Google Cloud の導入から活用までワンストップでお客様を支援します

お問い合わせ
那須塩原市

那須塩原市

  • 技術支援・開発
  • 公共

那須塩原市の事例から紐解く、自治体における庁内ネットワーク環境のβ’モデル移行の成功の秘訣とは

人口約11万人、栃木県の北部に位置し、広大な那須野が原の北西一帯を占める那須塩原市。
同市は、外部からDXフェローを招聘するなど庁内のDX化に積極的に取り組んできました。総務省による自治体情報セキュリティの強化策要請を受け、庁内ネットワーク環境のβ’モデル(※)への移行計画が始まりました。
公募型プロポーザル方式による調達の結果、那須塩原市から導入支援事業者としてクラウドエース(以下、「弊社」)が選定され、Google Workspaceの導入、セキュリティポリシーの改定、LGWAN環境のクラウドリフト、の3事業の推進に取り組みました。
(左から)
那須塩原市 企画部 デジタル推進課
システム管理担当・主査 / 小林 亜由美氏
課長補佐/ 高根沢 めぐみ氏
課長 / 鈴木 正宏氏
システム管理担当・主任 / 奥村 遼太氏
システム管理担当・グループリーダー / 佐藤 辰徳氏

クラウドエース株式会社
事業推進本部 / 川崎 柊
技術本部・コンサルティング部 / 島袋 展行

※「β’モデル」とは、自治体の情報セキュリティ対策における新たなモデルの一つで、業務システムと業務端末をインターネット接続系に配置することで、クラウドサービスなどへのアクセスを容易にし、セキュリティ対策の高度化と業務の効率化、および柔軟性の向上を図るものです。

β’モデルへの適応に向けて、庁内ネットワーク環境の見直しを検討

これまでの自治体のネットワーク環境は、「三層分離」という方式のもと、一般的なWebサイトの閲覧をはじめとする情報収集を目的に使用されるネットワーク以外は、インターネット環境と分離された閉ざされたネットワーク環境の中に置かれていました。

多くの市民の個人情報や機密情報を扱う自治体にとって、インターネットと分離したLGWAN環境によって確保される、セキュリティと安全性の高さは非常に重要な一方、自治体のDX推進やリモートワークの普及、業務効率化など、多くの観点で既存のネットワーク環境に課題を抱えていました。

那須塩原市 企画部 デジタル推進課 システム管理担当 グループリーダーの佐藤 辰徳氏は、当時抱えていた課題について、次のように語ります。

「今までは閉ざされた庁内だけのネットワークの中で仕事をしてきていましたが、(β’モデルへの移行推奨が発表されたことで)インターネット環境下で仕事ができるようになる。こうしたネットワークの大きな変化がまず1つあったことで、Google Workspaceが採用できるという機会を得ました。恐らくそうした状況になったのには、やはりコロナ禍でのリモートワークの普及が影響していて、皆が対面で接触する機会を減らすとなると、自宅で仕事ができる環境を整備する必要性が出てくるので、そういった背景があって今回の調達まで至っていると考えています。」(佐藤氏)

Google Workspace導入、LGWAN環境移行、セキュリティポリシー改定、の3事業でクラウドエースを採択

自治体のβ’モデルへの移行は全国でもまだまだ事例が少なく、調達する内容や調達方式、そもそもの実現可否など、検討開始時点から多くの課題を抱えていると考えています。

那須塩原市も例外ではなく、DXフェローを外部から招聘するなど、庁内のDX化を積極的に推進し、β’モデルへの移行も既存のネットワークベンダー様と進めていましたが、移行に伴うグループウェア導入や物理サーバーのクラウドリフトを検討する過程で、技術的・運用的な課題に直面していました。

これらの課題解決に向け、同市は公募型プロポーザル方式による調達を実施し、その結果、弊社が導入支援事業者として選定されました。Google Workspace導入から始まり、那須塩原市独自のセキュリティポリシー改定に関わる土台の整備や、サーバー環境のクラウドリフトの取り組みがスタートしました。

当時のことを、那須塩原市 企画部 デジタル推進課 システム管理担当 主任の奥村 遼太氏は、次のように振り返ります。

「(事業者選定を行う)以前、前任担当者の時から、情報収集の一環としてクラウドエースさんにもヒアリングさせていただき、それらも参考に市として仕様を検討し、調達を進めていきました。」(奥村氏)

このように、調達検討段階での技術的な情報提供なども行いながら、最終的には公募型プロポーザルを経て以下の3事業で弊社が採択され、実行支援と伴走を行いました。

  • Google Workspaceの導入
  • セキュリティポリシーの改定
  • LGWAN環境のクラウドリフト

「Google Workspaceの導入事業を私が担当し、次に小林が主担当となるGoogle CloudへのLGWAN環境のリフトを実施しました。また、総務省が自治体向けのセキュリティポリシーのガイドラインの改定をもとに、那須塩原市のセキュリティポリシーをどう落とし込んでいくか、どういう内容にすればいいのか、というところについてもご支援いただきました。やはり何度もお話が出ているように、セキュリティというのは、機微な情報を扱う自治体にとって切っても切り離せない要素ですので、まとめてご支援いただけるというのは非常に助かりました。」(奥村氏)

従量課金型サービスの導入や、セキュリティポリシーの策定なども、クラウドエースのサポートにより円滑に進行

「『導入までが大変だ』ということは調達の時から分かっていましたので、導入に向けて、または導入した後、どのように運用の支援まで伴走していただけるか、というのが非常に大きなポイントでしたね。」(奥村氏)

奥村氏がこう語るように、那須塩原市にとっても初めての経験であり、一筋縄ではいかない事業でした。中でも、LGWAN環境のクラウドリフト事業については、2023年度末に調達を実施し、2024年の12月末に構築を完了させる、という非常にタイトなスケジュールで行われました。

また、多くの自治体でこれまで採用されてきた環境と、今回新しく導入されるクラウドサービスの大きな違いの1つが、従量課金モデルです。そのため、契約方式や予算の見積もり・計上といったように、システム以外の部分でも多くの調整が必要となった本事業。

弊社では、調達検討段階から、想定される課題や技術的な選択肢に関する情報提供などを通じて、事業の成功に貢献しました。那須塩原市 企画部 デジタル推進課 システム管理担当 主査の小林 亜由美氏は、その貢献について次のように語ります。

「庁内のLGWAN環境は、5年スパンで機械やソフトウェアの入れ替えを行っており、今回を逃してしまうと、次にリフトするタイミングが読めなくなってしまう懸念から、急遽でしたがクラウドエースさんに相談をさせていただきました。どんな調達をする必要があるのか、本当に自治体が持っているサーバーをクラウド環境下に移行できるのか、移行するためには回線だったり他の部分も含めて何が必要なのか、といった要件を検討する上で、参考となる技術情報などを頂けて、大変感謝しています。特に、システム的なところもありますが、クラウドサービスの従量課金の部分が、今までの役所の契約方式や予算の調達方式とあまり馴染みが無く、その調整は(私たちだけでは)ハードルが高かったと思います。」(小林氏)

また、β’モデルへの移行に伴うクラウドサービスの利用増加を見据えて、総務省から自治体向けセキュリティポリシーのガイドラインの改定が発表され、300ページにも及ぶガイドラインをもとに、那須塩原市独自のポリシーを作り上げるという、非常に大きなプロジェクトも同時に進行する必要がありました。

そこで、総合セキュリティコンサルタント業務として、技術本部の島袋 展行をプロジェクトマネージャーに据え、奥村氏と二人三脚でセキュリティポリシーの改定を実施しました。

「那須塩原市のネットワーク環境がβ’モデルに移行して、インターネットサービスを多く使うようになってから、初めてのセキュリティポリシーの改定でした。内容が大きく変わることを想定してご支援をお願いして、約300ページに及ぶガイドラインについて、各条ごとに総務省の記載例、現行版(αモデル)、および改定版(β’モデル)を併記して確認できる新旧対照表を作成し、那須塩原市版のセキュリティポリシーの土台を整備していただきました。その後、少しずつ内容を調整してはいますが、無事にセキュリティポリシーの改定は完了し、現在は、職員に対して新しいポリシーに基づく研修を行っています。」(奥村氏)

業務効率化に加えて職員のリテラシー向上も、今後もさらなる取組を加速させる

調達の仕様に関する技術的なアドバイスから始まり、採択された後の実装と運用に関わる支援まで、弊社の一貫したサポートによって実現したこの取り組みは、那須塩原市庁内での業務の効率化や柔軟性の改善、さらにはセキュリティ強化と職員のリテラシー向上といった多くの成果をもたらし、業務環境の改善に大きく貢献しました。

「おかげさまで業務効率化が図れており、我々の視点や見える景色も大きく変化しました。今後もさらなる効率化やセキュリティ対策の強化、特にゼロトラストの考え方に基づく最適なネットワーク環境の構築についても、クラウドエースさんならではの知見とアドバイスを頂きながら、各事業に適した仕様の作成と調達を進めていきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いします。」(佐藤氏)

佐藤氏が語るように、自治体のDX推進やネットワーク環境を取り巻く環境は、今なお変化を続けています。事業推進本部の川崎 柊は、今後も那須塩原市のサポートを継続し、さらなる支援の強化に努めていくと力を込める。


「これまでの3年間、一緒に事業進められてきたことをすごく嬉しく思いますし、私たちにご依頼いただいたことに心から感謝しております。今ある課題と、これからチャレンジされる取り組みに対しても、これまで以上に尽力させていただきたいなと思っておりますし、何でも気軽に相談できるお隣さんのような役割でご支援させていただきますので、引き続きよろしくお願いいたします。」

インタビュー動画を公開中!

この記事を共有する