散して保存します。
ユースケース
- リアルタイムデータ処理:たとえば IoT デバイスなどからのリアルタイムセンサーデータを受け取り、処理できます。Pub/Sub は、大量のデバイスからのデータを受け取り、それをバックエンドシステムに配信できます。
- ストリーミングデータ処理:Pub/Sub は、ストリーミング処理プラットフォームとしても使用されます。ストリーム処理とは、大量のデータをリアルタイムで処理することを指します。Pub/Sub は、データがストリームになる前に多数のメッセージをバッファリングし、ストリーム処理エンジンで処理できるようにします。
- イベントドリブンアーキテクチャの実現:Pub/Sub は、分散アプリケーションのコンポーネント間でのイベントドリブンなアーキテクチャを実現するためにも使用されます。アプリケーションコンポーネントは、イベントを発行し、Pub/Sub は、それをサブスクライバーに配信します。これにより、より高い可用性を実現できます。
- ログ処理:ログデータを収集し、リアルタイムで処理できます。多数のアプリケーションログ、サーバログ、ネットワークログ、アクセスログなどを処理する場合、Pub/Sub は非常に有用です。
- タスクキュー:Pub/Sub は、タスクキューとしても使用されます。たとえば、ウェブサイトでの注文処理、バッチ処理、サービスリクエストなどのタスクを処理する場合にも Pub/Sub は非常に有用です。
AWS、Azure、GCP 類似プロダクト
AWS、Azureでも、Pub/Sub に対応する以下のようなプロダクトが提供されています。
AWS:
- Amazon Simple Notification Service (SNS): プッシュ型メッセージングサービスで、トピックを介して配信先のエンドポイントにメッセージを送信します。
- Amazon Simple Queue Service (SQS): キュー型メッセージングサービスで、メッセージをキューに入れ、コンシューマーがそのキューからメッセージを取り出します。
Azure:
- Azure Service Bus: キュー、トピック、サブスクリプションなどの機能を提供するメッセージングサービスで、非同期通信、分散処理、イベント駆動アーキテクチャなどに利用されます。
- Azure Event Grid: イベントベースのプログラミングを簡単に実現するためのイベントルーティングサービスで、Azure サービス、外部サービス、カスタムアプリケーションなどからのイベントをサポートしています。
6.Cloud Dataprep(クラウドデータプレップ)
Cloud Dataprep は、GCP で提供されるデータクレンジングサービスです。Cloud Dataprep を使用すると、複雑なデータセットを見やすい形に加工でき、整形することができます。また、Cloud Dataprep は、エンジニアリング、SQL、Python などの専門的な知識がなくても、ビジネスユーザーが使いやすいように設計されています。
Cloud Dataprep は、データを読み込み、表形式に整形し、クリーンアップするためのビジュアルインターフェースを提供します。また、フィルタリング、重複削除、文字列のトリミングなど、一般的なデータクリーニングタスクを自動化するためのプリセットも備わっています。さらに、自動フィルタリング、自動トリミング、自動統合などの機能を備えたAI機能も利用できます。
Cloud Dataprep は、ビジネスユーザーやデータ分析者がデータの前処理やクリーニングに費やす時間を削減し、データの正確性と信頼性を向上させるのに役立つ優れたツールと言えます。
ユースケース
- データのクリーニングと前処理:ビジネスユーザーやデータ分析者は、GUI(Graphical User Interface)を使用して、データを読み込み、表形式に調整し、クリーニングできます。自動化されたプリセットの操作やAI機能により、データクリーニングのタスクを効率化できます。
- データ統合:複数のデータソースからデータを収集し、統合できます。BigQuery、Cloud Storage、Dataproc、Dataflowなどの GCP の他のサービスとシームレスに連携するため、ビジネスユーザーやデータ分析者は、複数のデータソースからのデータを簡単に取り込んで一元化できます。
- データ品質の向上:Cloud Dataprep は、データの品質を向上するための多くの機能を提供しています。データのクリーニング、前処理、統合、および正規化を行うことで、データ品質が向上し、正確性と信頼性が高まります。これにより、データ分析者やビジネスユーザーは、正しい情報を使用して、より正確な結果を得ることができます。
- データの可視化:Cloud Dataprep は、データの可視化にも優れたツールです。ビジネスユーザーやデータ分析者は、分析の前にデータを視覚的に探索することができます。データのビジュアル化により、ビジネスユーザーやデータ分析者は、パターンやトレンドを簡単に発見できます。
AWS、Azure、GCP 類似プロダクト
AWS、Azure でも ETL(Extract, Transform, Load)サービスが提供されています。各プロダクトの特徴は以下の通りです。
- Cloud Dataprep:ビジュアルエディタを使用してデータの前処理やクレンジングを簡単に行うことができます。また、データ品質の検証や分析にも適しています。クラウド上で動作し、スケーラブルな性能を備えています。データ分析を行うデータサイエンティストや、データ分析に詳しいエンジニアに向いています。
- AWS Glue:Spark をベースに構築された ETL サービスです。Python や Scala などの言語で ETL スクリプトを記述することもできます。また、データカタログ機能を備えており、データのメタデータを自動的に抽出し、管理することができます。データエンジニアリングに詳しいエンジニアに向いています。
- Azure Data Factory:クラウドとオンプレミスのデータソースを統合することができます。Data Flows という機能を備えており、ビジュアルエディタを使用して大規模なデータ処理を行うことができます。また、Azure Data Factory は、Power Query というエクセルのアドインと同じツールを使った初心者向けのデータ前処理ができるため、幅広い人におすすめです。
7.Cloud Composer(クラウドコンポーザー)
Cloud Composer は、GCP のマネージド・ワークフロー・オーケストレーション・サービスです。Airflow をベースに構築されており、複雑なジョブやワークフローを簡単にスケジューリングし、実行することができます。
Cloud Composer は、Python スクリプトや Bash スクリプトを含む複雑なデータパイプラインを容易に構築できるため、データエンジニアやデータサイエンティストにとって非常に便利なツールです。また、ビジュアルなワークフローエディタも備えており、非プログラマーでも簡単にジョブやワークフローを設計できます。
また、Cloud Composer は、GCP 上のデータストレージや処理サービスにシームレスに接続できるため、ビッグデータ処理や機械学習モデルのトレーニング、分析など、多岐にわたるデータ処理タスクに利用できます。さらに、Cloud Composer は、スケーラブルで高可用性なインフラストラクチャーを提供しているため、ジョブやワークフローの実行が途中で失敗することもなく、信頼性の高い運用が可能です。
このような Cloud Composer は、データエンジニアリングやデータサイエンスのプロフェッショナルにとって非常に便利なツールです。Cloud Composer は、Airflow ベースのワークフローを構築する経験がある人や、GCP の他のサービスを使い慣れている人にとって特におすすめです。
ユースケース
- ETLジョブのスケジューリング:Cloud Composer は Airflow をベースに構築されているため、複雑な ETL(Extract, Transform, Load)ジョブのスケジューリングも簡単に行えます。ビッグデータ処理に必要なデータの抽出、変換、ロードを自動化することで、データエンジニアリングチームの生産性を向上させることができます。
- 機械学習ワークフローのオーケストレーション:TensorFlow などの機械学習フレームワークとのシームレスな統合が可能であるため、機械学習ワークフローのオーケストレーションにも利用されます。Cloud Composer を使用することで、データの前処理、モデルのトレーニング、モデルのデプロイメントまでを自動化できます。
- ビッグデータ分析の自動化:GCP の多数のビッグデータ処理サービスとシームレスに連携できるため、ビッグデータ分析の自動化にも利用されます。Cloud Composer を使用することで、膨大なデータの抽出、変換、分析、可視化までを自動化できます。
- クラウド上のインフラストラクチャー管理:Cloud Composer は、クラウド上のインフラストラクチャーの管理にも利用されます。例えば、仮想マシンの作成や、スケールアウトなど、複雑なインフラストラクチャーのオーケストレーションを簡単に実行できます。
AWS、Azure、GCP 類似プロダクト
- Cloud Composer:Apache Airflow ベースのサービスであり、柔軟で拡張性が高く、豊富なオペレーターとライブラリを提供しています。データエンジニアリング、ETL、バッチジョブのスケジューリングなどの用途に最適です。また、GCP の他のサービスとのシームレスな統合が可能なため、GCP 上でのデータ処理を行う人におすすめです。
- AWS Step Functions:AWS のサービスとのシームレスな統合が可能なサービスで、Lambda や S3 などの AWS サービスと組み合わせて、分散型アプリケーションやマイクロサービスのワークフローを簡単に管理できます。AWS を利用している企業や、AWS のサービスとの連携が必要な場合におすすめです。
- Azure Databricks:Apache Spark ベースのサービスで、機械学習、データエンジニアリング、データ分析などの用途に適しています。高度なクラスタリング機能や Jupyter ノートブックのようなインタラクティブな開発環境を提供しており、多くのデータサイエンティストや機械学習エンジニアにとって、強力なツールとなっています。Azure を利用している企業や、大量のデータを処理する必要がある場合におすすめです。
8.Cloud Dataplex(クラウドデータプレックス)
Cloud Dataplex は、Google Cloud のデータレイクサービスです。このサービスは、企業が大量のデータを収集、統合、処理するために必要な環境を提供します。高速で柔軟性が高く、自動化されたデータ管理を実現し、大量のデータ活用を可能にします。
特徴とメリット
- クラウドネイティブ:Cloud Dataplex は、GCP上で動作するクラウドネイティブのサービスです。Google Cloud の他のサービスとシームレスに連携し、データ処理の効率性を高めます。また、Google Cloud のセキュリティ機能を利用することで、データのセキュリティを確保できます。
- スケーラビリティ:大量のデータを処理するために必要なスケーラビリティを提供します。Google の強力なインフラストラクチャが基盤となっており、これによりデータ量が急増しても、スムーズに処理を行うことができます。
- データマネージャー:データマネージャーと呼ばれるツールが搭載されています。データマネージャーは、データレイクのデータセットの管理を自動化し、データセットの作成、更新、削除などを簡単に実行できるようにします。
- データサービス:データサービスは、企業がデータレイクにアクセスして、データをクエリ、分析、可視化できる機能です。データサービスは、SQL を使用してデータセットにアクセスすることができ、分析プロセスをスムーズに行えます。
- オートスケール:自動スケール機能を備えており、データの処理負荷に応じて、クラスターのサイズを自動的に調整できます。これにより、効率的にデータ処理を行えます。
ユースケース
- 大規模なデータ分析:データの蓄積、処理、分析に必要な環境を提供することで、大規模なデータ分析を可能にします。企業のデータ分析チームや専門家にとって、Cloud Dataplex は非常に有用なツールとなるでしょう。
- データレイクの運用管理の簡素化:Cloud Dataplex は、データレイクの簡素化を実現するために開発されています。複数のデータストレージシステムに散在するデータを一元管理し、効率的に取り扱うことができるため、データレイクの運用や管理を容易にできます。
- データの再利用性の向上:Cloud Dataplex を使うことで、異なる部門やチームがデータを再利用しやすくなります。また、データレイク上のデータを検索することもできるため、簡単に必要なデータを見つけられるようになります。
- データ品質の向上:Cloud Dataplex 上でデータを正確に管理することで、データの信頼性を高めることができます。なお、Cloud Dataplex ではデータ品質管理のためのツールも提供されています。
まとめ
GCP の豊富なデータ分析プロダクトは、データの収集から変換、解析、可視化に至るまで、企業がデータから洞察を引き出し、データ駆動型の意思決定により競争優位を築くための重要な役割を果たします。それぞれのニーズや課題に最適なプロダクトを選び、GCP の強力なデータ分析機能を最大限に活用しましょう。
弊社クラウドエースは、Google Cloud のプロバイダとして、1,000 社以上の企業様に Google Cloud を導入いただいております。
クラウドの導入支援や、Google Cloud での開発支援など、お客様一社一社のビジネス要件を理解し、ニーズに合った最適なクラウドソリューションをご提案しております。
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