中小企業はクラウドを導入すべき?

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こんにちは、クラウドエース編集部です。

コストを最適化できる、運用管理を委任できるなどさまざまなメリットから、自社のシステム環境をクラウドへ移行する企業が増えています。

しかし、特に中小企業などでは「必要性がわからない」「今のままでも使えるし…」とクラウド化すべきか迷っているケースも多いかもしれません。

この記事では、中小企業におけるクラウド利用の実態について紹介した上で、中小企業がクラウドを利用するメリットや、導入時の注意点について解説していきます。

中小企業におけるクラウド利用の実態


まずは、企業におけるクラウドサービスの利用実態について見てみましょう。規模を問わず、国内企業のクラウド導入率を見てみると、2016 年に 50% 未満だったものが 2020 年時点で 68% に達しています。

しかし、その内訳を見てみると、企業規模によって導入率に差があることがわかります。

2018 年に株式会社ノークリサーチが行った調査を見てみましょう。以下は、年商 500 億円未満の中堅・中小企業に対し「サーバ更新における今後の方針」について「クラウド構築を予定している」と回答した企業の割合です。

  • 5億円未満…3.2%
  • 5億円以上50億円未満…11.8%
  • 50億円以上100億円未満…15.7%
  • 100億円以上300億円未満…23.4%
  • 300億円以上500億円未満…32.8%

この結果を見ると、年商規模が小さいほど、クラウド導入を躊躇している傾向がわかります。クラウド利用にかかるコストを懸念している可能性が予想できます。

続いて、中小企業におけるクラウドサービスの用途についても見てみましょう。KDDI 株式会社が 2018 年に実施したアンケートでは、約 7 割の中小企業が「メールサービス」のクラウド化を実施していることがわかっています。

一方で、「ファイルサーバー・ストレージ」をクラウド化している中小企業は 37%、「グループウェア」は 25%、「財務会計・給与計算」は 21% と利用率が低いことが明らかになっています。

中小企業がクラウドを利用するメリット

このように、社会的にクラウド移行が進んでいる現在においても、オンプレミス環境を利用し続けている中小企業はあります。その理由としては、コスト面への不安のほか、セキュリティへの懸念、クラウド移行できる人材が不足していることなどが考えられます。

しかし、このような懸念点は、クラウドサービスについて正しく理解することで解消できるものでもあります。ここからは、そのようなコストや運用・管理についての不安を拭えるような、クラウドのメリットについて紹介していきます。

コスト削減に繋げられる


クラウド利用の1つ目のメリットは、コスト削減に繋げられることです。

クラウド利用にあたってコスト面に大きな不安を感じている方も多いでしょう。確かに、多くのクラウドサービスは従量課金制が取られているため、予想外の高額請求に繋がる可能性はゼロではありません。

しかし、クラウドサービスとは利用したい機能を利用したい容量のみ契約できる仕組みです。そのため、自社に必要な機能をきちんと選んで利用すれば、コストの最適化に繋げられるのです。今まで、使わない機能も含まれたパッケージ製品を利用していた場合などでは、クラウド移行することで大きくコストを下げられる可能性があります。

加えて、クラウドサービスではサーバーの運用・管理もクラウド事業者に委任できます。バージョン更新や障害対応なども自社で行う必要がなくなるため、人件費や労力の削減に繋げられるでしょう。

スケーラビリティに優れる


2つ目は、スケーラビリティに優れている点です。

クラウドサービスでは、使用量に応じて容量プランを簡単に変更したり、使う人数に対してアカウント数を変えたりすることができます。例えば、アクセス数の多い月のみ利用を拡大して、アクセスが落ち着いたら元に戻すなど、柔軟に対応することが可能です。

従来のオンプレミス環境では、将来的なシステム規模の増大を想定して構築されるため、導入コストを回収できるようになるまでに時間がかかっていました。また、既存の容量では足りなくなった場合には、サーバーの CPU やメモリの増設、ハードウェアの入れ替えなどの物理的な作業も必要になります。

一方で、クラウドサービスではスケールアップやスケールダウンをインターネット上の手続きひとつで簡単に行えます。システム管理に割ける人材が少ない中小企業などにとっては、大きなメリットになるでしょう。

大量データを保管・処理できる


3つ目のメリットは、大量データを保管・処理できることです。

2017 年時点で、世界全体で生成、取得、複製されるデータの量は 23ZB と言われていました。なお、ZB とは 1 兆 GB に相当する値です。そしてこの数値は、2025 年には 175ZB にまで増えると予想されています。

さらに、2025 年には接続機器は 1500 億台に達し、データ全体の量における「リアルタイムデータの割合」も約 30% を占めるようになると予想されています。ビッグデータの活用が大きな注目を集めているように、今後はこのような大量データの取得・保管・処理がビジネスの成長において欠かせないものとなると考えられます。

今後も増え続けるデータをオンプレミス環境の物理的なストレージで保管・管理するのは非効率的と言えるでしょう。市場シェアの拡大を目指す中小企業は、大量データを処理できるクラウドサービスの利用が必須とも言えます。

データ共有が容易になる


4つ目は、データの共有が容易になることです。

インターネットを経由して各種機能を利用するクラウドサービスでは、場所に関係なく、どのデバイスからでもサーバーにアクセスすることができます。

従来のオンプレミス環境では、自社サーバーに保管されたファイルを確認するために出社しなければいけないという状況があったかもしれません。しかし、クラウドに移行すれば、ネット環境さえあれば自宅からデータを共有したり、編集したりできるようになります。

このように、場所に関係なくデータにアクセスできることは、テレワークやリモートワークが進む現代においては、大きなメリットになるでしょう。

中小企業がクラウドを導入する際の注意点

このように、中小企業がクラウドを利用するメリットはさまざまあることがわかります。ここからは、中小企業がクラウドを導入する場合に注意しておきたいことについて紹介します。

初めは低スペックからスタートする

初めてクラウドを利用する中小企業の場合は、まずは低スペックのものや、必要な一部機能のみの利用からスタートしてみることをおすすめします。

クラウドの特徴のひとつは、導入後からも自由にスペックや利用サービスを変更できることです。サーバーや各種機能を使いこなせるようになってきて、本格導入してもメリットを感じられると思った段階で、スペックを上げたり利用機能を増やしたりしましょう。

このように段階的に導入することで、自社に本当に必要な機能のみを無駄なく使いこなせるようになります。

サポートが充実したサービスを選ぶ


クラウドと一口に言っても、さまざまな事業者がさまざまなサービスを展開しています。クラウド利用に慣れていない場合は、その中でもサポートの手厚いサービスを選択しましょう。

「自社に合った機能がわからない」「使い方に不安がある」という場合には、自社の要件や目的の相談や、代理運用してくれる企業から契約することもおすすめできます。

料金体系を把握する

利用開始前に料金体系を把握しておくことも大切です。多くのクラウドサービスは、利用した分だけ料金が発生する従量課金制が取られています。しかし、機能や時間ごとの料金はサービスによって異なります。

自社で利用する機能や稼働時間、要件を考慮した上で、どれだけのコストになるのかを事前に予測しておきましょう。

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セキュリティ対策について理解する

クラウドサービスを利用するにあたって、最も不安に感じやすいことはセキュリティリスクでしょう。しかし、どのクラウドサービスでもセキュリティ対策は最優先事項として掲げられ、徹底した高度な対策が取られています。

クラウド利用は政府からも推奨されていることであり、セキュリティについては「インターネットとの接続の有無のみによって、情報システムの安全性を単純に判断してはいけない」とされています。つまり、オンプレミスだから安全、クラウドは危険と一概に言えるわけではないのです。

「クラウド=セキュリティリスクが高い」というイメージに囚われ、導入を先送りにしてしまうと、将来にわたるビジネスの競争力低下につながる可能性もあるでしょう。

ただし、クラウドサービスのセキュリティ対策は安心できるとはいえ、利用するサービスがどのようなセキュリティ対策が行われているのかを理解しておくことは大切です。、不安が残る場合には、自社にとって重要な機密事項は従来通りオンプレミス環境で保管するなどの工夫をすることもできます。

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まとめ

ここまで見てきた通り、クラウドにはさまざまなメリットがあり、成長を目指す中小企業であれば導入を検討すべきと言えるでしょう。

クラウド導入にあたって、より深くメリットや事例などを知りたい方は、詳しい内容が一冊にまとめられた以下の本のダウンロードもおすすめです。

参考

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