DeFi とは 概要や仕組みを5分で入門

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こんにちは、クラウドエース編集部です。

フィンテックやブロックチェーン、仮想通貨に関する話題に関連して「 DeFi 」という言葉を聞く機会が増えています。

今回は、DeFi とは何かについてわかりやすく紹介し、DeFi のメリットやリスク、混同されやすい用語などについて併せて解説していきます。

DeFi とは?仕組みをわかりやすく解説

DeFi とは、「銀行などの中央管理者を介せずに無人で行う、ブロックチェーン上で動作する分散型の金融サービス」です。
「 Decentralized(=分散型)」と「 Finance(=金融)」を組み合わせた言葉で、読み方は「ディーファイ」です。

ブロックチェーンとは簡単に言うと、「取引履歴を過去から 1 本の鎖のように繋ぎ、データの改ざんを困難とする技術」のことです。
そして、ブロックチェーンには「スマートコントラクト」と呼ばれる、特定の条件に基づいて契約を自動的に実行する機能があります。

これまで、貨幣や証券、保険などの取引は、銀行での信用履歴審査や本人確認が必要でした。
しかし、ブロックチェーン上で動く DeFi では、自動で審査や確認を行い、改ざん不可能な取引データを記録できるようになりました。
結果として、銀行などの第三者による仲介なしでの金融取引が実現できるようになったのです。

DeFiのメリット

DeFi には、以下のようなメリットがあります。

  • 金融取引における手数料が下がる
  • 国・地域を問わずに利用できる

DeFi は、第三者の仲介なしでダイレクトに金融取引ができるシステムです。
そのため、これまで銀行に払っていた手数料などが不要となります。

また、銀行による審査や承認も不要となるため、口座を持っていない人なども含め、国や地域を問わずに金融取引ができるようになります。

DeFi が社会にもたらす影響とは

「DeFi は仮想通貨で投資する人だけに関係するもの」というイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし、DeFi が普及すれば、仮想通貨投資だけでなく、あらゆる金融サービスが自動化される可能性があります。

例えば、DeFi を活用した保険サービスが誕生すれば、事故が発生した場合に AI で映像や音声を収集・解析し、スマートコントラクトによって自動で適切な保険金が支払われるようになる可能性があります。

他にも、例えば車のローンに DeFi が活用されれば、審査が自動で行われるほか、返済が滞った際にはスマートコントラクトによりロック・所有権の移転を自動執行して回収できる仕組みができるかもしれません。

DeFi と NFT の違いとは

ブロックチェーン技術を活用した技術として、DeFi の他に「 NFT 」という言葉も話題に上がることが多いです。

「 NFT(= Non-Fungible Token:非代替性トークン)」とは、ブロックチェーンを利用してできた改ざん・偽造ができないデジタルデータのことです。

DeFi と NFT はブロックチェーン技術の誕生によって生まれたサービスという点で共通していますが、その内容は異なります。
ブロックチェーン上で動く「金融システム」が DeFi であり、ブロックチェーンを活用して「唯一無二性を与えられたデジタルデータ」が NFT です。

DeFi を活用したお金の稼ぎ方「イールドファーミング」とは?

DeFi を活用してお金を稼ぐ方法として代表的なものに「イールドファーミング」が挙げられます。

イールドファーミングとは、DeFi 上の「分散型取引所( DEX )」に暗号資産を貸し出すことで金利や手数料を得られる仕組みのことです。

「分散型取引所( DEX )」とは、特定の企業や組織が運営する取引所ではなく、スマートコントラクトによって自動で仮想通貨やトークンの交換を実現することです。

具体的には、貸し手が DeFi プラットフォームにコインを預けると、引き換えに預かり証となるトークンが貸し手に交付されます。
貸出期間中の金利は変動料率で蓄積されてゆき、資産を引き出す際に合算して返還される仕組みです。

ここからは、「イールドファーミング」の関連用語や、混同されやすい意味について見てみましょう。

流動性マイニングとは

流動性マイニングとは、分散型取引所(DEX)に対して特定の為替通貨をペアで預ける(≒ LPトークンを発行し、それを預ける)ことでイールドファーミングにおける通貨の流動性を提供し、その報酬として利息・手数料に加えて取引所のガバナンストークンを受け取る行為を指します。

分散型取引所(DEX)は、取引所が介在しないユーザー同士の直接取引ですので、通貨に流動性(プール)がないと機能しなくなってしまいます。そこで、仮想通貨を預けてくれた流動性提供者(マイナー)に対して分散型取引所は報酬(取引所のガバナンストークン)を支払うことで、イールドファーミングを行う人たちを惹きつけることになり、それにより流動性マイニングを行う人が増えればその取引所のガバナンストークンの価値の上昇につながるため、トータルで高い利回りが期待できるというメカニズムになっています。

レンディングとの違い

「イールドファーミング」と混同されやすい言葉に「レンディング」があります。
これは、保有している仮想通貨を「仮想通貨取引所」に貸し出して利息を得るシステムのことです。

DeFi が登場する前は、「コインチェック」や「バイナンス」などの仮想通貨取引所を介して仮想通貨の貸し借りを行うことが一般的でした。

仮想通貨取引所を介したレンディングでも利息は付きますが、トークンはもらえず、また取引所に支払う手数料も発生します。
このことから、資金を増やすという観点では レンディングよりも DeFi を活用したイールドファーミングの方がより効率的と言われています。

しかし、レバレッジをかけて仮想通貨を借り入れる場合には担保として先に一定額の通貨を預け入れる(レンディング)必要がありますので、イールドファーミングと組み合わせて資金効率を向上させる手法などでレンディングが使われる場合もあります。

いずれにしても、仮想通貨の価格変動が大きいので、価値が大幅に減少してしまうなどのリスクを予め認識しておく必要があります。
これはレンディングだけではなくイールドファーミングにも同じことが言えるでしょう。

DeFi が直面する課題・リスクとは

ここからは、DeFi の課題とリスクについて解説します。

  • ガス代の高騰
  • 価格の急激な変動
  • ハッキング

1 つ目は、ガス代の高騰です。
「ガス代」とは、仮想通貨「イーサリアム」の取引時に発生する手数料のことです。
ガス代は、一定の価格が決まっているわけではありません。
一般的に、仮想通貨の取引が活発になるに従い、ガス代は上がる傾向があります。
そのため、DeFi が普及すると今後ますますガス代が高騰することが予想されています。

2 つ目は、価格の急激な変動です。
DeFi や仮想通貨は画期的な金融システムとして注目を集めていますが、まだ誕生してから日が浅く、価格が上下しやすいというリスクがあります。

ただし、仮想通貨の中には「ステーブルコイン」と呼ばれる、価格の安定性の実現を目指して作られたものもあります。
これは米ドルなどの法定通貨に連動して価格が変動するものであり価格が安定しているため、比較的安心して使うことができます。

3 つ目は、ハッキングのリスクです。
DeFi はオンライン上で動くシステムであるため、ハッキングのリスクがつきものです。
従来の銀行などの金融機関では不正事件が起こった場合、銀行が損失を補償してくれますが、中央管理者がいない DeFi では、そのような補償はありません。

まとめ

ここまで、DeFi の概要やメリットについて解説してきました。仕組みとリスクをしっかりと理解した上で、DeFi の活用を検討してください。

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