ブロックチェーンがメタバースにどのように活用されているのか

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こんにちは、クラウドエース編集部です。

将来の成長性が高い業界として、近年高い注目を集めている「メタバース」や「ブロックチェーン」。

「仮想的なゲーム」「仮想通貨に使うもの」など、何となくのイメージはあるものの、両者の関係性や具体的にどのようなサービスが展開されているのかはよく知らないという人も多いのではないでしょうか。

今回は、ブロックチェーンとメタバース、それぞれの概念についてわかりやすく紹介した上で、この 2 つにはどのように関連しているのか、具体的にどのような分野で活用されているのかについて解説していきます。

メタバースとは


メタバース( metaverse )は、「meta(超える)」と「universe(世界)」を組み合わせて作られた言葉です。簡単に言えば「インターネット上で作られる 3 次元の仮想空間」とまとめられるでしょう。

メタバースでは、オンライン上で「アバター」と呼ばれる自分の分身を構築することで、他のユーザーとリアルタイムで交流します。代表的なサービスとしては、「あつまれ どうぶつの森」「マインクラフト」などのゲームや、アバターでイベント参加ができる「 VARP 」、会議やセミナーを行える「 Horizon Workrooms 」などが挙げられます。

このように、インターネットを介した仮想世界を楽しめるメタバースですが、実はその定義は企業や専門家によってやや異なり、曖昧な部分もあります。ただし、「メタバース」と呼ばれたり、関連付けたりされるサービスには、以下のような特徴を持っていることで共通していると言われています。

  • リアルタイムで常に現実世界と同期される
  • 恒久的である
  • 拡張性が高く、同時アクセス数に制約がない
  • 独自の経済圏を持つ
  • データ・デジタル資産が現実世界との相互運用性を持つ
  • 多くの人によるコンテンツの管理・運用が行われる

2021 年には Facebook が社名を「 Meta 」に変更し年間 100 億ドル相当のメタバース領域への投資を発表したり、カナダの調査会社「 Emergen Research 」が「世界のメタバース市場は 2020 年の約 477 億ドルから年平均 43% で成長し、2028 年には約 8300 億ドルに達する」との予想を発表するなど、成長性のあるビジネス領域としても大きな注目を集めています。

ブロックチェーンとは


ブロックチェーンとは、取引データを「ブロック」という単位で記録して、それを「チェーン」のように繋いで保管する技術のことです。これにより、デジタルデータの改ざんを防止し、正当性・透明性を保つことができるようになります。

ブロックチェーンでは、過去から現在までの取引履歴が 1 本の鎖のように保存されます。そのため、改ざんするには、ある特定のブロックだけでなく、後続する全ブロックを変更する必要があります。このような変更は現実的には困難で、結果として改ざん自体がほぼ不可能となっているのです。

さらに、ブロックチェーンでは、データを複数人のユーザーで共同管理します。情報がコンピュータに分散して保存されるため、万が一不正があった場合にも参加者の誰かが気づける仕組みになっています。

このようなブロックチェーン技術は、メタバースをはじめとして、仮想通貨やデジタル通貨の発行、工場での製品管理など広い分野で利用されています。海外ではブロックチェーンを利用した行政手続きや選挙のオンライン化などが行われた例もあり、今後も更なる領域での活用が期待されます。

メタバースにおけるブロックチェーンの役割とは

ここまで、メタバースとブロックチェーンそれぞれの概要について紹介してきました。メタバースとブロックチェーンには、どのような関係があるのでしょうか。

「インターネット上に仮想空間を作る」メタバースのサービスは、デジタルデータの正当性・透明性を担保する「ブロックチェーン」を組み合わせることで、安全性・利便性が向上し、収益化もしやすくなると言われています。

わかりやすく考えるために、ブロックチェーンを利用しないゲームと、ブロックチェーンを利用したメタバースのゲームを比較してみましょう。

ブロックチェーンを利用しないゲームでは、ゲーム内のアイテムや通貨、データなどは、ゲーム内でのみ共有される価値であり、現実世界との相互運用性もありません。もしもサービス自体が終了してしまった場合には、ゲーム内のアイテムなども消滅してしまいます。さらに、不正コピーや改ざんなどのリスクも否定できません。

このような課題を解決する技術が、ブロックチェーンだと言えます。ブロックチェーンが適用されたゲームでは、各ユーザーが保有しているアイテムや通貨などの不正コピーやデータ改ざんが不可能となるため、その正当性・透明性が保たれます。

ちなみに、このようなブロックチェーンが用いられたデジタルデータは「 NFT(非代替性トークン)」と呼ばれています。NFT は改ざん・偽装ができないデータであり、取引履歴は公開されたデータベース上で管理されるため、資産性や現実世界との相互運用性を持たせることが可能になるのです。

つまり、メタバースにブロックチェーンを適用することで、「恒久的である」「データ・デジタル資産が現実世界との相互運用性を持つ」「多くの人によるコンテンツの管理・運用が行われる」などのメタバースに必要な要素を満たせるようになるのです。

メタバースとブロックチェーンで世界はどう変わっていくのか

このように、ブロックチェーンはメタバースとの親和性が非常に高い技術です。それでは、これらが組み合わさることで、どのようなことが実現できるのでしょうか。

簡単に言えば、メタバースとブロックチェーンにより、世界は「 Web3(Web3.0)」時代に変わっていくと言えます。

Web3(Web3.0)とは、これからの新しいインターネットのあり方を指す言葉です。データの透明性・正当性が保持されるブロックチェーンを活用することで、現在の「 GAFA など巨大企業に情報が独占されている状態」から「情報を民主的に分散管理すること」を目指します。

その結果として、Web3(Web3.0)時代では、「中央に主権を置かない」さまざまなサービスが実現されると考えられています。

例えば、メタバースのゲームで運営などの中央を介さないユーザー同士の取引が実現し、その仮想世界での自立した経済圏を構築できるようになります。また、あらかじめ設定されたルールに従って、ブロックチェーン上の取引が自動的に実行される「スマートコントラクト」の実装も期待されています。

このように、メタバースとブロックチェーンが組み合わされることにより、デジタルデータの価値が保証されるようになることで、インターネットの在り方が変わっていくと考えられています。

メタバースにおけるブロックチェーンの活用事例

ここからは、実際にブロックチェーンがメタバースに活用されている具体的な事例について見てみましょう。

The Sandbox(サンドボックス)


「 The Sandbox(サンドボックス)」は、イーサリアムのブロックチェーン上で提供されるメタバースのゲームです。

The Sandbox では、LAND(ランド)と呼ばれる土地を、メタバース上に仮想的に提供しています。ユーザーはそこでゲームを作成したり、交流したり、NFT のキャラクターやアイテムを作成してマーケットプレイスで販売したりするなど、さまざまな遊び方・マネタイズが可能です。

最近では、有名企業や投資家たちが LANDを 保有し、メタバースでのイベントやショップの設置を検討され始めているなど、注目度が高まっているサービスのひとつです。

Decentraland (ディセントラランド)


Decentraland(ディセントラランド)も、The Sandbox 同様に、イーサリアムのブロックチェーン上で提供されるメタバースのゲームです。

メタバース業界の中でも歴史の長いプロジェクトであり、2015 年末から開発チームが動いていたと言われています。

Decentraland では「 MANA 」と呼ばれるトークンが発行され、それを使ってゲーム内でアバターや装飾品、売買を購入することが可能です。自分が所有する区画において、動画や画像、音声、3D モデルなどを用いてアイテムを作成し、それを販売することができます。

このように、現在のブロックチェーンが適用されたメタバースでは、「遊びながら収益を得られる」ゲームが複数登場しています。

STEPN (ステップン)


また、最近注目を集めているのが、「Move to Earn」と呼ばれる運動することでお金を稼ぐことができるブロックチェーンゲームで、その中でも特に人気なのが STEPN です。

スタート時に NFTスニーカーを購入することでゲームに参加することができ、所有するスニーカーのランクや歩いた距離に応じて仮想通貨(GST)を稼ぐことができるという仕組みになっています。

大手スポーツブランドのアシックスとコラボして NFTスニーカーを販売したり、多くの Youtuber がチュートリアルや収益の検証動画を公開していたりと注目を集めていることもありユーザーを急拡大しているサービスです。

まとめ

ここまで、ブロックチェーンとメタバースの関係性や、具体的な活用事例について紹介してきました。この記事を参考にしながら、メタバース業界への参入や技術導入を検討してみてください。

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