国内企業における Web3 の動向まとめ
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こんにちは、クラウドエース編集部です。
ニュースでも耳にすることが増えている「 Web3 」。
簡単に言えば、Web3 とは「分散型インターネットの時代」のことです。
この新たな時代への移行に伴い、NFT(非代替性トークン)領域をはじめとした巨大な市場が誕生しており、各企業が参入を決めています。
今回は、Web3 領域に参入している国内企業の事例を具体的に紹介していきます。
日本における Web3 の現状と動向
現在、日本における Web3 事業への参入には「非常に強い追い風が吹いている」と言えるでしょう。
その理由は、政府が Web3 への移行や、それに伴うビジネスを支援する動きがあるからです。
具体的な例としては、 NFT 分野に関するルールや社会基盤の整備などを早急に行うべきと記された「 NFT ホワイトペーパー 」案が承認されたり、自民党が初めて NFT の「岸田トークン」を配布したりといったことが挙げられます。
このような政府の推進も後押しとなり、 Web3 への注目度は日に日に高まっています。そして、それに応じて Web3 関連事業に参入を決定する企業も急増しているのが現状です。
Web3 関連事業に参入している企業の例
ここからは、具体的に Web3 領域に参入している企業について見てみましょう。
株式会社アカツキ
ゲーム事業を展開している株式会社アカツキは、2022 年 5 月に Web3 領域に特化した 25 億円規模のファンド「 Emoote(エムート)」の設立を発表しました。
「 Emoote 」のコンセプトは、「『稼ぐ』から『感情価値』へ」。
Web3 の重要なキーワードとして、ゲームをして稼ぐ「 Play-to-Earn 」がありますが、同社はこのような「ゲームで稼ぐ」仕組みに加えて、トークンを中心とした経済圏の持続的成長のためには「好き」や「共感」といった「感情価値」を土台にした NFT 消費の促進が必要だと考えているとのこと。
Emoote では日本が世界に誇る数多くのアニメやキャラクターと NFT を掛け合わせることで Web3 でも「感情価値」を創出できると予想し、国内のクリプト、NFT、メタバースなどの領域のスタートアップに対して投資とグロース支援を積極的に行うことを決めました。
具体的な投資領域としては、従来からあるサービスやアプリケーションにトークンを掛け合わせる「 Web2 × トークノミクス」、NFT を基点に DAO (分散型自律組織)がコンテンツ創作やメディア展開する流れを支える「 Web3 IP クリエイション」、メタバース内でのファッション事業を手掛ける「 NFT × デジタルファッション」が挙げられています。
25 億との巨額の投資が決定されたことは、国内の Web3 領域の発展の大きな後押しとなるでしょう。
株式会社レコチョク
有料音楽配信サイトなどを運営する「株式会社レコチョク」は、2021 年から社内で「 Web3 プロジェクト」を立ち上げています。
このプロジェクトでは、ブロックチェーン技術を活用した NFT、ERC-20 トークンなどを用いた音楽体験サービスの提案や、DAO を活用したサービス開発に取り組んでいます。
2022 年には、プロジェクトの第 1 弾として、同社の EC ソリューション「 murket(ミューケット)」に NFT アイテムの販売機能が実装されました。
murket で販売している NFT の事例としては、特定のアーティストの活動風景・オフショット・歌唱動画・ライブ動画などを収録した活動の軌跡などがあります。
murket で取り扱う NFT アイテムの特徴は、日本円などの法定通貨で購入できること。
仮想通貨を事前に購入したり、専用のウォレットを用意したりする必要がないため、ユーザーは気軽に NFT に触れることができます。
NFT という技術や特徴を知らなくても利用できるサービスが誕生したことで、Web3 の世界が多くの人にとってより身近な存在となるでしょう。
株式会社ドリコム
スマートフォン向けゲームの開発・運用などを手がける「株式会社ドリコム」は、2022 年 3 月にWeb3 事業への参入決定を発表しました。
具体的には、「 VR ×メタバース」の実現を目指す VR ゲーム企業「 Thirdverse グループ」と連携して、ゲームと DeFi(分散型金融)を掛け合わせる「 GameFi 」領域での企画・開発・運営が行われます。
ゲーム事業を主力事業とするドリコムと、ブロックチェーンゲームについての最先端のノウハウを保有する Thirdverse グループの連携により、両社のさらなる事業拡大を目指すとのこと。
今後の予定としては、海外向けの 2 作品の制作が決まっています。
そのうちの 1 作品は人気 RPG ゲーム「 Wizardry 」シリーズの海外向けブロックチェーンゲームであり、2022 年夏を目処に開発発表が予定されています。
GMO メディア株式会社
メディア事業やデジタルコンテンツ提供事業を行う「 GMO メディア株式会社」は、2022 年 4 月に J2 リーグに加盟するプロサッカークラブ・FC 琉球において、「 FC 琉球コイン」を発行すると発表しました。
「 FC 琉球コイン」を保有していれば、チーム運営のコミュニティに参加し、チームの運営に関する投票などに関わることができるというシステムで運用される予定です。
同社は、このほかにも様々なブロックチェーン技術を通じた暗号資産事業に取り組んでいます。例えば 2014 年にはポイントサービス「ポイントタウン byGMO 」のポイント交換先として国内で初めてビットコインを加えています。
また、2021 年 3 月には、「スマートコントラクト」技術を用いた取引時の報酬の支払いにおいて、暗号資産以外のポイントやマイルなどで行うことを可能とする特許を取得するなど、技術開発も積極的に進めていることがわかります。
今回の「 FC 琉球コイン」の開発運用を契機に、今後も Web3 や DAO に関するさらなる事業展開が期待できるでしょう。
株式会社電通グループ
大手広告代理店「株式会社電通グループ」では、Web3 時代における新たな情報流通インフラ構築に向けて、Web3 に関する技術と実績を有する「シビラ株式会社」との資本業務提携契約の締結を発表しました。
今回の出資を機に、シビラ社が保有する Web3 に関する技術力と、同グループの事業開発力、クリエイティビティ、ネットワークを掛け合わせ、以下の 3 つの領域を中心として研究開発を推進するとのことです。
- Web3 時代の自己主権型 ID…「 toC 事業」におけるユーザーとの関係構築のためのコミュニティ形成やパートナー化の促進など
- Web3 時代のコンテンツ ID…アプリケーションが横断的に展開されるコンテンツにおける権利管理や、コンテンツのデジタルアセット化による新しいマネタイズの実現など
- Web3 時代のソーシャルエコノミー…SDGs 活動などの実績のデジタルアイデンティティ化、活動を楽しくするコミュニティ形成の促進など
大手企業も Web3 領域への展開へと舵を切ったことは、各業界への大きなインパクトとなるでしょう。
大日本印刷株式会社
印刷・情報技術を基盤としてさまざまな事業を展開している「大日本印刷株式会社」は、2022 年 1 月にブロックチェーン技術を活用したファンエコノミー事業を展開する「株式会社 Gaudiy 」との業務提携を発表しました。
この業務提携により、両社はメタバースをはじめとする新たな領域での価値創出および「未来のファンサービス」の創出に向けて、共同研究を推進するとのこと。
具体的な取り組み内容としては、NFT を活用した各コンテンツの適正な流通の促進や、多くのファンがさまざまなコンテンツの魅力を堪能できるような場の提供などが挙げられています。
ブロックチェーン関連の先端テクノロジーを活用することで、リアルな世界とバーチャルな世界の境界が薄らぎ、「次世代のファンサービス」という新たなビジネス領域が誕生していることがわかります。
まとめ
ここまで、国内企業における Web3 の動向について紹介してきました。大手企業も数多くWeb3 領域に参入していることからも、今後も関連市場はますます拡大していくことが予想できるでしょう。

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